［E3 2006＃009］RPGの本命「Neverwinter Nights 2」ついに初公開！

　正統派RPGの真打ちともいうべき「Neverwinter Nights」の続編が，すでに遊べる状態で販売元のAtariブースなどで公開されていた。「Neverwinter Nights」は，D＆D Forgotten Realmsの世界をBioWareがゲーム化したRPGシリーズの一つだ。前作で見られたMOD制作を支援するツールやサービスは，最近のRPGではスタンダードとなっている。本作「Neverwinter Nights 2」にはBioWareは関わっていないものの，シリーズ続編や拡張パックを始めとしたPC用RPG作品では定評のあるObsidian Softwareによって開発が進められているのだ。

　Neverwinter Nights 2は，Dungeons ＆ Dragonsの公式ルールブック第3.5版に準拠して，Forgotten Realmsの中のファーラン（Faerun）という土地を舞台にしている。ファーランはルネッサンス期の中世ヨーロッパ文化を思わせる土地柄で，剣と魔法の世界に初期型の銃器が登場しているような世界感である。ほかのBioWare系作品と比べ，戦略性のある戦闘がフォーカスされていたNeverwinter Nightsの続編だけに，ゲームのプレイスタイルとファーランという土地はかなりマッチしているものと推定される。



　Neverwinter Nights 2では，プレイヤーキャラクターのほかに最大で3人の仲間をパーティメンバーとして率いることができる。さらに，実際にプレイヤーがこのメンバーを別々にコントロールすることも可能になっていて，スペルの選択や使用武器，特殊能力の利用といった細かい部分でプレイヤーの思いどおりの戦闘を楽しめる。
　本作で最も変わったのが，「Star Wars: Knights of the Old Republic II」にもあったような“インフルーエンスシステム”を搭載したことだ。プレイヤーの行動やミッションの結果が，プレイヤーに対するNPCの評価に繋がってくるのだ。プレイヤーの行動次第で仲間になってくれたかと思えば，途中でパーティから離れてしまうキャラクターもいたりといった，いっそうドラマチックなストーリー展開を目指しているようだ。仲間との信頼が深まることで，キャラクターたちの過去や心理状態などがプレイヤーに伝えられるようになっており，前作をさらに発展させたようなゲームシステムになっているのである。



　Neverwinter Nightsといえば，Web上に出回っているMODだけでも4000を越えるというオンラインコミュニティが大きな特徴の一つとなっている。ゲームの発売からすでに3年近くが経っているのに，今も多くのファンに親しまれているRPGである。今回のE3でも，このコミュニティサポートを強調した形になっており，「ゲームデモの隣では必ずツールセットの紹介を」とばかりに，開発者たちが意気揚々とエディタを操作してみせていた。
　この新しいツールセットは，もちろんNeverwinter Nights 2の制作そのものに使われているものである。前作のようなタイルベースではなくなっていて，若干敷居が高く感じるが，実際にはコピー＆ペーストを繰り返すことで，短時間で大きな世界を作り出すこともできる。全体的にはより簡単で快適な制作作業になるだろうとのこと。テクスチャなども高画質なもので一新されているだけでなく，樹木生成ミドルウェアの定番である「SpeedTree」までバンドルされているという本格的なツールなのである。

　発売は，予定どおりであれば今年9月。今回は足早にNeverwinter Nights 2を紹介したが，続報にも期待していただきたい。（ライター：奥谷海人）