［インタビュー］サービス20周年を迎えた「RED STONE」。運営移管以降どのような思いで運営を行ってきたのか，開発・運営チームに聞いた

　2025年2月24日に日本でのサービス20周年を迎えた「RED STONE」。サービス期間が20年を超えるMMORPGはいくつかあれど，現在でもしっかり運営が成り立っているのは純粋な敬意を抱くとともに，それを支えるプレイヤーや彼らのコミュニティの強さに敬服せざるを得ない。


　さて，この2025年は数々の大型アップデートに加え，数年ぶりとなるプレイヤーを招いてのオフラインイベント，東京ゲームショウへの出展など，ゲーム内外でアグレッシブな姿を見せていたRED STONEだが，昨年の運営移管から今年にかけて，どのような思いを込めて運営してきたのだろうか。RED STONEの開発本部プロデューサー 呉 昇宰（オ・スンジェ）氏，同じく運営本部 プロデューサー 李 道勲（イ・ドフン）氏にメールインタビューを行った。

20周年に行われたアップデートを総括。開発陣が語る反省点と改善点

4Gamer：
　2025年は，RED STONEにとってどのような年でしたか。

開発・運営一同：
　2025年は，RED STONEの日本サービス20周年という大変意義深い年なので，開発本部では2024年から多くの準備を進めてきました。
　その結果，「生霊の牢屋」をはじめ，「位相征服者」「フェイズストーン」「古龍の祝福」「アサルトチャレンジ」など，数多くの大型コンテンツを実装した，まさに息つく暇もない1年となりました。

　長くRED STONEを支えてくださった冒険家（プレイヤー）の皆様，そして新しく冒険に加わった皆様の双方に，大きな楽しさと今後への期待をお届けできたという点では，一定の成果があったと考えています。しかし同時に，まだ至らない部分や改善すべき点も多く，反省も残る1年でした。


4Gamer：
　運営側から見て，強く印象に残ったアップデートはなんですか。

開発・運営一同：
　今年のすべてのアップデートは重要で印象深いものですが，その中から1つ挙げるとすれば，やはり新たな挑戦型コンテンツである「位相征服者」です。「位相征服者」は原則として1250レベル以上で挑戦可能ですが，実際の難度は最上位クラスの冒険家向けに設計されていました。どれほどの方が攻略できるか不安もありましたが，多くの冒険家の皆様が見事に攻略してくださり，その熱意に深く感動しました。

　今後「位相征服者」は，さまざまなボスタイプや戦闘方式を発展させ，より完成度を高めながら，RED STONEの主要チャレンジコンテンツとして確立していければと考えています。引き続きご期待いただければ幸いです。

　また，2025年「金鯖（※）」で初めてシーズン限定イベントとして実施したボス「たぬまき」の成功にも大きな意味がありました。冒険家の皆様に新たな楽しみを提供する試みとして企画したもので，規模自体は小さなイベントではありましたが多くの方が挑戦し楽しまれる姿を見て，運営スタッフ一同大いに励まされました。これをきっかけに，今後もより多彩な楽しみを感じていただけるよう，さまざまな企画を検討してまいります。

※金鯖――「GoldEx World」のこと。毎年夏ごろに実施される期間限定の特別サーバーで，2025年の金鯖では1500レベルまでの超高速レベルアップが可能となった。さらに装備品や育成に便利なレアアイテムなども多数入手できる。金鯖期間終了後には，キャラクターを本サーバーに移してプレイできるので，新たにRED STONEを始めたり，新キャラを育成するには最適なサーバーだ


4Gamer：
　至らない部分や改善点といった反省点にはどのようなものがあったのでしょうか。

呉氏：
　1つに絞ることは難しいのですが，開発・運営スタッフが常に努力しているにもかかわらず，バグの発生，キャラクター間のバランス差，新規コンテンツやシステム改善に対する迅速な対応が難しい点など，常に反省すべき事項は存在しています。

　印象深いものとしては，「位相征服者ヒペリオン」の難度は最上位冒険家なら攻略可能と判断していました。しかし，実装後しばらくして初の攻略成功報告が寄せられたものの，それは開発側が検証中に発見できなかったバグを利用したものでした。そのバグを報告してくださった冒険家のおかげで修正に至りました。

　冒険家の皆様の継続的な関心とご意見によって，私たちのコンテンツが初めて完成形に近づくということに気づかされ，恐縮と感謝の気持ちが同時に湧き上がった出来事でした。今後も努力を重ね，結果でお応えしていきたいと考えています。

4Gamer：
　2025年は促成専用装備や「生霊の牢屋」の実装，毎年恒例の「金鯖」，そしてアニバーサリー モードなどイベントやキャンペーン等で初心者から中級者までのケアが手厚くなった印象があります。この手厚さは，中級者レベル付近での停滞，もしくはレベル上げの厳しさなどをフォローするためのものなのでしょうか。

呉氏：
　はい，その通りです。2024年までに1250レベル以下のクエスト中心のレベルアップ支援を段階的に進めた結果，新規冒険家のスタートはスムーズになりました。しかし一方で装備面が追いつかず，900レベル前後で苦戦する状況が発生していました。1250レベル以上の冒険家についても，さらなる成長に適したフィールドが不足し，いわゆる“難度の壁”という問題があったのです。

　2025年には，このような問題を解消するため，「生霊の牢屋」や「ミラーフィールド崩壊」など，1250レベル以下に向けた改善を段階的に行い，一定の成果を上げました。もちろん改善すべき点はまだ多く残されており，レベル帯ごとの停滞区間の解消は2026年にも継続して取り組む予定です。

4Gamer：
　「アサルトチャレンジ」では，プレイヤー同士がランキングをかけて戦っているようですが，実際にはどれぐらいの数のプレイヤーがしのぎを削っているのでしょうか。

呉氏：
　申し訳ありませんが，具体的な数値の公開は難しい状況です。当初は想定どおり多くの冒険家の皆様がランキング競争を楽しんでくださっていましたが，現在は上位層が固定化し，競争のダイナミズムが弱まっている点を認識しています。

　そのため，ランキングの細分化やボスタイプ・ルールの多様化など，本来の“ランキング競争”の楽しさを取り戻すための大幅な改善アップデートを2026年に予定しているのでご期待ください。

4Gamer：
　「位相征服者」や精鋭討伐ボス「ヴェノムベッセル」「孤立した飼育地」 といった，高レベルプレイヤー向けの高難度コンテンツがいくつか実装された年でもありました。こちらの手ごたえはいかがですか。

呉氏：
　これまで最上位向けコンテンツの充実がやや不足していたこともあり，2025年に実装した高レベル向けコンテンツは多くの冒険家の皆様に歓迎されています。とくに，挑戦型コンテンツの攻略方法が冒険家同士で積極的に共有され，新規コンテンツについて多くの改善要望を頂戴している点は高い関心を持たれている証左でもあり，開発陣にとって大きな励みとなっています。

　2026年も，新たな「位相征服者」を含め複数の最上位向けコンテンツを検討中です。RED STONEらしい高品質なコンテンツをお届けできるよう，引き続き努力してまいります。

4Gamer：
　2度にわたってモンスターや市街のフィールドがリニューアルされましたが，これらのアップデートは2026年も続いていくのでしょうか。

呉氏：
　はい，当然継続いたします。RED STONEは20年以上続いてきたタイトルであり，多くの冒険家の皆様に支えられて今もなお現行サービスとして運営できています。しかし，長い年月が経った分，現代の基準に合わせて品質を改善することも重要な課題となりました。もちろんRED STONEならではの独自性は維持しつつも，時代に遅れない品質向上の取り組みは2026年以降も継続いたします。

4Gamer：
　2025年3月には，運営移管がされてから初めての日本でのオフラインイベントが開催されました。RED STONEとしても久しぶりのオフラインイベントでしたが，開催した意図と感想を教えてください。

李氏：
　「20th Anniversary Party」は，私たちが日本で直接サービスを開始して以来，初めてのオフラインイベントであり，何よりも20年間RED STONEを愛してくださった冒険家の皆様へ感謝をお伝えする場として準備いたしました。すべての冒険家を無制限にお招きできなかった点は心残りですが，皆様と直接お会いし，互いに挨拶を交わされる姿を拝見でき，大きな喜びと感謝の気持ちでいっぱいになりました。

　今後も，皆様がRED STONEでより多くの思い出を作れるよう最善を尽くします。また，皆様が一堂に会し，共に楽しみ語り合える機会も継続して企画してまいりますので，どうぞご期待ください。


4Gamer：
　RED STONEが日本サービスの自社運営を始めてもうすぐ2年めとなりますが，それ以前のサービスと比べて変わったことはありますか。

李氏：
　サービス移管にあたり，もっとも重視したのは，冒険家の皆様のプレイ体験に違和感が生じないようにすることでした。公式サイトやイベントなど全体の流れに自然に馴染むよう努め，約1年後にはアカウント復旧手続きも導入し，多くの冒険家の皆様がスムーズにRED STONEへ戻れるよう基盤を固めることができたと考えています。

　そして，自社運営によりゲーム内のプレイ状況や動向，皆様の声を以前より迅速かつ密接に把握できるようになりました。これにより，今後のコンテンツやサービスの準備段階において，冒険家の皆様のニーズをより正確に反映でき，結果として満足度向上につながると期待しています。

4Gamer：
　2026年のロードマップについて，教えてください。

呉氏：
　2026年のアップデート内容は，日本だけでなく韓国の冒険家の皆様にも公平性を保ちつつ慎重に公開すべき事項であるため，現時点で具体的にお伝えすることが難しい点をご理解いただければ幸いです。とはいえ，前述の回答の中にいくつかヒントが含まれているかもしれません。

　1つ確実に申し上げられるのは，今年以上に内容量・品質ともに充実したアップデートを準備しているということです。新規コンテンツ，完成度の向上，既存コンテンツの改善などに加え，冒険家同士が楽しめるPvPコンテンツも視野に入れております。

　今年提示したロードマップ「R.E.L.O.A.D」は，単に1年限りの取り組みで完結するものではありません。
　綿密に企画・構築してきた各種コンテンツやシステムの大きな枠組みを崩すことなく，それらをさらに発展・拡張していく方針のもと，2026年も引き続き取り組んでいく予定です。

4Gamer：
　2025年は既存キャラクターのバランス調整が多かった一方，新職業の実装はありませんでした。2026年は新職業は追加されますか。

呉氏：
　現時点の計画では，新職業の追加は予定しておりません。しかし，新職業の検討自体は常に内部で行っています。最後に追加された「キャプテン」と「キャノニア」で新職業が完全に終了したわけではありませんので，どうぞご安心ください。

　具体的な計画が固まり次第，事前に冒険家の皆様へお知らせいたしますので，新情報にご注目いただければ幸いです。

4Gamer：
　日本のRED STONEプレイヤーへメッセージをお願いします。

開発・運営一同：
　長きにわたりRED STONEでの冒険を共にしてくださっている冒険家の皆様に，開発・運営一同心より感謝申し上げます。これからも続く長い旅路を，ぜひ私たちとともに歩んでいただければ幸いです。2026年も，より楽しいRED STONEの冒険をお届けできるよう，全力で取り組んでまいります。