「モヒカン」＋「外道顔」＋「ごろつき」＝「汚物は消毒だ〜」

　本日（12月25日）よりクローズドβテストが開始される，ガンホー・オンライン・エンターテイメントのサバイバルアクションRPG「北斗の拳ONLINE」。既出の情報からも，従来のMMORPGとは一味違った作風が十分に感じ取れるが，実際に触れてみれば，その思いはますます強まるだろう。
4Gamerでは，一足先にクローズドβテストとほぼ同等のテストプレイを体験できたので，その印象をお伝えしよう。

　「世紀末」世界を生き抜くための自キャラ作りからゲームはスタートする。キャラクターメイキングでは，まずは既報のとおり「二つ名」が特徴的だ。二つ名とは「雲のジュウザ」における「雲」の部分で，3文字まで自由に付けられる。
　このシステムのおかげで，二つ名の部分さえ違えば本来の名前自体はゲーム内でも重複可能という点が見逃せない。上記の例でいうならば，すでに「雲のジュウザ」が存在したとしても「気分屋のジュウザ」「空き腹のジュウザ」という名前のキャラクターを作成できるというわけだ（ただし，原作キャラクターと同じ名前は，NGワードの可能性大だが）。
　MMORPGでは，βテスト初日に出遅れるとキャラクター名があらかた確保されてしまい，自分好みの名前を付けられないというケースも多いため，なかなか嬉しい仕様といえよう。
　ただその一方で，3文字という制限は思いのほか厳しい。おそらくネタに走りたいプレイヤーも多いと思われるが，実際にプレイする前に候補をいくつか決めておくとよいだろう。

正統派の男前から怪しいヒゲ親父，モヒカンに至るまで原作に出て来そうなキャラクターをバッチリ再現できる。どれにしようか迷うファンも多いことだろう

クローズドβテストでの生業は，キャラクターの設定をすべて終えた時点で， ランダムに決定される。今回はごろつきを楽しみにしていたのに，南斗門下生になってしまった。カッコいい拳法なんて使いたくなかった……

　体型には基本的に細身/普通/太めがあり，そのほか，身長をはじめとして，バスト（女性のみ）/ウエスト/ヒップ/腕の太さ/足の太さ/頭の大きさをスライダーで調整できる。また，髪型と顔のタイプ，色は用意されている数種類の候補から選択することになる。
　組み合わせによっては，人間離れした，とんでもないキャラクターも作れるが，筆者個人としては原作の世界観を重んじて，正統派の正義漢風なのはもちろんのこと，強きを助け弱きを挫く外道風や安っぽいチンピラ風，あるいは精悍な美女風などをお勧めしたい。
　ちなみに女性キャラのバストは全般に控えめで，最大にしてもそれほど強調されるわけではないため，期待しすぎに注意。

　生業（なりわい）についてだが， クローズドβテストでは「北斗門下生」「南斗門下生」「ごろつき」「大道芸人」の4種類からランダムで決まる。北斗門下生は一撃必殺が可能だが失敗する可能性もある北斗神拳の使い手，また南斗門下生は大ダメージを与える南斗聖拳の使い手と，それぞれ戦闘に特化している一方，ごろつきは単なるケンカ好きで，大道芸人はほぼネタ寄り。戦闘にはおよそ不向きという印象を受けた。
　しかしこれまた原作を重んじて，大道芸人の「火吹き」で「汚物は消毒だ〜」プレイを楽しむのが醍醐味というプレイヤーも，多くなりそうではある。ただし，大道芸人の火吹きには与ダメージがいっさいないので，それを頼みに強く出たりしないのが吉だ。

体型も自由自在。ただし基本を細身や太めにした場合，ほかのパーツも調整しないと人間とは思えないほどアンバランスになる。男性キャラはともかく，女性キャラの場合にはとくに気をつけたい

マウスの動かし方がポイントとなる「直感マウスバトル」

ジャンプを駆使して大仏の手に登ったモヒカン二人。やっぱりモヒカンは，何をやっても絵になるなあと確信した筆者であった

　本作の操作にはW/A/S/Dキー，およびマウスによる移動が採用されている。Spaceバーによるジャンプも可能で，細かいところでは崖や大仏といったオブジェクトに登って景観を楽しむことも可能だ。そのまま飛び降りてもダメージはないので，自分流登場シーンにも大いに活用できそうである。

　また，チャットでは発言がフキダシで表示されるのだが，語尾に付ける記号でその形が変わるのも面白い。文末に「！」を付ければ威勢がよい，あるいは怒鳴っている感じのトゲトゲフキダシになり，「…」を付けるとぼそぼそしゃべっている感じになるのだ。
　漫画を原作とするだけに違和感がなく，パッと見で気づきにくい部分ではあるが，なかなか気の利いた演出だ。セリフとフキダシの絶妙な組み合わせ次第では，スクリーンショットを集めたパロディ作品がすぐにも出来そうなギミックといえよう。

「！」「…」を文末に付けるとフキダシの形状が変化する。悪役や弱者など，キャラクターのロールプレイもやりやすくなりそうだ

マウスやキーボードからの入力結果は，画面上部の中央から右にかけて記号で表示される。これは単なるキックなので短いが，奥義ともなると10以上の入力が必要になる場合も

　戦闘は，PvEであれPvPであれ，すべて1対1となる。その構成は2D格闘ゲームをそのまま3Dに置き換えた感じで，基本的な攻撃手段はパンチとキック，防御手段としてガードがある。
　これらの操作には，本作最大の特徴となる「直感マウスバトル」が採用されており，パンチ/キック/ガードにそれぞれ対応したZ/X/Cキーを押しながら，マウスの移動で上/中/下段を，マウスドラッグの長さで強弱を決定する。

　ただし，以上の操作は攻撃を受けるとキャンセルされてしまうため，相手の行動を先読みしながらどこを攻撃するのか，あるいは防御するのかを決めなければならない。ちなみに防御にはガードを使うよりも，マウスホイールを使って敵と距離をとったほうが，次の攻撃につなげやすいように感じた。

がむしゃらに攻撃していたのでは，ガードされたりキャンセルされたりでなかなか当たらず，反撃されてしまう。相手の動きを先読みしよう

　こうして何度か攻撃が決まると相手がダウンし，一定時間のよろめき状態となったら大チャンス。相手が再び通常状態に戻るまでの間に，キーとマウスを使って特定の操作を入力すると，奥義が炸裂する……のだが，これがなかなか難しい。
　というのも，マウスは定められた順に従って上下左右斜めに動かす必要があるのだが，慣れないと下に動かしたつもりが斜めに入ってしまったりする。一度間違えたら，最初から入力し直しである。落ち着いてじっくりやれば，そうしたミスはしにくくなるが，時間が経つと相手が通常状態に戻ってしまうため，のんびりしているわけにもいかない。こればかりは練習を重ねてコツを掴むしかないだろう。
　なお大道芸人の場合は，非戦闘時でも奥義（つまりは大道芸である）の発動が可能なので，マウスの動かし方を練習するにはもってこいかもしれない。

　さて，首尾よく入力が成功すると「北斗残悔拳」や「南斗獄屠拳」といった奥義が発動する。ここで北斗門下生の場合，奥義が炸裂してもまだ相手が立ち上がってくるようなら，さらに秘孔を突いてとどめを刺せるのだ。
　なお秘孔を突くには，相手の体の光っているポイントを，タイミングよくクリックする必要がある。相手のダウンを取ってから奥義を発動させ，秘孔を突くという一連の動作を確実に成功させるのは相当に煩雑な操作となるが，見事決まった瞬間には，書き文字風の画面エフェクトと相まって，かなりの達成感と爽快感を得られる。ぜひ挑戦してみてほしい。

デモプレイ用のキャラクターで北斗神拳を体験。相手のダウンを取り奥義の入力にも成功した！　しかし北斗神拳には外道面が似合わない	見事，岩山両斬波が決まった！　この技は強力な手刀で相手を叩き潰すという，比較的簡単な奥義である
奥義を喰らわせてもまだ相手の体力が残っている場合は，秘孔を突いてとどめを刺せる。点滅する秘孔をクリック！	タイミングよく決まると，派手なエフェクトが！　このあと相手は破裂する。一連の流れが成功したときは，かなり達成感がある

クローズドβテストの舞台は

有名NPC続々登場のサザンクロス

行き倒れたプレイヤーを助けたのは，ごついおっさんだった。おっさんの教えに従って，まずは周辺の集落を探そう

　クローズドβテストの舞台は，南斗六聖拳「殉星」の男ことシンの居城があるサザンクロス。プレイヤーは，砂漠で行き倒れたところをNPCに助けられる。助けてくれたのは少女リン……ではなく，残念ながら通りすがりのおっさんだが，言われたとおりに近くの集落へ向かえば，長老のウコクからいくつかのクエストが受けられる。
　クエストの中にはお馴染みの名前が次々に登場するので，原作ファン必見だ。例えば，とあるクエストのターゲットが，集落や旅人を襲う暴徒集団のジード（の下っ端だけどね……）だったり，別のクエストでは種籾じいさんことミスミが絡んでくる内容だったりと，期待を裏切らないものになっている。

一介の脇役でしかないはずなのに，妙に有名な種籾じいさんことミスミと，その村。無邪気にはしゃぐ子ども達の姿に癒される

砂漠の集落では誰に何を聞いても，とにかく物資がないといわれる。クエストをこなして報酬を受け取るか，敵を倒して奪い取るしかないのだ

　また今回は，シンの居城（こちらにはまだ入れないが）とビレニィ・プリズンも実装されており，当然フォックスやジャッカルといったNPCが配置されているだけでなく，実際に戦闘もできる。とはいえこうした有名NPCは，誰かが一度戦ってしまうとその勝敗に関わらず一定時間ポップしない仕様になっているようだ。運良く遭遇できたら，スクリーンショットを撮ったうえで対戦に臨むとよいだろう。なお関連するクエストは，それぞれ近くに配置されている酒場のマスターから受けられる。
　加えて既報のとおり，北斗四兄弟の長兄にして原作の主人公ケンシロウの最大のライバルだった拳王ことラオウも登場するのだが，残念ながら今回のテストプレイでは時間の関係でお目にかかれなかった。実際のクローズドβテスト期間中は，ポップ時間を調整して可能な限り多くのテストプレイヤーが遭遇できるようにするそうなので，楽しみに待っていたい。

　さて紆余曲折あってたび重なる延期の末，ようやく初回のクローズドβテストまで漕ぎ着けた本作だが，その結果として独特の戦闘システムをはじめ，従来のMMORPGにはない魅力に溢れた内容となった。筆者個人は，フィールドのいたるところにモヒカン頭のキャラクターが溢れ，口々に「ヒャッハー！」「水だ水だ〜！」「あぁーん？　聞こえんなぁ〜」などと悪役ロールプレイしている姿を見るのが楽しみでしょうがない。

　王道を求める人はもう少しゲームシステムやコンテンツが整備されるのを待つべきかもしれないが，いままでのゲームにないものを求める人や原作ファンは，ぜひ一度触れてみてほしい。

シンの居城があるサザンクロス。やはりKINGことシンと，その手下には誰も逆らえないようだ。またハート様の手下には，ちゃんと「ハート『様』隊員」となっているのが嬉しい

ジャッカルが治めるビレニィ・プリズン。門番のスネーク達もきちんと再現されている。バーにはジャッカルがいたので，ちょっと戦ってみたが，案の定ボロ負けした