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2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
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印刷2007/11/21 13:26

インタビュー

2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた

(写真左から)デックスエンタテインメント ゲーム事業部プロデューサー 北岡将長氏,同ゲーム事業部 事業部長 兼 プロデューサー 宮本貴志氏
画像集#003のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
 先日お伝えしたように,デックスエンタテインメント(以下,デックス)は,2007年1月までの間「なつゲー」で提供されていたオンラインゲーム「KING OF WANDS」(以下,KOW)の開発/運営権を獲得。新たな要素を追加し,2008年初頭にサービス開始する予定だ。
 今回,KOWのプロデューサーを務める北岡将長氏と,同社ゲーム事業部 事業部長 兼 プロデューサーの宮本貴志氏に,リニューアルに伴う新要素などについて話を聞いてみた。以前遊んでいた人や,本作に注目している人はぜひご一読を。

「ぷよぷよ」の米光一成氏が手がけた
「KING OF WANDS」のゲーム内容を紹介


画像集#008のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
 インタビューの模様をお届けする前に,KOWにあまり馴染みがないという人のために,このゲームの概要を説明しよう。
 本作は,カードゲームにボードゲームやパズルゲームの要素をミックスした作品で,Flashをベースとしており,Macintoshにも対応している。

 ゲームは,魔法専門学校「マルクト魔法学校」を舞台に,校長の座を目指して生徒同士が争いを繰り広げる(!)という設定だ。
 初代校長である“翔野くるみ”は,カードを用いて幻獣を召喚し,戦わせる,「幻獣闘技」を編み出した人物。この学校は,個々の生徒の成績から,恋人選びや学食の限定メニュー購入権,そして誰が校長を務めるかといったことまで,いかなることも幻獣闘技で決定するという方針で運営されている。タイトルである「KING OF WANDS」というのは,校長の地位を指す言葉なのである。

 ゲームをプレイするうえでの最初のステップとなるのが,デッキの構築。自分のプレイスタイルやカードの特性に基づき,収集したカードの中から15枚を選んでデッキを作り上げる。
 そして実際のプレイでは,二人のプレイヤーが先攻と後攻に分かれ,順番に攻撃を行っていく。手持ちのカードを使ってモンスターを召喚したり,攻撃魔法を唱えたりできるほか,プレイヤーキャラクター自身が直接攻撃することも可能だ。
 対戦相手のプレイヤーキャラクターの体力(HP)をゼロにしたプレイヤーが,ゲームの勝者となる。

画像集#007のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
 右のスクリーンショットを見ると分かるように,画面上段中央部に赤と青のマスが七つずつ用意されており,この上で戦いが展開する。ここだけ見れば,コンソール系でたまに見かけるカードゲームだが,本作は一味違う。このゲームでキモとなるのが,ボード上のモンスターやキャラクターが,常に“前詰めの法則”に則っていることなのだ。
 例えば対戦相手のキャラクターが,自分に向かって縦に(つまり画面に向かって左右に)二つ並んでいる場合,前のキャラクターを倒してマスが空くと,すぐ後ろに控えるキャラクターが,そのマスを埋めるように自動的に前進する。
 敵を倒したキャラクターは攻撃力が向上するうえ,再び攻撃できるので,この法則をうまく利用することで,次々と敵のキャラクターを撃破することも可能というわけだ。この“コンボ”が決まると勝負の流れを一気に引き寄せられるので,モンスター/キャラクターの配置や,残りHPをよく見て戦術を立てることが重要となる。

 デックスといえば,オンラインカードゲーム「アルテイル 〜神々の世界『ラヴァート』年代記」で知られているが,KOWには,アルテイルと共通するカード収集とデッキ構築の楽しさに加え,ボードゲーム的な戦術立案の面白さが融合されているということが,なんとなく分かってもらえたのではないだろうか。
 なお現在,KOWの公式サイトでは,本作を気軽に体験できる「お試しワンズ」が提供されている。百聞は一見に如かず,本作に関心を持っている人はぜひプレイしてみよう。

 さて,本作を手がけたのは,「ぷよぷよ」「魔導物語」などの作品で知られるゲームクリエイターの米光一成氏。また本作のサウンドは,「伝説のオウガバトル」シリーズや「ファイナルファンタジータクティクス」で知られる崎元仁氏が設立した音楽制作会社,ベイシスケイプが監修している。そして今回デックスが,本作のリプロデュースを担当するわけだ。その経緯を説明すると,なつゲーで展開されていた頃からKOWに着目していたデックスが,なつゲーのサービス終了に合わせて本作の行方を追ったところ,同社のグループ会社であるUTDエンターテインメントが権利を保有していたため,KOWの開発/運営権を獲得するに至ったとのことだ。

 それではインタビューの模様をお届けしよう。今後の米光氏の関わり方や,リニューアルに合わせて追加される要素についての話は,以前本作を遊んでいた人にとってとくに気になるポイントではないだろうか。

運命的な出会いを感じ,権利獲得へ


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。そういえばこのところ,ゲーム業界ではカードゲームが流行していますね。この状況をどう見ていますか?

画像集#001のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
宮本氏:
 早くからアルテイルをサービスしてきた私達としては,カードゲームに対するゲームファンの注目が集まっている,今の状況をとても嬉しく思っています。ほかの会社と共に,このジャンルを盛り上げていきたいです。

4Gamer:
 長い間カードゲームにフォーカスしてきたデックスらしく,どんと構えている感じですね。ともあれ最近,カードゲームに対する注目度が高まっていることは事実だと思います。
 それでは,デックスがリニューアルオープンを予定しているKOWについて聞きますが,このゲームのどういう点が気に入って権利獲得に動いたんですか?

宮本氏:
 アルテイルがサービスインした直後に登場したのが,KOWでした。KOWはアルテイルとはやや方向性の異なる作品ですが,同じカードゲームということもあり,とくに気になるタイトルではありましたね。
 そして,今年(2007年)弊社と同じグループ企業である,UTDエンターテインメントがKOWの権利を保有したことで,「ずいぶん近いところに来たな」と,なにか運命的なものを感じました。さっそく話をしてみようということになったんです。

4Gamer:
 もともと注目していた作品なのですね。

宮本氏:
 アルテイルとは異なる要素が盛り込まれていることに魅力を感じていました。カードゲームというジャンルを盛り上げてほしいという意味で,期待していたんですよ。KOWがアルテイルに近いゲーム性を持つ作品であれば,私達がサービスしようとは思わなかったでしょうね。

4Gamer:
 そういえばデックスは,カードゲームポータル「アルテイルネット」をサービスしていますよね。KOWはアルテイルとは毛色の異なる作品ですが,同ポータルを通じてサービスされるのでしょうか。

画像集#005のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
北岡氏:
 アルテイルネットのコンテンツとしてKOWをサービスするわけではありません。例えば,KOWのカードをアルテイルのものに置き換えるといったことも検討しましたが,最終的にはアルテイルとは切り離してサービスすることに決まりました。もちろんアルテイルのプレイヤーにもKOWをプレイしてもらいたいと思っていますが,それとはまた異なるプレイヤー層も開拓していきたいですね。

宮本氏:
 KOWとアルテイルは,世界観がまったく異なる作品です。アルテイルネットでは,私達がこれまで育んできた,アルテイルのカードとのシナジー効果が期待できるタイトルを提供していきたいと思っています。

4Gamer:
 アルテイルネットとは切り離してサービスされるということは,KOWでは,アルテイルネットの「グラン」とは別の仮想通貨が利用されることになるのですね。

北岡氏:
 KOWでは,「エン」(仮称)という仮想通貨を使って各種アイテムを購入することになります。KOWにはアルテイルネットとの直接的なつながりはありませんが,アルテイルネットとKOWとのコラボレーション企画などはぜひとも行いたいですね。

米光氏と連携し,KOWをさらに面白いタイトルに


画像集#010のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
4Gamer:
 リニューアルにあたって最も気を配っている点はなんですか?

宮本氏:
 一番重視していることは,以前KOWをプレイしていた人や,潜在的な新規プレイヤーの声を大切にするということです。

4Gamer:
 より突っ込んだ聞き方をしますが,もし,ここをこう変えたいという部分があれば,具体的に教えてください。

北岡氏:
 KOWはすでに完成された作品でして,コンピュータ相手のソロプレイでもかなり楽しめます。正直に言うと,なかなか手を加えづらいところです。とはいえ,そこにオンラインゲームならではの楽しさ,プレイヤー同士がより密接にコミュニケーションを取るための要素を盛り込んでいくことで,新しい魅力を生み出したいですね。

宮本氏:
 コンテンツが良いものであることは当然として,そのうえでさらなる楽しさを提供すること,プレイヤーが楽しめる土壌作りをすることが,運営側の役目だと考えています。

4Gamer:
 米光氏は,リニューアルにあたってどのような形で開発に関わっていますか?

宮本氏:
 当然ながら,ゲーム全般にわたってさまざまなアドバイスをもらっていますよ。

4Gamer:
 例えば,どんなアドバイスを?

宮本氏:
 KOWの上級者には,いわゆる「必勝パターン」的な戦術を編み出す人がいるそうなんですよ。私達デックスとしては,そんな上級者にもより深くゲームを楽しんでもらえるよう,マスの数を増やしてはどうかと提案しました。

4Gamer:
 その案について,米光氏はどう考えているのでしょう。

北岡氏:
 米光氏は,ゲームバランス自体が現状のマスに合わせてきっちり調整されており,マスを増やすのはなかなか難しいとのことでした。

4Gamer:
 なるほど。マスが増えると戦い方のバリエーションが非常に多くなるので,調整し直すのは大変そうですね。
 ところで今の話を聞く限り,米光氏との連携がとても密に行われているように感じられます。

北岡氏:
 私はこれまでに,いくつかのゲーム会社でオンラインゲームの運営に携わってきたのですが,例えば韓国産のMMORPGなどでは,開発元とのコミュニケーション不足や考え方の相違から,思いどおりに進めていくのが難しい面がありました。KOWではそのようなこともなく,スムースに開発を進められています。これからも米光氏に開発に深く携わってもらい,さまざまな意見をもらう予定です。

4Gamer:
 その米光氏について,どのような印象を持っていますか?

北岡氏:
 ゲームから余分な要素をそぎ落とし,できるだけシンプルなものにしつつ,なおかつ奥深さを持ったゲームを作れる人だと思います。

リニューアルに合わせて追加される新要素について


4Gamer:
 先ほど,プレイヤー同士がコミュニケーションをとれる機能を追加していくという話が出ましたが,リニューアルに合わせて追加するコミュニティ関連の要素を教えてください。

画像集#004のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
北岡氏:
 まだ細かくは決定していませんが,Web上での展開を検討しています。

4Gamer:
 具体的にはどのようなものでしょうか?

北岡氏:
 例えば,プレイヤー専用のSNSを用意するということも案として出ています。まだ決まっていないことなので細かい話はできませんが,当然ながらコミュニティは重要視していますよ。

4Gamer:
 それでは,ゲームシステム関連の新要素について教えてください。

北岡氏:
 まだ確定していない部分も多いのですが,プレイヤーキャラクターの属性として,「ジョブ」「クラス」を追加する予定です。

4Gamer:
 ジョブは,おそらく職業のことですよね。

北岡氏:
 ええ,そうです。KOWには通常のカード(コモンカード)のほか,ジョブカードというものが登場します。これは,特定のジョブに就いているキャラクターのみが使える特殊なカードです。

4Gamer:
 特殊なカードということは,有料で販売されるのですか?

北岡氏:
 いえ,コモンカードが無料でそれ以外のカードが有料とは限りません。基本的に,ジョブ専用カードとコモンカードの2種類のカードがあり,それぞれに有料のものと無料のもの,そして条件を満たすことでしか手に入らないものを用意するつもりです。コモンカードとジョブカードの割合については検討中ですが,ジョブに特化したゲームにしたくないとの米光氏の意向もあり,コモンカードが8割くらいになるのではないかと思います。

画像集#009のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
4Gamer:
 それでは,もう一つの「クラス」という属性について教えてください。

北岡氏:
 これは,いわゆるキャラクタークラスではなく,「学級」を意味するクラスです。

4Gamer:
 なるほど,そっちの「クラス」でしたか。舞台の魔法学校にちなんだ属性なんですね。

北岡氏:
 プレイヤーキャラクターはいずれかのクラスに所属しており,例えば,月間の勝敗数をクラスごとに合計してランキングを作成したりすることを検討しています。

4Gamer:
 クラスごとに連帯感のようなものが生まれるかもしれませんね。

北岡氏:
 私達としても,そうなることを期待しているんです。月間ランキング以外にも,学校を舞台としていることを生かして,さまざまなイベントを展開していきたいと思っています。

2008年初頭に正式サービス開始
アルテイルの世界大会実施も検討中


4Gamer:
 ところで,KOWはMacにも対応していますが,Macを使っている人に本作を遊んでもらうための施策はどのようなものですか?

画像集#002のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
宮本氏:
 まだ具体的には話せませんが,さまざまなプロモーションを行ってMacユーザーにリーチしていくつもりです。

北岡氏:
 Macユーザーには,オンラインゲームや,ゲーム内アイテムに対して料金を払うということにあまり馴染みのない人が多いと思います。とはいえ私達としては,MacユーザーであるとかWindowsユーザーであるとかの区別なく,面白いゲームさえ提供していけば,自然と遊んでもらえるし,アイテムを購入してくれるだろうというスタンスで取り組んでいます。

4Gamer:
 本作の登場を機に,オンラインゲームの世界に足を踏み入れるMacユーザーが増えることを期待しています。
 そういえばデックスは先日,すでにサービスインしている韓国に続き,アメリカでのサービスを発表しましたが(関連記事),KOWについてはどうですか?

宮本氏:
 もちろん,KOWの海外展開も考えています。今は日本でのリニューアルオープンに注力していますが,いずれはぜひ世界の各地域でサービスしたいです。またアルテイルについては,世界大会の実施を検討しています。

4Gamer:
 おお,世界大会ですか。私はこれまで,デックスが行っている「アルテイルネット リアルフェスタ」(関連記事)の取材をとおしてファンの熱気にじかに触れてきましたので,世界大会が実現したら,きっとかなりの盛り上がりを見せると思います。
 それでは最後に,4Gamer読者へのメッセージをお願いします。

画像集#011のサムネイル/2008年初頭に復活する「KING OF WANDS」。リニューアルに伴う新要素などについてプロデューサーに聞いてみた
北岡氏:
 KOWとアルテイルを比べると,ゲームの雰囲気は似たところがありますが,ゲーム性は大きく異なっています。アルテイルのプレイヤーには,そのギャップにも注目してほしいです。
 またティザーサイトでは,サービスインまでの間にこまめに新情報を公開していき,ただ眺めるだけでなく“遊べるティザーサイト”にしたいと思っていますので,ぜひチェックしてください。

宮本氏:
 KOWのクローズドβテストを2008年早々に実施し,テスト結果が良好であればすぐに正式サービスを開始する予定です。クローズドβテスター募集の際には,ぜひとも応募してください。
 アルテイルネットの各コンテンツに加え,KOWのサービスを行うことで,カードゲームといえばデックス,デックスといえばカードゲームというイメージを広めたいです。オンラインカードゲームの第一人者であるデックスの今後にも,ご期待ください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。


 流行してきているとは言っても,日本のゲーム市場全体を見ると,カードゲーム――ましてやオンラインのカードゲーム――はゲームファンにとってまだまだ馴染み深いジャンルとは言いがたい。北岡氏と宮本氏の言葉の端々から,そのカードゲームのジャンルに長年にわたって挑み続け,アルテイルを人気作に育て上げたデックスと,そのデックスが手がけるKOWへの期待,KOWにあらためて深く関わることになる,ぷよぷよなどの名作を生み出した米光氏の熱意が伝わってきた。
 とくに米光氏には,以前さまざまな事情から思いどおりに開発できなかった経緯があるそうで,今回のリニューアルに並々ならぬ力を注いでいるという。
 この両者がタッグを組むことにより,KOWがどんなゲームに仕上がり,いかにファンの心をつかんでいくのかに注目したい。

 この記事を読んでKOWに興味を持った人は,公式サイトで公開中の「お試しワンズ」で,一般的なトレーディングカードゲームとは方向性の異なる本作に触れてみよう。
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