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メーヴェシミュレータも登場した「Open Sky 2.0」展覧会レポート
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印刷2006/12/20 20:06

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メーヴェシミュレータも登場した「Open Sky 2.0」展覧会レポート

 マイクロソフトは,メディアアーティストの八谷和彦氏によって制作された飛行装置の展覧会「Open Sky 2.0展」に協力し,映画「風の谷のナウシカ」に登場したメーヴェを模したシミュレータを展示する,というのは以前お伝えしたとおり。東京オペラシティ内のNTTインターコミュニケーションセンターで開催されたその「Open Sky 2.0展」を見てきたので,軽く様子をお伝えしよう。

 八谷和彦氏は,電子メールソフト「ポストペット」を世に送り出したことで有名なメディアクリエイターだが,同時に「発明系アーティスト」としてもよく知られた人だ。2001年から2003年にかけては,映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」に出てきた空飛ぶスケボーをモチーフにした「エアボード」(Air Board)を製作し,また2001年からは今回の展覧会のテーマでもある「Open Sky」プロジェクトを開始している。
 このOpen Skyは,個人が“飛行機”を自作して空を飛ぶことができるか? できそうだからやってみようというプロジェクトで,最終的にはジェットエンジンを搭載した自作飛行機で大空を自由に飛び回ることを目的としている。2003年には検証用の2分の1サイズのジェットエンジン搭載模型のラジコン飛行に成功し,2004年には最終モデルの5分の1の模型を製作して,各種シミュレーションを行っている。ここまでがプロジェクトのフェーズ1に当たるそうだ。
 続くフェーズ2では,人が乗って飛行できる「M-02」を製作。エンジンなしのゴム牽引による試験飛行を60回以上繰り返し,さまざまな調整を行っている。そして,3年がかりのプロジェクトも,いよいよ2007年からフェーズ3に入り,夏頃までには実際にジェットエンジンを搭載した機体が飛ぶ予定なのである。
 自作飛行機で空を飛ぶという,ちょっと聞いただけでは「マジすか?」と言いたくなるOpen Skyプロジェクトだが,こうして一歩一歩着実に進歩している様子を見ると,やれるかも,という気になってくるから不思議だ。展覧会では,各フェーズで作られた機体(「愛・地球博」に展示された「M-01」は,分解されて「M-02」の材料になっているので存在しないが)と,それぞれの飛行の様子を映したビデオ映像が展示されているので,一抹の疑いを拭いきれない人はぜひ自分の目で確認してほしい。

 ちなみにメーヴェメーヴェと呼んではいるが,風の谷のナウシカを制作したスタジオジブリに正式な許諾を取っているわけではなく,あくまで通称だそうだ。正確にはMー02という名前なのだが,じゃあ,Mは何の略かというと,やっぱりメーヴェらしい。
 しかし,展示されていたMー02の翼端長は約4.5mもあり,かなりでかい。ナウシカはメーヴェを持ち上げて走り,勢いをつけて飛び乗っていたが,それはちょっと無理であろう。

Open Skyプロジェクトの歴史が一目で分かる


 さて,展覧会の話はこれくらいにして,展示されていた「マイクロソフト フライト シミュレータ X」を利用したシミュレータの紹介をしよう。これは,写真にもあるようにM-02の操縦席部分を再現したもので,操縦者が体を微妙に動かすことによって機体の方向を決め,それがシミュレータの前に置かれた3面の液晶ディスプレイに表示されるというものだ。機体データはもちろんM-02のものだが,まあ,エンジンを積んで飛行したことはないので,データにはそれなりのアレンジが加えられている。
 このM-02のデータは,いずれ公式サイトからダウンロードできる予定で,家庭で手軽に腐海遊びができるだろう。
 というわけで,「4Gamerで最も姫ねえさまに近い男」と言われる筆者がチャレンジしてみた。もっとも,その前にクイズに答えて2問正解しなければならないという難関が用意されている。一応,こう見えてもメディアなので勘弁してもらえたのだが,「FSXで飛行機を着陸させられる4Gamerでただ一人の男」である筆者としては,やはりまっとうにチャレンジすべきだということで……やめときゃよかった。かなり難しいので,展覧会に行こうと思っている人は,展示パネルの内容を短時間でも頭に入れておくことをオススメしよう。
 飛行そのものは比較的簡単で,ピッチを下げたければ体をちょっと前にずらし,右に旋回したければ体をちょっと右にずらすだけ。無尾翼機ゆえにラダーもなく,操縦にはすぐ慣れる。さあ,マスクがなければ5分で肺が腐ってしまうという死の森「腐海」上空を飛び回ろう,と思ったが,眼下に広がるのは東京の風景。さすがに腐海のデータは用意していないとのことで,筆者のメーヴェはお台場上空から新宿副都心に向けて順調な飛行を続けるのである。
 飛行は簡単だが,うつぶせになりつつ頭を常に上げているという姿勢がかなりつらく,腹筋を要求される。2分間のフライトの後,「メーヴェ健康法」を提案した筆者だが,軽く流されてしまったことは言うまでもない。

これがシミュレータ。かなり楽しい。風を読め(読めないが)


 この「Open Sky 2.0」展覧会は2007年3月11日まで,東京オペラシティのNTTインターコミュニケーションセンターのギャラリーAで開催されている。入場料は一般/大学生が500円,高校生が300円で,中学生以下は無料だ。詳しくは,公式サイトをどうぞ。

 残念ながら,スケジュールの都合で八谷氏本人に会うことはできなかったが,4Gamer読者に向けてのコメントをいただいたので,ここに掲載する。興味のある人はぜひOpen Sky 2.0に足を運び,日頃の野暮な暮らしをしばし忘れてアートに親しんでみよう。余計なお世話ですか。(松本隆一)




 4Gamer.net編集部および読者の皆様,こんにちは。
 OpenSkyをやっている,八谷和彦です。
 今回の展示では実機M-02のほうの体重制限が58kgと少々厳しいので,多くの男性のためにもっと体重制限の緩い(90kg以下にしてます)体感型フライトシミュレータを作ることにしたのですが,僕自身今回の展示で初めてフライトシミュレータの世界に触れたビギナーでして,ここのサイトや,多くのアドオン制作者のページなどを参考にさせていただきました。ですので,まず,そのことに感謝します。
 また,せっかくなのでFSX発売後にでも,今回制作したM-02Jの機体データをアドオンとして公開したいと思います。微力ではありますが,僕の展示が,フライトシミュレータファンのすそ野の拡大につながれば,幸いです。


  • 関連タイトル:

    マイクロソフト フライト シミュレータ X

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