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[CEDEC 2007]CEDEC会場でのブース展示レポート
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印刷2007/10/01 18:27

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[CEDEC 2007]CEDEC会場でのブース展示レポート

 CEDECでは,カンファレンスが主体ではあるのだが,小規模ながらブース出展もあったので,そちらの模様を軽く紹介しておこう。

Scaleform

画像集#003のサムネイル/[CEDEC 2007]CEDEC会場でのブース展示レポート
 Austinのカンファレンスで奥谷氏が紹介していたScaleformが日本にやってきていた。さっそく日本にオフィスを構えて売り込みを開始しているが,日本法人などはまだ立ち上げられてないとのこと。
 多言語対応を済ませたばかりで,出来立てほやほやの新バージョンがデモされており,IMEを起動して日本語を入力可能なことが確認できる。この部分は世界初公開だそうだ。日本語対応に慣れていないところだと,枠からはみ出したり,うまく消えなかったりという不具合も珍しくないのだが,かなりちゃんとローカライズされているようである。
 GameSpyのロビー部分などがデモされていたものの,会場にネットワーク環境がなかったので,用意したデモが使えなかったとのこと。日本では,自前でUI開発ツールを作っているところも多いようだが,デザイナーにはFlashの扱いに慣れている人も多く,表現力や扱いやすさなどで,日本でも浸透していくのではないかと思われる。

コミュニティエンジン

画像集#002のサムネイル/[CEDEC 2007]CEDEC会場でのブース展示レポート
 コミュニティエンジンは,VCE(「大航海時代 Online」や「ベルアイル」などで使われているネットワークゲームエンジン)の開発元で実験的なネットワーク仮想世界「gumonji」などの開発も行っている,国内では珍しいオンラインゲームインフラに強い開発会社である。
 ここ何年かCEDECでは,コミュニティエンジン社長の中島氏によるワールドシンセサイザ構想に関するセッションが行われていた。それは「gumonji」の発展形であり,「Second Life」や「Spore」のような環境とそれを作るシステムに関するものである。なんというか禅問答のような講演で,その全貌を量るのが難しかったのだが,ここにきて製品としてのWorld Synthesizerが登場してきた。
 現状版は,VCEを中心にオンラインゲームを作るためのコンポーネントを組み合わせたもので,タスク管理,オブジェクト管理,マップ管理,リソース管理と,ある意味,無難な感じのネットワークゲーム開発ミドルウェアとなっている。今後はシミュレーションエンジンや物理エンジンなども加わってくるということなので,gumonjiぽいものまで対応できるようになるのだろう。
 World Synthsizerには描画エンジンなどのコンポーネントも用意されているが,コンポーネント設計なので,この部分を自社製のものに置き換えるなど,必要な部分だけを選んで使うことができる。
 注目すべきはマルチプラットフォーム対応が前提とされていることで,会場ではWiiとPCで同じようなシーンが表示されていた。ニンテンドーDSにも対応しているという。今後,さらにPLAYSTATION 3やXbox 360,Macintosh版,そしてFlash上で動くバージョンが投入される予定である。
 ゲームの内部処理はサーバー側で行われ,各機種のクライアントで入出力を行う。今後,物理エンジンなどが導入された場合も,GPUを備えたサーバーで処理できるのではないかという見通しだそうだ。すでに3社のプロジェクトで採用されており,国産オンラインゲームエンジンとして今後の発展が期待される製品だ。
 また,先日発表された,VCEに対応したルーターの開発状況を確認すると,試作機はもうできていて,年末から来年にかけてリリースできるのではないかという見通しだった。どの程度の効果が出るのかは不明なものの,オンラインゲームを快適にするための面白い試みとして注目したいところだ。

ポリゴンマジック

画像集#004のサムネイル/[CEDEC 2007]CEDEC会場でのブース展示レポート
 ポリゴンマジックでは,エフェクト関係のミドルウェアを扱うBlendMagicが展示されていた。
 これはパーティクル系(実際にはポリゴンが使われているが)のエフェクトを得意とするツールで,さまざまなグラフィックスパターンを3次元的にアニメーションさせることができる。とくにプログラムの知識が要求されることもなく,デザイナレベルで簡単に扱え,コンシューマゲーム機はもとより,アーケードゲームやパチンコまで利用実績があり,対応機種の多さもウリとなっているようだ。会場ではニンテンドーDSでデモが行われていたが,ニンテンドーDSで同種のミドルウェアはまだ珍しいとのこと。
 RPGの魔法表現で使われるような派手なエフェクトを得意としており,そういったものが,テクスチャを描けるデザイナーなら1日でエフェクトを作れるようになるため,制作コストを抑えることができるとのこと。エフェクト専門というニッチな部分ながら,定評のあるミドルウェアのようだ。

ソニー・コンピュータエンタテインメント

画像集#005のサムネイル/[CEDEC 2007]CEDEC会場でのブース展示レポート
 ここは,当然ながらPLAYSTATION 3用の開発ツールの展示で,Cellを使った物理エンジンなどが展示されていた。そのうち,PSSG(PLAYSTATION 3用シーングラフライブラリ&ツール)は,PLAYSTATION 3の開発をPCだけで行うという環境となっていた。
 Windows版とLinux版が用意されているが,Windows版はVisualStudioに統合されている。各種グラフィックツールとは,COLLADAを介したデータのやり取りがおこなわれる。アニメーションやシーングラフなどの互換ライブラリとランタイムが用意されており,PLAYSTATION 3はOpenGLベースの表示APIなので,あとはクロスコンパイラにかけて実機に送り込めばよいだけなのだろう。
 面白いのは,PC版のバイナリも生成されるという点だ。PLAYSTATION 3とWindows(ないしLinux)共用のゲームが単体で作れるのである。C++で開発されることを除けば,XNA Game Studio Expressと非常によく似たコンセプトの開発環境となっている。ノートPC上(Core 2 Duo/1.8GHzとGeForce Go 7600搭載だそうだ)で横に置かれたPLAYSTATION 3と同じゲームが動いているのは,インパクトがある。
 このツールは,PLAYSTATION 3のライセンシーに無償提供されているものだそうだが,高価な開発機材を増やさなくてもよいので,開発コストを下げるためのものとのこと。一般開放することは考えていないのか聞いてみたところ,技術的には問題ないのだろうが(もうできてるし),それ以外の理由で難しいのではないかということだった。昨年の東京ゲームショウでは,PLAYSTATION 3の開発環境をオープンなものとするようなことを久夛良木氏は語っていたのだが,現在では経営体制も大きく変わっており,方針も変わっているかもしれない。可能であれば,ぜひ一般公開してほしいツールである。
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