Valveのゲーム配信サービス
「Steam」を中心にゲーム業界の市場分析を行うイギリスのVideo Game Insightsは2023年10月10日,
最新レポートを公開し,Steamが2023年第3四半期(7月〜9月)に
過去最高の販売本数と収益を記録したと発表した。
レポートによれば,2023年第3四半期にSteamでリリースされたゲームタイトル数は
3547本で,これは四半期として史上最多だった2022年第4四半期の3473本を上回る数字だ。前年同期比では,12%増となる。
販売本数は約1億5400万本で,1日あたり約170万本のゲームが売れた計算になる。前年同期比で26%増という好調な業績ではあるものの,通例,北米のショッピングシーズンに合わせて,ホリデーセールなどを行う2022年第4四半期には及ばなかったとのこと。
販売タイトルの内訳を見ると,2023年第3四半期にリリースされた,いわゆるAAA(またはAA)パブリッシャのタイトルは38本にとどまり,前年比13%減だった。AAAまたはAAの定義については,
用語集のページを参照してほしいが,販売タイトルの大半を,中小規模パブリッシャのゲームや,インディーズ作品が占めていることが分かる。
2023年第3四半期に登場したAAAタイトルとしては,
「Baldur's Gate 3」と
「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」,そして
「Starfield」があるが,Steamの好調な販売を支えたのが「Baldur's Gate 3」だった。8月4日にPC版がリリースされた「Baldur's Gate 3」は,
「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」の正式ライセンスを取得した正統派RPGとして, 約6年の開発期間を経て完成したタイトルだ。Video Game Insightsによれば,発売後の2か月で1000万本以上のセールスを記録し,10月現在も約20万人がプレイを続けている。
「Starfield」がこれに続き,
「オーバーウォッチ 2」と
「Counter-Strike 2」がFree-to-Playのプレイヤー人口増加に寄与し続けたとレポートは述べている。
これにより,2023年第3四半期におけるゲーム全体の収益は24億3000万ドル(約3640億円)となり,毎年,第3四半期は低調に推移することもあって,前年同期比51%増となった。
レポートは,Steamの2023年の収益が90億ドル(約1兆3480億円)を超えると見積もっており,これは前年比で18%増となる。2020年〜2022年は新型コロナウイルスからの正常化に伴う消費支出の低迷などがあって,収益はほぼ横ばいだったが,2023年は大きな成長が見込めるだろうとレポートは結論付けている。