男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第117回：「文系ゲイムの定義」

著者近影

　理系男子は，自分にとって文系教科と理系教科のどちらが得意かを悩んだ挙句，理系を選択する。一方，文系男子は理系教科が苦手だから仕方なく，というか選ぶまでもなく文系に進む。
　全員が全員そうだとはいわないけど，私の感覚ではこのケースがとても多い気がするわ。私がそうやって文系を選択したってのもあるけど。
　女子のことは知らないわよ。そもそも，興味ないし。

　じゃあ，文系と理系って何が違うのか。選択肢がなかった文系男子の言い分としては，答えがあるかないかなのよ。
　ホラ，数学って答えが決まってるじゃない。「こうこうこういうことがありました。では今の数値はいくらですか？」これが数学。文系男子はそこにロマンを感じられないわけよ。
　その点，国語はロマンに満ち溢れているわ。「こうこうこういうことがありました。この時の主人公の感情を述べなさい」。これが文系。どう？　この質問の無責任さ。
　一応の答えはあるのかもしれないけど，仮に間違ったとしても申し開きができるのよね。

「それは採点者が勝手にそう思っているだけかもしれないでしょう？　嫌よ嫌よも好きのうちで，本当は違うことを思っているかもしれないじゃないか！　お前は作者なのか？　よしんばあんたが作者だったとしても，主人公のキャラクターが考えてることなんて，作者だって分かってないことのほうが多いよきっと。確かに作者はキャラクターを生み出したかもしれないけど，生み出されたキャラクターは作者の意図を超えることだって往々にしてあるんだ！　だから，自分は間違ってない！」

　ってな具合に，言い訳ができてしまうわけね，国語は。ちゃんとした答えがある問題ももちろんあるわよ。「この技法は何というか？」的な。でも，これだって文系男子の思想にかかってしまえば，こうなるわけ。

「倒置法？　違うね，これは逆さ言葉と言うんだ！　え？　誰が決めたって？　俺が決めたに決まってんじゃん！　じゃあ聞くけどね，倒置法って誰が決めたの？　学者先生や文部科学省あたりのお役人様が便宜上決めているだけじゃないの？　『逆さ言葉』のほうがピンと来るじゃん。言葉って伝えるためにあるはずなのに，なんでそんな覚えにくい，少なくとも俺が覚えられなかったような表現するわけ？　もっというと倒置法って方法を知ってるかどうかなんて，どうでもよくない？」

　こういうことになってしまうわけ。ケンカは負けだと認めなきゃ負けじゃない的な。

　ドライに正解か不正解かっていうことがクリアになってしまう理系と違って，文系はこういう困った人種なのです。そして，「ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート」は，そういった文系ゲイムなのです。
　いや，このゲイムはね，本当にいろんな人にプレイしてほしいわ。心の底から。まず，今までこのゲイムに似たようなものを私は知らない。だから，何系のゲイムって表現することができないのよ。例えるなら，男前なのに似ている有名人がいないときのもどかしさ。
　もう恥も外聞も捨てて，どういうゲイムかをそのまま書いてしまうと，「ぐうたらな男が島から脱出する手助けをしてあげましょう」と，こういう感じ。
　どんな方法でもいいの。飛行機で脱出してもいいし，ヘリコプターで脱出してもいい。船でもいいし，橋をかけてもいい。ともかく，プレイヤーがモノの名前を入力すると，そのモノが形となって画面上に出てくるのね。で，出てきたモノを使ってクリアしていく。
　本当に自由度が高くて，答えが一つだけではないゲイムなのよ。
　単純に凄いなぁって思えるし，ちゃんとそれを面白いと感じられるはずよ。みんながタイトルを見て思ったであろう「まずマックスウェルって誰？」ってことが，心底どうでもよくなってくるわ。
　ホント，私の筆力ではこのゲイムの凄さが伝わりきらないのが残念でならないわね。答えが一つじゃないどころか，ゲイムの作り手だって想像もつかなかったんじゃ？　という答えもある。まさに文系ゲイム。
　文系ゲイマーっていうか，ゲイマーかどうかはむしろどうでもよくて，文系の人にこのゲイムをプレイしてほしい。やむなく文系を選ばざるを得なかったあの頃の気持ちになれるから。そういう意味でもおススメ。

　そして！　もうひとつ文系ゲイムを紹介するわ。「逆転検事2」。
　厳密には，推理ってロジカルなものだから，理系のほうが本来向いているんでしょうけど。でもホラ，そこはゲイムですから。
　むしろ，ゲイム内に出てくる言葉の表現に注目していれば事件が解決できるって意味で，どちらかというと文系であると私はジャッジしたわ。
　まあ，今さら私がおススメしなくても，このシリーズの面白さは何年も前からあちこちで証明されているわけだから，多くは語らない。私から言えるのは，今作も裏切られることなく，ちゃんと面白いよ，ということぐらい。だから，逆転シリーズファンは安心して買ってけっこう。
　ついでに筆を滑らせておくと，私は「逆転裁判」シリーズよりも「逆転検事」シリーズのほうが好きみたいね。なぜなら，逆転裁判シリーズは現場→法廷ってパートが明確に分かれているけど，逆転検事シリーズは基本的に現場でのやり取りで話が展開していくから。
　実はこれには凄く大きな違いがあるのよ。逆転裁判シリーズは法廷がメインだから，法廷でしか逆転できないわけ。ということは，基本的には検察側との戦いがメインになるわけね。でも，逆転検事シリーズの場合は，主な舞台は現場だから，ゲイム内に出てきた人物はすべて犯人になり得るの。これによって，物語の広がり方の幅が限りなく広がるわけ。だから，逆転検事シリーズのほうが，より思いもよらない方向に話が展開するし，私はそういうところが好きなの。
　そんなわけで，面白さはバッチリ衰えてない逆転検事2，こちらもおススメ。

　さてさて，今週は文系なゲイムばっかりだったわ。どうでもいい話だけど，PSPが理系でDSが文系ってイメージがあるのは，私だけなのかしら？　いや，あくまでなんとなくなんだけど，今回の文系2タイトルだって，どちらもDSだし。ま，どっちでもいいか。
　そうそう，DSといえばご報告を忘れておりましたが，発売まで1か月を切ったニンテンドー3DS，バッチリ予約に失敗しました！　色々なゲイムショップを回った結果，買えるかどうかが抽選で決まる券だけはゲット！　要するに買えるかどうか分からないのが現状でございます！　そして，その抽選結果は今週分かるようです。
　果たして私は，次世代文系ハードを手に入れることが出来るのか!?　乞うご期待！　……無論私が期待するほうな。