「Escape from Paradise City」は，荒くれ者を操作して街を牛耳るボスを倒し，暗黒街をのし上がっていくという，犯罪をテーマにしたストラテジーだ。主人公となるのはNicholas Porter，Angel Vargas，Boris Chekovの三名で，敵対する組織が持っている縄張りを一つずつ潰して自分のものにすることで勢力を伸ばしていく。

　このデモ版には，NicholasとBorisのシングルミッションが用意されている。
　Nicholasは武器の扱いに長け，サブマシンガンを装備しているので最初から派手な銃撃戦でどんどん敵を倒せる。対するBorisは拳銃を持つのみで自身の攻撃力はあまりないが，Henchman（いわゆる用心棒）を従えているといった具合に，それぞれ違ったプレイスタイルを楽しめる。
　舞台となるのはアメリカの治安の悪い地域という雰囲気の街で，そこかしこにごろつきや不良グループがたむろしている。街はいくつかの縄張りに分かれており，それぞれの縄張りにボスがいる。プレイヤーのすることは，このボスを見つけ出して倒し，縄張りを自分のものにしていくことだ。しかし，一度自分のものにした縄張りも，時間が経つと以前のボスの画策によって奪い返されてしまうので，単純に縄張りを広げていくだけでなく，それを維持する努力もしなくてはならない。なにやかやとなかなか忙しいゲームだ。
　見下ろし型のRTSのようなスタイルだが，敵を倒して経験値を獲得し，レベルが上がってもらえるポイントを体力や素早さといった能力値に振り分けたり，新しいスキルを覚えたりするというRPG的な成長要素も持っている。
　デモ版はチュートリアルを兼ねているので，次々と送られてくる指令をこなしていけば，ゲームの進め方は自然に分かってくるはずだ。

　とはいえ，指令に従うだけでなく，たむろしているごろつきを倒して金を奪ったりといった自由なプレイも可能。とくにBorisの場合，自身の攻撃力の低さをカバーするためにも，積極的に敵を倒してレベルアップを図っていったほうが，先々，敵を倒すときに楽になる。

　入り組んだところなどではビルの陰になって自分のキャラクターが見にくかったり，ミニマップが少々使いづらかったりなど惜しいところもあるが，細かく書き込まれたグラフィックスは，町全体を覆う退廃した雰囲気とあいまって，なかなか良い感じだ（あまりクローズアップできないのが残念だが）。犯罪を扱ったストラテジーというジャンルはあまり見かけないだけに，ぜひプレイしてほしい。

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