連載「PCゲームを持ち出そう！」。第9回はPSP用アクションアドベンチャー「Prince of Persia: Rival Swords」を紹介

　PCゲームと関連のあるNintendo DS/PlayStation Portable用タイトルを紹介していく連載「PCゲームを持ち出そう！」。9回めとなる今回紹介するのは，PlayStation Portable（以下，PSP）用アクションアドベンチャー「Prince of Persia: Rival Swords」だ。

“3D版PoP”のシリーズ第3作をPSP用に移植

　Rival Swordsのゲーム内容を紹介する前に，Prince of Persiaシリーズについて簡単に説明しておこう。
　「Prince of Persia」は，囚われの身となった王女を救うべく奮闘する王子の活躍を描く，2Dアクションゲームだ。Apple II用に1989年に発売されてヒットを飛ばし，以後，さまざまなプラットフォームに移植されている。また1993年には，続編となる「Prince of Persia 2: The Shadow and the Flame」（Macintosh用など）も発売された。
　PoPシリーズ最大の特徴の一つは，当時としては，登場するキャラクターの動きが非常によく表現されていた点。走る，跳ぶ，壁をよじ登るといった王子のアクションはとてもスムースで人間らしく，多くのゲームファンに衝撃を与えたものだ。

　ゲームの目的は，城内（2作めでは城以外の場所も舞台となっているが）に仕掛けられたさまざまな罠をクリアしたり，敵を倒したりしつつ，捕らわれの王女を救い出すこと。PoPシリーズでは，助走して床の端ギリギリのところでジャンプし，向こう側にしがみつき，よじ登るといったアクションが随所で要求される。このようなゲーム性はその後，トゥームレイダーをはじめとするアクションアドベンチャーに大きな影響を与えたといっていいだろう。
　そして，そのPoPシリーズを3D化したのが，PC用に2003年11月に発売された「Prince of Persia: The Sands of Time」で，それに続き「Prince of Persia: Warriors Within」が2004年12月に，「Prince of Persia: The Two Thrones」が2005年12月にリリースされている。
　このほかに3D化した作品としては，1999年8月にリリースされた「Prince of Persia 3D」があるが，The Sands of Timeから始まるシリーズ3部作とは開発元などが異なっており，直接的なつながりを持つものではない。

　今回紹介するRival Swordsは，“3D版Prince of Persia”シリーズの第3作であるThe Two ThronesをPSP用に移植したものだ。
　すでにPSP用として，「Prince of Persia: Revelations」が2005年12月に発売されているが，これはThe Two Thronesの前作（つまり3D版PoPのシリーズ第2作）であるWarriors WithinをPSP用に移植した作品だ。

　なお，RevelationsやRival Swordsは日本国内では正規に販売されていないため，入手するには，「game4you.jp」など，海外ゲームを取り扱う販売店で並行輸入品を購入する必要がある。
　編集部で試した限りでは，Rival Swordsは国内版のPSPでも動作したが，4Gamer編集部およびソニー・コンピュータエンタテインメントでは国内版PSPでの動作を保証しかねるので，あらかじめご了承を。また本作は英語版のソフトであり，ゲーム画面や各種メッセージ，マニュアルなどはすべて英語なので，注意してほしい。

グラフィックスのクオリティはなかなか
操作に慣れれば，爽快なアクションを楽しめる

　前置きが長くなってしまったが，Rival Swordsと，本作のベースとなっているPC版The Two Thronesを比較していこう。
　先ほど述べたように，本作はPC版The Two ThronesをPSP用に移植した作品。タイトルは異なるが，大きなアレンジは行われておらず，基本的にThe Two Thronesのゲーム性やストーリーが踏襲されている。
　ただしRival Swordsには，一部ではあるが新たなストーリーが追加されており，また無線LAN通信でPSP同士を直接接続するアドホックモードでのマルチプレイ機能が実装されている。マルチプレイは，二つまたは五つのマップで，どちらが先にクリアするかを競い合うというものだ。

　Rival Swordsのグラフィックスクオリティはなかなかのもので，3D版PoPシリーズが持っている独特の雰囲気がよく再現されている。PSP用ゲームとしてかなり高いレベルといっていいだろう。
　ただ一つ残念なのは，カメラ位置がおかしくなるケースがあること。本作は3人称視点のゲームなので，王子の後方からの視点で画面が描かれるわけだが，王子のすぐ後ろに壁があるとき，カメラが王子の頭の中に入り込む状態となってしまう。そのため，王子の頭の一部が欠け，そこから“顔の裏側”が見えるという，ちょっとみっともない絵となるのだ。シリアスな内容のゲームであるだけに，これには拍子抜けしてしまった。


　3D版PoPシリーズ最大の特徴の一つは，豪快なアクション。壁に向かって勢いよく走っていくことで，飛びついても届かない場所まで駆け上がったり，床のない場所でも，壁伝いに走ることで向こう側にたどり着けたりする。また，壁に挟まれた場所に向かって飛び，足を開いて壁の間に体を固定するなど，王子が見せるアクションは実にさまざまだ。
　Rival Swordsでも，このゲーム性はしっかりと受け継がれており，王子の“ありえない”アクションを存分に楽しめる。

　Rival Swordsでは，もう一人のキャラクター（具体的には，王子の“心の闇”によって作り出された，もう一つの人格という設定）である「Dark Prince」や，気づかれずに敵に近づき，タイミングよくボタンを押すことで敵を“瞬殺”できる「Speed Kill」も踏襲されている。Speed Killに成功すると，戦わずして敵を倒せるだけでなく，格好良いアクションシーンを見られ，痛快な気分を味わえることだろう。
　ただ，さまざまなアクションを繰り出せる半面，操作がやや複雑なのが難点だ。そのため，最初のうちはプレイヤーが操作方法をスムースに習得できるよう，どのボタンを押してどのような行動をとればよいかが逐次表示される仕組みとなっており，思いどおりに操れるようになれば，ゲームがぐっと楽しくなってくる。

　プレイ中，何をしたらいいか分からなくなり，先に進めなくなってしまうことも多いが，どんな場所にも手がかりとなるものが用意されており，周囲をよく見て試行錯誤を繰り返せば，必ず“答え”が見つかるはずだ。苦労した分だけ，次のステップに進めたときの爽快感は大きいし，これもまた本作の醍醐味といえるだろう。

Rival Swordsの「再現度」は？

　今回紹介したRival Swordsの再現度は，80％とすることにした。The Two Thronesのマップやストーリーなどが完全に引き継がれているというわけではないものの，同作のグラフィックスや，アクション性/パズル性といった部分で，なかなかよく再現されているといっていいだろう。
　Rival Swordsは，PSP用アクションゲームの中でも完成度の高い作品といえるのではないだろうか。難度はやや高いが，歯ごたえのあるアクションゲームを遊んでみたい人はぜひどうぞ。

Prince of Persia: Rival Swords

再現度：80％

「再現度」とは……紹介するNintendo DS/PSP用ゲームが，ベースとするPCゲームをいかに忠実に再現したものであるかを独断で判定したもの。この数字が100％であれば，PC版となんら変わらない完璧な移植であることを意味し，逆に0％であれば，PC版との共通点が一切見出せないほど異なるゲームにアレンジされていることを意味している。そのゲームの面白さ，ゲームとしての出来を示すものではないので注意してほしい。

対応機種：PlayStation Portable
メーカー：Ubisoft Entertainment
発売日：2007年4月3日
価格：39.99ドル
公式サイト：http://www.princeofpersiagame.com/uk/psp/index.php

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