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明らかになるCore i7の秘密〜DDR3メモリサポートとTurbo Modeのカラクリ
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印刷2008/08/25 21:48

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明らかになるCore i7の秘密〜DDR3メモリサポートとTurbo Modeのカラクリ

左からMatt Dunford氏(Peformance Benchmarking Marketing Manager, Intel)とDavid Salvator氏(Worldwide Client Capability Evangelist, Intel)
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 「Intel Developer Forum 2008 San Francisco」(以下,IDF 2008 SF)の会期中,Intelでクライアント製品のベンチマークや性能評価を行っているDavid Salvator(デビッド・サルバトール)氏と,Matt Dunford(マット・ダンフォード)氏から,開発コードネーム「Bloomfield」(ブルームフィールド)こと「Core i7」プロセッサのパフォーマンスチューニングに関して有益な情報を得ることができた。
 本稿では,一般セッションでは公開されなかったCore i7の秘密に迫っていきたい。


メモリ対応が,現時点でDDR3-1066に留まる理由とは

XMPの仕様も検証し直しへ


Core i7プロセッサとなる,Bloomfieldコアの半導体ウェハ
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 別記事でお伝えしているとおり,IntelはCore i7のメインメモリサポートについて「現時点ではDDR3-1066まで」と断わりを入れている。その理由はもちろん,今後の動作検証によって,Core i7 ExtremeでDDR3-1333正式対応を謳える余地が残されているからだ。
 事実,Salvator氏は,「Intel X58 Express」(以下,X58)搭載マザーボードの「Smackover」ではDD3-2000の動作も確認済みと述べており,Core i7 Extreme内蔵メモリコントローラのメモリオーバークロック特性が,Core 2 Extremeプラットフォームとして大幅に見劣りするわけではないと強調する。

 ただし,同氏は「メモリコントーラをCPU内部に搭載したことで,メモリ駆動電圧の設定は,従来よりもややシビアになっている。メインメモリのオーバークロックに当たって,2.0V以上の設定を行うのはリスクが高い」と,現行プラットフォームから動作特性が変わっていることを指摘するのも忘れない。
 またこの指摘は,2.0V以上の動作電圧を要求するDDR3オーバークロックメモリが,Core i7世代で互換性の問題に直面する危険性をはらむことをも含んでいる。IntelがCore i7シリーズの公式メモリサポートをDDR3-1066までとするのは,潜在する互換性問題を見越してのことともいえるだろう。

 なお,Core i7 Extremeでは,現行の「Intel X48 Express」チップセットと同様に,オーバークロックメモリ規格「XMP」(eXtreme Memory Profile)をサポートする予定だが,現時点でXMP認定がなされている製品は,あくまでも現行プラットフォーム向けのものであり,Core i7 Extremeとの組み合わせでは,再検証の必要があるとのこと。「いまXMPメモリモジュールを購入しておけば,“Nehalem世代”でも利用できる」という考えは,ひとまず捨てておいたほうがよさそうだ。


Turbo Modeが動作するカラクリ

ユーザーがTDP値を任意に設定可能に


 Core i7のパフォーマンス面におけるトピックといえるのは,「Hyper-Threading Technology」による8スレッド処理だが,シングルスレッド性能を重視するゲーマーとしては,「Turbo Mode」によるスレッド性能のブーストも見逃せない。

 Turbo Modeは,TDP(Thermal Design Power:熱設計電力)に余裕がある場合,メインアプリケーションを受け持つコアの動作周波数を引き上げることで,スレッドパフォーマンスを向上させるというもの。ベストケースでは,Windows上で走らせるアプリケーションの数を最小限に抑えると,常に4コアを使う必要がなくなるため,そこで生じた熱設計上の余裕を,メインスレッドを処理するコアのクロックアップへ向けられることになる。

CPUのコア動作周波数をTDPに余裕がある限りオーバークロック動作させるTurbo Modeモード。Core i7 Extremeでは,このTDP値をBIOSから変更することで,よりアグレッシブなTurbo Mode動作が可能になるという
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 この説明に疑問を感じた読者は多いだろう。そう,130WというTDP値の上限まで使ったからといって,どれだけTurbo Modeの実効性が得られるのかという,至極もっともな疑問だ。
 この点について,Intelで「Overclock Guru」としても知られるDunford氏は,「Smackoverでは,BIOSメニューに『TDP値を任意に指定する』設定項目が設けられる。例えば,この値を190Wなどと高めに設定すれば,Turbo Modeによる恩恵も大きくなる」と説明する。つまり――いうまでもなくユーザーの自己責任となるが――Turbo Modeの実効性を大幅に高める機能が用意されているというわけだ。もちろんこの場合,より高性能なCPUクーラーとの組み合わせが不可欠となる。

 Dunford氏によれば,このTDP設定変更機能は,Core i7 Extremeでのみサポートされるようだ。ただし「マザーボードベンダー側の実装によっては,通常版のCore i7でも利用できる可能性もある」と含みを持たせていた点は付記しておきたい。

TDP 200Wまで対応可能なNoise Limit製最新CPUクーラー。パイプ内に封入した液体をCPUの熱で沸騰させることで冷却液を循環させ,効率的な放熱を実現するという「SilentFlux」技術を採用するのが特徴だ。リテンション部には,LGA775用のスルーホール(内側)に加え,LGA1366用のホール(外側)も設けられている。2008年内に,100ドル前後で市場投入予定という
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 またDunford氏は,Turbo Modeにおいて,CPUは常に(設定された)TDPの上限で動作しようとするため,オーバークロックとの併用は向いていないという。「オーバークロック性能を追求するのであれば,Turbo Modeは無効化すべきだ」(Dunford氏)。より高い動作クロックを求めるのであれば,Hyper-Threading Technologyを無効化するのもアリだと,一歩踏み込んだ説明も行ってくれた。

●独立してクロック制御されるCPUとQPI
Core i7プロセッサでは,CPUコアとメモリインタフェース,QPIなどのノースブリッジ部で独立した動作電圧と動作周波数を実現。オーバークロック性能を追求する場合は,CPUコアの動作周波数だけでなく,メモリコントローラやQPIの設定も変更する必要がある。ちなみにCPU内部には複数のサーマルダイオードを内蔵しており,CPU温度が一定以上になると,自動的にシャットダウンする機能も搭載する
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 なお,Core i7シリーズでは,CPUコアの動作クロックを引き上げても,CPUとチップセットを結ぶQPIの帯域に影響が生じないよう,それぞれ独立してクロック制御されている。そのため,「オーバークロック性能をフルに引き出すためには,QPIのデータ帯域幅を拡げることも重要になる」と,Dunford氏はCPUクロックだけでなく,QPIやメインメモリの動作クロックも併せてチューンする必要性を強調する。

 氏が,報道関係者にこうしたノウハウを披露する背景には,Intelのテストラボにおいて,Core i7 Extremeが4GHz以上の動作クロックで安定動作しているという実績がある。Core i7が,まったく新しいマイクロアーキテクチャ&インタフェースを採用するCPUということで,Core i7のオーバークロックパフォーマンス特性を不安視するユーザーが少なくないため,それを払拭する狙いもあると見られる。
 いずれにせよ,両氏の話を聞く限り,Core i7が,ハイエンド指向のPCゲーマーを満足させ得る製品になりそうな期待が高まってきた印象だ。


id SoftwareのJohn Carmack氏が

マルチスレッド処理の重要性を訴える


CPUコアの使われていない部分を有効活用し,コアあたり二つのスレッドを実行可能にするHyper Threading Technology
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 Pentium 4以来となるHyper-Threading Technologyの採用で,Core i7プロセッサは合計8のマルチスレッド処理が可能になる。だが現時点において,8本ものスレッドを使い切るゲームアプリケーションは,カプコンのゲームエンジン「MTフレームワーク」採用タイトルなど,ごくわずかだ。一般的なアプリケーションにまで視野を広げても,まだ,数えられるほどしか存在しない。
 もちろん,複数のアプリケーションを同時に実行すれば,8スレッド処理が可能であることの恩恵は受けられるが,一つのゲームアプリケーションのみを実行することが多いゲーマーとしては,Turbo Modeとは別に,8スレッドを使い切るようなタイトルが今後,どれくらい登場するのかが大いに気になるところである。

次世代ゲームにおけるマルチコア&マルチスレッド対応の重要性を説くJohn Carmack氏(Co-Owner, Technical Director, id Software)
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 この点についてDunford氏は「現時点で8スレッドの効果を実感できるゲームは限られている。それでも,Crysisのような最新タイトルはデータアクセスが多いため,マルチスレッド化によってデータスループット性能が向上し,体感速度的にも変化が感じられる」と説明した。
 また,4Gamer読者にはお馴染み,id Softwareの共同オーナー兼テクニカル・ディレクター,John Carmack(ジョン・カーマック)氏は,IDF 2008 SFで,ゲームの進化において,マルチコア&マルチスレッド対応が重要だと発言。氏は,現在id Softwareが開発中の「Rage」を例に取り,ゲームのロジック処理だけでなく,レンダリングやAI,データ処理などを独立したスレッドで処理できるようにすることで,よりインタラクティブなゲームプレイを実現できるようになると説明する。

 Intelはすでに,id Software以外のゲームデベロッパとも,ゲームタイトルのマルチコア・マルチスレッド対応で協力関係を築いている。まあ,この手の話はマルチコアCPUの話があると必ず出てくるものではあるのだが,ゲームタイトルのマルチスレッド対応が,確実に進んでいるという事例としては,相応に意味があるだろう。
  • 関連タイトル:

    Core i7(LGA1366,クアッドコア)

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