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4Kで美麗,フルHDでは高フレームレート表示を両立できるディスプレイ「AW2725QF」ファーストインプレッション
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印刷2024/09/18 08:00

テストレポート

4Kで美麗,フルHDでは高フレームレート表示を両立できるディスプレイ「AW2725QF」ファーストインプレッション

 Dell Technologies(以下,Dell)のゲーマー向け製品ブランド「Alienware」から,新しいゲーマー向けディスプレイ「Alienware 27 4K Dual-Resolution Gaming Monitor」(型番:AW2725QF,以下 型番表記)が登場した(関連記事)。AW2725QFは,今までのゲーマー向け液晶ディスプレイではできなかった,非常に特徴的な機能「デュアル解像度」を備えているのだ。

Alienware AW2725QF
メーカー:Dell Technologies
メーカー直販価格:8万9799円(税込,2024年9月12日現在)
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 eスポーツタイトルをプレイするなら,高いリフレッシュレートで滑らかな映像を表示できるほうが有利である。とくにeスポーツ向けを謳うディスプレイでは,解像度は1920×1080ドット(以下,フルHD)程度と高くはないものの,360〜500Hz以上の超高速表示が可能な製品が増えてきた。しかし高解像度,とくに解像度3840×2160ドット(以下,4K)表示のゲーマー向けディスプレイになると,そこまで高いリフレッシュレートで表示できるものはほぼない。一般的なディスプレイは,表示解像度を変えても垂直最大リフレッシュレートは変わらないので,高精細で情報量が多く臨場感のある映像表示を重視して高解像度ディスプレイを選ぶと,eスポーツ向けディスプレイのような高リフレッシュレート表示はできないのである。

 AW2725QFのデュアル解像度機能は,こうした問題に対する解決策となり得るものだ。AW2725QFは,27インチサイズで最大解像度は4K,4K表示時の垂直最大リフレッシュレートは180Hzである。そのうえで,デュアル解像度機能を使ってAW2725QFの表示解像度をフルHDに切り替えると,垂直最大リフレッシュレート360Hzでの表示が可能となるのだ(※リフレッシュレートの値は,どちらもAW2725QFのオーバークロック設定時,通常動作時は165Hz,330Hzとなる)。

Dellが公開したデュアル解像度機能のイメージ。左が本来の4K表示時,右が4つの画素を1つとして管理,表示するフルHD時である
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 本稿では,そんなAW2725QFのファーストインプレッションをお届けしたい。


Alienwareのオーソドックスなデザイン


 まずはAW2725QFの外観を見ていこう。
 AW2725QFは,27インチサイズのディスプレイ本体,アーム部分と台座部分に分かれた2ピース構成のスタンドで構成される。ディスプレイ以外には,電源ケーブルとDisplayPortケーブル,HDMIケーブル,ディスプレイ内蔵のUSBハブ機能を使うのに必要なUSB Type-A to Type-Bケーブルが1本ずつ含まれていた。
 電源ユニットはディスプレイ本体に内蔵しているため,ACアダプタはない。

製品ボックスの中身(左)。右はスタンドを組み立て,本体に取り付けた状態
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 外観自体は,既存の360Hz表示対応27インチディスプレイ「AW2724HF」と変わらないようで,アームや六角形の台座などもまったく同じだ。

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 左右と上辺のベゼルが狭い前面は,下辺に「ALIENWARE」のロゴと目立たないLEDライトがあるだけで,目立つボタンや装飾,LEDイルミネーションはない。ゲーマー向け製品らしく,パネル表面は半光沢(ノングレア)処理が施されていた。

AW2725QFの前面
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 背面は,Alienwareブランドのデザインコンセプト「Legendデザイン」らしさが表れている。背面にあるAlienwareのシンボルマーク「エイリアンフェイス」や,サイズを示す「27」の数字にはカラーLEDイルミネーションが埋め込まれており,後段で触れるPC用設定ソフトで発光色や発光パターンをカスタマイズ可能だ。

背面中央にある縦長の楕円形は,Legendデザイン特有のものだ
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 アーム部分の右側には,Alienwareのロゴに加えて,高さ調整時の目安となる目盛と数字が描かれていた。

アームの上側を拡大したところ。高さ調整で目安になる目盛と数字がある
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 スタンドの可動範囲も広くて柔軟だ。上下回転(チルト)は−5〜+21度,左右回転(スイーベル)は左右それぞれ20度,高さ調整は上下0〜110mmで,ディスプレイの90度縦回転(ピボット)も可能である。

上下回転は−5度(左)から21度(右)
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左右回転は20度(右)まで
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高さ調整は0mm(左)から110mm(右)の範囲で可能だ
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 電源ボタンやOSD(オンスクリーンディスプレイ)メニュー操作用のジョイスティックは,ディスプレイ本体の下側面にある。ジョイスティックの横には,USBハブ機能用のUSBポートが2つあるのだが,そのうちひとつがUSB 3.2 Gen 1 Type-Cポートになっているのは,今どきの製品らしい仕様と言えようか。

下側面中央にはOSDメニュー操作用のジョイスティックと,USB Type-A×1,USB Type-C×1がある
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下側面右側(写真では左)にある電源ボタンは,LEDを内蔵しており通電状態などを示すインジケータになっている
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 映像入力インタフェースは,背面に下向きで並んでいる。DisplayPort 1.4入力が1ポートと,HDMI 2.1入力が2ポートの計3ポート構成だ。いずれの入力ポートでも,4K/180HzまたはフルHD/360Hzの入力と表示が可能だ。

映像入力インタフェース部分を拡大。HDMI 2.1が2つとDisplayPort 1.4が1つの並びだ
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背面右側(写真では左)には,電源コネクタとPC接続用のUSB 3.2 Gen 1 Type-Bポートが1つ,周辺機器接続用のUSB 3.2 Gen 1 Type-Aポートが2つ
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ヘッドフォンハンガーを伸ばした状態
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 ディスプレイ部分の左側面には,収納式のヘッドフォンハンガーがある。伸ばした状態での長さは,実測で約94mmで,耐荷重(=かけられるヘッドセットの最大重量)は約400gとのことだ。バッテリーを内蔵するゲーマー向けワイヤレスヘッドセットもかけておけるだろう。

 画質についても簡単に触れておこう。AW2725QFの液晶パネルはIPS液晶パネルを採用している。IPS液晶パネルは,VA液晶パネルに比べるとコントラスト比に劣るものの,色再現性や視野角の点で優れると言われてきた。しかし,VA液晶パネルも進化を続けており,色再現性や視野角では,IPS液晶パネルと差がなくなってきたのも事実だ。
 一方で,映像の変化に合わせて液晶パネルの画素の色を変える応答速度の点では,IPS液晶パネルのほうがVA液晶パネルよりもまだ優れている。かつてはTN液晶パネルの独壇場だった300Hz級のeスポーツ向け液晶ディスプレイの分野でも,IPS液晶パネルを採用する製品が増えているほどだ。

 そうした現状を踏まえたうえで,AW2725QFにテストパターンを表示して,角度を変えて視野角による変化を見てみた。以下にそのサンプルを示す。OSDメニューから輝度は最大にしている。

テストパターンを表示した状態で正面,30度,60度と角度を変えて撮影した様子
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 見てのとおり発色は良好で,視野角も広い。横60度から見ても,輝度の低下はわずかだ。バックライトは左右に組み込むエッジライト方式であるが,顕著な発光のむらもない。
 ゲームの映像美を堪能したい人でも満足できそうだ。

表 Alienware AW2725QFの主なスペック
パネル 27インチ,IPS方式,ノングレア(非光沢)
バックライト LED,フリッカーフリー
パネル解像度 3840×2160ドット
垂直最大リフレッシュレート 180Hz(4K時),360Hz(フルHD時)
ディスプレイ同期技術 VESA Adaptive-Sync,HDMI 2.1 VRR対応,G-SYNC Compatible Monitors認証済み
HDR対応 DisplayHDR 600,Dolby Vision
輝度 600cd/m2(HDR時最大)
表示色 約10億7000万色
対応色域 DCI-P3カバー率 95%
コントラスト比 1000:1
視野角 上下左右178度
応答速度 1ms(GtG,エクストリームモード),0.5ms(GtG)
内部フレーム遅延 未公開
映像入力インタフェース DisplayPort 1.4×1,HDMI 2.1 Type A×2
そのほかの接続インタフェース USB 3.2 Gen 1 Type-C×1,
USB 3.2 Gen 1 Type-A×3,USB 3.2 Type-B×1
USBハブ機能 4ポート
スピーカー 非搭載
上下回転(チルト) −5〜+21度
左右回転(スイーベル) 左右20度
縦回転(ピボット) 対応
高さ調整 110mm
VESAマウント 100×100mm
公称消費電力 26.1W(通常),0.5W(スタンバイ時)
公称本体サイズ 611.44(W)×243.7(D)×408.68〜518.68(H)mm(※スタンド含む)
公称本体重量 約7.15kg
主な付属品 DisplayPort 1.4ケーブル,HDMI 2.1ケーブル,USB 3.0(Type-A to Type-B)ケーブルなど
保証期間 3年間


デュアル解像度を試す

一度設定すれば,切り替えるだけの簡単操作


 さて,AW2725QF最大の特徴であるデュアル解像度機能を見ていこう。
 デュアル解像度による4KとフルHDの切り替えは,OSDメニューからデュアル解像度の項目やショートカットで選ぶ。本項ではOSDメニューの項目を選ぶところを例に説明しよう。

AW2725QFのOSDメニューにおけるトップ画面
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 AW2725QFの工場出荷時設定では,映像の表示解像度は4Kになっている。この状態で,OSDメニューの「入力信号」を選択すると,一覧の中にデュアル解像度の項目があるので,フルHDを選ぶ場合は「FHD」を,4Kに切り替える場合は「4K」を選べばいい。

デュアル解像度の設定項目
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 切り替え先を選ぶと,画面には「解像度を切り替える前に,アプリケーションを閉じるように」という警告と,切り替えを続行するか,キャンセルするかを問うダイアログが表示される。通常,ゲームは実行中にディスプレイ側の解像度が切り替わることを想定していないので,実行したまま切り替えて表示に問題が発生しないように,いったん終了してくださいという警告だ。

 切り替えを続行すると,AW2725QF側は目標の解像度に切り替わる。通常は,AW2725QFの切り替えに合わせて,Windows側でも自動でそれに合わせた解像度とリフレッシュレート設定に切り替わるので,ユーザーが特別なことをしなくても4K/180Hz,またはフルHD/360Hzをワンタッチで切り替えられるわけだ。

Windows 11側のリフレッシュレート設定を確認したところ。左は4K時で,180Hz(表示では179.99Hz)まで,右はフルHD時で360Hz(同359.93Hz)までリフレッシュレートを選択できる
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 なお,初めて切り替える場合は,Windows側でもAW2725QF側に合わせた解像度とリフレッシュレートを設定しておく必要がある。一度設定してしまえば,あとはOS側が覚えてくれるので手間はかからない。

Alienware Command Centerの「デュアル解像度モード」と「デュアル解像度ホットキー」
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 AW2725QFのデュアル解像度は,OSDメニューで操作するだけでなく,Alienware製品汎用のPC用設定ソフト「Alienware Command Center」でも切り替えられるようになっている。
 PC側でAlienware Command Centerを実行してAW2725QFを選択すると,画面右の「設定」タブに「デュアル解像度モード」というスイッチがあるので,これを切り替えれば4K/180HzとフルHD/360Hzを切り替えられる。さらに,「デュアル解像度ホットキー」でキーボードの任意のキー入力を割り当てておくと,キーボードのキー操作だけでデュアル解像度を切り替えることも可能だ。


デュアル解像度以外にも見どころの多いAW2725QF


 AW2725QF最大の特徴がデュアル解像度であるのは間違いないが,それ以外の機能についても見どころは多い。そのひとつが,HDR関連機能「Smart HDR」だ。

 ゲーマー向けも含むディスプレイのほとんどは,HDR映像を表示するときは,HDR映像が規定する画質設定で表示するのが基本である。そのため,ゲーマー向けディスプレイでよくある,映像の種類に応じた画質調整プリセットの切り替えや,色温度や色調の調整はできない製品がほとんどだ。
 映像側が規定する設定で表示するのが正しいとはいえ,ユーザーが好む画質で表示したいという要望はあるわけで,最近のゲーマー向けディスプレイでは,HDR映像を表示しているときも画質調整プリセットを選択できる機能を備えている製品が登場してきた。AW2725QFのSmart HDRも,そうした機能である。

Smart HDRの設定画面。HDR映像時にも好みの画質調整プリセットを選べる
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 使い方は簡単で,AW2725QFのOSDメニューにある「ディスプレイ」の項目に,「Smart HDR」の項目があり,ここで任意のプリセットを選択するだけだ。プリセットには,標準のHDR設定である「DisplayHDR 600」のほかに,「ゲームHDR」や「ムービーHDR」などがあるので,好みの設定を選ぶといいだろう。

 そのほかにも,画面全体や一部の表示だけをAW2725QF側で加工して見やすさを変える「AlienVision」や,AW2725QF背面のLEDイルミネーションをカスタマイズする機能もある。一般的なゲーマー向けディスプレイに求められている機能は,ほぼ網羅していると理解していい。

AlienVisionの設定画面。サンプルで表示の変化例を見ながら項目を選べる
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背面LEDイルミネーションの色設定画面
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デュアル解像度は現状唯一無二

映像美もeスポーツも満喫できる


 AW2725QFの概要を見てきた。リフレッシュレートと解像度のどちらか一方を優先するために,もう一方で妥協したディスプレイを選んだ経験のあるゲーマーもいるだろう。AW2725QFであれば,そうした妥協をしなくてもよくなるわけだ。「eスポーツもリッチなグラフィックスのAAAゲームも1台で楽しみたい」という要望をかなえてくれる製品としてAW2725QFは,現状では唯一無二の選択肢である。

 将来的には,高解像度で高画質,しかも超高リフレッシュレート表示も可能な有機ELディスプレイが,ゲーマー向けディスプレイの主流になる日が来るかもしれない。しかし,それはまだ先の話だし,当然ながら価格も高くなるはずだ。その点でAW2725QFは,価格も約9万円とスペックや機能面で見ると安いくらいである。唯一無二の機能に魅力を感じた人は,選択する価値がありそうだ。

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DellのAW2725QF製品情報ページ

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