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【ヒャダイン】「ドラゴンクエストIII」についてあらためて考えた
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印刷2018/03/31 00:00

連載

【ヒャダイン】「ドラゴンクエストIII」についてあらためて考えた

ヒャダイン /  音楽クリエイター

画像集 No.001のサムネイル画像 / 【ヒャダイン】「ドラゴンクエストIII」についてあらためて考えた

ヒャダインの「あの時俺は若かった」

ブログ:http://ameblo.jp/hyadain/


第62回「『ドラゴンクエストIII』についてあらためて考えた」


 ども。不朽の名作「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」(以下,DQIII)が,去年ニンテンドー3DSPlayStation 4に移植されましたね。スマートフォン版をベースにしたものとのことで,今っぽさもありつつ従来の良さを残した逸品だと思っております。スーパーファミコン版で追加されていたすごろく場はなくなりましたが,まあいいかなあ……なんて感じたりもしています。

 ここから,DQIIIのストーリーについてネタバレ込みで話していきたいので,未プレイの方はこれを読む前にどの機種でも構わないのでDQIIIを購入し,クリアしてくださいな。今すぐ!

イラスト提供:いらすとや
画像集 No.002のサムネイル画像 / 【ヒャダイン】「ドラゴンクエストIII」についてあらためて考えた
 さて,DQIIIの主人公である勇者は,16歳の誕生日に母に連れられてアリアハンの王様に謁見し,勇者として頑張れー! というエールと,ちょっとのお小遣いと最低限の装備品を渡されて,世の中に放り出されるわけです。乱暴! アリアハンって財政難なのかな。売っているものも激安だし。
 そして16歳の少年は一人で荒くれ者が集まる酒場に入っていって,仲間を集めるんですよね。おいおいがっつり未成年。酒場に入っていいのかよ。まあ,国や時代によってアルコールのOK年齢は違うから,アリアハンはOKなんだろうな。ソフトドリンク飲んだかもしれないし。そして仲間を集めていろいろあって,まずはバラモスを撃破! 世界に平和が訪れた!
 ……と思いきやゾーマによる宣戦布告! 二度と帰ってはこられないかもしれない闇の世界へ飛び込むわけです。その飛び込み方がめっちゃファンキー。突如開いたでっかい大穴に飛び込むんですよ! 何の保証があるの,その行為。着地できる確証すらないじゃん。本当はどこの世界にもつながっていなくて,ただの大穴だったりしたら死ぬかもしれないじゃん。だけど飛び込む。さすが勇気がある者と書いて勇者!
 そこから,闇の世界で死んだはずの実父が瀕死になって戦っている姿を目の当たりにしたりしつつ,悪の権化ゾーマを倒して闇の世界に光が戻り平和が訪れる!

 はい。すごく簡単にストーリーをさらいましたが,その後を考えてみるとけっこう切ないんです。というのも,ゾーマ打倒後,ルーラを唱えたら移動先は闇の世界アレフガルドの地名オンリーなんですよね。すなわち上の世界に戻れないじゃないか! もしかしてこれって,ゾーマが遺した最後っ屁? 上の世界への穴も塞がれて戻るすべもないの?
 さらに,ゾーマ討伐後の勇者の姿を見たものはいなかった,と……。そこから第一作の「ドラゴンクエスト」(以下,DQI)へとストーリーがつながっていくわけで,まさに「そして伝説へ…」なんだけど,勇者ってめっちゃ切なくないですか? だって16歳の少年だよ。高校一年生の年齢だよ。高1の男子が親元から離れて巨大な敵と闘って,知らない土地で大活躍したのに,結局実家には二度と帰れない。母親にも会うことができない。何,この仕打ち!

画像集 No.003のサムネイル画像 / 【ヒャダイン】「ドラゴンクエストIII」についてあらためて考えた
 母親もめっちゃ可哀想だよね。上の世界にいたときは「お友達も一緒におやすみ」って無料で泊めてくれたよね。きっとおいしいご飯も作ってくれたと思うんだ。勇者からの旅の思い出話とかを嬉しそうに,でも不安げに聞いていたと思うんだ。オルテガという愛する夫を亡くした彼女にとって,唯一の生き甲斐が愛息だったことでしょう
 そしてバラモスを倒して一躍大スターになった息子! さぞ誇らしかっただろうなあ。アリアハンという国が輩出した大スター。その母親としてマスコミから大々的に取り上げられることもあったでしょう。しかしゾーマの出現。しかもその存在はアリアハンの国王の厳命により「口外するな」とのこと。
 母親は息子が闇の世界に行ったこと,本当の悪を倒そうとしていることなど知るすべもなく,二度と会えない。悲しすぎるだろう……。ひょっとしたら,勇者の母親として経済的には優遇された老後を送れているのかもしれない。しかし夫を亡くし,息子も失った彼女のメンタルよ。
 しかも二人とも“勇者”として“世界を救うため”に命を賭して戦った。普通なら憎むよね。国を憎むよね。そして毎日の平和をのんきに消費している一般市民達を。お前らの日常は,私の愛する人達の犠牲によって成り立ってんだよ,と。

 でもお話としては,DQI,「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」(以下,DQII)につながっているわけだから,16歳の勇者君はアレフガルドで家庭を築き子を設けたってことだよね。その詳細は分からないけど,アレフガルドに骨を埋める覚悟ができたんだろうな。故郷を忘れるのは大変なストレスだっただろうに……。
 しかしさすが16歳。若いっていいよね。適応能力が高いよね若い人って。アレフガルドの生活にもすっかり慣れたんだろう。だけどやっぱり帰りたいよね。何度もルーラを唱えてみたんだろうね。母親に孫の顔を見せたくっても,帰れなかったんだよね。ああつらい。

 でも思うんですよね。ドラゴンクエストシリーズのストーリーには,この類の悲しみやつらさが必要不可欠なんじゃないかな,と。ただ勇者として爆誕して,スタンプラリーのようなタスクをこなしてラスボスを倒して,はいハッピー! というシンプルな物語にはならないんだろうな。
 DQIIだってムーンブルクに関してはトラウマレベルで切ない。犬生活って。「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」なんて悲しみとつらさの塊ですよね。自分のせいで故郷が燃やされて幼なじみ達が殺されたり,青春時代をずっと奴隷として過ごしたり。
 魔王を倒したところでスッキリしないトラウマ感があるのがドラゴンクエストシリーズだと思っています。なので以前も記事に書いたのですが最新作の「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」は,めっちゃ良かったです。ストーリーが悲しみとつらさにまみれていたから。例のクリア後の展開は賛否両論分かれるようですが,悲しみ,つらさ路線に対する制作陣からの新たな提案だったのかもしれませんね。僕は好きな展開でした。

 てなわけで,春からの新年度もまだまだDQIIIをやりこむ日々になりそうです(でもいまだにピオリムとボミオスの効果的な使い方を分かっていません……)。

■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■
ヒャダイン氏が出演する「久保みねヒャダこじらせライブ VOL.5」が,が月イチペースで開催中。チケットやライブの詳細については「久保みねヒャダこじらせナイト」の公式サイトをご確認ください。
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