
連載
【ミートたけし】誰でもいい……。一緒に遊ぼ……。
ミートたけし / 川村 竜 / ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー
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ミートたけしの「世界の平和が俺を守る!」ミートたけしYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@meatalk |
第19回:誰でもいい……。一緒に遊ぼ……。
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もちろん便利になったこともたくさんあるが,可視化される人間の醜悪な部分には,何とも辟易するものがある。
自慢じゃないが私にはたくさんの支持者,応援者と同じくらい,いやそれ以上にアンチの皆様がいらっしゃる。ただ,そのアンチ様もねたみやそねみの権化であったり,なんの信憑性もない情報やうわべだけの私を忌み嫌ったり,という方がほとんどだ。もちろん正当な理由を持って私を嫌う方もいるだろう。
だがそんなことはどうでもいい。
本当に1mmも気にならない。
なぜなら,例え世の中の全ての人間に嫌われたとて,私が“悪”であると決まるものではないからだ。人から好かれようが嫌われようが,ものの好き嫌いでは人の善悪は決まらない。むしろ“他者の嫉妬がエネルギーになる”という恐ろしい精神力を持つ私にとっては,アンチの行動は無意味で無価値どころかプラスに作用するものになってしまう。
ただここまでは全て“私”に向けられた思いの話になる。これが“不特定多数の誰か”に向けられた場合,私にとってそれは一気に興味の対象になるのだ。
つまり,トイレの落書きを放っておくのではなく,一体どのような人間がこの落書きをこの世に残したのか。そこに思いを馳せたいのだ。
トキシックプレイヤーとの邂逅
元々は「有毒の」とか「毒性の」という意味の英単語「Toxic」。これが実生活において「有害な」人やものだったり,「人に悪影響,ストレスを与える」人やもの,という意味で使われ始めた。
そしてゲームコミュニティにおいての,いわゆるトキシックプレイヤーは,暴言や挑発行為,マナー違反をする人を意味するようになった。
私自身,「ストリートファイターV チャンピオンエディション」(PC / PS4)をプレイし始めた頃は完全にトキシックプレイヤーだった。何が理由で負けたのかも分からないので,心の中に積もり積もった“悔しさ”をどう処理していいか分からない。対戦相手のせいであり,ゲームシステムのせいであり,世の中のせいだ。そう言い聞かせるしかないトキシックなプレイヤーだった。
しかし石の上にも何とやら。数年も格闘ゲームに触れ続けていると,負けた理由,原因が全て自分にあるということを理解し始める。“悔しさ”をぶつける先が“自分自身”になると,不思議なことに高ぶった感情は落ち着き,次はどうすれば良いのかを考えるようになる。
昨今の「ストリートファイター6」(PC / Nintendo Switch 2 / PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PlayStation 4)の大ヒットを受けて,Xのタイムラインでプレイヤー達の怒りのコメントを見る機会も多いが,「分かる,分かるよ。俺にもあったよそんな時が」といった具合に,まるで達観でもしたかのような気分で愉悦に浸ったりもする。
だがしかし。これは1 vs. 1の格闘ゲームだから,そのような思考になれるものなのだ。
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「Apex Legends」(PC / PlayStation 5 / PlayStation 4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Nintendo Switch)では,そうはいかない……。
このゲームでは敗北の責を己の内に見出せないのだ。常に状態,環境が変化し続けるこのゲームにおいて,「これだ!」と言う決定的な正解は存在しない。正解が存在しないというのは,もはや争いの火種にしかならない。
もう少し詳しく説明しておこう。3人でパーティを組んでチャンピオンを目指すこのゲーム。1試合の参加パーティは20組。この20組の中で最後の1組になるまで生き残れば優勝。だが,そこまでの道のりにはさまざまな戦略,ポリシー,信仰がある。
ちなみに私はラスト5組に残るまでは積極的に戦闘はしない。例え目の前で他チーム同士の戦闘が起きても残存部隊が5部隊以上なら,基本的には逃げるのを前提で動く。
ここで3人1組という編成が悲劇を招くのだ。3人そろって同じ思考,ポリシーならなんら問題はない。しかし自分以外の2人が例えば「常に攻め気! 銃声のする方へ突き進む!」なんて考えだったらどうなるだろう。
己の信念に従い戦闘から離脱してふと後ろを見ると誰もいない……。マップでは2人が遠く離れた場所で攻撃を受けている……。これは助からない。なんでだよ! なんで逃げないんだよ! そんな思いで2人のライフが減っていくのを見続ける。しかしながらこれは一方的な私側の意見だ。
向こうからするならば「なんで逃げるんだよ!? みんなでやればいけただろ!?」といったところだろうか。両方共に正解なのだ。ただただ信念が,戦略が違うだけなのだ。
だがそれでいい。仕方のないことなのだ。ただただそれだけなのだ。そう言い聞かせて自分の心を落ち着かせる。そうして落ち着かせた心が海底火山のように,溜まりに溜まって爆発する瞬間がる。
それはテキストチャットに送られてくる「???」の文字を見たときだ。人間の,いや私の知能と想像力の前ではこの「???」が1万文字くらいの罵詈雑言に見える。
「今俺達攻めてたじゃん? お前も来てたら勝ててたじゃん! 逃げてばっかでどうすんだよ! 下手くそが! 『Apex Legends』やめちまえ!」
このような言葉に変換するのは本当に簡単なことなのだ。そして簡単が故に私はボイスチャットをオンにして叫ぶ。「何が『???』じゃこの〇〇〇〇がぁ!!!!」と。
これは何も私の愚行を擁護してもらいたいわけではない。両者共に立派なトキシックプレイヤーなのだ。そしてつい先日,とあるプレイヤーが配信中に乱入してくるという奇跡が起きた。
突発! トキシックミーティング開催!
そのプレイヤー曰く,先日マッチングしたときに「???」とコメントしたら,「何が『???』じゃこの〇〇〇〇がぁ!!!!」とボイチャで言われたが,配信者としてそれはどうなのか? とのことだった。
まず事実確認をすべきだと思った。俺は「???」とコメントされたら絶対にブチ切れる。つまり,これは間違いなく俺だ。以上で事実確認は終了。
「???」と打つほうもボイチャでブチ切れるほうも,どっちも人としてどうかと個人的には思うが,そもそも「???」と打たなければ良いのでは? と聞いてみた。
すると下手くそに足を引っ張られるのが我慢ならないという旨の発言をしてきたので,それなら「???」ではなく指示をきちんと出して導いてくれればいい。上手いならそれくらいの度量を見せてほしいと伝えると,なるほど,という空気になってきた。
これは……話が通じるのかもしれない!? そう思った私はもう少し踏み込んで,そもそも見ず知らずの人間に挑発行為をするような思考で普段の私生活で困ることはないのか? と質問をしてみた。すると彼は自分の仕事の話を語り始め,とくに私生活で困ることはない,と返答した。
その返答から推測するに,私生活でこのような言動を取ることはないのだろう。つまり抑圧されたストレスのはけ口として,ゲーム上のテキストチャットにぶつけているのだな,と理解した。
そのうえで今一度「???」なんて打つくらいなら,ちゃんと上級者として下手くそを引っ張っていってくれと伝えた。もちろん全てに納得したわけではなかっただろうが「お疲れっすー,頑張ってください」と彼は去って行った。
やはり人間と人間ならば話せば分かり合えるのだ。これからも諦めずに人と人との結びつきを大切にしよう。そう思えた。
が,その彼は私のアカウントをブロックして私の悪口を書いていた。
ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
あんなにたくさん話したのによおおおおおおおおお!!!!
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今日も私は大敗北を喫することとなった。本当は転げ回りたいくらい悔しいのに,平気なふりをしてランクマを回し続ける私の過疎「Apex Lgends」配信をどうか応援してほしい……。世界の平和なんて大それたものを求めはしない……。せめてこのコラムを読んでいるあなた。あなたぐらいは私の配信を見守っていてほしい……。
あと,この2,3年くらい「参加型Apex! どなたでも」と募集しているのに,誰も入ってきてくれたことがない。誰でもいい……。一緒に遊ぼ……。
というわけで,世界の平和が俺を守ってくれないこともあるってわけ。また来月もよろしくね!
■■ミートたけし / 川村 竜(ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー)■■ ベーシストとして国内外各所でライブやコンサートで演奏活動をしつつ,配信活動も活発に行っているミートたけしこと川村 竜さん。現在は主にYouTubeチャンネル「ミートたけし-MEAT TAKESHI-」とTwitchチャンネル「ミートたけしの『太くてニューゲーム』」で,雑談配信をしたりゲーム配信をしたりと大忙しの様子です。 |
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