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Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
Thermaltakeがゲーマー向けデバイス市場へ
参入した理由
これら大量のフィードバックを受けて,Thermaltake社内に,ゲーマー向け周辺機器ブランドのプロジェクトチームを立ち上げたのが,翌2009年のこと。ほぼ同じタイミングで,台湾でもプロゲームチーム「Thermaltake Apollos」を結成するとともに,製品開発を本格化させたのだそうだ。
Liu氏によると,Tt eSPORTSブランドの製品開発には,自分達のプロゲームチームだけではなく,Thermaltakeがサポートしているオランダやアメリカ合衆国のチーム,あるいはAbdisamad “SpawN” Mohamed氏など,複数のプロゲーマーから,フィードバックを受けているとのこと。とくにマウスの開発に当たっては,「モールディング(※プラスチック成形のモックアップ)を複数のチームに送り,大きさやボタンの配置,握りやすさなどを評価してもらった」と,Liu氏は強調している。
一般ゲーマー向けとプロゲーマー向けの
2ラインナップが用意されるTt eSPORTS
そう,Tt eSPORTSがターゲットとするユーザーは,大枠で,一般のPCゲーマーと,プロゲーマーの2タイプなのだ。そして,両方に対して,異なるコンセプトの製品を投入していくというのが,Thermaltakeの戦略となる。
CeBIT 2010の会場で大々的にアナウンスされたマウス製品「Black」やヘッドセット「Shock One」,そしてキーボード製品シリーズ「Challenger」は,一般PCゲーマー向けの製品という位置づけ。3月9日の記事で,これらの概要はお伝えしているが,今回は,Liu氏に聞いた新情報も交え,あらためて紹介してみたい。
●Black
マウス本体のサイズは70(W)×120(D)×40(H)mm。数字だけ見ると,大柄な印象を受けるかもしれないが,「アジア人でも操作しやすいよう,気持ち小ぶりにデザインしている」(Liu氏)とのことだ。
マウスの左右メインボタンは,「つまみ持ち」時に操作しやすいよう,軽めのクリック感を持たせているが,同時に「かぶせ持ち」でも違和感がないよう,配慮されているという。
なお,プロゲーマー向けとして準備中のマウスは,つまみ持ちとかぶせ持ちにそれぞれ特化した,固有のデザインを持つ製品になる見込み。2010年第3四半期には,お目見えすることになりそうだ。
●Shock One
Tt eSPORTS第1弾の一般PCゲーマー向けラインナップ中,「ゲーマー達からのフィードバックを最も反映した製品に仕上がっている」とLiu氏が胸を張るのが,USB接続のヘッドセット製品「Shock One」である。
そのサウンドは「銃声や爆発音などのゲーム内の音情報を的確に聞き取れるようチューニングした」とのことだ。
また,Shock Oneでは,DTSのロゴプログラムに準拠し,左右に1基ずつ搭載する40mm径のフルレンジドライバーユニットによってバーチャル5.1chサラウンド機能を実現するのも大きな特徴となる。
USB接続のヘッドセットだと,メーカー独自機能でない限りは,Dolby Laboratoriesのバーチャルサラウンド技術を採用する例が多いが,Liu氏は「DTSの『DTS Surround Sensation』のほうが,より自然で,立体感のあるゲーム音場表現ができると判断したため」と,その理由を説明している。
なお,CeBIT 2010の会場で公開された「プロゲーマー向けのアナログ接続密閉型ヘッドセット」は,製品名が「Round One」になる予定であることが明らかになったので,この点も付記しておきたい。
●Challenger
Challengerシリーズは3モデルが用意される。4月中にも下位2モデルが世界市場へ投入される予定ということもあって,情報はほぼ出きっているため,新味はやや薄いが,ここであらためて,下記のとおり製品情報を整理しておこう。
- Challenger:マクロは,ファンクションキーに最大六つ割り当て可能。容量32KBの内蔵フラッシュメモリに,3プロファイル,最大18マクロを登録できる
- Challenger Pro:キーボードの左右両端に5個ずつ,計10個のマクロキーを装備。容量64KBの内蔵フラッシュメモリに,4プロファイル,最大40個のマクロを登録可能。また,赤色のイルミネーションLEDを搭載し,4段階で明るさを調整することもできる
- Challenger Ultimate:基本デザインはChallenger Proと同じ。ただし,容量64KBの内蔵フラッシュメモリには最大70個のプロファイルを登録できるようになっているほか,LEDイルミネーションの色は256色から選択できる。ヘッドフォン出力とマイク入力の両アナログミニピン端子を搭載する
最大の特徴となる「手を冷却できるファン」には,「Hand Cooling Fan」という,そのままの名称が与えられる。当初,ファンのサイズは30mm角とされていたが,台湾で会ったLiu氏は50mm角と言っていたので,最終製品ではファンのサイズが変更になる可能性もありそうだ。なおLiu氏は,「口径の大きなファンや,高回転数ファンといったオプションも検討している」とも述べていたので,今後,“ゲーマー向け冷却ファン”が登場するかもしれない。
本製品では,着脱可能なラバーコーティング済みパームレストが組み合わされる。また,各地を転戦するゲーマーの要望を受け,「ケーブル周りにミリタリークラスの耐久性を持たせる」(Liu氏)べく,PC接続用のUSBケーブルと,アナログ接続ヘッドセット用のサウンド入出力端子をキーボード本体へ引き出すためのケーブルが,メッシュ加工された頑丈なケーブルカバーで覆われているのが,大きな特徴だ。
ゲームコミュニティへの積極的な関与を続ける
Thermaltake,国内の動きも要注目だ
Thermaltakeは2010年,「WCG」(World Cyber Games)のパートナーとして,同トーナメントをサポートしていくほか,台湾のアマチュアゲームトーナメント「TeSL」(Taiwan eSports League)のオフィシャルスポンサーを務めるなど,Tt eSPORTSをゲームコミュニティに密着したブランドとして定着させるべくプロモーション活動を展開中だ。
Thermaltakeはすでに,Tt eSPORTSの公式Webサイトを立ち上げ済み。今後は,フォーラムやライブチャットを通じて,ユーザーから直接的にフィードバックを得るためのシステムも用意しており,これを軌道に乗せることで,ゲーマー視点での製品展開規模を広げていく腹づもりだ。
果たして,日本市場へはどのようなカタチで上陸するのか,そして,一般PCゲーマー向け製品と,プロゲーマー向け製品,双方の第1弾製品はそれぞれ,どれだけの完成度を見せてくれるのか。今後の動きに注目していきたい。
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