「ファンタシースターオンライン2」(
PC /
PlayStation 4 /
PlayStation Vita /
Nintendo Switch 以下,PSO2)の5周年企画
「マイキャラ3Dクリスタルフィギュア化プロジェクト」に関して,
4Gamerではキーマンにインタビューを行っている。その際,筆者は商品のサンプルを細かく撮影することにした。
その理由は,マイキャラ3Dクリスタルフィギュアの出力用にキャラクターをリビルドしつつ,セガゲームスおよびDMM.make(以下,DMM)の担当者が
「これはたいへんだぞ……」と思わずつぶやくようなコスチューム構成にするためだ。また,もしプロジェクト第2弾が実現したときに備えて,参考となるデータを集めたいという狙いもあった。
そこで,今回は筆者の手元に届いた実物とキャラクターの生成過程を見つつ,3Dクリスタルフィギュアの再現度を確認してみたい。
前回のインタビューにおいて,3Dクリスタルフィギュアの制作過程ではセガ側とDMM側で手作業が発生し,オブジェクトが重なっている部分や色の調整などが行われることが分かっている。商品を間近に眺めたときに,違和感がなくなるように丁寧な調整が施されているというわけだ。
後日,3Dクリスタルフィギュアの出荷直前の様子を取材した際には,
酒井智史プロデューサーをはじめとする両社のスタッフが1体ずつ念入りにチェックし,なかにはNGを出す場面が見られたほどだ。
DMMの生産ライン
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出力された商品をパッケージングする手前の工程。ここで品質や間違いがないかを確認する
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酒井氏も念入りにチェックしていた
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確認用の写真を撮影している様子
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 専用パッケージ |
 開封したところ |
 専用台座はLEDを搭載しており,一定間隔で色が変化していく。電源は単3形乾電池×3 |
電源オフの状態で,ライトを点灯しなくてもキャラクターの目視が可能だ
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スタジオの照明をオフにした状態では雰囲気が異なる
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撮影中,側面から光を当てると影がわりと大きく投影されることを発見。なにか遊べそうな予感がする
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筆者のキャラクター。ところで,PlayStation 4 Proのオーバーサンプリングを有効化すると,質感が良くなってイイ感じ
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今回,筆者のキャラクターは古いビルドに調整を加えたものを採用した。ベースはそのままに,目のサイズや唇の位置,シルエットを更新したくらいだ。
当初は「すっきり顔」でトライするつもりだったものの,良さげなコスチュームを買い漁ってはテストしていた結果,目のパーツを購入するメセタが枯渇したので断念している。
リビルドのテーマは
「すごく再現がめんどくさそうなキャラクター」。もちろん,意地悪をしたいわけではなく,再現性を確かめたいという意図である。
まずはヘアスタイルに「ミディアムツインテール2」,アクセサリーとして「ロングリボンA」と「アホ毛A」を選択した。アホ毛Aは筆者の趣味だが,ロングリボンAはヘスタイルだけでなく,コスチュームにも絡むため,今回の企画にはちょうどいい(しかもカワイイ)。あとは「赤縁メガネ」だが,これは微細な部分の再現性の確認に適している(筆者の趣味でもある)。
なお,ポーズは分かりやすく立ちポーズとした。
装備構成はこのとおり
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ロングリボンAは耳やコスチュームに重なっている部分がある。また,まゆは「タイプD」。これはあまり目立たなさそうなので,ざっくり決めた
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まつげは「二重デフォルトまつげB黒」
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アップより引いたときの目のサイズ感を重視して,メイクパターンは「ブライダルメイク」を採用
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リップカラーは「薄紅」
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商品の性質上,後ろ姿はざっくりとした再現になるが,果たしてどうなるか?
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次にボディを見ていこう。ボディペイントは「ゲンショウタイツ」で,細かい表現のチェッカーとして採用した。レイヤリングは「ウィオラフロウ影[Ou]」と「ヴァルザレシオ鋼[Ba]」だ。パーツの重なりに加えて,カラーを変更することで,同系色の変化を見られる。
ボディの位置にあるアクセサリーは「カルセオラリアブレードB」。角度とサイズを変更して,出力時のキューブ内のギリギリになりそうな状態にした。また,カルセオラリアブレードBとヴァルザレシオ鋼[Ba]の脚部はキャスト系パーツに近いものなので,その質感もチェックできる。
同系色を中心にして,かつ質感が異なる構成とした。ステッカーは「ダークファルスサイン」だ。ピンカルとすごく迷ったが……
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立ちポーズだと手のあたりが被り気味になる
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脚部はキャストパーツと似た質感である
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Photoshopで処理したもの。サムネイルくらいで,ちょうど雰囲気がつかめると思っていた
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PSO2のゲーム画面はフルカラーだが,3Dクリスタルフィギュアにする過程で,レーザーを当てる座標ベースのデータに変換される。その際,色情報は切り落とされるため,手持ちの環境で類似構成を再現するならば,モノクロ2階調が近しいと判断した。
アプリケーションは「Photoshop CC 2018」を使用し,モノクロ2階調にして,150%または175%で表示すると,比較的似た雰囲気になることが確認された。現在,PSO2のクライアント内に画面フィルターが搭載されており,モノクロ表示が可能だが,それを荒くしても雰囲気がつかめそうだ。なお,2階調変換時の設定は解像度72dpi,誤差拡散法(ディザ)。
エステ画面で引きにすると,アタリに使えそうな印象だ
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画面フィルターをモノクロにすると,ショップでのプレビューが近い雰囲気になる
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以上の構成(と思惑)でマイキャラクターのリビルドを行い,セガゲームスにデータを提出した。今回,セガゲームスとDMMより制作過程の各種データを得られたので,ここからは再現性をチェックしていこう。どうやらレンダリングの後にスムーシング,カラー調整が行なわれたらしく,パーツの位置調整はレンダリング時点では完了しているようだ。
ゲーム内のキャラクター
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レンダリングデータ。左側のロングリボンAが重なったままだが,これは出力でも同様だった。どうにもならない部分である可能性が高い。また,ステッカーは反映されていない
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スムーシングの工程の一部。左が実行前,右が実行後
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 出力直前と思われるカラーデータを破棄して,モノクロ的になっている状態。まだ調整が行われていない |
 こちらは調整後。全体的にシャドウ部を持ち上げつつ,配色に合わせた調整が行なわれている。この時点で明瞭だが,メイクは意味がないと分かる。Photoshopのフィルタで似た感じにすることができそうだ |
このような流れで出力されたのが,筆者の3Dクリスタルフィギュアである。間近ではなく,やや遠目に眺めることが前提のアイテムなので,再現性としては高いものだと言える。
以下の写真で分かるように,ゲンショウタイツの細かい部分までしっかりと再現されているし,顔パーツの細かい部分の再現性も高い。ただ,まつげの部分は解像度不足により,あやふやな感じになった。もっと簡素なデザインで大きめのパーツであれば良さそうだが,現時点では適したものはないと思う。「イラストまつげD黒」を2〜3Pixelほどサイズアップしたものがあれば,ちょうどいいかもしれない。
また,下半身のパーツ群やカルセオラリアブレードBの質感はゲーム内とは異なるが,これはこれでアリだろう。金属的で大変よろしい。
元データよりアゴが長く見えがちだが,これはよく見ると顔の輪郭が異なっている。出力直前のデータを見ると,首の色と同じになっているのが影響しているのかも。なるべく首が隠れるコスチュームがベターな選択か
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しかし,斜め下あたりから見ると顔の輪郭が気にならない。出力仕様の影響が大きいとも言えるが,手元に届いているアークスのなかには輪廓がしっかりと出ているものもあり,キャラクターデータ次第とも言える。もし第2弾の実施があるならば,そのあたりの仕様も知りたいところ
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アップにすると,アホ毛Aの先端部分まで解像されていることが分かる。コスチュームの細かい部分まで再現されているようだ。また,アップの写真を見ているときに気がついたのだが,赤縁メガネと髪の毛が近い色になっており,わりと混ざっている。ここは注意したい点だろう
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側面はシルエットが分かるくらい。ライトアップするとカッコイイ
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上部から見ると立体的に成形されていることが分かる
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角度を変えてみると,視野角120度付近まで立体感が保持されやすい。ゲーム内とは異なる見え方になるが,これはこれで楽しい
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というわけで,筆者のキャラクターをベースにして3Dクリスタルフィギュアの仕上がりをチェックしてきた。今回は意図的に細かく,かつどう出力されるのかが分かりやすいデータにしてみたが,なるべくシンプル路線にしつつ,髪型と首まわりを意識するとより再現性が高くなりそうだ。
ともあれ,自分のキャラクターがちゃんと現実世界に現れたことで,
筆者はご満悦。ホントに良い企画だと思う。なお,商品は順次発送中で4月中に完了予定とのこと。
第2弾の実施があるのかは不明だが,今回得られたデータをフィードバックして,さらなるクオリティアップが図られるはずだ。実際のところ,インタビュー時のサンプルより,手元に届いた商品のほうがクオリティは高くなっていた。残念ながら抽選に漏れしてしまった人はもちろん,今から興味が湧いてきた人もセガゲームスにモリモリと要望を送ってみよう。