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海外ゲーム四天王 / 第66回:「Bloody Good Time」
今週の「海外ゲーム四天王」で紹介するのは,マルチプレイFPSの名作として名高い,「The Ship」の“精神的な”続編となる「Bloody Good Time」だ。同じイギリスのメーカーが作ってるんだから素直に続編でいいじゃないかと思うが,素直じゃないのがイギリス風。違うかな。
ともあれ,不気味なデスゲームに参加することになったキャラクターを操作して,暗殺任務を遂行していくという本作。ただし,ほかのプレイヤーもこちらを狙っているから油断もスキもない,という本作を,「ああ,オレにもハリウッドからこんなビッグオファーがこないかなあ」と夢見るアイドル候補生,KGB48の朝倉哲也氏が紹介する。
貧乏役者のあなたに,ビッグチャンスが訪れた。ハリウッドのナンバーワンプロデューサーであるDirector X氏が,あなたに新作映画出演を依頼してきたのだ。だが,意気揚々と撮影スタジオに向かったあなたを持っていたのはなんと,ほかの役者の卵達との壮絶な殺し合いだった!
指示されたターゲットを抹殺し,殺そうと狙ってきた敵を返り討ちにして,見事にプロデューサーの目に留まるかどうかは,あなたの腕と度胸次第。というのが,Ubisoft Entertainmentがダウンロード販売を行っているオンラインFPS,「Bloody Good Time」だ。PC版は,デジタル配信サービス「Steam」を通じて日本からも購入が可能で,現在,価格はわずか4.99ドル。まあ,お安い。
本作は,知る人ぞ知る名作「The Ship」の“精神的な”続編という位置づけのタイトルで,前作のスリリングな基本設定はそのままに,システムをシンプルに遊びやすくし,合わせてグラフィックスをコミカルタッチのものへ変更している。
開発はThe Shipと同じく,イギリスの独立系デベロッパのOuterlightが行っている。
最初にも書いたように,プレイヤーは,売れない役者の卵8人の中から1人を選択し,映画撮影という名目の殺し合いゲームに参加しなければならない。Director Xの目的はそれを撮影し,究極のリアリティショーを制作することにあるのだ。
プレイヤーは銃やバット,火炎放射器といった武器を駆使して,指示されたターゲットを始末しなければならないが,同時に,別の誰かが自分をターゲットとしている。かくして,誰が自分を殺そうとしてるか分からないまま,暗殺を実行しなければならないという非常にスリリングな状況が成立するのである。
自分が狙われているなら,誰彼かまわずに出会った相手を殺してしまえばいいではないか,と思われるかもしれないが,間違った相手を始末してしまうと得点が大きく減らされる。このゲームは,最終的に最も得点の多いプレイヤーが勝者となるため,全員抹殺するとまず勝てないのだ。
得点は目指すターゲットを倒すだけでなく,弱い武器を使用したすることでも加算されるが,間違った相手を殺したり,武器使用を禁じられている場所で武器を使ったりすると減点される。敵プレイヤーから武器をスリ取れば,こちらのポイントになり,同時に相手の得点を減らせるので,大いに活用したい。
マップには警備員がうろついており,彼らの前では戦闘はおろか武器を抜くことさえ許されない。もしこれを破ってしまうと,得点がなくなるというきついペナルティが待っているのだ。というわけで,警備員のそばにいれば安全かというと,それがそうでもなく,銃やボウガンで遠距離攻撃されてイチコロ。経験上,これは間違いないところだ。
それでは,なるべく人目につかないところに隠れて,殺し合いがある程度収まるのを待っていればいいのではないか,という意見もあるかもしれないが,それもできない。キャラクターには「睡眠」「食事」「排泄」という3種類の基本的な欲求があり,一定時間ごとにそれらを満たしていかないと移動速度や攻撃力が低下し,最悪の場合,死んでしまうのだ。
食事中や睡眠中は,まったくの無防備状態になり,敵の格好のターゲットとなってしまうので,どのタイミングで欲求を満たしてやるかも重要になる。
前作,The Shipがダークな雰囲気だったのに対して,Sourceエンジンを使った美しいグラフィックスとコミカルなキャラクターの本作は,やってることはデスゲームながら,明るい雰囲気を生み出している。それだけにかえって空恐ろしい,ということもあるけど。
最大8人のプレイヤーによるオンラインマルチプレイのほか,Botを使ったオフラインモードによる練習プレイなども可能だ。映画の撮影セットをイメージしたマップは,お化け屋敷の「Horrorhouse」,リゾートビーチ風の「Springbreak」,そして豪華ホテルのカジノをイメージさせる「Vegas」の3種類が用意されている。マップの数が少ないのが残念だが,価格を考えれば納得の範囲だろう。
上記のような暗殺合戦に挑むゲームモード「Hunt」が本作の基本モードだが,そのバリエーションとして,ターゲットを処理するたびに次の目標が指示される「Elimination」倒した相手が,今度は自分を目標として復讐にやって来る「Revenge」,すべてのプレイヤー敵という「Deathmatch」の4種類がある。
キャラクターの移動速度は遅く,スピード感には欠けるものの,自分が誰に狙われているのか分からないという緊張感の中,目指すターゲットを探して歩き回るスリルは本作ならではのもの。どの武器を使うか,どのタイミングで睡眠をとるかなどといった要素も重要で,単純に撃ち合うFPSとはまったく違うゲームプレイが楽しめる良作だ。
Mr. Xと名乗る謎の人物から,豪華客船でのクルージングをプレゼントされたプレイヤー。だがそれは乗客同士が殺し,そして殺されるという殺人ゲームの幕開けだった。
「The Ship」は,2007年にSteamでリリースされたFPSで,「Half-Life」のModをベースに制作された作品だ。指定されたターゲットを暗殺しなければならないのだが,同時に自分もまた他のプレイヤーから狙われているという,Bloody Good Timeと同様のスリリングなプレイ感覚が特徴。
公式サイトには,スクリーンショットやムービーが公開されており,Steamでは14.95ドル(2010年11月現在)でダウンロード販売されている。今回のBloody Good Timeが気に入った人はこちらもチェックしてみよう。
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