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東西冷戦まっただ中の1970年代,ワルシャワ条約機構軍とNATO軍がついに全面戦争に突入したという架空の歴史を背景にしたRTSが,今週の「海外ゲーム四天王」で紹介する「Wargame: European Escalation」だ。読者の多くがレオパルト1もT-55も知らず,戦場となった西ドイツってどこ? という状態ではないかと思うが,いやほんと,一歩間違えればコレが現実になっていたかも知れないという時代があったのです。
そんな時代を生き延びた,というか,単に普通に暮らしていたらいつの間にか終わってしまっただけというライターの朝倉哲也氏が,本作を紹介する。
ビギナーからベテランまで楽しめる良作
世界各国がソビエト連邦とアメリカ合衆国を中心とする東西両陣営に分かれ,一触即発の状況にあった1975年,ワルシャワ条約機構軍が,ついに鉄のカーテンを破って進撃を開始した。NATO軍は世界の平和を守るために彼らと戦わなくてはならない……というのが,今週の「海外ゲーム四天王」で紹介する現代戦RTS「Wargame: European Escalation」だ。 本作を開発したのは,パリに本拠を置くゲームデベロッパのEugen Systemsで,2005年に「Act of War: Direct Action」,2010年には「R.U.S.E.」という,どちらも本格的なミリタリーRTSを制作しており,コアなRTSファンにはおなじみのメーカーだ。
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本作の舞台となるのは,上記のように東西冷戦のまっただ中の,1975年から1985年にかけてのヨーロッパ。ワルシャワ条約機構軍が突如として西ドイツへ進軍を開始し,それに対し,米英を中心としたNATO軍が猛反撃を開始するという,架空の歴史を背景にした現代戦が体験できる。
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ゲームモードは,シングルプレイ用の「キャンペーン」と「スカーミッシュ」,そして「マルチプレイ」の3種類が用意されている。シングルプレイキャンペーンでは,アメリカとソ連の軍事的緊張が和らいできた1975年末,東ドイツから西ドイツへ脱出を図った兵士が,東側国境警備兵を射殺するという事件が発生。東ドイツからの犯人引渡し要求を西ドイツ政府が拒否したため,ついに東ドイツの戦車部隊が東西ドイツ国境を越えて侵攻を開始するという「Bruder Gegen Bruder」や,ポーランドの独裁政権を率いる将軍が,国内の反乱分子を武力弾圧したために勃発した内戦を描く「Dabrowski's Mazurka」など,シリアスな設定のシナリオ4種類が収録されている。それぞれのシナリオは5〜6種類のミッションで構成されているので,ボリュームは十分だ。
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ミッションは,「指定されたエリアの制圧や敵の猛攻を一定時間耐えぬく」「孤立した味方が全滅する前に,敵の包囲網を突破して合流する」などといったものが用意されており,敵の数も多めなので全般にややキツい戦いとなる。ゲーム難度の調整ができないので,RTSを普段からやり慣れていない人には,少し辛いかも知れない。
ユニットとしてはレオパルト1やT-55など,実際に当時使用されていた兵器が登場。RTSではおなじみだが,これらのユニットは戦闘を通じて経験値を溜めることでレベルアップする。ユニットには耐久力などに加え,兵士の士気も設定されているので,敵の猛攻を受けて士気が下がり続けると,ついにはパニック状態となって勝手に戦線を離脱してしまうなど,面白い作り込みが行われている。
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本作ではミッション中にユニットを生産することはできないが,戦闘などで得たポイントを消費することで,増援といった形で新ユニットを入手できる。またミッションコンプリートで獲得できるスター(星)ポイントを使って,それまで使っていたユニットの改良型や,新規のユニットをアンロックすることも可能で,シナリオを進めていくと東西ドイツ軍やソ連軍のほかに,イギリス軍やアメリカ軍,フランス軍などのユニットも使えるようになる。
使用するユニットをトレーディングカードゲームのように「デッキ」として組んでおけるのが本作ならではの特徴で,マルチプレイやスカーミッシュモードでは,このデッキを使って対戦することとなる。デッキは,あらかじめ何パターンも作ってセーブしておけるので,マップに合わせて使うデッキを変えてみたり,積極的に攻撃したいときには攻撃型デッキを選択したりといった楽しみ方が可能だ。
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スカーミッシュは,CPUを相手にした擬似マルチプレイが楽しめるモードで,マップは全部で11種類。CPUの強さをEasy,Medium,Hardの3種類に設定できるので,マルチプレイ前の練習やマップを覚えるためにも使える。
マルチプレイでは,現在のところスカーミッシュと同じ11種類のマップが用意されており,最大8人のプレイヤーによるNATO軍対ワルシャワ条約機構軍のチーム戦が楽しめる。マップのほとんどがヨーロッパの起伏の少ない田園地帯なので,敵味方の大部隊がマップのあちこちで激突するという,迫力満点の戦いになるはずだ。とはいえ,大味な総力戦だけでなく,点在する森に歩兵や特殊部隊を潜ませ,やってくる敵部隊に奇襲をしかけるといった小技を効かせる余地も十分にある。
マルチプレイの場合,シングルプレイに比べてスターポイントを簡単に獲得できるのも魅力だ。自分好みのユニットを揃えられるようになるまで,勝敗を度外視してゲームに参加し,スターポイントの獲得にいそしむのも良いだろう。現時点ではそこそこの数のプレイヤーがおり,日本時間の平日の夜といった時間帯でも,それなりの数のゲームが行われている。自分がホストとなって参加者を募ると,意外なほどすぐに人が集まってくれるので,マルチプレイが好きならば,積極的にホストになってみよう。
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RTSには,あれをしたりこれをしたりと忙しくて大変というイメージがあるが,生産要素を省いた本作は割とゆったりとしたテンポで進む。しかし,たとえスピード感には乏しくとも,マップ全体を見回しながら個々の戦闘に注力できる良いゲームバランスになっている。さすが熟練のRTSデベロッパだ。ゲーム全体の雰囲気も良く,超大作ではないものの,RTSプレイヤーなら十分に楽しめる良作といえそうだ。
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■■朝倉哲也(ライター/四天王)■■
アクションゲームからMMORPG,アドベンチャーからストラテジーまで,なんでもプレイする雑色系ライター。年季の入ったPCゲーマーでもあったが,最近はコンシューマ機のゲームもプレイするようになったので,そのオールラウンダーぶりをますます強くしている。












































