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既存IPの活用と連動,マルチプラットフォーム&グローバル展開で優位性を確保。コーエーテクモゲームスのオンライン事業戦略発表会詳報
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印刷2011/08/30 21:28

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既存IPの活用と連動,マルチプラットフォーム&グローバル展開で優位性を確保。コーエーテクモゲームスのオンライン事業戦略発表会詳報

コーエーテクモゲームス代表取締役社長 襟川陽一氏
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 コーエーテクモゲームスは,本日(2011年8月30日)同社本社にて,ネットワーク事業戦略発表会を開催した。この発表会では,同社のオンラインゲーム,ソーシャルゲーム,ポータル事業などのネットワーク事業に関する現状と,新タイトルを含む今後の戦略についての発表が行われている。

 冒頭,同社代表取締役社長の襟川陽一氏から,同社のオンライン・ソーシャルゲームに対する取り組みについての紹介が行われた。そもそも同社がネットワークゲームに関わりはじめたのは,対戦型「信長の野望」(Gameboy版)のからとのことで,実に21年の歴史を誇る。歴史モノなどに強いので古風な会社かと勘違いしそうだが,新しい技術などにはかなり積極的に取り組んでいる会社でもある。そのようなスピリッツは,同社の社是である「創造と貢献」に象徴されており,いつも新しいことにチャレンジし,日夜新しい面白さを作り出すことが同社の核となる部分なのだという。
 昨年社長に復帰した襟川氏は,現在のところ,会社の成長性と収益性の確保に注力しているそうだ。そこで大きな柱となるのが,ネットワーク系の各事業だという。関連開発者も,100人から200人に増強していき,中国,シンガポール,カナダなどの海外を含めると300人近くがオンライン系のゲーム開発に従事することになるそうだ。
 とくに力を入れるのはソーシャルゲーム分野だ。パッケージゲームとの連動など,他社とは違った展開に力を入れ,差別化を図っていくという。そして,スマートフォンへの展開,アメリカや中国など海外市場へのゲームの展開を積極的に行っていくと襟川氏は述べた。
 ソーシャルゲームでは,すでにお伝えしているように新タイトルを3本発表し,ポータルサイトでも「新しい取り組みを行っていく」と,含みのある発言をちらつかせつつ,今後の同社オンライン事業に注目してほしいと語っていた。

コーエーテクモゲームス専務取締役兼ネットワーク事業部長 小林伸太郎氏
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 具体的なオンラインゲーム事業の内容については,同社専務取締役兼ネットワーク事業部長である小林伸太郎氏から説明が行われた。

 まず,現状の確認として,オンライン事業でのユーザー数について紹介された。
 現在日本でサービスしている同社のオンラインゲームは「信長の野望 Online」「大航海時代 Online」「真・三國無双 Online」の3本で,月間アクティブユーザー数はそれぞれ約3万8000人,3万5000人,非公開となる。
 ソーシャルゲームは昨年8月に公開された「100万人の信長の野望」を皮切りに,8タイトルを展開しており,累計登録会員数は約400万人に達している。ダウンロード型の携帯電話用アプリについては,70タイトルがリリースされており,累計40万人の会員がいるという。売り上げでは,全社売り上げの14%,営業利益では36.4%と高い利益率を誇る。

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 そんな同社のオンライン事業戦略は,

  マルチプラットフォーム・マルチデバイス
  グローバルソーシャルゲーム戦略


の二つにまとめられる。

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 マルチプラットフォームでは,MobageとGREEの両方へのゲーム提供などを行っているほか,フィーチャーフォン(従来型携帯電話)だけでなく,同じタイトルでスマートフォンへの展開,ブラウザゲームへの展開を進めていく。マルチデバイスではスマートフォンやPS3にも対応したものがあるなど,対応機種の幅を広げている。

プラットフォーム展開の予定
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 グローバル戦略については,各プラットフォームに対応したものを提供するということで,中国であれば,Tencent,欧米であればFacebookやGREE(OpenFeint),Mobage(ngmoco)などに対応していくという。すでに中国で「100万人の三國志」サービスや北米でMobageにタイトル提供することが発表されている。
 なお,同社がとくに注目しているのは東南アジア市場とのことで,中国などと比べれば桁は1つ小さいのだが,急速なPCの普及など市場の急拡大に合わせたタイトル提供を行っていきたいとのことだった。

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 ゲームタイトル自体については,これまでの自社IPを活用した路線とはほかに,ソーシャルでオリジナルタイトルを開発する可能性も示唆していた。ソーシャルゲームから,パッケージゲームへ展開するような方向も視野に入れているという。どちらにしても,プラットフォーム間での連携は強く取り,「100万人の戦国無双」などでも「戦国無双3 Empires」との連携を取り,相乗効果と有機的連携で利益拡大,他社ゲームとの差別化を図っていく。
 登録会員数の目標は1000万人としているが,これはあくまで暫定的な目標値であって実際にはそれ以上を狙っており,できるだけ早期に1000万人,全社売り上げに対して20.8%,利益では40%,ないしはそれ以上を目指しているという。

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新作3本が発表されたソーシャルゲーム展開


コーエーテクモゲームス常務執行役員兼ネットワーク事業部副事業部長 藤重和博氏
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 新作ゲームについては,同社常務執行役員兼ネットワーク事業部副事業部長である藤重和博氏から紹介が行われた。すでに速報記事で紹介されているので,重複部分も多くなるが,ここでも簡単に紹介しておこう。

 「100万人のWinningPost」はGREEから提供される競馬ゲームだ。本日(2011年8月30日)より事前登録が開始されている。
 競馬関連ゲームとしてはすでに知名度の高いWinningPostシリーズだが,ソーシャル版では,互いに競い,かつ協力しながらゲームを楽しめるものになるという。単純にGIを取るだけでなく,種牡馬として活躍させていくといったあたりが,このシリーズの醍醐味でもあり,現在の主要血統を超えるようなサイアーラインを作ることも可能だという。βサービス開始は9月を予定している。

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 「100万人の大航海時代」はMobageからサービスされる予定。このゲームは,冒険や貿易といった要素をオンラインゲーム版と同様に備えており,いつでもどこでも楽しめるデザインにすることで,それ以上に楽しめるゲームにするという。
 スマートフォン版も予定されている。また,「大航海時代 Online」は,同社で初のグローバル展開を行ったオンラインゲームでもあり,海外での需要も見込んで,グローバルで展開にも力を入れていくという。

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 3本目としては,ちょっと意外なところなのだが,「100万人の超Worldサッカー!」が発表された。「超Worldサッカー!」は,同社が運営する国内最大級のモバイルサッカーサイトだ。その,月7000万PVのサイトと連動したサッカーゲームが作られ,GREEでのサービスが予定されているという。

 サッカーは,世界で一番愛されているスポーツだけあって,グローバル展開も検討中だという。選手の実名使用など,サッカーモノで問題になりがちなライセンス問題についてはヨーロッパのトップクラブと交渉中とのこと。

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画像集#023のサムネイル/既存IPの活用と連動,マルチプラットフォーム&グローバル展開で優位性を確保。コーエーテクモゲームスのオンライン事業戦略発表会詳報
 そのほか,すでに発表されているソーシャルゲームでは,「100万人の信長の野望」でのスマートフォン対応が発表された。現在170万人の登録会員数を誇っているが,年内には200万人突破を目標にしているという。
 また,「100万人の戦国無双」が明日(8月31日)からGREEでサービス開始される。戦国無双が好きな人がパッケージでもソーシャルでも楽しめるように連動要素を強化していく。前述のとおり,PS3版の「戦国無双3 Empires」との相互連動が行われるという。


PCオンラインゲームの展開は


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 PCオンラインゲームについては,まず,すでに発表済みだが「信長の野望 Online」の大型アップデート「新星の章」に合わせたプレミアムボックスを発売することや,「大航海時代 Online」で計画だけは発表されていた冬の大規模アップデートChapter 3の詳細が発表された。
 「大航海時代 Online」の大規模アップデートChapter 3は11月8日実装予定で,「トレジャーパック自由の大地」が同時発売される。
 また,世界各地で行われている大航海時代 Onlineサービスで,今後続々と「Tierra Americana」がリリースされる予定。海外展開も好調だという。
 「真・三国無双 Online」では,サービス4周年を記念して,同社のTeam NINJAとのコラボが発表されている。これは友達紹介キャンペーンの一環で,条件を満たすと「NINJA GAIDENΣ2」のリュウ・ハヤブサや,あやねの衣裳アバターアイテムがもらえるというもの。タイトル同士の連携も積極的に進めていこうという方向性のようだ。

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 そのほか,毎年東京ゲームショウで行われているオンラインゲーム試遊台設置などのイベント「ネットエンターテインメントフェスタ 2011」が今年も開催される。試遊者にアイテムをプレゼントしたり,ステージイベントが予定されているとのことだった。

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ポータル自体がゲームになる? GAMECITYリニューアル


コーエーテクモゲームス執行役員ポータルサービス担当 藤田一巳氏
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 さて,コーエーテクモのゲームポータルサイトとして長い歴史を持つGAMECITYが,大幅にリニューアルされる。昨年登録者数が200万人を突破して,SNSであるmy GAMECITYのβテストが行われていたのだが,大きく生まれ変わることになる。それに関する解説が,同社執行役員ポータルサービス担当である藤田一巳氏から行われた。

 my GAMECITYによって,なにがどう変わるのか? 発表会の冒頭で襟川社長が語っていた「新しい試み」とはなにかというと,my GAMECITYでは,「SNSのあらゆる操作がゲームになる」のだという。

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 ちょっとイメージしづらい部分もあるが,例えば会員登録なども,ゲームのチュートリアルのような構成になっていくのだという。
 もちろん,普通のSNSとしてソーシャルゲームも抱え込み,「JollyWood」などのゲームが展開されるのだが,「SNSとゲームが融合するのではなく,SNS自体がゲームになる」のだと藤田氏は強調していた。

今後,あらゆるイベントに登場することになるニャブラハム・リンニャーン市長
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 これまで同社が蓄積してきたゲームのノウハウを結集し,新たな形のゲームポータルとして世界に発信していく予定とのこと。どういう形で仕上がるのかちょっと楽しみな展開となっている。ちなみに,目標会員数は1000万人とのことで,昨年ようやく200万人を突破したにしては,威勢のよい数字となっている。しかし,コーエーテクモはなかなか強気だ。「それほど高いハードルではない」(小林氏)と,単なるWebサイト式のポータルからゲームとして遊べるSNSへシフトしていくことによって,クチコミ系での会員増がかなり見込めると踏んでいるようだ。もちろん,新規会員獲得の報酬やインセンティブなども綿密に練られていると思われる。

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 ソーシャルブームなどを追い風に,ゲーム事業の柱の一つとして,オンライン事業に対するテコ入れが行われており,所有するIPを活用しつつ,携帯電話やWebブラウザ,そしてPCやゲーム機といった,多彩なプラットフォームに幅広く展開し,それぞれを連動させていく。コーエーテクモの基本戦略は非常に明快だ。現状の展開は順調であり,完全に収益の柱としても成り立っているほか,グローバル展開もかなり具体的で,絵に描いた餅のような発表とは一味違う感はある。
 新しい試みを満載したソーシャルプラットフォームとしてのmy GAMECITYが,どの程度の成功を収めるのかなどにも注目したい。

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