PC版のMMORPG「
黒い砂漠」が,2025年5月8日で
日本サービス10周年を迎える。筆者としても初年度からプレイを続けているタイトルなので,なかなか感慨深いのだが,今回は主なアップデートを当時のスクリーンショットで振り返りながら,ゲームの思い出話などもお届けしよう。
2025年の「黒サバ学園」イベントより
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2015年:日本サービス開始
黒い砂漠の日本サービスは,「ウォーリア」「レンジャー」「ソーサレス」「ジャイアント」「リトルサマナー」の5クラスと共に始まった。7月にはメディア地域,11月には広大な砂漠地方であるバレンシア地域が実装され,同年に「ヴァルキリー」「ブレイダー」「ツバキ」「ウィザード」「ウィッチ」「くノ一」「忍者」といったクラスが追加されている。
筆者は9月からゲームをスタート。最初に惹かれたのはキャラメイクの自由度だった
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初めて到達したカルフェオンの街並みを見て,広さに驚く。LV50になり,ギルドに入ることに決めた
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ギルドでは「オンラインゲームが初めて」という人もおり,幅広い層の冒険者とともにゲームを楽しんだ
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広大な「バレンシア」地方も実装され,世界は一気に広がりを見せる
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2016年:メガサーバーと海洋の実装,キャラクター覚醒
分断されていた3つのサーバーが「メガサーバー」としてすべてつながり,誰とでも交流ができるようになった。
メガサーバー実装時のログイン画面
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ストーリーでは「バレンシアPart II」が実装され,砂漠地域特有のPKに関するシステムも実装された。これは性向値がマイナスになったキャラクターがほかのプレイヤーに倒されると,強制的に「収容所」に送られるようになるというものだ。
クラス関連では,これまで実装されたクラスの「覚醒」アップデートが進められ,ウォーリアから順に1クラスずつの覚醒が行われた。
バレンシア砂漠は目印がない。迷った人たちで拠点探しツアーだ
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砂漠の端に怪しい建物を発見! 戦力が足りずに引き返したのを思い出す
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さらに,海も大きく拡張され,「海洋(マゴリア海域など)」や「エフェリア軽帆船(当時の名称はエフェリア帆船)」が実装される。当初の海は潜ると死んでしまっていたと記憶しているが,これらのアップデートによって海中探索も楽しめるMMORPGへと強化された。
海洋の実装で大きかったのが,海中も自由に散策できることだった。圧倒的な作り込みに驚く
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大型の船である「エフェリア軽帆船」も作れるように。船の操舵をする人と砲手に分かれての協力プレイが楽しめる点が新しかった
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2017年:カーマスリビアと幻想馬
2017年には「カーマスリビア Part I〜II地域」が登場し,新クラスとして「ダークナイト」「格闘家」「ミスティック」が実装された。
9世代相当となる幻想馬「アドゥアナート」「ディネ」が実装され,筆者の周りでも馬の育成に興味を持つ人が急増。また,海洋ボスの「ベル」が実装されたことで,多くの人が帆船の建造に取り組んだ。
それまでの乾いた土地から一転し,緑溢れるフィールドに。さまざまな動物型モンスターがいるのも新鮮だった
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幻想馬「アドゥアナート」も実装。滑空できる馬として特別な魅力を持つ
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夏祭り的なビーチイベント「テルミアンウォーターパーク」は2017年から始まり,毎年恒例のイベントに
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このころ筆者がハマっていたのが格闘家だ。まるで格闘ゲームのような技を繰り出す
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海洋ボス「ベル」の実装日には,多くの帆船がベリア村に集結した
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2018年:グラフィックス&オーディオリマスタリング
これまでも当時のMMORPGとしては優れたグラフィックスだったが,黒い砂漠ではそれに満足せず,グラフィックスとオーディオの「リマスタリング」が行われた。
グラフィックスはYEBISによる光学シミュレーションを導入しながら,既存の軽量なグラフィックス設定も残すことで,最低動作環境を上げずにアップデートを行うことに成功。オーディオはドイツのハレ国立管弦楽団による生演奏を収録するなどしてクオリティを高めた。
リマスタリングされたグラフィックスで一気に画質が良くなった。水面や金属の反射,陰影の処理などが加わり,よりリアルな画質で楽しめるように
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新クラスとしては「ラン」「アーチャー」が実装。新地域「ドリガン」が登場し,新ワールドボスとして「ガーモス」が出現するようになった。また,妖精システムが登場し,ポーションなどを自動で利用できるようにもなる。
山岳地帯に住む民族を描いた「ドリガン」地方。ヤクなどの高山動物が生息し,火縄銃狩猟の対象にもなっている
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ワールドボス「ガーモス」。超レアである「ガーモスの心臓」は,補助武器の改良素材として実装された
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妖精が実装され,スキルを覚えさせることでポーションが自動で使用可能になった
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2019年:大洋アップデートと伝承
カルフェオン西部に「星の墓場」の狩り場が登場。上位のメイン武器「ブラックスター」が追加されたことで,徐々にボス装備からの乗り換えが進んでいった。また,ソロのボス討伐コンテンツ「闇の狭間」や,ギルドボスとして「カーン」も実装されている。
海では「大洋の時代」アップデートが行われ,より大型の船「エフェリア重帆船」が登場し,その材料集めのための新たな生活コンテンツとして船で荷を運んで物々交換する「交易」も実装された。
また,生活コンテンツを得意とする新クラスとして「シャイ」が追加されたほか,各クラスの「伝承」アップデートがスタート。3頭目の幻想馬「ドゥーム」もこの年に実装された。
テルミアンでのユーザーイベント
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リマスタリングで美しくなった画面は,夜の雰囲気もバッチリ
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「空の馬車」という気球のような乗り物も実装され,空への可能性を感じさせた
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GMイベントで「エフェリア重帆船」が公開された。右から2番目の一回り大きな船が重帆船だ
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重帆船のGMイベントの集合写真
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「伝承」アップデートは,メイン武器を活用する戦闘スタイルを選べるようになるアップデートだ。筆者も久々にレンジャーのロングボウを楽しんだ
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2020年:運営移管,シーズンの開始
ゲームオンからPearl Abyss JPへの運営移管が行われ,初心者が急成長できる「シーズン」システムがスタートした。
運営移管が行われたのが大きなニュース。直営サービスとなったことで,Webシステムとゲームの連携などが強化された
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シーズンは一定期間内にキャラを成長させて報酬を目指す,新キャラの初期ブーストのような環境だ
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新地域は「オーディリタ」と「グランディーハ」,パプーとラッコ族の島「パプアクリニ」や「カラスの巣」が登場。オーディリタ地域で狩りをすることでドロップするアイテムで,太古が眠る防具「死した神の鎧」が作成可能になる。
また,強化されたワールドボスが登場するようになり,「悪夢をもたらすクザカ」「血の風をまとったヌーベル」が登場した。
「パプアクリニ」では,自分がパプー族やラッコ族に変身して戦うコンテンツも
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カラスの巣で行われるPvE闘技場「不滅の奈落」が実装。新クラスの戦闘練習にもなるかも?
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生活関連では幻想馬よりもさらに上位の「微睡みのアドゥアナート」が実装されたほか,「作曲&演奏」機能が登場し,シャイで演奏が可能になった。これによって,音楽が好きな人達による演奏会などが行われるようになる。
この年の新クラスは,「ガーディアン」「ハサシン」「ノヴァ」の3クラスが追加されている。
シャイで演奏できる作曲と演奏のコンテンツが実装された。MIDIのようなピアノロール画面に打ち込んだ譜面を再生する形式だ
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2021年:アトラクシオンとキャラクターリブート
協力型のダンジョンコンテンツである「アトラクシオン」が登場。上位狩り場として,セレンディア地域に「エルビアの領域」狩り場が追加され,ドロップアイテムでアクセサリーやブラックスター防具の改良が可能になった。また,ブラックスター覚醒武器もここで登場している。
アトラクシオンは,さまざまなギミックを解きながらボスの討伐を目指す協力コンテンツだ。2025年に発表当初予定されていた4つのダンジョンすべてが実装された
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演奏コンテンツの強化として「フローケストラ楽器」が実装されたほか,NPCや他のプレイヤーとの対戦を楽しめるカードゲームの「ヤーラ!」も登場した。
新クラスは「セージ」「コルセア」が登場。さらに,ここまでに実装された23クラス中,17クラスを対象とした大規模な「キャラクターリブート」が実装され,思い切った性能調整が行われている。
なお,筆者が4Gamerで黒い砂漠の記事を書くようになったのもこの年からである。
「成長パス」という,ゲーム序盤の「やることリスト」のようなコンテンツもできた
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ハロウィンの季節にはお化け屋敷のようなコンテンツも登場
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フローケストラ楽器により楽器のバリエーションが増え,さまざまなジャンルの音楽を作りやすくなった
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ポーカーとヨットをベースとしたカードゲーム「ヤーラ!」は,息抜きにピッタリ。プレイヤー同士の対戦もできる
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2022年:果てしない冬の山とAbyss One:マグヌスの登場
新地域「果てしない冬の山」が実装され,狩り場でドロップするアイテムで,太古が眠る防具「ラブレスカのヘルム」が作成可能になる。「ブラックスター補助武器」が追加され,ブラックスター武器のアップデートが終了となった。
果てしない冬の山は,獣人族の「アベッス」と人間が共に暮す「エイル村」が中心地だ。ログハウス風の家も特徴的
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ストーリー中にカットシーンが流れるようになり,フルボイス化されるように。プレイヤーキャラもよく映るようになった
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狩り場に関しては,個人用の狩り場「マルニの密室」機能,カルフェオン地域のエルビアの領域狩り場が実装された。ベルの心臓など,錬金石が強化可能になったほか,ブラックスターの代替となる「ゴッドアイド」武器も登場している。
また,新たな装備部位として「遺物」が追加され,遺物に装着する「光明石」によってさまざまなセット効果を得られるようになった。
UI改善などをはじめ,ゲームプレイの利便性アップのアップデートを積極的に行うようになったのもこのころからだ。メイン依頼の「Abyss One:マグヌス」もその一環で,これをクリアすると各地域間でのワープ機能と倉庫の遠隔利用が可能になった。
生活面でも「リアナの採集道具バッグ」が登場し,生活道具をまとめて入れた後に装備することで,採集方法に応じて道具を装着し直す必要もなくなっている。
馬関連では「微睡みのディネ」が追加され,初心者向けには「旅行者の馬」が村の厩舎から借りられるようになった。
なお,新クラスは「ドラカニア」「ウサ」が実装されている。
ドラカニアの覚醒スキル「大地を引き裂く咆哮」。前方に怒涛の大火力を浴びせる
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このころから新規衣装のセンスが上がったように思う。複数衣装をコーディネートしやすいように,グローブやシューズ部位が分割されるなどのアップデートも行われた
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さまざまな不思議空間を旅する「Abyss One:マグヌス」は,世界同時実装を成し遂げた
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2023年:朝の国実装とBest MMO of the Yearの受賞
新地域「朝の国」が実装され,ソロでのウィークリーボス討伐コンテンツ「黒い祠」が登場。夏には海中に新地域「水宮」,秋には新地域「ウルキタ」も追加された。なお,朝の国で「旦の篭手」,ウルキタで「アトルの靴」が実装され,太古が眠る防具の全部位が揃うことになった。
新クラスは朝の国のタイミングで「メグ」,ウルキタ後に「スカラー」が追加されている。
ウサとメグの姉妹は,これまでのキャラで最もキャラ背景が描き込まれたクラスと言えるだろう
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重力を操ることで,重いハンマーを軽々振り回すスカラー
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生活コンテンツでは,期間限定で利用できる「エフェリア巨艦」が実装された。合わせて,大洋では「空虚なマレッタ」という敵が登場するようになる。また,幻想馬に「微睡みのドゥーム」が実装され,3種の微睡みの幻想馬を入れて即時切り替えられる「クログダルの巣」という宝物アイテムも実装された。
このほかにも,既存の狩り場を上位狩り場に変質させる「デキアの灯り」が登場し,ウルキタ付近の狩り場とともに上位者向けの狩り場選択肢を充実させることになった。
また,「幻想馬」や「真IVブラックスター武器」が配布されたり,シーズンが常設化されるなど,新規プレイヤーや復帰者への強力なサポートが行われるようになった。さらに,北米最大ゲームメディア「MMORPG.com」から“Best MMO of the Year(最高のMMO)”などの3つの賞を受賞し,黒い砂漠にとって躍進の一年となる。
朝の国はマグヌスのワープでも行けるが,ぜひ一度は船旅で旅情を味わってほしい
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幻想馬配布やブラックスター武器配布は驚きだった。これを機に,幻想馬や装備をさらにアップグレードした人も多かったのではないだろうか
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2024年:朝の国:都の実装とさまざまなデータの整理
新地域「朝の国:都」が実装され,パーティ向けの「黒い祠 - 黄海道」が登場。300vs.300のギルド戦争「薔薇戦争」,ウルキタ南部の「イスラヒド高原」なども追加された。
300人がぶつかり合う大規模ギルド戦争「薔薇戦争」は,両陣営の「指揮官」が各部隊に指示を出して戦う
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生活では採集道具が簡素化されたり,最上位の霊薬「調和の霊薬」が追加されたりしている。
簡素化やUI改善が大きく進んだ年で,真Vブラックスター武器や微睡みの幻想馬が配布されたほか,ブラックストーンや痕跡,果実,精髄,船舶強化アイテムなどが統合,もしくは簡素化された。生活レベルも,家門統合によって家門内のキャラで共有化されるようになっている。印章系のアイテムは「財貨リストUI」に移され,バッグの圧迫も減った。
この年の新クラスは「ドーサ」「デッドアイ」だ。
9周年のお祝いでは,日本向けの荘園用家具「[EV][荘園] 茶屋の縁台」がプレゼントされた
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朝の国出身の3人目のクラスとなる「ドーサ」。アクション初心者でも扱いやすいキャラに仕上がっている
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「朝の国:都」では,韓国の国家遺産庁の協力で作られた宮殿「景福宮」が登場
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現代的な衣装が続々と登場し,キャラの個性を更に発揮しやすくなった
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10段階の強化段階に細分化された最上位装備「君王武器」や「カラザドアクセサリー」が実装
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現実の世界からやってきた「デッドアイ」。黒い砂漠で初めて銃火器を使うクラスとしてファンを沸かせた
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日本サービス10周年も「黒い砂漠」から目が離せない
そして,2025年の「黒い砂漠」だ。スノーボードの常設化や幻想馬「ボルタリオン」の追加,クラスバランス調整など,注目のアップデートは続いているが,印象的なのは,とにかくアップデートスピードが早いことだ。
かつては韓国での実装から日本へのローカライズで時差があり,その間に攻略情報が出きってしまう……といった問題がしばしばあった。しかし,最近では小規模アップデートの時差はほぼ1日にまで短縮され,新コンテンツの鮮度が保たれるようになった。これは純粋にサービスクオリティの向上だと言えるだろう。
10年で積み上げたコンテンツは,そう簡単には遊びきれないほどの量だが,必要な奥深さは残しつつ,情報が整理されて遊びやすくなっている。新規プレイヤーや復帰者が手軽に成長感を味わえるように調整が続いているので,ぜひこの機会に遊んでみよう。
そして最後に……黒い砂漠10周年おめでとう!