エクシヴィの代表取締役である近藤義仁氏。自身が惚れ込んだ「Rift」を装着しての登場
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2014年4月7日〜4月8日に開催された
「Unite Japan 2014」の2日めに,
「主婦でも出来る Unity」と題した講演が行われた。「Miku Miku Akushu」の生みの親であるエクシヴィの
近藤義仁氏が,Twitter上で展開した「主婦ゆに!」こと
「もしも、プログラミング経験がない文系の主婦がUnityをはじめて1ヶ月でミクさんを出してダンスさせることができたら」という企画を通じ,Unityと「Rift」で手軽に制作できるようになったVRアプリの魅力をアピールした。
Unityと「Rift」でパーソナル化していくVRアプリの世界
「主婦ゆに!」こと「もしも、プログラミング経験がない文系の主婦がUnityをはじめて1ヶ月でミクさんを出してダンスさせることができたら」という企画をご存じだろうか。企画内容は説明するまでもないだろうが,エクシヴィの代表取締役である近藤義仁氏が,“プログラミング経験がない文系の主婦”である
someluさんにUnityの手ほどきをしたところ,みるみるうちにレベルアップ。ミクさんを踊らせるどころか,Oculus VRのヘッドマウントディスプレイ「Rift」用にVR(バーチャルリアリティ)ゲームを作り,体験イベントに出展するまでに成長した……という興味深い企画である。
分かりやすいプログラム開発環境を提供したUnityによって,「主婦ゆに!」のような状況が生まれた。今後は安価なRiftによってVRもパーソナル化されていくので,皆でVRアプリを作っていこう……と近藤氏は受講者に勧める。
Unityを使い1日で完成させた「Miku Miku Akushu」
そして「主婦ゆに!」のスタート
近藤氏といえば,Riftを使ってVR空間で初音ミクを眺める
「Mikulus」や,ミクと握手できる
「Miku Miku Akushu」などで知られるクリエイターだ(
関連動画)。
中でもMiku Miku Akushuは,Riftと,Novintの3次元感触コントローラ「Novint Falcon」(
関連記事),そして3Dプリンタで作られた“手”を組み合わせるというユニークなアイデアで注目を集めた。さまざまなイベントに出展されたMiku Miku Akushuだが,これがUnityを使うことにより,わずか1日で完成したというのだからから驚きだ。
Kickstarterを通じて手に入れたRiftに魅力を感じた近藤氏は,届いたその日に対応ソフトを作り上げた
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銃型のインタフェースでFPSにも使えるNovint Falconだが,近藤氏はこれに,3Dプリンタで作った“手”を装着。Riftを装着することで,目の前に現れた初音ミクと触感を伴った握手ができるMiku Miku Akushuを制作した
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このMiku Miku Akushuに大きな反応を示したのがsomeluさんだ。「ミクさんと握手するために」とわざわざネイルをして朝一番に現れたsomeluさんを,“ただ者ではない”と感じた近藤氏。イベント終了後もTwitterでコンタクトを取り続け,2013年12月に近藤氏が「主婦ゆに!」を発案したところ,someluさんがこれに乗ってきたことから,企画が本格的にスタートしたという。
Miku Miku Akushuを出展した会場に,ネイルを決めて朝一番で現れたsomeluさん。この出会いから,「主婦ゆに!」こと「もしも、プログラミング経験がない文系の主婦がUnityをはじめて1ヶ月でミクさんを出してダンスさせることができたら」という企画がスタートした
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想像を超えたレベルアップで生まれたVRゲーム
プログラミングの世界とは無縁だったsomeluさん。Unityのインストールこそ手こずったものの,「主婦ゆに!」の企画を知った人たちからのアドバイスやチュートリアル動画での独学などにより,わずか5日めにしてスクリプトを書き始め,6日めには画面上にミクを出すという,急速なレベルアップを見せた。
Twitterで「主婦ゆに!」を知った人の助けもあり,急速に成長していくsomeluさん。5日めでスクリプトを書き,6日めには初音ミクを画面上に表示させることに成功した
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2014年2月には3Dモデリングをスタートし,3月の「Oculus Festival in Japan」には,“「Rift」を装着した頭を動してゲームフィールドを傾けることにより,ミクの入ったガラス玉を転がし,音符を回収する”というVRゲームを出展するまでに成長した。
「Oculus Festival in Japan」にRift対応のゲームを出展するなど,長足の進歩を見せたsomeluさんは,無事に「主婦ゆに!」を「卒業」。3Dモデリングを学ぶ「主婦めた!」がTwitter上でスタートしている
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someluさんが実家にRiftを持ち帰って家族に試してもらったところ,大きな反応を見せたのはsomeluさんのお母さんだったという。
someluさんのお母さんは無類のジェットコースター好きだが,膝を悪くしているため,思うようにジェットコースターに乗りに行けないのだという。しかしRiftがあれば,家にいながらにしてリアルなジェットコースター体験をすることも可能だ。someluさんのお母さんは「こんな楽しいものができるまで長生きできてよかったわ!」と大喜びしたという。
someluさんのお母さんはRiftによるVR体験に大喜び。Riftを手がけたPalmer Luckey氏にこれを伝えたいと願っていたsomeluさんだが,なんとLuckey氏が講演を聴講しており,思わぬところで念願が叶った
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UnityとRiftがVRの世界を身近なものに
ゲーム開発とVRへのハードルを下げたUnityとRift。個人が気軽にVRアプリを開発できるようになった現状を,“VRのパーソナル化が進んでいる”と近藤氏は表現する。こうした状況は特異的なものではなく,パソコンとBASICの普及によってゲーム作りが(比較的)簡単になったことを思わせる,と近藤氏は自分の体験と現状を比べ合わせて分析した。
かねてよりVRに関心を持っていた氏は,UnityとRiftを使ったVRアプリの開発に着手した。引っ越し先の間取りを決めるために,Unityで再現した引っ越し先の部屋をRiftでVR体験できるシミュレータを開発するなど,UnityとRiftでパーソナル化したVRを活用しているという。
UnityとRiftでVRアプリが手軽に開発できる現状を,“VRのパーソナル化が進んだ”と分析する近藤氏。引っ越し先の部屋をRiftでVR体験できるシミュレータや,クロマキーの前で演技した人がVR世界に出現できるアプリなどを開発している。後者はVRを使った演劇に応用できるのではないかと近藤氏は語っていた
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1980年代に訪れた8ビットPCブーム。マシン語によるゲーム開発は難しいものだったが,BASICの登場により,そのハードルが下がったと近藤氏は指摘
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近藤氏は,「VRはこれからジェットコースターのように加速度的に発展していくので,あと300年くらいは生きていたいですね。UnityとRiftがあれば個人でもVRアプリを作ることができます。皆さんもUnityでVRアプリを作ってみてください」と,UnityとRift,そしてVRアプリの魅力を熱く語り,講演を締めくくった。