「セガネットワークス メディアカンファレンス 2014 Autumn」が開催。4本の新作アプリや「チェインクロニクル」「サカつくシュート」の新情報，「Noah Pass」事業の新展開が発表に

　2014年9月25日に，イベント「セガネットワークス メディアカンファレンス 2014 Autumn」が東京都内で開催された。
　このカンファレンスは2部構成となっており，第1部ではセガネットワークスの提供するマーケティング支援ツール「Noah Pass」の戦略と今後の展望が，第2部ではスマートフォン向けゲームの新作タイトル4本と既存タイトル2本の情報がそれぞれ公開された。本稿では，その模様をレポートしよう。

スカッズ 〜最凶の絆〜（2014年秋配信予定）

　順番が前後するが，まずは第2部で発表された新作アプリの情報から紹介していこう。

「スカッズ 〜最凶の絆〜」開発ディレクター 古市憲生氏。同タイトルについて「セガらしい，気持ちよく遊べるゲームに仕上がっている」とコメントしていた

　2014年秋配信予定の「スカッズ 〜最凶の絆〜」（iOS / Android）は，コンセプトに「漫画的ストーリー演出」「片手で遊べる簡単操作」「爽快なバトルアクション」を掲げた，不良達の活躍を描くゲームだ。登場人物は，不良学生をはじめ，ギャング，バイカーなど，200名を超える“不良集団（スカッド）”のメンバー達である。

　ストーリーは，主人公の「我地 魂」（がち たましい）が，姿を消した親友「西条」の行方を追っていく中で，スカッド同士の抗争に巻き込まれていくというもの。その過程で，ヒロインや舎弟，トリックスター，そして主人公の前にライバルとして立ちふさがる不良達が登場し，話を盛り上げていく。
　また，これらのストーリーはコマ割りやセリフのフキダシといったマンガのような手法で，コミック調に演出される。


　戦闘は，パチンコを模した画面構成となっており，1本の指で爽快な不良バトルを堪能できるという。演出もまたパチンコ調の派手なものに仕上がっており，気分的に盛り上げてくれるとのことだ。なお，ゲーム自体はパチンコそのままではなく，きちんとゲームの形になっているという。


　さらに会場では，コラボレーションの情報も発表された。
　まず本作では，秋田書店とコラボレーションを行い，雑誌「別冊ヤングチャンピオン」で，白鳥貴久氏の描く同タイトルのコミカライズ作品が連載されるという，メディアミックス展開が行われる。
　ゲームでは，秋田書店のコミック誌で不良マンガを手がける有名作家陣の描き下ろしオリジナルキャラクターであったり，秋田書店を代表するようなキャラクター達が登場するとのこと。
　また，先に「こちら」の記事でお伝えしたように，事前登録したプレイヤーには，週刊少年チャンピオンで「錻力のアーチスト」を連載している細川雅巳氏が描き下ろしたオリジナルキャラクター，「SR 錦城天音」がプレゼントされる。

　本作のイメージソングには，ロックバンド「The Mirraz」の楽曲「アステルファームの味がする」を起用。このほかにも，さまざまなコラボを予定しているそうなので，今後の発表を待ちたいところだ。

オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-（今冬配信予定）

　今冬配信予定の「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-」（iOS / Android）は，奥深いストーリーと多人数対戦が楽しめる正統派RPGだ。
　ゲームのコンセプトは，「2国間が対立する壮大なストーリー」「簡単操作で戦略性のある戦闘」「蹴散らす醍醐味が爽快な多人数対戦」というもの。

「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-」の開発を手がけるセガ オンライン研究開発部 向山俊行氏（左）と，4samurai COO 開発プロデューサー 田口堅士氏

　物語の舞台となるのは中世の架空の国「オルタンシア王国」。同王国は，4年前に反乱を起こして独立した「カメリア公国」と対立しているという状況だ。プレイヤーはオルタンシア王国の若き地方領主で，戦いに身を投じていくことになる。
　ゲームでは，両国の対立を描くメインストーリーを軸に，キャラクターのエピソード，外伝ストーリーなどによって構成される。ストーリーを深く掘り下げる味付けとして，それぞれをクリアするごとにゲーム内の年表が埋まっていくという「年表システム」が用意されている。


　戦闘は，剣士や弓兵，魔法使いといった攻撃手段や攻撃範囲が異なる兵種を組み合わせ，戦略/戦術的に展開。コンボをつなげて入手する「スキルボール」を使えば，一気に敵を蹴散らすことも可能とのこと。
　また，本作のメインコンセプトの一つである多人数対戦モードでは，敵味方合わせて最大40人による同時対戦ができる。現在鋭意開発中だが，戦場を駆け回る大量のちびキャラを蹴散らしていく爽快感の実現を目指しているとのことである。

大乱闘！ドラゴンパレード（今冬配信予定）

　同じく今冬配信予定の「大乱闘！ドラゴンパレード」（iOS / Android）は，縦持ちで遊ぶラインバトルゲームである。コンセプトは「奥深いゲーム性を手軽に楽しめる」「必殺技まで指1本で出せる」「対戦モードの結果で村が発展」の3つ。
　ゲームは，ボタンを押していくだけで進行していく分かりやすいシステムでありながら，敵のタイプや特性に合わせ，どういったユニットをどのような順序で対抗させるかといった戦略/戦術の奥深さを追求できるという。

「大乱闘！ドラゴンパレード」開発プロデューサー 斎藤誠記氏（左）と，アクセルゲームスタジオ 開発ディレクター 佐藤竜史氏

　また，ラインバトルゲームをあえて縦画面スタイルにしたことで視界が狭くなってしまうが，その代わりにカメラ視点を動かせ，拡大縮小もできるようになっているとのこと。なお，プレイに逆転劇をもたらす必殺技「ソウルブレイク」も，指1本で発動できる。


　対戦モードで得た報酬などは，プレイヤーの拠点となる村の発展のために投資できる。たとえばゲートの耐久力を上げたり，装備品を作ったりといったように，村を発展させることで，戦闘に関する能力を引き上げることが可能になる。

　さらに同タイトルには，カヤックが提供するスマホ向けゲーム実況録画ツール「lobi」の「REC SDK」を使った機能が搭載されている。プレイしながらカメラで自分の顔を映すゲーム実況動画を録画可能だ。なお，録画した実況動画は，プレイ終了後にYouTubeやTwitter，Facebookに投稿可能とのこと。

オシャレコーデ GIRLS HOLIC（9月末配信予定）

「オシャレコーデ GIRLS HOLIC」開発ディレクター 中川侑美氏。コラボしているEGOISTの2014年秋冬アイテムを着用しての登壇

　9月末配信予定の「オシャレコーデ GIRLS HOLIC」（iOS / Android）は，スマホで楽しめる女性向けのファッションコーディネートゲームである。
　コンセプトは「女の子の大好きがいっぱい！」となっており，ゲーム内では，最新ファッションアイテムと，ハイクオリティの3Dアバターパーツを組み合わせて，さまざまなコーディネートを楽しめる。

　同タイトルのセールスポイントは，今はやっているファッションアイテムで着せ替えができるところ。ゲーム内には，2000種類以上の最新アイテムが用意されるほか，毎月100種類以上が追加されていく。また，リアルブランドとのコラボにより，ゲーム内に登場するアイテムを，リンクされた通販サイトから購入することも可能とのこと。
　なお配信開始時点では，EGOIST，WEGO，夢展望，esNAIL，galaxxxy，kitsch，SandyClause，CandyDoll，QUEEN EYESといったブランドがゲーム内に登場するという。


　ゲーム内では，プレイヤーが自分のショップを持つことができる。ショップでは，顧客をコーディネートしたり，新商品を買い付けたりできるほか，店員として有名になると雑誌からの取材をされることもあるという。
　さらに，ゲーム中では自分でコーディネートしたファッションのスナップ撮影も可能だ。この機能を使うと，ポーズや表情，背景やフレームなどのアレンジや，フレンドとの2ショット撮影が可能なうえ，SNSへの投稿もできる。
　また同タイトルの最終目標はファッションリーダーとのことで，テーマに合わせたコーディネートでエントリーし，ほかのプレイヤーとおしゃれ度を競える「おしゃれグランプリ」機能も用意されている。

「サカつくシュート」では，この秋に過去最大規模のプロジェクトを展開

「サカつくシュート！」開発プロデューサー 中村泰良氏

　既存タイトルからは，「サカつくシュート！」（iOS / Android）と「チェインクロニクル 〜絆の新大陸〜」（iOS / Android）の直近のアップデート情報が公開された。
　6月に開催されたサッカーのワールドカップブラジル大会の影響や，このところのアップデートの実装内容が好評だったことを受けてプレイヤー層が拡大し，「サカつくシュート！」は先日140万ダウンロードを達成した。
　そして，「サカつくシュート！」は12月10日に配信開始1周年を迎えることを記念し，この秋に過去最大規模のプロジェクトを展開するという。会場では，そのプロジェクトで実装される新要素のキーワードが示された。

　キーワードの一つめは「監督」。監督の手腕によって，クラブのさらなる強化が可能となり，監督の能力をフルに生かして試合を有利に進めることができるようになるという。
　キーワードの二つめは「留学」。「サカつく」シリーズおなじみの「留学」により，選手を今以上に強化できる。留学先のクラブに応じて，さまざまな効果が用意されるとのことだ。
　これらの要素について，詳細は語られなかったが，その理由はまだ配信時期が確定できていないからだという。プレイヤーは続報を期待して待っていてほしい。

「チェインクロニクル」では9月末実施予定のアップデート情報が公開

「チェインクロニクル 〜絆の新大陸〜」チーフプロデューサー 秋山隆利氏

　「チェインクロニクル」は，9月末に予定しているver 2.1アップデートで，3つの新システムが導入されることが発表された（関連記事）。これらのシステムは「多くのキャラクターに活躍の場を作る」というコンセプトのもと，開発されたとのことだ。

　まず「タイムアタックルーレットシステム」は，ゲーム内で入手できる「カジノコイン」を使って専用クエストに挑戦すると，さまざまな報酬を入手できるというコンテンツ。より高難度のクエストを速いタイムでクリアするほどレアリティの高い報酬を期待できる。なお報酬にはSR，SSRといったレアアルカナも含まれる。
　カジノは副都に追加されるクエスト「カジノの噂」をクリアするとアンロックされ，以後カジノ専用クエストに挑戦できるようになる。
　なお秋山氏によれば，このシステムを使った拡張イベントも現在企画開発中だという。


　「絆アビリティシステム」は，出撃パーティの各キャラクターに，サポートキャラクターを設定するシステムである。このシステムを利用すると，出撃するキャラクターの能力アップを図ったり，特殊なアビリティを発動させたりすることが可能となる。キャラに合わせた能力が発動するような形になると，秋山氏は話していた。
　このシステムを利用するには，キャラクターのレベルが40以上になっている必要がある。サポートキャラはパーティには含まれず戦闘にも参加できないが，キャラにセットするためのコストは，パーティに組み込むときと同様に必要。つまり，サポートキャラをセットするほど，パーティを組むための総コストが上昇することになる。
　なお，会場では詳細は明かされなかったが，絆アビリティシステム自体をアンロックするための条件があるとのこと。


　「武器持ち替えシステム」は，1キャラクターにつき3種類の武器を装備でき，必要に応じて持ち替えられるようになる，というもの。なお，武器の持ち替えはキャラクター詳細画面で行うことになる。
　これまで同タイトルでは，古い武器を新しい武器で上書きする形でしか持ち替えできなかったため，プレイヤーにとっては待望のコンテンツといえるだろう。
　今回のアップデートはまだ日程が確定していないが，9月末頃を予定しているそうなので，プレイヤーは楽しみに待っていてほしい。

マーケティング支援ツール「Noah Pass」で4つの新展開

　ここからは，第1部で発表された，セガネットワークスが提供するマーケティング支援ツール「Noah Pass」の新展開についてお伝えしよう。

プレゼンテーションの冒頭では，セガネットワークス 代表取締役社長 CEO 里見治紀氏から「Noah Pass」の仕組みが紹介された

　「Noah Pass」は，スマートフォンアプリ向けのシステムで，参加している複数のゲームアプリ内に無償の誘導広告を相互に表示することにより，顧客の相互紹介を主な目的としている。2014年9月現在では，73社/304本のアプリが「Noah Pass」に参加しており，利用者は6800万人に上るという。

4つの展開について説明した，セガネットワークス 上席執行役員 事業本部長 岩城 農氏

　会場では，「Noah Pass」で今後予定されている4つの新展開が，セガネットワークス 上席執行役員 事業本部長 岩城 農氏より発表された。

　最初に，アマゾン ジャパンとのコラボレーションで，10月初旬より展開される施策についての発表が行われた。
　一つめは，「Noah Pass」参加ゲームアプリを対象に，課金アイテムの購入金額に応じて「Amazonコイン」（Amazon Androidアプリストアで使用できる仮想通貨）をプレゼントするキャンペーンを行うというもの。合わせて，Amazon Androidアプリストア内には「Noah Pass」参加ゲームアプリの特集ページが設置される。

アマゾン ジャパン アプリストア事業部 事業開発部長 岡崎淳一氏

　ゲストとして登壇した，アマゾン ジャパン アプリストア事業部 事業開発部長 岡崎淳一氏は，「Amazonコインを広く普及させることが，より多くのお客様に深いゲーム体験を提供できるきっかけとなることに期待したい」とコメントした。

　次に発表されたのは，フジテレビジョンとグーパとともにゲーム特化型クラウドファンディングサービス「Crowdrive」（クラウドライブ）を，10月末より展開することについて（関連記事）。
　このサービスは，「Noah Pass」参加企業のゲームコンテンツを対象に，ゲーム提供開始時やゲーム内イベント開催時などにプレイヤーからの資金協力を呼びかけるというもの。資金提供者には，リワードとしてゲームに関連した体験やサービス，オリジナルグッズなどがプレゼントされる。
　クラウドファンディング自体はほかの企業でも行われているが，「Noah Pass」では企画段階にとどまらず，リリース近辺の事前登録サービスもサポートするというのが特色といえるだろう。
　岩城氏はこの施策の狙いを，ゲーム提供企業とプレイヤーとの継続的なコミュニケーションにより，サービスを拡大していくことにあるとしていた。


　ゲストとして登壇したフジテレビジョン 総合開発局 統括担当局長 川口達也氏は，「ゲーム業界全体の推進力となり，またユーザーに貢献できる施策として展開していきたい」と展望を述べた。

　3番目に発表されたのは，「リターゲティング広告の開始」である。
　セガネットワークスの調べによれば，ゲームのプレイを開始した人のうち，30日後も継続している人の割合は約10〜20％まで落ち込むとのこと。しかし，一度離脱したプレイヤーが再度同じゲームを遊び始めた場合は，約30％が継続する傾向にあるという。
　この調査結果を踏まえ「Noah Pass」では，facebookやGoogleの広告，nex8などのアドネットワークを活用したリターゲティング広告を2014年冬から開始するとのことだ。


　最後に発表されたのは，10月初旬にKindleストア，iBooks，Google Play ブックスで発売される「スマホゲームユーザー解体新書」について。同白書では，セガネットワークスが約2年にわたり行ってきた市場調査の結果を分析しており，さらに同社タイトルのプレイ動向データを突き合わせることで，プレイヤーを7つのタイプに分類。ゲーム運営に活用できる内容になっているという。


　また，「Noah Pass」参加企業には，このタイプ分類データをもとに，それぞれのタイトル内のプレイヤー分布を可視化できるソリューションを提供するとのこと。
　同ソリューションは，外部リサーチ会社にて集計とレポート行うので，一切の情報はセガネットワークスを含む競合他社に漏れない仕組みとなっている。さらにこのソリューションで得られるプレイヤー特性は素のデータではなく抽象化されたものであり，特定の個人に紐付くことがないので，個人情報保護の観点からも安心して利用できるとのこと。
　こちらのサービスは，10月末提供開始予定だ。


　最後に岩城氏は，「Noah Pass」について，さまざま企業と大小問わず取り組みができる仕組みであるとし，2014年末など近い時期に，今回発表した展開の成果を伝えつつ，さらなる新しい展開を披露したいと展望を述べ，プレゼンテーションを締めくくった。