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Aiming,東証マザーズに上場。ネイティブアプリ志向はモバイルゲーム市場成功の鍵となるのか
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印刷2015/03/25 20:33

業界動向

Aiming,東証マザーズに上場。ネイティブアプリ志向はモバイルゲーム市場成功の鍵となるのか

画像集 No.002のサムネイル画像 / Aiming,東証マザーズに上場。ネイティブアプリ志向はモバイルゲーム市場成功の鍵となるのか
 「剣と魔法のログレス いにしえの女神」iPhone / Android,(「ヴァリアントレギオン」iPhone / Android)などの開発,運営で知られるAimingは,2015年2月19日に東証マザーズへの上場承認を受け,3月25日に株式公開を行った。市場コードは「3911」。主幹事は野村證券,監査法人はあずさ監査法人が担当している。
 「有価証券届出書」によると,上場時発行済株式総数は3189万5500株,想定発行価格は920円,想定時価総額は287億円となる。Aimingが今回の上場を通じて調達する想定金額は26.7億円となる見込みだ。資金使途は,MVNOジャンルへのゲームコンテンツ開発および運営資金として15.4億円,テレビCMなどの広告宣伝費として11.3億円としている。
 また,今回の上場時の株式の売出しには,ベンチャーキャピタルからはAiming筆頭株主であるジャフコ,インキュベイトファンド,Aiming役職員からは代表取締役の椎葉氏,武市取締役が参加し,合計320万株,想定28.8億円分を売り出している。公開初日の始値は1032円,終値は1126円だった。

 Aimingは,2011年5月設立。翌月にはONE-UP株式会社から事業部の譲受を行い,大阪府大阪市に大阪スタジオを新設。同年10月にマーベラスとの協業でPCブラウザゲーム「剣と魔法のログレス」をリリースした。その後,2012年2月台湾支店,同年3月にAiming Korea,同年4月Aiming Global Service(フィリピン)を設立と短期間で拠点数を増やしてきた。2015年1月時点で371人の従業員を抱えており,2014年には中国Tencentグループとの業務提携も行っている。

 Aimingの2013年12月期(2013年1月1日〜2013年12月31日の期間)連結決算数値は,売上高26.2億円,経常利益▲2.8億円。一転して2014年12月期は,売上高65.3億円,経常利益3.4億円と大幅な増収増益傾向で推移している。

 現在,同社は,ブラウザゲーム「剣と魔法のログレス」,そのスマートフォン版「剣と魔法のログレス いにしえの女神」「ロードオブナイツ」「ヴァリアントレギオン」,セガネットワークスとの協業タイトル「幻塔戦記グリフォン」などを運営している。
 とくにマーベラスとの協業タイトル「剣と魔法のログレス いにしえの女神」は,AppStore総合売上順位では最高2位,GooglePlay総合売上順位では最高4位と好調に推移しており,2013年12月期では売上に占める割合が0.4%だった当タイトルが,2014年12月期3Q売上高の50.3%を占めるまでに成長している。ネイティブアプリで確実な成長を積み上げている印象だ。

 モバイルゲーム開発会社の上場状況を見ると,最近では,オルトプラスが設立から約2年10か月(上場申請期売上高25.9億円,経常利益7.1億円),enishが3年10か月(上場申請期売上高44.3億円,経常利益6.5億円)と短い期間で上場するケースが目立ったが,Aimingも3年10か月という短い期間で上場に漕ぎ着けている。短期間で上場まで駆け上がることができるのも,モバイルゲーム市場の成長性の高さと,ヒットタイトルを生み出したときの爆発力による賜物だ。


伸び悩むプラットフォーム依存型企業,ネイティブアプリの成功が明暗を分ける


 しかし,最近,このように短期間で上場した企業では,上場後の業績悪化が目立つのも事実だ。Aimingも同じ状態に陥る可能性があるのではないか,という不安も残る。そこで,業績悪化に陥った企業と比較し,Aimingが「本物」なのか,そして成長性への期待はどれほどか考察してみたい。

画像集 No.001のサムネイル画像 / Aiming,東証マザーズに上場。ネイティブアプリ志向はモバイルゲーム市場成功の鍵となるのか

 上記は,直近3年以内に新規上場を果たした主要モバイルゲーム銘柄の業績動向と売上高のプラットフォーム依存度を比較したものだ。

 これを見て分かるのは,先述したオルトプラスやenishだけではなく,業績悪化した企業の要因はほぼ一致している,ということだ。それは,配信先をプラットフォームに依存していた企業,上記の表の中ではAiming以外がほぼ同時期に業績悪化に陥っているということだ。とくにオルトプラス,KLab,gumiは赤字転落している。オルトプラス,enish,KLabはGREEへの依存度が大きく,KLabはモバゲーへの依存度が高い銘柄だった。

 その後,KLab,gumiは業績回復を遂げているが,両社に共通することは,売上比率をネイティブアプリへスムーズに移行できた(ネイティブゲームでヒットを出せた)ことだ。逆に,オルトプラスとenishはプラットフォーム主義を貫いている。両社の2015年度における第1四半期の実績や,GREEの業績発表など,さまざまな材料を考慮すると,予想業績達成の確度は低いと思われる。

 ここで改めてAimingの業績推移を確認してみると,創業時はプラットフォーム,ネイティブアプリ万遍なく展開していたが,その後,ネイティブアプリの業績をストレートに伸ばしていることが分かる。

 まさしく,ネイティブアプリの申し子の一つであり,他社がプラットフォーム依存から脱却しようと苦戦しようとしている中で,先駆けてネイティブアプリの成長にフォーカスしヒットタイトルを作り上げたのだ。コロプラ,ガンホー,mixiなどネイティブアプリでの大幅な成長を果たした銘柄の,若手エース格とも言えるだろう。

 Aiming代表取締役社長の椎葉忠志氏は,ゲームオンで上場を経験し常務取締役を務めたのち,ONE-UP代表として「ブラウザ三国志」「戦国IXA」を成功に導いた人物だ。そんな氏の率いるAimingは,スマートフォン展開の初期こそ手馴れたカード型シミュレーションゲームの「ロードオブナイツ」などを出していたものの,その後のタイトルではスマートフォン用としては挑戦的なものが目立っていた。時代を先取りしたネイティブ志向は,こうした重厚な経歴を持った経営者の「本能」とも言うべき経営センスなのかもしれない。

 ただ,「剣と魔法のログレス いにしえの女神」に売上の50%以上を依存している前期決算を考えれば,不安材料も存在する。しかし,椎葉社長の手腕への期待もある。「モンスターストライク」や「パズル&ドラゴンズ」など,長期間成長しているネイティブアプリの事例も出てきており,「剣と魔法のログレス」をそれらと同様の成長曲線に乗せることができれば,花形銘柄の仲間入りも夢ではない。
 Tencentとの業務提携など,中国市場への布石も打っている。経営陣への期待感も含め,ネイティブアプリの申し子には今後さらに注目が集まるだろう。

「Aiming」公式サイト

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