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印刷2016/12/10 00:00

プレイレポート

【山本一郎】「三國志13」プレイレポート――俺たち黄巾族! 底辺から呂布を目指す兵卒バカ一代・裴元紹の一生(前編)

山本一郎 / アルファブロガーにしてゲーマー。その正体は,コンテンツ業界で今日も暗躍(?)する投資家

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山本一郎:茹で蛙たちの最後の晩餐

ブログ:http://lineblog.me/yamamotoichiro/


 三國志13,してますか?

 長嶋茂雄風の出だしで始まった割にはネタが続かない山本一郎です。ガチャ問題であれやこれや話題作りをしていたところ,とある庁の公文書に「ネットでこの問題を最初に提起した山本太郎氏が」とか「山本太郎氏からの情報提供を受けて」といった誤字が数か所で見られ,またしても類似品注意の但し書きをしなければならないほどの被害に見舞われております。なんと申しますか,本物の山本太郎さんにも申しわけのない気持ちになる次第です。

 ところで,バージョンアップしてほんのり人事がまともになった我らが「三國志13」PC / PS4 / PS3 / Xbox One)ですが,うっかり都督になってしまうと人間の効率がAIを圧倒してしまう問題があるため,やっぱり一兵卒プレイか,せいぜい前線太守で楽しくやるのがこの三國志13のウリだと思うんですよね。来年2月(2017年2月16日)には「三國志13 With パワーアップキット」「三國志13」PC / PS4 / PS3)が出るらしいですが,どうせ私はメーカー取材に送り込んだりしてもらえないだろうと思いますので,正座してSteamにリストされるのを待ちたいと思います。ただ,賛否両論はあれど,三國志の世界は面白いですよ。

 やっぱりですね。親方の思いつきに振り回されてこその武将人生だと思うんですよ。見た目は前線に2万程度の兵隊さんしかいない敵の都市だけど,そこに攻め込んだら絶対10万以上の敵の援軍が来るんです。なのに,つい敵の前線の手薄さに釣られて軍勢を起こして攻め込んでしまうAI君主。そして猛烈な反撃に遭い,返り討ちを食らって惨敗。劉備とか「義のために兵を挙げる!」とか二言目には言いますが,お前さあ,見た目の敵兵が少ないと思って食指が動いただけだろ。

 案の定,ちょっと攻め込んでみると敵も全力で迎え撃ってきて,局地戦のはずが,あれよあれよという間に君主同士の総力戦になってしまうわけです。そんなつもりはなかったのに。そんな火薬庫のような戦場に,たった数千人とはいえ兵隊の命を預かり,戦場に身を投じる私たち。そんな壊滅待ったなしの現場に問答無用で送り込まれるのがいいんです! いいんです!

 ああ,雑魚だ,ゴミ武将だと言われても,この命ある限り「三國志13」の世界で生きた証を打ち立てたい……人として,この世に生を与えられたからには,最大限に身体を燃やし,テロメアがなくなり細胞分裂が止まるその日まで後悔しない人生を歩みたい。この悠久の歴史の中で,一篇といえど己の人生を刻み込みたいと願う私は,敢然と裴元紹さんをチョイスするわけであります。

 なぜ裴元紹さんなのか。それはね,まあ確かにゴミ武将ですよ。実在したのかどうかは分からないけど,一度は黄巾の乱に身を投じながらも改心し,まともな人生を歩むかと思いきや,ついうっかり趙雲さんの馬を盗もうとしたばっかりに叩き斬られてしまうという残念なエピソードひとつでゴミ武将扱いされているからなんですよね。それも,すごい無能として。

 ひょっとしたら,実は裴元紹さんはまともに仕事を与えられ,真面目に働いていたらこんな悲惨な斬られ役で儚い人生を終えることもなかったのではないか。周囲の武将や国民や,家族に惜しまれながら,孫に囲まれて人生を終える別の世界線があったのではないか。その才能を認められ,立身出世の果てに国家の大黒柱として戦場を駆けめぐり,将卒たちから常勝の将として尊敬を一身に集める存在になっていたのではないか。

 よろしい。そのような「if」を実現してみましょう……裴元紹さんで。もうね,私の見るところ,裴元紹さんは呂布さんを超える逸材のようにも見えるんですよ。気のせいかもしれないけど。シナリオ1で16歳で登場する若き裴元紹さんの将来は,三国一の猛将として称えられるものになるのかもしれません。人間,変われるものだ。そこに愛があれば。

 目指すは裴元紹さんの素晴らしい人生の追求だ!

いいぞ! 戦え裴元紹! 今回のリプレイは,三国志序盤屈指の斬られ役・裴元紹,底辺からの立身出世の物語。1800年の時を超えて不名誉を返上するべく,いま立ち上がる!!!
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 なお,このプレイでは2つだけ制約を課しています。

・黄巾の乱の首謀者・張角さんに,人畜無害な娘を登録武将として設定しています。

 これは,どういう理由か分かりませんが,張角さん,張宝さん,張梁さんの三兄弟が戦場で戦死するか,捕らえられて処断されると,黄巾の乱終了フラグが立ってしまうのです。その後,どんなに黄巾軍が拡大していっても,張燕さんなど適当な武将がなぜか黄巾軍を継いで,勝手に黄巾の乱が鎮圧されたことになり,シナリオが進んでしまいます。
 まだ俺たち頑張ってるのに勝手に反乱終わらせるなよ。それを避けるために,黄巾ブラザーズお三方が死んでも黄巾の皆さんの戦いが続くように,毒にも薬にもならない跡継ぎを設定しました。なお,その後パッチが当たってしまい,このフラグ回避策もいまはできなくなっています。残念。

・重臣に就かず,太守や都督以上にならないようにしています。

 このリプレイのゲーム終盤まで,軍事担当にも軍師担当にもならず,太守の誘いも断っています。昇進するのもこのゲームの楽しみですが,太守になると自由度が上がりすぎるばかりか,私のような零細勢力好きの叩き上げのベテランは勝てる戦を選んで戦争を仕掛けるため,難度が上級でも敵AIを圧倒してしまい,一気に自陣営の戦況が有利になりすぎてしまいます。
 当AAR(after action report。事後レポート)では,あるゲーム進行上の必要が出て,太守に就任しましたが,それは読んでのお楽しみに。


黄巾で乱れに乱れた世の中を正すべく,裴元紹見参!!


 野郎ども! 俺が裴元紹だ!! 字(あざな)は無い。というかよく知らない。威勢よく自分の名前をお伝えしてみたが,知力は100点満点中25,政治は27。頼みの武力系も統率45と,雑魚中の雑魚扱いだ! マジでゴミ武将。困ったもんだ。はっきりいって,NPCで出てくる夜盗のほうが一騎討ち強い。いくら斬られ役だからって酷いです……。弱すぎるだろ。

ゲーム開始時点の裴元紹さんご近影。見事なハゲ。ほとばしるおっさん臭。過激なまでの無能,そして16歳。産み落とした親を恨みたくなる非モテDQN武将,ここに降臨
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 交友関係は誰からも相手にされず,手持ちスキルは敵を殲滅させたときほんのり士気が上がる「連戦」が1レベルだけ。それ以外はとくになし。真っ白。ノンスキル中卒社会人の星,それが俺様,裴元紹だ。分かったか! ほんと生まれてきて申しわけございません。

 戦場で使える戦法に至っては,自分が弓部隊だったときにちょっぴり攻撃力が上がるとされる「弓攻強化」。しかし裴元紹は弓隊の適性は最低の「C」。AI太守が裴元紹を部隊編制するときは適性が「B」の槍隊で使ってくるため,戦場に出てもスキルとして戦法を使う余地などまったくなし! 位置取りだけで勝負! 何という無能。書いてて悲しくなるレベルだ。この原稿を読んでる皆さん,そういう社会人になっちゃいけないよ。勉強しような。

裴元紹さん,能力詳細。へっぽこ感は否めない。ここから頑張って成長して,三国志の時代を代表する武将へと成長していきたい。そう強く願う次第です
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 なお,顔グラ。うーん,この……。16歳でこの圧倒的チンピラ感。まあいいんだけどよ……なんでハチマキ締めたうえに,ハゲてんの。時代劇にヅラなし剃髪なしで出られるレベルじゃん。16歳だぞ。もう少し若者らしさがあっても良かったんじゃないか。味はあるけどさ。

 こんな悲惨な能力でも,いっぱしの武将扱いで雇ってくれる黄巾軍は優しい。私が上司だったら,こんな奴に給料を払うの嫌です。率いられる兵士も可哀想だ。存在からして軽んじられ,散々なところからスタートする感じですけど,裴元紹,頑張っちゃうよ。
 しかし,裴元紹のいる都市・陳留に出る指示は「内政充実」。えっ,俺,内政すんの。政治力27しかないんですよね。一年以内に文化度500引き上げろ,と命令されても,20日精励して俺が引き上げられる文化度ってせいぜい25とかなんだけど。毎日文化アップに励んでも一年以上かかる。間に合わない。助けて。

「お前ら! 文化度上げるぞ! ついてこい」
「大将,そうはいっても文字も読めないじゃないですかー」
「いいんだよ! 酒飲んでみんなで騒ぐ,これも文化だ!」
「おー,そうだ! 酒もってこーい」

 もうね,やる気ミニマム。このツラ下げて文化度を引き上げるため悪戦苦闘していると,首領・張角さんから「お前らー。何進倒すぞー」という指令が。戦争だ。後漢を統べる何進を倒すらしいぞ。
 え,俺も行くんすか。あっ,はい。有無を言うこともできず,やっぱり槍隊が3000人組成され,戦地に向かう裴元紹。戦場では先鋒にさせられて,あっさり全滅を強いられる裴元紹。だが最近は裴元紹の中の人が戦闘の要諦を分かるようになってきて,「そうか,劣勢だったら前線から少し距離を取れば士気が回復するし,雑魚武将も回り込んで挟撃要員になれば役に立つんだ」と理解したため,そう簡単には死ななくなりました。それに,ほかの部隊と寄り添って固まって動くと,包囲されることも少なく地味にお得。やったね,プレイヤー自身が熟練して統率力が上がってるね!

裴元紹さん出陣! いいか。男には負けるとわかっていても戦わねばならない時があるのだ……もうね,絶望しか感じない,それが序盤の黄巾勢の定めであります
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裴元紹の犠牲が生きて,少しずつ黄巾勢は劣勢を盛り返していきます。時間がたつほどに,少しずつ曹操や袁紹配下の武将が湧き始めて,武将数で有利になる日が来るかも。かも
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 と言っても,どの戦場でも全滅することは全滅するんだよね,裴元紹。残念。しかし,何度かの全滅を繰り返しながらも,ちくちくと訓練に,巡察にと仕事に励む裴元紹。少しずつ経験を積んで,若き裴元紹は成長していきます。目指せ呂布! 武力100! 先は遠すぎるけど,千里の道も一歩から。いつしか,太守を任される張梁(通称「ゴリラ」)と仲良くなり,例によってパシリをさせられた挙句に金で解決,友情が芽生えるわけであります!

黄巾三兄弟こと,人公将軍・張梁さん。通称「ゴリラ」。由来はSEGA謹製・三国志大戦のカードがゴリラすぎたから。もうゴリラにしか見えない
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「まさか裴元紹! 俺の好きな大斧を本当に買ってきてくれるなんて。高かったろう」
「俺はともかく,お前は黄巾軍にとって欠かせない男だ。少しでも強くなってもらわないとな!」
「そう言ってくれるな。俺とお前はいままでも,これからもずっと朋友だ。ともに理想へ向けて戦おう」
「望むところだ。これからもよろしくな張梁」

いくつもの戦場を共に潜り抜けたゴリラと絆は深まり,ついに朋友に。友よ,ゴリラよ,世のため人民のため,漢王朝を倒し黄巾の世を打ち立てるのだ!
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 この友情が交わされる瞬間は本当に素敵なんすよね,三國志13。
 そして,張梁と親交が深まることで,「訓練」スキルをゲット! やったね。これで少しは効率良く兵隊を強くできるぞ! 仕事の合間にスキを見てせっせと槍兵を訓練。訓練度が1000になると,鉄パイプ持った暴走族みたいな軽槍兵から,少しは兵隊らしいスペックを持つ強槍兵を編制できるようになるのです。編制に都市のお金はかかるけど気にしない。少しでも強いほうがいいよね。

朋友になり,特技を教え合う俺達。スキルが新たに得られてほんのり裴元紹,パワーアップします。ありがとう張梁
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 さらには,せっせと巡察。たまに武力90とかいう賊の親分と出くわして,一騎討ちをさせられ真っ二つにされて返り討ちに遭う裴元紹だけど,転んでも泣かない。そんなに強くて盗賊やってんじゃねーよ。黄巾来いよ。いろいろはかどるぞ。
 そもそも俺より強い奴は世の中にたくさんいるんだよ。俺はね,能力的に底辺だと分かっているから謙虚に生きられるのです。負けて嘆いている暇などない。働くんだ。戦うんだ。命に火を灯して,一歩,二歩,進んでいくんだ,黄巾なんだー(♪)。

うっかり巡察すると,たまに賊王に遭遇するわけですが,悶絶するほど強いです……泣いて逃げ帰ることしばし。呂布への道は険しく,また厳しい……
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 それにしても,相変わらず黄巾側は,何度,何進さんの後漢正規軍に攻め込んでも勝てる気配がありません。黄巾のみなさん,6倍の敵に平気で戦争吹っかけるんですよね。君たち,どこに勝算があると思ってこんな負け戦ばかり手がけるの。ある戦に援軍で駆けつけたら,戦闘開始後いきなり総大将・張宝の船が沈んで士気マイナス30スタートとか,ほんと勘弁。呼ぶなよそんな戦場に。こっちが死ぬだろ。

 反攻しようにも,押したり引いたりする中で,せいぜい損害を与えられるかなという程度。じりじりと都市を失いながら,たまに反撃が成功して都市を取り返したり,雑魚武将でも数で押しながら囲んで殴る程度。ヤバイ。
 ちなみに曹操さんとか,囲んで叩いてると周辺の部隊の士気がごっそり減らされるという偉そうな戦法を使われてダルいんですが,それでも多くの部隊で囲めさえすればどうにかなるのが三國志13。モビルスーツの性能は高くとも,ひとつの敵部隊しか攻撃できず削れない一方,包囲すると敵と相対していない部隊は一方的に敵を削ることができる。さらに挟撃で敵の士気も減らせるという仕様になっているため,戦場で部隊数を多く維持できれば黄巾軍でも後漢正規軍との殴り合いも少しはどうにかできます。この戦場の機微さえ分かれば,多少モビルスーツの性能に問題があっても戦っていけるのであります。

 裴元紹ごときとはいえ,戦場で最低限の活躍をしつつ効率良く活動していると,少しは役に立っているのか,黄巾軍ももちこたえ,それなりに健闘します。史実では黄巾の乱が鎮圧される184年を経ても,崩壊せず。裴元紹も,日ごろの仕事と戦場での地味な活躍で経験を積み,いつの間にか統率が45から64に,武力が63から81へと成長。マジでジャンプアップ。やればできるじゃないか。クソのような雑魚武将から,凡将を名乗っても良い程度のレベルにまでなっています。

「そろそろ,わしの軍事担当重臣になってくれるか」
「張梁には悪いが,断らせてもらう!!」

ゴリラから都市の役職に就任しないかと打診されるも,物凄い勢いで謝絶する裴元紹。いくら上司の頼みでも,俺は誇り高きヒラの一兵卒,裴元紹よ!
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 そこは一兵卒志願の裴元紹。朋友のゴリラ張梁の頼みと言えど,重臣への引き立てや,出世の申し出を断ります。俺の名は裴元紹,雑魚と共に戦い,雑魚と共に歩む,ただの戦場の土くれよ。立身出世は目指さず,ただただ着実に黄巾軍のために働くんだぜ。それでも時折,教祖・張角さんが評定をやるので顔を出せとお話をくださるわけですよ。

「来週,評定があるんで裴元紹さんも来てくださいよ」
「だが断る!」

「裴元紹よ,陳留太守を頼む」
「お断りさせてもらうぜ!!」

「俺の都市の軍事担当重臣を…」
「張梁,お前は俺の気持ちが分かってるはずだ! 断るつってんだろ!! 俺は戦場(いくさば)の兵(つわもの),裴元紹よ!!」

順調に成長し,いまや五品官まで昇進。そして太守どうよ? という管理職への誘いを毅然とした態度で断る裴元紹。いいぞ。男の中の男
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 かっこいい。かっこいいよ裴元紹。黄巾の乱だからって,着てるものからハチマキまで黄色である必要はどこにもないと思うんだけど,シナリオスタートから3年,もうすぐハタチを迎える裴元紹の心に迷いはありませんでした。初志貫徹。

 三国志の物語の底辺から,兵と共に泥と血にまみれ,究極の肉体労働者として三国一の兵(つわもの)を目指す裴元紹。ただひたすらに,訓練と巡察と出陣を繰り返す裴元紹は,プロの兵士として黄巾の世を作り出す原動力にならんと志すのであります。

 やっぱ後漢は腐ってるっすよ。理由は良く分からないけど,なんとなくマジ倒すっス。これからは俺らが黄巾の世を築き上げる。そう決心してやまない裴元紹でありました。


大親友・張梁の非業の死と「名将」裴元紹への道


 そうこうしているうちに,シナリオが進んでいくと中原各地域ではそろそろ曹操幕下の名将が在野で湧き始めます。この「三國志13」では,武将忠誠度は100かそれ以外かで構成されてます。どういうことかというと,いくらプレイヤーが「忠誠度99だから裏切らないだろう」と思っていても,どうやら「人徳」スキルがある武将は登用成功率にゲタを履く割合が高いらしく,相性が良い陣営からの誘いには100未満の忠誠の武将は簡単に寝返ってしまうのです。忠誠度100にあらずんば武将にあらず。悲しいけれど,これが現実です。

 平原や南皮では,本来なら袁紹配下の武将たちも湧き始めます。顔良や文醜といった綺羅星のような武将が,黄色いハチマキ締めてウホウホ言ってるわけです。出てくるのがちょっと早かったね君達。残念。ただ全員が全員,黄巾軍に定着してくれるわけではないけれど,君主である張角さんの才能である「公正無私」とかいうチート級の絶妙特技のお陰で,季節ごとにほんのり忠誠心が上がっていきます。

攻めろ攻めろ攻めろ! 激戦区を背負う裴元紹の活躍で勢力を盛り返し,黄巾の世を作り出すべく激しく漢王朝を攻め立てる私たち
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 働いてる。いやー,裴元紹働いてるわ。人の役に立ってるわー。反乱軍だけど。でもさあ,国が乱れて民衆が困っているから黄巾の乱が起きてるんだから,その乱を率いてる俺たちが民衆のために働いて強くならないとね。

 相変わらず張梁に「軍事担当重臣は……」「お断りだ!!」という定番の問答を仕掛けられるも,なんだかんだハッピー黄巾ライフを楽しんでおります。これはこれで楽しいものであります,はい。

 やがて,張梁とも戦場で肩を並べて戦っているうちに,莫逆の友(ガチのマブダチ)に。つまりは親密度レベル3。超仲良し。逆賊・何進に抵抗し,後漢の圧政から民衆を解放する戦いに身を投じるという,俺たちの青春。レジスタンス。店で酒や宝物や書物を物色し,黄巾軍のために惜しまず貴重品をばら撒きながら,時代を背負う優秀な幕僚と共に情勢を語らう裴元紹。ただし本人は無能。いまだ能無しであります。

 やや下火になりつつあった黄巾の乱も,優秀な武将の定着と充実という局面を迎え,戦いはやがて互角となり均衡し,そして何進軍を押し返し始めます。
 このゲームはね,大将だけでなく副将として部隊に合計3人まで武将を押し込めるんですが,この武将数が多いほど兵隊さんが強くなるわけです。さらに,部隊数が多いということは敵を囲んで撃破できるということでもありまして,そう,兵数が互角であれば,武将数が多い陣営が,基本的に有利なのです。

 そうこうしているうちに,黄巾側は中途採用組の顔良や高覧,許褚などの脳筋勢が活躍し始め,何進軍を押し返します。そして,河内,陳留,鄴(ギョウ),許昌を奪回。また,徐州に陣取る孫堅さんとも何故か黄巾軍は同盟を果たし,後顧の憂いがなくなると後漢の首都洛陽をたびたび脅かすようになります。

 さすがに洛陽の守備は堅く,攻め込んでは撃退されを繰り返すものの,後背に董卓軍を控え,領土的な伸びしろのない何進軍を黄巾軍は徐々に圧倒していきます。

 ひょっとして,これはいけるのではないか。

 裴元紹は,太守にして人公将軍を自称する親友・張梁と共に戦場を駆けめぐります。内政では訓練と巡察しかしていない気がするけど気にしない。まあ,俺には政治は向いてないからね。しょうがないよね。
 中原に,本来なら曹操軍や袁紹軍などの幕下として活躍する諸将が次々に湧き始める昨今,裴元紹が「これは」と目をつけた武将と飲み交わし,親交を深める傍ら,黄巾の素晴らしさを説き忠誠度を高めていきます。いや,本当にいけるかもしれない。

 しかし……動乱の歴史は無情にもこの親友を奪っていきます。とくに何も考えずに戦争を吹っ掛ける日々でありまして,例によって6倍の何進軍に挑んだ俺たち黄巾族でしたが,曹操さんの繰り出す大規模兵団に包囲された総大将のゴリラ・張梁が乱戦の中ついに力尽き,敵に捕らえられてしまいます。
 太守にして君主張角さんの弟,人公将軍として声望を集めた張梁の捕獲に浮き足立つ黄巾軍。戦闘が敗北に終わると,引っ立てられた張梁さんは何進さんに斬られ,首を街角に晒されることとなります。

「おお,莫逆の友,張梁よ……すまぬ。俺の力が足りなかったばっかりに」

 身体の片側をもぎ取られたかのような喪失感に見舞われます。さらには裴元紹も部隊が壊滅し,悲嘆に暮れながら敗走。畜生,覚えてやがれ。この身に賭けても絶対に何進軍を滅ぼす。「必ずや,お前の恨みは晴らして見せる!」とめどなく溢れ出る涙に頬を濡らしながら,そう心に誓うのでありました。

ファッ!? 莫逆の友にして人公将軍,未来を嘱望され人心を集めていた張梁が苛政を人民に敷く悪逆な漢王朝に斬られただと……!?
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 無二の戦友の死を重く胸に受け止め,何進必殺の決意を抱き戦場を駆け抜ける裴元紹は,その度重なる危地が自身を育てていきます。いまや裴元紹は統率80武力91という,主力級の武将へと成長し,やがて裴元紹は,黄巾軍でも指折りの名将して恐れられる存在へと変貌していくのです。
 
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