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「あんさんぶるスターズ!」のユニットを知るにはこの過去イベがおすすめ! 第2回:UNDEAD,紅月,Switch編

 Happy Elementsがサービス中のアイドル育成プロデュースゲーム「あんさんぶるスターズ!」iOS / Android / PC。以下,「あんスタ!」)。各ユニットの歴史や魅力を知るために,膨大なストーリーの中から筆者がオススメしたい過去イベを紹介する企画記事第2回では,UNDEAD紅月Switchの3ユニットについてお送りします。

 記事内では,ストーリーを時系列順に整理しながら語っていきますが,まだ「あんスタ!」のストーリーを読んだことがない人や途中までの人は,できるだけ公開順に読むことをおすすめします。また紹介するおすすめストーリーの数は,ユニットのイベント登場数などによって異なりますのでご了承ください。

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※読みたいユニットのユニット名をクリックorタップしよう!

 なお前回の記事にもあるとおり,考察の内容はあくまで筆者の見解であり,絶対的な正解ではありません。また,ストーリーの核心的ネタバレには極力触れていませんが,未読の方はご注意ください。

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[2019/04/26 12:00]
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[2019/12/06 12:00]

「あんさんぶるスターズ!」公式サイト



おすすめストーリー〜UNDEAD編〜


  • メインストーリー第一部
  • 出航!海上の海賊フェス(2015年7月)
  • 開演 ダークナイトハロウィン(2015年10月)
  • 衝突!思い還しの返礼祭(2016年2月)
  • スカウト!千夜一夜(2016年9月)
  • 追憶*それぞれのクロスロード(2017年7月)
  • 生け贄◆不死者たちの復活祭(2018年3月)
  • 灼熱!南国景色とサマーバカンス(2018年7月)
  • キャロル*白雪と聖夜のスターライトフェスティバル(2018年11月)
  • コーラス★始まりのオペレッタ(2019年4月)
(※公開順)



■UNDEAD[アンデッド]
〜過激で背徳的と謳われるユニット!〜


 かつて学院を賑わせた比類なき才能を持つ「五奇人」の1人であり,自称吸血鬼の朔間 零がリーダーを務めるユニット。零の体質上,日中(とくに屋外)のライブは不得手。メインストーリー第一部では,零がTrickstarの指導者となり彼らを影で支え,革命の手助けをすることになる。UNDEADはこのときまで長らく活動を控えており,第一部で見られるのは彼らの記念すべき復活ライブである。

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■デッドマンズ(死者)からUNDEAD(不死者)へ


 UNDEADについて語るには,かつて存在していたあるユニットの話から始めなければなりません。のちに一瞬だけ復活することになるそのユニットの名は「デッドマンズ」。そこには,現在UNDEADのリーダーを務める朔間 零と,同じくUNDEADの大神晃牙,紅月のリーダーの蓮巳敬人が所属していました。

 「追憶*それぞれのクロスロード」で描かれた1年前の夢ノ咲学院――のちに天祥院英智が起こすことになる,五奇人を巻き込んだかつての革命より少し前,敬人は生徒たちのカリスマ的存在だった零の力を借り,革命を起こそうとしていました。そこで零は敬人にある条件を出すのですが,ちょうど同じ頃,零に憧れてあとをついて回っていた晃牙も入れて3人でユニット「デッドマンズ」を結成することになります。
 しかし零は,敬人が作ろうとしていた世界を「自分(零)という革命のアイコンがいなければ成り立たない」とギリギリのところで反旗を翻し,デッドマンズは(表向きでは)方向性の違いによる敬人の脱退という形で事実上の解散となりました。

「追憶*それぞれのクロスロード」より
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 零は敬人との決別後,いったん海外へと渡るのですが,そこで立ち上がったのが晃牙です。彼はデッドマンズを“不死”の意味を持つ「UNDEAD」という名に変えて零の帰りを待ち,零が渡航中に出会った乙狩アドニス,デッドマンズがライブをした地下ライブハウスの元締めであった羽風 薫が加わり,新たなユニットが結成されました。なお,デッドマンズ解体〜UNDEAD結成までは「生け贄◆不死者たちの復活祭」で描かれています。「復活祭」は追憶イベントではありませんが,過去の彼らの重要な話が語られるため,必ずおさえておきたいストーリーです。

「生け贄◆不死者たちの復活祭」より
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 もともと,協調性があるとは言えないメンバーが揃ったUNDEAD。メインストーリー第一部では彼らの再始動ともいえるライブが行われたわけですが,本当の意味で彼らが復活を遂げたのは,やはり「復活祭」だと言えるでしょう。ここで彼らはそれぞれの心情や立場に少しだけ踏み込み,“お互いを知る”という一歩を進めたように見えるからです。だからこそ「出航!海上の海賊フェス」を始めとする初期のイベントで見られたぶつかり合いや,“いまひとつまとまりのない感じ”のようなものも,今思えば彼らにとって必要な過程であり,当たり前の姿だったのだなと思えます。


■4人がUNDEADになった瞬間


 UNDEADは,零と晃牙の2人を軸にスタートしました。あとからそこに加わったアドニスと薫は,それぞれのタイミングでUNDEADに“なった”ように筆者は感じています。

 まずは夏,海の遥か向こうの南の島で合同合宿をすることになったfineとUNDEADが描かれた「灼熱!南国景色とサマーバカンス」です。このストーリーでは,零と因縁深いfineのリーダー・天祥院英智と,その配下にある伏見弓弦がとある計画を企てます。しかしユニットの危機に気づいたアドニスは,自らの危険を顧みず,これまで明らかにしていなかった自分の祖国での立場を使いユニットを救ったのです。アドニスは普段とても穏やかな人物ですから,牙を剥いた彼は,まさに“眠れる獅子が目覚めた”かのように見えました。彼の持つ知的な面と激しい面,なかなか見られないギャップは必見でしょう。

「灼熱!南国景色とサマーバカンス」より
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 その後UNDEADの面々は,初めてのラジオ出演で奮闘するさまをコミカルに描いた「スカウト!千夜一夜」,メンバー間のやりとりがほのぼのとした「開演 ダークナイトハロウィン」などを経て,次第に息を合わせていきます。しかし薫だけは,零が「羽のようであり風のようであり薫りのようであり,その名の通り掴みにくい男」と語っていたように,彼らとはゆるくつながりをもちながらも,どこか飄々と波に漂い,仲間として決して深くは入り込んでいないように見えました。

 筆者は,そんな彼が“腹をくくる決意”をしたのは,「キャロル*白雪と聖夜のスターライトフェスティバル」だと考えています。ここで零はある作戦を使って薫を奮起させようとするのですが,薫はそれを受け,あとほんの数か月で訪れる仲間との別れを前にして,ようやく本当の意味でしがらみや迷いを断ち切ろうと決心したように感じられるからです。

「キャロル*白雪と聖夜のスターライトフェスティバル」より
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 そうしてしっかりと心で固くつながりあった彼らにも,3年生が卒業する次の春がやってきます。それを描いたのが「衝突!思い還しの返礼祭」でした。この物語では,従順だったアドニスがUNDEADの名を晃牙と共に背負っていく決意を固め,薫が未来に向かって前へ進むことを宣言し……さらに,UNDEADを結成した頃からずっと「わんこ」「吸血鬼ヤロ〜」と呼び合っていた零と晃牙がお互いの想いをさらけ出し,あらためて“対等な人間同士”として関係性を築きました。卒業は物理的な別れではあるけれども,同時に新しい始まりでもあります。このストーリーは大いなる愛に満ち,彼らが学院で過ごした日々を締めくくるにふさわしい物語ではないかと思います。

 そして「連載は終わったけど設定を変えた続編開始!」的な嬉しいストーリーが,3年生卒業後の未来を描いた「コーラス★始まりのオペレッタ」です。この物語では訳あってアドニスのみ不在なのですが,そのつながりの形を少し変えた彼らの元気な姿を見られます。薫は「(卒業から)こんなに早く顔を合わせてたら色々台無し」などと軽口を叩いていましたが,彼らを応援する皆からの愛を受け止め,こうしてそれ以上の愛やぬくもりを返してくれるUNDEADは,死人でも墓から蘇ったゾンビでもなく,やはりまぎれもなく“アイドル”なのだなと感じさせてくれました。

「追憶*それぞれのクロスロード」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


 ここでは,一部ではありますが,ユニットの箱イベ以外での各キャラクターおすすめのストーリーを紹介します。

■朔間 零

 前回の記事「天祥院英智を知ることは,すなわち夢ノ咲学院の歴史を知ることに等しい」と書いたのですが,その英智と非常に対照的な描かれ方をしているのが零です。白と黒,光と闇,天使と悪魔……しかし,外から見えるイメージそのままではなく,どちらがどちらにもなり得る2人,というのが非常に面白いところだと思います。メインストーリー第二部にあたるキセキシリーズの第1弾,「輝石☆前哨戦のサマーライブ」(2017年7月公開)は,そんな彼らの表裏一体な面が見られ,とても興味深いです。というのも,普段は何かとこちらの味方に立ってくれる零が,ここでは主人公である転校生を(冷静な口調ではありますが)叱咤するのです。英智と零はその時々で“役割”を瞬時に察し,いつもどこかそれを演じているように見える――というのは,少々穿ち過ぎかもしれませんが。

 零は,この学院において重要なつながりが3つあります。それは,UNDEAD,五奇人,兄弟です。UNDEADについては割愛しますが,五奇人としての零のおすすめストーリーは,五奇人の終わりが描かれた過去の「追憶*集いし三人の魔法使い」(2016年8月公開),それから,ひょんなことから5人が集い他愛もない話で盛り上がる「スカウト!エキセントリック」(2016年12月公開)を挙げておきます(どういったストーリーかは前回記事を参照)。過去につらいことがあったけれど,冬のある日に5人が揃って見せてくれた笑顔は,このうえなく尊いもので胸が熱くなります。

「スカウト!エキセントリック」より
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 朔間兄弟については,1年をとおして非常に多くの物語が綴られました。かなりの量のやりとりがありますが個人的におすすめしたいのは,「宵の宴♪バンドアンサンブル」(2016年4月公開),「スカウト!悪魔の館」(2018年5月公開),UNDEADの項で挙げた「開演 ダークナイトハロウィン」「スカウト!初夢物語(前半)」(2018年12月公開),「招福*鬼と兄弟の節分祭」(2017年1月公開)です。物語の時系列順に挙げたこの流れで読むと関係性の推移がよく分かります。そしてラストに,これも先ほど紹介した「コーラス★始まりのオペレッタ」で締めくくると,とても幸せな気持ちになれるかと思います。


■羽風 薫

 晃牙が“チャラ男”と呼ぶとおり,とくに序盤の薫はアイドル活動よりも女の子と遊ぶのを取るようなタイプで,やや軽薄なイメージを持っていた人もいたかもしれません。けれど実は,薫の家はとても由緒ある家柄で,彼が気ままに振る舞うのは“家庭内で窮屈な思いをしているから”といった理由が次第に分かってきます。本当はナイーブなところがあり,そうした内面は表に出さないだけ……というのは,「揺らめく水面」(羽風 薫ストーリー/春)や「少年と海」(羽風 薫ストーリー/春),「スカウト!荒野のガンマン」(2016年6月公開)などで見られます。「揺らめく水面」で会話をする深海奏汰は,薫にとって学院で数少ない,胸の内を話せる相手です。彼らの仲の良い様子は多数のストーリーで見られますが,「ドロップ*遠い海とアクアリウム」(2017年9月公開)もおすすめしておきます。

 薫はアイドルになった理由を「モテたいから」だと言い,堂々と「愛されたい」と口にするのですが,それはただちやほやされたいのではなく,愛がとても大切なものであることを知っているからのように思えます。そのせいか,彼の人を見る目線はとても優しさに溢れているように見えるのです。それが表面化してきたのが1年間の中盤以降だっただけであって,彼自身の人間性,根っこの部分はあまり変わっていなかったのかもしれません。薫はほかの誰かを指して「○○のような良い子が幸せにならなければ嘘だ」といった意味の言葉を何度か口にしていることもそうですし,先ほど挙げた「スカウト!千夜一夜」でのアドニスに対する態度を見ても,それが裏付けられているように思えます。

「スカウト!千夜一夜」より
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 また,「ご奉仕!喫茶UNDEAD」(2015年6月公開),「清夏!サマーキャンプ」(2016年7月公開),「キャロル*白雪と聖夜のスターライトフェスティバル」をこの時系列順に読むと,Ra*bitsの紫之 創と次第に深く打ち解けていく面白い関係性を見られます。「ラブコメディ」(※「白雪と聖夜のスターライトフェスティバル」の章題)で薫と創が会話するストーリータイトルは「良い子たちへ」ですが,これは,家では良い子でなくてはならなかった薫と,誰にでも良い子だと評価され,自分もそう(意識的に)振る舞っていた創のことであり,2人に生まれた友情やあたたかい手のぬくもりは,そんな良い子たちへ与えられたクリスマスプレゼントだったのかもしれません。

 最後に,1話だけの短い物語ですが,教師の佐賀美 陣と薫という珍しい組み合わせが見られる「スカウト!初夢物語(後半)」(2019年1月公開)をおすすめしておきます。先ほど薫は「愛されたい」と願っていると書きましたが,愛を渇望しながらも,彼は歌や笑顔や思いやりで,たくさんの人に愛を与え続けてきたように思います。だからこそ周りの皆も薫を愛するわけで,それはたくさんの人に愛された元スーパーアイドルの陣と似ているように見えます。UNDEADというかけがえのない仲間を得た薫は,きっと誰よりも輝くアイドルになっていくのでしょう。


■大神晃牙

 晃牙は序盤からずっと観客を「愚民ども」と呼び,“反体制がロックンロール!”とばかりに暴れん坊なところを見せていましたが,実はごくまっとうな常識を持っている人だというのは,多くの方がよく知るところではないでしょうか。彼は自分の中の善悪や好き嫌いがとてもはっきりしているように思えます。ゆえに行動原理がごくシンプルで非常に分かりやすい人,それはつまり“一本筋がとおった人”であると言えるでしょう。

 そんな彼の1年生の頃の様子を見られるのが,「追憶*春待ち桜と出会いの夜」(2017年3月公開)です。当時の彼は人とつるむことを嫌い,1人で戦う覚悟をしていました。けれどその後のストーリーを読むと気付くのですが,UNDEADという仲間を得てからの彼は「俺様『たち』の歌を聴け」などと,「たち」という言葉を多用し,「俺」個人ではなく,あくまでも仲間と共に頂点を目指すようになったことが伝わるのです。周りに流されぬ信念を持つ晃牙ですから,もしかしたら彼はずっと,心を預け合えるほどの頼もしい仲間を欲していたのかもしれません。そうした“心の奥底”と表に出す態度とを読み比べられるのが,彼の面白いところではないでしょうか。

 また,晃牙は“鼻が利く”せいだけではないでしょうが,周りの人の機微に敏い人でもあります。前述の「開演 ダークナイトハロウィン」「宵の宴♪バンドアンサンブル」での朔間凛月(と零)に対する態度,「衝突!思い還しの返礼祭」の葵兄弟や「清夏!サマーキャンプ」でのRa*bitsの真白友也など,後輩たちに対する態度からもそれが伝わります。口悪い発言をしながらも何かと気を配っていることが伺え,そういうところが彼の愛すべき点だなと感じます。

 それと,晃牙と言えば無類の犬好き。「俺様の縄張り」(大神晃牙ストーリー/春),「ドッグデイズ」(伏見弓弦ストーリー/夏),「スカウト!ワンぱくピクニック」(2016年3月公開)などのストーリーでは,彼の深い“犬愛”が見られ,「動物好きに悪い人はいない……」とつぶやきたくなるでしょう。

「スカウト!ワンぱくピクニック」より
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 そして最後におすすめするのは,「スカウト!拳闘の四獣」(2017年2月公開)です。このストーリーでは,空手部である紅月の鬼龍紅郎と流星隊の南雲鉄虎という,いわば師弟関係のような2人が1つの決着をつけようとします。晃牙にとっては自分と零との関係性を重ねて見るところもあったかもしれず,ここでの晃牙の「憧れて真似したってその人にはなれない」というセリフを聞くと,だからこそ彼は「返礼祭」で“三倍返し”ができたのかなという気がするのです。


■乙狩アドニス

 気は優しくて力持ちを地で行くアドニス。とても誠実で美丈夫で,「あんスタ!」に登場するアイドルたちのなかでも,彼ほど欠点が見当たらない人もいないかもしれません。彼自身は,見た目に威圧感があって周りを怖がらせると思っているところもあるようですが,UNDEAD以外では,見た目に物怖じせずに話しかけられるタイプの人が彼に手を差し伸べ,その後も親しくしているように感じられます。

 まずは,クラスメイトでもある紅月の神崎颯馬です。彼は日本に来たばかりで戸惑うアドニスに声をかけ,無二の親友となりました。その出会いは「追憶*それぞれのクロスロード」で語られますが,その後も「春嵐!花舞う桜フェス」(2015年5月公開)や「挑戦!願いの七夕祭」(2015年7月公開)などでほのぼのとした絡みを見せてくれます。そのほかのクラスメイトとのやりとりも微笑ましく,こちらは「宵の宴♪バンドアンサンブル」などを推しておきます。

「宵の宴♪バンドアンサンブル」より
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 彼のもう1つの大切な居場所は陸上部です。誰が相手でもひるまずダッシュしてくるRa*bitsの天満 光,基本的に誰に対しても態度を変えないKnightsの鳴上 嵐,そしてあとから加わった“みんなのママ”ことMaMの三毛縞 斑。彼らのやりとりが楽しめるストーリーは多く,「嵐に揺れて」(鳴上 嵐ストーリー/春),「守り人」(乙狩アドニスストーリー/春),「母なる大地」(三毛縞 斑ストーリー/春)などがあります。とくに光との絡みはほほえましく,「清夏!サマーキャンプ」や,出番は少ないですが「感謝!ほろ苦ショコラフェス」(2016年1月),颯馬も登場する「花吹雪*皐月の藤紫」(2017年4月公開)もぜひ挙げておきたいところ。そのほか,転校生とのやりとりに笑いを誘われる「朝の深閑」(乙狩アドニスストーリー/夏),「スカウト!テディベア」(2017年11月公開)などです。

 彼の優しさは,祖国における厳しい現実をたくさん見てきたからこそなのだろうなと感じます。痛みを知るからこそ,人を思いやることができる――そうした彼の深い内面を知るには,再度の紹介にはなりますが,やはり「灼熱!南国景色とサマーバカンス」を強く推しておきたいです。


■永遠の愛を誓う不死者たち


 漆黒の闇に差す紫色の光。宴を繰り広げる魔物たちが差し伸べる手を取れば,こちらはもう捕らえられた獲物……その行方は彼らのみぞ知る――と,ステージではそんなイメージのUNDEAD。しかし,これは薫のセリフだったと思うのですが,どこかのストーリーで「最近の自分たちは,キャッチフレーズの『過激で背徳的』に“(笑)”がつく」というようなことを言っていました。さすがに(笑)はつけませんが,ステージでのイメージに反し,実際はとてもあたたかくて愉快な人たちだというのは,ここまでに公開されたストーリーを読めばおのずと伝わってくるのではないかと思います。

 「あんスタ!」における多くのアイドルやユニットに共通していることだと思いますが,UNDEADはその中でもとくに“本当の自分をさらけ出すことに渇望し,それを受け止めてくれる誰かを探していた”人たちのような気がしています。神から選ばれ,人々に祭り上げられるカリスマではなく,1人の“人間”としての幸福を求めていた零。自分を抑圧されることなく,自由に愛し,愛されることを望んでいた薫。孤独な魂を震わせ,共に叫んでくれる誰かに出会いたかった晃牙。母のようにあたたかな愛を世界中に届けるため,命がけで歌いたいと願ったアドニス。彼らは決して1人では生きていけない人たちではないけれど,仲間ができたからこそ,本当の望みを叶えることができたように感じられます。

 友達ができないとか,天涯孤独であるとか,そういう寂しさではない。ただ,自分を焼き尽くすほどの熱を求めていたなかで仲間とめぐりあい,彼らはもう一度,同じ情熱という血が流れる人間に生まれ変わった……UNDEADにはそんなイメージがあります。また,この4人はどの組み合わせをとっても確固たる絆が感じられるのもいいなと思うところです。始まりの2人である零と晃牙,二枚看板である零と薫,これからのUNDEADを強く支える晃牙とアドニスはもちろん,零とアドニス,晃牙と薫,アドニスと薫という組み合わせも,たくさんのストーリーから伝わるように,それぞれかけがえのないつながりを築いています。

 デッドマンズ(死人)がUNDEAD(不死者)になり,不死者たちは得難い絆を得て,愛を叫びます。彼らは,永遠に死なない者たち。つまりその愛は,きっと永遠に続いていくのでしょう。

「コーラス★始まりのオペレッタ」より
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おすすめストーリー〜紅月編〜


  • メインストーリー第一部
  • 挑戦!願いの七夕祭(2015年7月)
  • 決別!思い出と喧嘩祭(2015年8月)
  • 誉れの旗*栄冠のフラワーフェス(2016年4月)
  • 暗躍!月影の風雲絵巻(2016年9月)
  • 太神楽!祝いのニューイヤーライブ(2016年12月)
  • 追憶*それぞれのクロスロード(2017年7月)
  • 躍進!夜明けを告げる維新ライブ(2018年5月)
  • 十五夜*玉兎跳ねるムーンライト(2018年8月)
  • 追憶*流星の篝火(2019年3月)
(※公開順)



■紅月[アカツキ]
〜伝統芸能を重んじる和風ユニット!〜


 伝統芸能を基盤としたユニット。生徒会副会長の蓮巳敬人がリーダーを務め,学院No.2と謳われている。メインストーリー第一部では,Trickstarが最初に戦う生徒会勢力の強敵として登場。生徒会側のユニットではあるが,3人とも義理や己の正義を重んじるタイプであるため,単なる敵では終わらないところが第一部での見どころだ。

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■紅月の始まり


 fineに次ぐ夢ノ咲学院No.2と謳われる強豪ユニットの紅月。生徒会副会長を務める蓮巳敬人を頭領としたこの硬派なユニットは,春にTrickstarが革命を起こす前,圧倒的な力を持つ生徒会の象徴の1つでした。しかし歴史が紐解かれていくにつれ,かつての紅月の“強さ”は,人為的なものがほんの少しだけ介入していたことが明らかになっていきました。

 「あんスタ!」における夢ノ咲学院の歴史として,最も古い過去が描かれたのが「追憶*流星の篝火」です。これは現在軸からおよそ2年前,現3年生がまだ1年生だった頃のストーリーとなっています。話の中心は流星隊ではあるのですが,自らの夢である革命を成すために生徒会を発足する1年生の敬人と,喧嘩に明け暮れていた過去の自分への罰のように,周りから一方的な暴力を受け続ける1年生の紅郎の姿が見られます。
 その1年後,2年生となった彼らが当時1年生の神崎颯馬と出会ったこと,デッドマンズとして同じステージに上がったこと(メンバーは敬人と現在はUNDEADの朔間 零と大神晃牙ですが,助っ人という形で紅郎が参戦しました)は,「追憶*それぞれのクロスロード」で描かれます。

「追憶*それぞれのクロスロード」より
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 紅月の過去ストーリーは少々ややこしいのですが,「追憶*それぞれのクロスロード」のあと,敬人がデッドマンズを脱退して「紅月」を結成した頃の話が,先ほどの「追憶*流星の篝火」「躍進!夜明けを告げる維新ライブ」で語られました。さらに,これらの過去などで明らかになったのが,紅月はもともと“敬人が英智のために作った”ユニットであったことと,そのために紅月は“強く”なる必要があり,勝利を得るために仕組まれた【竜王戦】で不戦勝を積み重ね,その立場を築いていったという事実です。

 紅月というユニットは,本人たちが「血よりも濃い」と言うほどの固い絆で結ばれており,結成当初から卒業シーズンに至るまで,そのあり方がほぼ変わらないのがすごいところです。それは最初の頃の敬人と紅郎に“共犯者”的な意識があったことと,2人に揺るぎない忠誠心を持つ“武士”な颯馬という3人の関係性があるためではないかと筆者は考えています。Trickstarの革命前,入院中のため学院に英智が不在だった頃の「誉れの旗*栄冠のフラワーフェス」でも,革命によって学院がまるごとひっくり返ったメインストーリー第一部でも,彼らの周りで何かが起きても起きなくても,“紅月”という存在自体が揺らぐことはなかったように見えるのです。

 しかしその始まりは,あくまでも太陽という存在を輝かせるための月。アイドルならば誰もが輝く頂点を目指すはずのこの世界では,それはやや特殊な成り立ちと言えるでしょう。そうしたごく小さな矛盾は,のちに彼らの意識を大きく変えるきっかけとなります。


■意識の変革,紅月から暁へ


 前述の通り,紅月は敬人や彼の意向が比較的大きな比重を占めており,同時に紅郎と颯馬の2人は敬人をこのうえなく尊重しています。彼らはそうした形で上手くバランスを取っており,ユニットとして高い実力もあるため,革命後も変わらず活動を続けていくはずでした。

 しかしあるとき,意義を唱えたのが誰あろう英智でした。「決別!思い出と喧嘩祭」で,英智は敬人に紅月の解散を命じるのですが,印象的なのが英智の「なぜ紅月はNo.2に甘んじているのか」「敬人が自分をまだ『ひ弱なお坊ちゃん』だと思っているなら許さない」という言葉です。つまり英智は敬人と(あるいはfineと紅月が)対等な存在になることを望んでおり,だからこそ喧嘩をふっかけてきたわけです。ちなみに時期的にはその少し前と思われる「挑戦!願いの七夕祭」でも,英智が敬人に対して不満を持っている描写がされています。

「決別!思い出と喧嘩祭」より
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 幼馴染に尻を叩かれた形になった敬人は彼のために,そして何より大切な仲間のために,共に手を取り合って立ち上がります。そしてこのストーリーの中で彼が言うように,儚く太陽の光を反射していた月は“暁(あかつき)”となり,すべての始まりを告げる光に変わり,強く美しく輝き始めるのです。太陽さえ食らって,俺たちが頂点になるのだと。

 紅月のもう1つの大きなカタルシスは,【SS】を終えた年明けのTrickstarとライブで真っ向からぶつかった「太神楽!祝いのニューイヤーライブ」でしょう。彼らは春の革命でTrickstarに敗北し,長いこと再戦を望んでいました。けれどそれはただ「勝つために勝負をやり直したい」からではなく,「正しい形で正々堂々と勝負をしたい」という,仁義を重んじる彼らならではの人間性からくるものです。ニューイヤーライブは,あらゆる「あんスタ!」のライブの中でも名勝負の1つと言えると思います。

 また紅月は,颯馬が唯一の年下であるため,普段はなにかと「敬人と紅郎の2人が親,颯馬を子供とする親子」のような関係性が感じられます。「暗躍!月影の風雲絵巻」「十五夜*玉兎跳ねるムーンライト」では,天真爛漫な颯馬の痛快な活躍ぶりや成長が感じられてとても楽しいのですが,敬人と紅郎が3年生ということは,彼らが卒業すれば颯馬はたった1人学院に残されてしまうわけです。

「暗躍!月影の風雲絵巻」より
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 では,紅月はどうなってしまうのか? それに1つの答えが出されているのが「衝突!思い還しの返礼祭」です。ユニットの箱イベではないため上記のおすすめストーリーには入れていないのですが,これはぜひ多くの方に読んでいただきたいものです。彼らのいっそ愚かなまでに真っ直ぐなところ,愛情深いところ,彼ら自身が血よりも濃いと言い続けていた絆がどれほどのものであるのかが伝わってくるでしょう。読み終われば誰もが確信すると思うのです。彼らが生きている限り,紅月は,決して沈むことはないのだと。

「衝突!思い還しの返礼祭」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


■蓮巳敬人

 敬人は“夢ノ咲学院の歴史そのもの”ともいえる英智の幼なじみで,未遂に終わったものも含め,学院に起きたすべての革命に関わっている人物です。これまでのすべての歴史に関わったのは,アイドルを目指す前は漫画家になることを夢見ていた彼が持っていた,“物語を綴る才能”“綴りたい欲望”があったからなのかもしれません。

 メインストーリー第一部では生徒会が“倒すべき敵”として描写されているのもあり,一見,彼は厳しく近寄りがたい人のように見えるかもしれません(あとから明らかになった寺の息子というスペックも,そうした“堅い”イメージを強くしています)。しかし今ではもう説明の必要もないかもしれませんが,彼が本当はこのうえなく情に厚く,愛すべきキャラクターであることは,彼が見せまいとするほどに“ダダ漏れ”ているように感じます。

 たとえば「挑戦!願いの七夕祭」「演舞 天の川にかける思い」(2016年6月公開)での七夕祭で,かつてRa*bitsに涙を流させた【S2】について少しだけ触れた姿や,「スカウト!コンチェルト」(2017年7月公開)での月永レオに対してや,「スカウト!花の色札」(2017年10月公開)でその昔夢破れて学院を去ったアイドルに対しての言葉などからは,彼の情に厚いところがよく伝わってきます。

 真面目になればなるほど面白くなってしまう(ボケ体質が出てしまう)のは紅月メンバーの特徴のように思うのですが,そんな彼のコミカルな面がよく出ているのが前述の「ミルキーウェイ」(※「演舞 天の川にかける思い」の通称)の“ばきゅ〜ん☆”なファンサービスや,fineの日々樹 渉との愉快な衣装交換「特訓!凸凹なペアレッスン」(2015年10月公開),終始花を背負って登場するところがじわじわくる「スカウト!コミックワールド」(2018年7月公開)などで,これらもぜひおすすめしておきたいです。

「スカウト!コミックワールド」より
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 それと漫画家を目指していた頃の話で,英智にさんざんいじり倒される楽しいストーリー「スカウト!ティーパーティー」(2016年1月公開)は,短い登場話数ですがおすすめです。どうも彼が隠そうとしていたらしいかつてのペンネーム「ミズハノメ」が英智にバレていたと分かる瞬間のお話は,「一筆入魂」(蓮巳敬人ストーリー/春)です。彼は何かと面白おかしくいじられるパターンが多くほかにもこうした話がたくさんあります。それだけ皆に愛されているということなのかもしれません。


■鬼龍紅郎

 強面な見た目,その見た目どおりの荒々しさと腕っぷしの強さ,けれどその実態は,妹を溺愛し手芸が得意で優しい心を持つギャップ王,鬼龍紅郎。そのスペックのとおり,ストーリー上の彼の役割は非常に振り幅が大きいと言えるでしょう。

 まず,彼のワイルドな面を堪能できるのが「反逆!王の騎行」(2015年9月公開)です。ここで紅郎は,不登校から復活した月永レオが結成した臨時ユニット「ナイトキラーズ」で,文字どおり騎士殺しの一員となります。また,ひょんなことからドラマ出演の話が舞い込み,応援団をモチーフにした演技の練習で四苦八苦するのが「スカウト!熱血硬派」(2015年11月公開)。周りのアイドルたちのあたたかさに感謝しながら一生懸命に練習を重ねる姿は,学ラン姿が男らしくも,何だかとてもかわいらしく目に映ります。

「スカウト!熱血硬派」より
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 一方,幼なじみであるValkyrieの斎宮 宗とのストーリーは,テンポの良い言い争いが少々コミカルでありながらも,ここまで生きてきた中で受けたお互いの傷はしっかりと理解し合っていることがうかがえ,感情に奥行きを感じます。Valkyrieの過去が語られた「追憶*マリオネットの糸の先」(2016年3月公開),現在軸で手芸部と共に衣装作りに勤しむ静かな夜を描いた「スカウト!ノクターン」(2016年12月公開)などは,そうした深みをよく感じられるでしょう。
 なお,「追憶*マリオネットの糸の先」の時期の過去ストーリーとして,仁兎なずなとのひとときの会話を描いた「Folk Song」(鬼龍紅郎ストーリー/前年度の春),同じく1年前の紅郎と守沢千秋の会話が見られる「スカウト!ギャング」(2018年4月公開)なども,彼の不器用な優しさが感じられておすすめです。

 そして,紅郎にとってもう1人のかけがえのない存在が,流星隊の南雲鉄虎です。鉄虎は紅郎に憧れ,紅月には入れなかったものの,空手部でずっと活動を共にしていました。そんな空手部の返礼祭とも言えるのが,「スカウト!拳闘の四獣」(2017年2月公開)です。鉄虎が大切にしていた【竜王戦】は,実は紅郎にとっては偽りにまみれた忌むべき歴史そのものでした。そのことと鉄虎に対する後ろめたさ,後悔,愛情,それらすべてにケリがつき,「スカウト!拳闘の四獣」を読み終われば熱く爽やかな涙が流れることでしょう。ぜひ多くの方に読んでいただきたい物語となっています。


■神崎颯馬

 Switchの逆先夏目だったと思うのですが,颯馬を対して「よくそんなに純粋なままで高校生まで育った」というようなセリフがあります。その言葉のとおり,彼は磨き上げられて光輝く刀のように,どこまでも透きとおった水のように,余計な邪念を感じさせない純真な人のように思えます。本物の日本刀を持ち歩くのはまあ,かなり変わってはいると思いますが。

 颯馬はまた,「きっと良いご両親に育てられたのだろうな」と感じさせる思いやりと優しさも持ち合わせています。そうした彼の一面は,「追憶*それぞれのクロスロード」「生け贄◆不死者たちの復活祭」などの過去の世界でも,現在軸の「ドロップ*遠い海とアクアリウム」(2017年9月公開)でも見られます。困っている人や人知れず苦しんでいる人を見過ごせず,物怖じせず堂々と言葉をかけてあげる勇気と真心があるのです。

 そして「花吹雪*皐月の藤紫」では,彼が所属する海洋生物部の部長である流星隊の深海奏汰に心を砕きます。大切な人のためなら敵は切り捨てんと言わんばかりの無鉄砲なところはあるけれど,与えられた役目はしっかりと全うし,そこから学びを得て成長する――こちらはそんな,気持ち良いほどの清々しさに満ち溢れています。

「花吹雪*皐月の藤紫」より
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 ……と,ここまでべた褒めしてきましたが,颯馬もまた紅月のメンバー。ほかの2人のところでも書いたとおり,彼も “真面目にやればやるほど突っ込みどころが増えていく”人です。そんな彼のコミカルな面が楽しめるストーリーは,「武者と忍者」(仙石 忍ストーリー/春),「剣の舞」(神崎颯馬ストーリー/夏)などなど。“マジスゲェ”ボケっぷりを,たっぷりと堪能できるかと思います。年頃の男子らしい無邪気な姿が楽しめるストーリーとしては,「満喫♪秋の修学旅行」(2015年11月公開)や,親友のアドニスとの会話が楽しい「撮影!ぽかぽかアスレチック」(2017年3月公開)もぜひどうぞ。

 最後に,タイミングが難しく紹介が遅くなりましたが,颯馬だけでなく紅月全員がボケ倒すという愉快極まりないストーリーが「なりきれ!灰かぶりの大舞台」(2017年5月公開)です。敬人と颯馬がドレス姿で,紅郎がべらんめえな王子役で演劇する姿が見られます。愛すべき彼らの勇姿(?)を,ぜひご堪能ください。


■すべての道を照らす,月の光


 筆者の勝手なイメージなのですが,紅月を見ていると「我ら生まれた日は違えども,死す時は同じ日同じ時を願わん」という言葉を思い出します。これは「三国志演義」に出てくる,劉備,関羽,張飛が義兄弟の契りを結んだ “桃園結義(桃園の誓い)”という逸話に登場するセリフです(※正史の「三国志」にはない創作上の逸話という説あり)。血縁ではないが強いつながりがあることや,志を同じくして助け合い,共に戦おうと手を取り合うところが,揺るぎない正義感を持つ紅月の3人と重なるような気がするのです。

 前述したとおり,彼らは3人とも人間としての根っこの部分――杓子定規に見えて情に厚く,人間くさく,とてもあたたかい愛で溢れた心の持ち主であるところが本当によく似ています。ですから本来は,人に嫌われたり怖がられたりするのは,彼らにとって苦しみを伴うことなのではないかと思います。けれど少しでも自分に非があると感じれば,ただ己の未熟さだけを受け入れ,じっと黙って耐えるであろうところもそっくりだなと。
 それでも彼らには,過去を悔やみ続けたり,後悔に押しつぶされたりすることなく,輝く未来に目を向け希望を失わない強さがあるように感じられます。そこが,歴史に出てくる偉大な人物のような魅力を感じさせるところのように思えます。

 紅月の成り立ちは,彼らにとっては胸を張れるものではなかったかもしれません。はじめから主役になることを望まず,けれど,少しでも善き道を求めてあがいていました。過去という地層があるからこそ今ここに立てるし,乗り越えるべき思いがあるから成長できるのだと信じて。だからこそ,彼らの笑顔はとてもまぶしく映るのではないかと思います。なぜなら,そこには決して嘘や偽りがないからです。

 この記事を書いている時点(2019年11月現在)では,3年生の卒業後,紅月が今後どのような活動をしていくのかは明言されていません。でも間違いなく,その光が陰るようなことはないのだろうという確信があります。生まれた日も,場所も,歩み始めたきっかけも違うけれど,その絆は夜明けと同じくらい明るい月の光に照らされているのだから。

「太神楽!祝いのニューイヤーライブ」より
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おすすめストーリー〜Switch編〜


  • 追憶*集いし三人の魔法使い(2016年8月)
  • リアクト★マジカルハロウィン(2016年10月)
  • 復活祭☆イースターナイト(2017年4月)
  • 追憶*モノクロのチェックメイト(2017年5月)
  • 迷い星*揺れる光、プレアデスの夜(2017年8月)
  • 初興行★祝宴のフォーチューンライブ(2018年1月)
  • 駆け引き◆ワンダーゲーム(2019年2月)
(※公開順)



■Switch[スウィッチ]
〜幸せの魔法をかけるエンターテイメントユニット!〜


 五奇人の中で最年少だった逆先夏目がリーダーを務め,英智が行った“最初の革命”の一端を担った青葉つむぎと,1年生の春川 宙が所属する。Trickstarが生徒会を倒し,夢ノ咲学院を革命したあとに活動を開始した。さまざまな仕掛けや薬品などを駆使した,まるで“魔法”のようなステージを見せる。なお,メインストーリー第一部公開時にはまだ登場していなかった。

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■Switchの始まり


 「あんスタ!」に登場するユニットの歴史はさまざまですが,その中でもSwitchは,結成の瞬間が比較的はっきりと,かつ印象的に描かれているユニットだと言えるでしょう。彼らの物語を知るには,Trickstarが革命を起こした“最初の春”ではなく,天祥院英智が1年前に起こした革命の頃にまで遡る必要があります。そこで分かるのが,Switch結成の発端である青葉つむぎと逆先夏目の2人は,その最初の革命において敵対する勢力に属していたことです。

 1年前,青葉つむぎは,天祥院英智が推し進めていた革命の一端を担っていました。クラスメイトとして英智と行動を共にし,その革命の要,主役となるユニット・fineの代表として,その活動を補佐していたのです。そして,その革命の物語における“悪役”である五奇人の1人,逆先夏目をそのメンバーにと英智に推薦したのがつむぎその人です。その後,英智の革命によって五奇人は倒されましたが,夏目は4人の“にいさん”たちに守られ,直接の戦いを避けることができました。けれど大好きだった彼らが傷ついていく姿をただ見ていることしかできなかったことは,夏目に深く大きな傷を残したのです。

「迷い星*揺れる光、プレアデスの夜」より
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 その一連の様子が綴られているのが「追憶*集いし三人の魔法使い」,通称「エレメント」です。正直にいえばこの話は,Switchのイベントストーリーというより旧fineおよびかつての夢ノ咲学院と,英智の革命がメインではあります。さらにSwitchの箱イベではありませんが,「追憶*モノクロのチェックメイト」も,当時のつむぎと英智の革命を知るうえで非常に重要なため,ここに挙げました。Switchは英智とTrickstarによる2つの革命がなければ確実に生まれていないユニットのはずなので,これらは必ずおさえたいところです(3人は登場しませんが,できればメインストーリー第一部も読んでいただきたいです)。

 それから,Switchの黎明期を語るのに重要なのが「迷い星*揺れる光、プレアデスの夜」です。これは夢ノ咲学院の過去が語られる追憶シリーズではありませんが,“英智が革命を起こした後,かつTrickstarが革命を起こす前”という,比較的珍しい時期の様子が見られます。
 英智の革命の一端を担ったという事実を心のよりどころにしていたつむぎと,深く傷ついた心を抱えていた夏目の出会い。これまで自分たちが戦いの渦中ではなく,ほんの少しだけ離れたところに立っていたことに気づいた2人は,そういう意味でお互いに近いものを感じたのかも知れません。そうして,敵対していた存在でありながら,2人はそこから一緒に歩きだすことになるのです。

「迷い星*揺れる光、プレアデスの夜」より
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■3人の魔法使いが集うとき


 Switchにはもう1人の大切なメンバー,1年生の春川 宙がいます。彼は音や匂いに“色”を感じる共感覚の持ち主で,さらには人のまとう空気も色づいて見えるようです。先ほどつむぎと夏目を「渦中からほんの少しだけ離れていたところにいた2人」と書きましたが,そういう意味では宙も,多くの人が当たり前と思っている感覚や生き方から少し離れたところにいる=本流から少し外れている,と言えるのではないでしょうか。
 Switchというユニットの目的として,彼らはよく「大きな流れからとりこぼされたものを1つずつ拾い集め,幸せの魔法をかける」と口にしていますが,ひょっとしたら彼ら自身がそういう存在であり,だからこそ3人が出会ったのも必然で,魔法をかけることができると言えるのかもしれません。

 Switchとして初めて表立った活動をする様子は,「復活祭☆イースターナイト」で確認できます。これはメインストーリー第一部で行われた革命の最中の出来事でありつつ,彼らやValkyrieの春らしくかわいらしい衣装とライブを見られます。しかしやはり,SwitchにしてもValkyrieにしても,あの動乱の傷はまだ癒えていない様子も感じられるため,宙の持ち前の明るさというか,圧倒的な光属性ぶりが文字どおり光っているように思えます。その後Switchの3人それぞれの役割のようなものは,秋の「リアクト★マジカルハロウィン」や年明けの「初興行★祝宴のフォーチューンライブ」の頃にはしっかりと固まり,魔法のスケールもパワーアップしています。

「リアクト★マジカルハロウィン」より
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 年明けの頃には,もうすっかりお互い離れがたそうに見えるほどの絆ができていたSwitch。けれど卒業シーズンの少し前の時期の「駆け引き◆ワンダーゲーム」では,Switchで唯一の3年生であるつむぎの進路をめぐる重要な物語が展開されました。【ワンダーゲーム】という名のライブはそもそも1年前に企画されていた旧fineのデビュー戦だったため,ここではつむぎの“旧fine時代”も語られます。結局当時の【ワンダーゲーム】は開催されることはなかったのですが,少し内容を変えて復活するにあたり,つむぎが出演を切望したというわけです。

 そうしたことからこの時期は,「3人だから魔法が起こせたのに,つむぎが別の場所に行ってしまう」未来を前にして,Switchが少しだけ不安定な状態に陥ります。図式としては「迷い星*揺れる光、プレアデスの夜」で夏目が占い師としての活動に忙殺されていた状況と近いかもしれませんが,今回のほうがより深刻に見えます。しかし,それまではずっと傍観者であり続けたつむぎが自分自身の幸せのために前へ進むと決めたことが分かり,彼らは共に幸せになれるよう,そのまま歩き続けようと決意します。

 余談ですが,生まれ変わった【ワンダーゲーム】は,全国のアイドル事務所や養成所などが参加する大規模な一大イベントとなっており,少しだけ未来につながる要素もあるので必見です。つまるところ,「未来は魔法使いたちのみぞ知る」ということでもあるのかもしれません。

「駆け引き◆ワンダーゲーム」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


■逆先夏目

 Switchは「あんスタ!」のなかでも後発ユニットのため,おすすめしたいストーリーが少ないのですが,先ほど挙げたもので言えば「エレメント」「プレアデス」「ワンダーゲーム」が重要度としてはTOP3かと思います。夏目を知るという意味でもこの3つはかなり大切ですが,この中でも「占い師を選ぶか,アイドルを選ぶか」という彼の重要な転機について描かれた「プレアデス」に注目したいところです。彼の過去や,彼がリーダーを務めることになるユニットの結成の瞬間,彼のアイドル観などなど相当いろいろと詰まっているので,夏目個人のおすすめストーリーとしても,これをまず一番に挙げておきたいと思います。

 ユニットの箱イベ以外のおすすめでは,まずは「追憶*春待ち桜と出会いの夜」(2017年3月公開)を挙げておきます。これは1年前,Trickstar結成のきっかけとなる【金星杯】の時期のストーリーです。ここでは夏目とクラスメイトの明星スバルたちとのやりとりがあり,夏目は彼らしく天の邪鬼でやや計算高いところが見られつつも,今よりほんの少しだけ未熟さも感じられるように思います。
 なお【金星杯】は,Valkyrie対fineの一戦の前座たるライブだったのですが,夏目は「金星杯は(自分が出演を避けたので)観ないが,Valkyrieのライブは観る」と発言しており,このあとにあのおぞましい事件が起こると知っている側としては,このシーンはまるで嵐の前のような不穏な静けさに満ちているように感じられます。

 もう少し軽めに楽しめるストーリーとしては,ゲーム研究部なら「スカウト!夏の花」(2018年8月公開)や,「感覚と論理」(春川 宙ストーリー/春),「ハイスコアボーイズ」(春川 宙ストーリー/夏)などを挙げておきます。先ほどの「追憶*春待ち桜と出会いの夜」は,かつてTrickstarの遊木 真が所属していた頃のゲーム研究部を見られます。また,夏目が珍しく大勢とはしゃぐ(?)様子と,ある秘密が明らかになる「ショット☆弾けてSplashPool!」(2018年7月公開)なども楽しく読めておすすめです。

「ショット☆弾けてSplashPool!」より
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 「プレアデス」では五奇人としての夢を継いでいくことを決意した夏目ですが,彼がこのうえなく大切にしている「五奇人」が勢揃いした「スカウト!エキセントリック」もまた,決して外せないストーリーでしょう。夏目は彼らのなかで“末っ子”ポジションだからなのか,普段と同じような口調でありながらも,どこか“にいさんたち”に囲まれて年下らしい甘え方をしているようにも見えます。これはほかのストーリーでは決して見られない姿ではないでしょうか。


■青葉つむぎ

 登場した当初は,ほかのアイドルたちが「すべて他人事だと思っている」「痛みも何も感じないのか?」と言っているとおり,いまひとつ何を考えているのか分からない人だったかもしれません。けれど,彼の好きな読書のように,たくさんあるページを1つ1つめくっていくうちに,つむぎという人間の愛すべきところが徐々に明らかになっていったように感じます。

 悲しいことばかりに目を向けず,彼が見つめるのは幸せと,幸せに変わるかもしれない“かけら”。そうした面がよく出ているように思うのが,手芸部にまつわる「スカウト!ノクターン」(2016年12月公開)や,図書委員としてのお話「スカウト!ビブリオ」(2017年6月公開)です。分厚い本はハッピーエンドを夢見て1ページずつ,縫い物ならできあがりの美しい作品を目指して一針ずつ編み進めていく……そんな,地味だけれども健気な彼の姿が愛おしいと感じられます。

 そしてこの記事を書くにあたり,たくさんのストーリーを読み返して気付いたのですが,彼はメインストーリー第一部の頃には登場していませんでしたが,その後の第二部や第三部にはそこそこしっかり関わっているのです(第二部“キセキシリーズ”「軌跡★電撃戦のオータムライブ」(2017年10月公開),第三部“Sagaシリーズ”「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」(2018年12月公開)。
 Switchのおすすめとして紹介した「駆け引き◆ワンダーゲーム」を読むとさらに確信は強まるのですが,つむぎという人は,これからのアイドルたちの動きにおいて,重要なポジションになるかもしれません(あくまでも筆者の予想です)。思えば英智による最初の革命にもしっかりどころかガッツリ関わっていたわけなので,それも納得といえば納得ではありますが。

「駆け引き◆ワンダーゲーム」より
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 また,かつて悲しい決別をした英智とは,その後もなんだかんだで仲良く(と言っていいと思います)やりとりをしています。絡みはたくさんありますが,共に同じステージに上がった「躍進!夜明けを告げる維新ライブ」をここではおすすめしておきます。そしてもう1つ,たった1話のみではありますが「ノエル*天使たちのスターライトフェスティバル」(2017年11月公開)も。ここで彼が英智にかけた言葉を見て,彼の魔法の意味が分かったように思います。寒く美しい冬の一夜の密やかな会話は,あたたかな愛に満ちていて,心に染み入るようでした。


■春川 宙

 世界中に共感覚の持ち主がどれだけいるのかは分かりませんが,そうでない筆者は,彼の気持ちを完全に理解することはできません。けれどそれと同様に,彼もそうでない人の気持ちは分からないかもしれません。そうした溝を埋めるのが言葉であり行動であり,愛なのかなと思います。

 人を“色”で感じる彼ならではの神秘は,「あなたの色は」(春川 宙ストーリー/春)や「ドロップ*遠い海とアクアリウム」(2017年9月公開),「スカウト!ブルーフィラメント」(2018年9月公開)などで垣間見られます。

「スカウト!ブルーフィラメント」より
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 彼は夢ノ咲学院で,自分以外のたくさんの“ちょっと変わった人たち”に出会えました。その中でも筆者が心を惹かれたのが,葵兄弟とのつながりです。弟のゆうたには先ほどの「あなたの色は」でかけた言葉が印象的だったのですが,「招福*鬼と兄弟の節分祭」(2017年1月公開)で兄のひなたに語った一連のセリフも実に素晴らしいです。「見えるものや感じるものは皆違う,だから居心地が悪いなら自分自身が変わらなくちゃ」という意味のセリフを言うのですが,これはぜひ,彼の言葉で聞いていただきたいなと思います。

 また,彼は夢ノ咲学院の1年間で,比較的長いプロジェクトに関わっていたことが明らかになりました。それが語られるのが,メインストーリー第三部である「Saga*かけ上がるレインボーステージ」(2018年9月公開)および「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」です。Sagaシリーズは,元スーパーアイドルであり現在は夢ノ咲学院教師の佐賀美 陣と生徒たちが組んだユニット「Rain-bows」が中心となるストーリーですが,このRain-bowsの縁の下の力持ちたる存在になるのが,同じく教師の椚 章臣が結成したユニット「Ba-barrier」で,宙はその一員となります。

 そのほかのBa-barrierメンバーにはMaMの三毛縞 斑,Valkyrieの影片みかがいるのですが,宙も含め,誰かのサポート的なポジションで活躍する(しようとする)ところと,ちょっと得体が知れない高いポテンシャルを秘めているところが,非常によく似ているのではないかと感じました。


■芽吹く種,開く花,幸せの魔法


 筆者は以前から,Switchの3人には「過去・現在・未来」のイメージがあると感じていました。夢ノ咲学院の過去に深く関わり,すべての歴史をずっと見守り続けてきたのが“見つめる者”であるつむぎ(過去),「過去ではなく未来のために」と魔法のスイッチを入れるのが“動かす者”の夏目(現在),可能性のかたまりであり,光そのもののようなイメージなのが“照らす者”の宙(未来)。ユニット衣装の3人の立ち絵がそれぞれ指差す方向からも,そんな深読みをしたくなったものでした。

 「エレメント」で私たちの前に初めて登場したSwitchは,そのコンセプトやセリフや呪文が,とても鮮烈な印象を残しました。「過去ではなく未来のために,生きとし生けるものすべてを幸福にするために 今宵も及ばずながら,我々が魔法を使って進ぜよう」――彼らは物語の大きな本流から取りこぼされた小さなかけらを拾い集め,そう唱えて幸せの魔法をかけると言うのです。

 その魔法が何なのか? というのは,上記に挙げたようなストーリーを読み進めていくと,おぼろげに見えてくるように思います。たとえば,孤独な誰かにそっと寄り添ってあげること。勇気を出せない誰かを励ましてあげること。うつむく誰かに信じる心を預けてあげること。それらは,誰かを「幸せにする」のではなく,「幸せな方向を示す」あるいは「導く」ということです。なぜそうするかといえば,夏目の師匠である元五奇人,fineの日々樹 渉がかつて言っていたように,「幸せは人に強制されるものでも与えられるものでもない」「自分たちにできるのは,みんなが勝手に幸せになるのを手伝うことだけ」だからです。そしてそれは,彼らが魔法使いだからというだけでなく,アイドルという存在でもあるからこそできることなのかもしれません。

 夏目と宙よりも先に学院を卒業するつむぎは,「ワンダーゲーム」で,まだ見ぬ未来へとコマを進めることを決意しました。そうして,2人もそれを追いかけていきます。もう3人は過去でも現在でも未来でもなく,生きとし生けるものすべてと共に歩んでいく,私たちと共に歩む魔法使いたちです。彼らの未来を想像するだけで心が弾むのなら,それはもう,すっかり彼らの魔法にかけられているということなのでしょう。

「追憶*集いし三人の魔法使い」より
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第3回の記事もお楽しみに!


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