インタビュー
[インタビュー]2022年の「ポケモンGO」を振り返る。3年ぶりのリアルイベント開催やウルトラビースト襲来など,トピック盛りだくさんの1年に
今回4Gamerでは,NianticでシニアUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーを務める石塚尚之氏にポケモンGOの2022年と今後の展望について話をうかがう機会を得た。本稿ではその内容について,石塚氏自身の感想も引用しながら紹介していく。あわせてポケモンGOのさまざまな疑問に関する質問にもインタビュー形式でお答えいただいているので,ぜひご一読いただきたい。
「Pokémon GO」公式サイト
「Pokémon GO」ダウンロードページ
「Pokémon GO」ダウンロードページ
■「ポケモンGO」の2022年はリアルイベント復活の年
最初に石塚氏より,ポケモンGOが今年実施した施策を振り返りながら,2022年を総括するプレゼンテーションが行われた。
2022年も前年と同様に,新型コロナウイルス感染症の収束には至らず,ニュースなどで報じられているように感染者数の増加と減少を繰り返す日々が続いていて,徐々に新型コロナウイルスとの付き合い方が見えてきたようにも感じられる。そんな中,ポケモンGOでは3年ぶりとなるリアルイベントを開催できたことは,Nianticにとって非常に大きなことだったと石塚氏は振り返った。
石塚氏によると,コロナ禍において,新たにポケモンGOを遊び始めた人がとても多かったのだという。3年ぶりのリアルイベントとなった「Pokémon GO Fest 2022」は,既存のトレーナー同士が再会して一緒に楽しんだだけでなく,コロナ禍の中で知り合ったトレーナー同士の初めての出会いにもつながったのではないか,と述べた。
もちろん,友人や知人と集まってポケモンGOをプレイできる場は,大型のリアルイベントだけとは限らない。「コミュニティ・デイ」などの定期的なイベントでもこうした流れは現れており,イベント当日に公園など屋外で一緒にプレイしている人の姿は,コロナ禍に突入した過去2年よりも増えていると石塚氏は語った。
■ウツロイドの出現を皮切りに,ウルトラビーストの襲来が始まる
2022年に起きたもっとも大きな出来事として石塚氏が挙げたのが,「ウルトラビーストの襲来」だ。
ポケモンGOの公式Twitterや公式YouTubeチャンネルでは,ウルトラビーストに関する記録映像という体裁のショート動画が投稿(※外部リンク)されており,告知の演出としても従来の追加ポケモンとは異質な存在であることを印象付けていた。
そして一連のイベントを締めくくる大型イベントとして,グローバルレイドイベント「ウルトラビースト登場」が11月27日に開催された。
このイベントでは,世界中に開いたウルトラホールから一斉に出現したウルトラビーストに対し,トレーナーたちが力を合わせて立ち向かうというストーリーが描かれた。多くのトレーナーが協力してレイドを楽しんだのではないだろうか。
石塚氏は,「皆さんが力を合わせてくれたおかげで,今のところウルトラホールは閉じて,静かになっています。再び襲来するときには,皆さんがまた一致団結して挑んでいただけるといいなと思っています」と,今後の展開にも期待できるコメントを残した。
■新たなレイドバトル「エピックレイド」が実装
石塚氏が続いて挙げたのは,10月にスタートした「エピックレイド」だ。
これは,既存のレイドバトルと比べて,さらに強力なポケモンと戦えるレイドバトルだが,リモートレイドパスは使用不可となっている。該当のジムにはレイドバトルが始まる24時間前には赤い色の特殊な卵が現れ,それを元にトレーナーが現地に集まり,力を合わせて挑戦する仕組みになっている。
実は,本コンテンツを担当したのは石塚氏本人で,初回実装時には近所の公園で行われたエピックレイドの現場にも足を運んだそうだ。コロナ禍の中,現地に行かなければ参加できないレイドにトレーナーが参加してくれるのか,不安と楽しみが入り混じった状態で現地を訪れたところ,現場は多くのトレーナーで賑わっていたという。
石塚氏は,この光景を見た感想を「5年前のレイドバトル実装時に体験したものと同じ感覚」としながらも,当時とは大きく違う点があったと振り返る。それは,親子連れやパートナー同士など,“グループで参加”している人たちが多くいたという点だ。
そこでは,トレーナーのグループが「勝ったね」と声をかけ合ったり,捕獲したポケモンを見せ合ったりしていたそうで,その光景がとても印象的で心に残り,感動したと語った。
一方で,ジムやポケストップの密度が低い地域だとエピックレイドに人が集まりにくいことも認識しており,今後の改善点として挙げていた。
■コロナ禍におけるアイテムの仕様変更と,その後の対応
2022年に起きた大きな出来事として,コロナ禍におけるゲームプレイの特別仕様が通常仕様へと再変更されていった点がある。
この変更はあくまでも一時的なものという扱いだったが,新型コロナウイルス感染症の影響が当初の予想以上に長引いたうえに,仕様変更後にゲームを開始したトレーナーも多かったため,この特別仕様から元に戻した際に起きる混乱を懸念し,どのように対応すべきか,何度もチーム内で議論を重ねたという。
そして議論の結果,「現実世界を探索しながらポケモンやコミュニティとの出会いを楽しむリアルな体験こそが醍醐味」という結論に落ち着き,2022年に特別仕様から通常仕様への再変更が進められていった。
■「Campfire」でポケモンGOコミュニティの拡大を図る
石塚氏は続いて,ポケモンGOを通じてつながる人々の輪が,フレンドの枠組みを超えたコミュニティとして育ってきているという話をしてくれた。
たとえば,都内有数のポケモンGOスポットとして知られる上野公園には,コミュニティ・デイになると,都内はもちろん,新幹線や飛行機で地方から遊びに来るトレーナーが多くいるという。そうして集まった人々は,ポケモンGOを通じて知り合った人同士でポケモンの交換や写真撮影などを楽しんでいるそうだ。
こうしたコミュニティの形成において大きな要素となるのが,2022年にリリースされたアプリ「Campfire」だ。これは,Nianticのさまざまな位置情報ゲームと連動してプレイをサポートするほか,プレイヤー同士のコミュニケーションツールとして活用できる機能を備えている。
Campfireは現時点ではまだテスト運用の段階だが,2023年にはポケモンGOのコミュニティ拡大に利用していきたいとの考えがあるそうだ。
■ハロウィンに合わせて,ゲーム内マップのデコレーションを実施
石塚氏によると,マップ変更のアイデアは以前から出ていたが,実現までに幾度も議論を積み重ねてきたそうだ。慎重に対応したのは,ゲーム内マップに表示される世界が現実とかけ離れ過ぎてしまうと,本作の根本的な楽しみである「ポケモンが実際に隣にいる感覚」が薄れてしまうからだ。
冒険の邪魔にならないよう,テストを重ねた末に実装されたマップ演出はトレーナーに好評で,しばらく休んでいた人たちの復帰なども普段より多く見られたという。
なお,現在のポケモンGOはゲーム内マップに雪が積もっていたり,ポケモンを捕まえる画面に電飾で飾り付けられたツリーが登場したりと,より現実の季節を感じられるようになっている。
■新たなアイテム「おさんぽおこう」が登場
これは,トレーナーを再び屋外での遊びに連れ出すために考えられたアイテムになるそうだ。石塚氏によると,ポケモンGOの原点に立ち返り,「毎日15分間使えるおこうを提供することで,日常生活の中で新しい冒険を楽しんでほしい」という思いが込められているとのこと。
そして,このアイテムの実装後,多くのトレーナーが,さまざまなタイミングでおさんぽおこうを使用していることに気付いたという。一例を挙げると,通勤・通学時の15分間を充てている人や,1周15分の公園で使う人,散歩中のアクセントとして楽しむ人もいるといった具合だ。石塚氏自身も,帰宅時に近くの公園で寄り道を楽しむようになり,その中で季節の変化を感じられるようになったそうだ。
■ステッカーを使いやすくするため機能を改善
ステッカーは,もともと多くのトレーナーから高評価を得ていたそうだが,2022年からはコミュニティ・デイのイラストをあしらった期間限定ステッカーが登場している。さらに,シーズンごとの特別なステッカーも追加され種類が増えた結果,従来のUIでは管理が難しくなっていた。これをより使いやすくするための対策として,10月末にステッカー選択画面のUIがアップデートされた。
本アップデートに伴い,ステッカーの表示方法に複数の機能が追加されている。これまでにステッカーがどのように使われているかのデータが蓄積されてきたことで,より実際の用途に沿った形でUIが調整されたという。
石塚氏はこうしたUIの変更に時間がかかった理由として,「持っているたくさんのものの中から選ぶという行動は,ステッカーだけのチャレンジだとは思っていない」と回答。ポケモンGO全体として同様の改善を加えていくために,精査しながら進めていった結果として時間がかかったのだという。なお,改善は今後も続けていくとのことなので,続報に期待しよう。
■2023年に実現したい3つのポイント
プレゼンテーションの最後に,2023年のポケモンGOに関する3つのテーマが語られた。
1点目は「冒険を通して驚きがあるように」というもの。直近2年間はコロナ禍の影響から,予想外の事態を避けるために事前情報を詳細に提供する傾向にあった。
今後は,スケジュールの提供により事前に予定を立てやすくする一方で,「遊んでいる最中にも新発見の驚きを楽しんでもらいたい」という考えのもとに驚きを提供していくという。
2点目は「新たなる捕まえる楽しさ」だ。アプリのサービス開始から6年が経ち,図鑑がかなり埋まっているトレーナーも多いのではないだろうか。そこで,登録済みのポケモンであっても,捕まえることででさらなる発見が得られるように,新たな楽しさを提供していきたいとのこと。
そして3点目が「人と人とをもっとつなげたい」だ。石塚氏は「ポケモンGOは複数人でプレイすることで何倍も何十倍も楽しくなる」としたうえで,Nianticにはより多くの人が同じ場所で同じ時間を過ごし,一緒にポケモンGOを楽しんでほしいという思いが強くあると語る。
そして,「人,場所,ポケモンがうまく絡み合うと,それが強い思い出になっていきます。これらを通して2023年に,みなさんにもっといい体験や思い出をたくさんつくってほしいと考えています」と続けて,今回の発表を締めくくった。
■Pokémon GO Fest 2022の感想やコミュニティ・デイの仕様変更など,気になるポイントを聞いてみた
石塚氏によるプレゼンテーションの終了後,質疑応答の時間をいただいた。ここからはインタビュー形式で,その一部始終をお伝えしよう。
4Gamer:
まずは,3年ぶりに開催されたPokémon GO Fest 2022についてうかがいます。今年は札幌,ベルリン,シアトルで開催され,各地域に大きな経済効果をもたらしたことも明らかにされています。実際に参加したトレーナーからの反応はいかがでしたか。
「Pokémon GO Fest 2022 Sapporo」ではピカチュウ ランウェイや札幌市電とのコラボなどを開催予定。イベントの最新情報が一挙公開に
Nianticとポケモンは,スマホ向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」で,2022年8月5日から7日まで開催を予定している「Pokémon GO Fest 2022 Sapporo」に先駆けて,プレス向けの発表会を実施した。ここでは,ピカチュウ ランウェイや札幌市電「ポラリス」とのコラボなど,イベント期間中に札幌市内で実施する取り組みが明らかにされた。
「Pokémon GO Fest 2022」は開催都市に総額約452億円もの経済効果をもたらす。イベントには15万人が参加し,3800万匹ものポケモンが捕まえられる
Nianticは本日(2022年11月10日),スマホ向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」で,リアルイベント「Pokémon GO Fest 2022」が開催された3都市(札幌,シアトル,ベルリン)に総額約3億900万ドル(約452億円)の経済効果をもたらしたことを発表した。
僕個人の感覚となりますが,まず「ほかの人に会えたのがすごく嬉しい」という反響が大きかったですね。知り合い同士はもちろん,たとえ知らない人同士であっても,「同じ場所,同じ時間に同じ思いをもってポケモンGOをプレイできるということがすごく楽しい」という声を多くいただきました。
1人でも十分楽しんでいただけるのですが,みんなで一緒に遊ぶとさらに盛り上がるので,そういう意味ではリアルイベントの意味は大きかったと思っています。
また,札幌まで足を運んでくださった方がすごく多いので,初日にイベントを楽しんだ後,翌日にいろんなところを観光して楽しんだという声も多かったです。
経済効果のお話がありましたが,旅行できない期間が長く続いていたこともあって,久しぶりの旅行を楽しまれたのではないでしょうか。中には路面電車のラッピング車両を目当てに訪れた方々もいたらしく,すごく喜んでいただけたようです。
4Gamer:
路面電車のデザインはTwitterでもカワイイと評判になっていたようでした。
石塚氏:
実は車両のデザインを担当させていただいたのですが,喜んでいただけてよかったです(笑)。普段ポケモンGOに抱いている思いを込めました。
4Gamer:
リアルイベントの開催にあたって,開催時期や場所などについて考慮したのはどのような部分でしょう。
石塚氏:
私自身が直接の担当者ではないため詳しい部分はお話できないのですが,ホテルの数や交通量など,開催都市が多くの参加者を受け入れられる状況にあるかは考慮されているようです。そのため準備期間はかなり長く取っています。
札幌での開催にあたっては,札幌市からもご協力いただいたのですが,警察や交通,商店街などのいろいろな関係者の皆さんとも一緒に作り上げていくイベントとなりました。
4Gamer:
ありがとうございます。次はコミュニティ・デイについて教えてください。4月よりコミュニティ・デイの開催時間が6時間から3時間に短縮され,SNS上ではイベントに参加できなかったトレーナーの声をよく見かけるようになりました。その後,6月に追加されたアディショナルレイド(※)は,救済措置という意味合いがあるようにも見受けられます。コミュニティ・デイの開催時間を延長するのではなく,アディショナルレイドを追加したことにはどのような狙いがあったのでしょうか。
※コミュニティ・デイ開催終了後,数時間のみ登場するレイドバトル。対象となるレイドに勝利すると,そのジムの周囲にコミュニティ・デイのポケモンが多くあらわれる
「ポケモンGO」,来月のコミュニティ・デイでヌイコグマが大量発生。イベントは4月23日14:00〜17:00の3時間実施へ
Nianticとポケモンは本日(2022年3月24日),スマホ向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」で,来月の「コミュニティ・デイ」を4月23日14:00から17:00まで開催すると発表し,イベントの詳細を発表した。今回は,アプリ内に初登場の「ヌイコグマ」が大量発生する。
「ポケモンGO」今月のコミュニティ・デイではモノズが大量発生。6月25日11:00〜14:00の予定で開催へ
Nianticとポケモンは本日(2022年6月10日),スマホアプリ「ポケモンGO」で,今月開催する「コミュニティ・デイ」の詳細を発表した。今回は6月25日11:00〜14:00の開催となり,そぼうポケモンの「モノズ」が大量発生する。また,同日の14:00よりアディショナルレイドが開催され,「ジヘッド」が登場するという。
石塚氏:
前提として,コミュニティ・デイはその名前にもあるとおり,一緒にプレイしてほしいという思いがあるんです。
コロナ禍では,できる限り分散できるように6時間の開催としていたのですが,逆に言うと同じ場所で遊んでいても時間帯がズレると会えなくなってしまうんです。こうした理由もあり,新型コロナウイルス感染症を取り巻く情勢が少し落ち着いてきたタイミングで3時間での開催となりました。
アディショナルレイドにも同様の狙いがあるため,リモートレイドパス不可の現地参加のみとしています。これは開催場所に人が集まってきて,そこから自然とプレイの輪が広がるといいなという思いが込められています。
4Gamer:
開催時間短縮とアディショナルレイドの追加,どちらもプレイヤー間のコミュニケーションが生まれることを期待しての施策ということですね。
アディショナルレイドがソロでの攻略が難しいバランスになっている点にも,同様の狙いがあるのでしょうか。
石塚氏:
はい,ぜひ皆さんで一緒に力を合わせて倒してください。勝利ボーナスでジムの周囲にポケモンが登場するようになるのも,ポケモンたちがたくさん出てくることで自然と人も集まってきて,コミュニケーションが生まれることを期待して設定しています。
4Gamer:
コミュニケーションが生まれるといえば,ポケモンGOとCampfireの連携が発表されましたね。機能の追加など今後の展望についてはいかがでしょうか。
Niantic,ソーシャルアプリ「Campfire」を数か月以内に日本でも展開へ。“ポケモンGO”などのソーシャル体験をさらに強化
Nianticは,同社が現在開発しているソーシャルアプリ「Campfire」の紹介記事を,自社ブログに掲載した。Campfireは,「ポケモンGO」などが提供しているソーシャル体験をさらに強化するというアプリで,今後数か月の間に日本での展開も開始する予定だという。
石塚氏:
現時点ではまだテストの段階ですが,もちろん機能の追加は考えています。
今までのフレンド機能からさらに進んで,これからはコミュニティとして人の輪を広げていってほしいと考えています。リアルなフレンド同士でなくても,近くにいる人同士や同じ興味を持った人同士がCampfireを通じてつながっていけるといいですね。
4Gamer:
コミュニティ・デイの開催時間を短縮したことと,アディショナルレイドを追加したことについて,それぞれのタイミングでイベント参加者はどの程度変動したのでしょうか。
石塚氏:
残念ながら,現段階でお話できる情報はありません。ただ,コミュニティ・デイの長さやアディショナルレイドへの人の集まり具合,アディショナルレイドの達成状況などは十分に考慮しつつ,皆さんの体験がさらに良くなるよう,改善していきたいですね。
4Gamer:
今後に期待します。次はポケモンGOのビジュアルに関する質問になります。ここ最近で言うと,「光のシーズン」の開幕前,星空を強調するイメージが公式Twitterに投稿(※外部リンク)されたり,ヒメグマのコミュニティ・デイでゲーム内にも満月が出ていたりと,天候の描き方に力が入っているように感じました。
ガチグマへの進化も可能に。11月12日開催の「ポケモンGO」コミュニティ・デイではヒメグマが大量発生
Nianticとポケモンは本日(2022年10月18日),スマホ向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」で,来月開催する「コミュニティ・デイ」の詳細を発表した。次回は11月12日14:00から17:00までの開催となり,「ヒメグマ」が大量発生する。そして,アプリ内に初登場となる「ガチグマ」への進化も可能になるとのこと。
気付いてもらえてすごく嬉しいです(笑)。天候自体は前からあるのですが,特にここ最近はさまざまなシーズンが発生しているので,それに合ったものが登場しています。
実は,ゲーム内の空はリアルに作られていて,本当の空の動きと連動しています。現実で満月が出ているときにゲーム内を見るとそこでも満月が上がっていて,ときにはポケモンになんらかの影響があったり……,という具合ですね。
4Gamer:
現実世界との連動にも期待したいです。今年もアプリに未実装だったポケモンたちがポケモンGOに多数登場しましたね。その中でも,最初は名前も分からなかった「コレクレー」が登場したことには驚かされました。こちらはどのような意図があったのでしょうか。
2つのフォルムを持つ新ポケモン“コレクレー”が「ポケモン スカーレット・バイオレット」に登場。2023年には「ポケモンGO」との連携も可能に
ポケモンは2022年11月6日,同社が11月18日に発売を予定しているNintendo Switch用ソフト「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」の最新情報として,「はこフォルム」「とほフォルム」という2つの姿を持つ新ポケモン「コレクレー」の映像を公開した。また,本作とアプリ「ポケモンGO」が2023年に連携することも明らかにされた。
石塚氏:
特別な依頼が博士からありましたね。何より,僕たちとしては皆さんに驚いてもらえて嬉しく思っています。先ほど話した「もっと驚きを提供したい」というのはそういう部分でして,何かが起こるよと事前に伝えるよりも,プレイしているときに「なんだろうこれ?」という発見をぜひ楽しんでほしいなと思っています。
プレイ時間を確保していただくために事前のスケジュール告知が必要なのは我々も重々承知しているのですが,一方でゲームならではの驚きと喜びも体験してほしいという思いがあり,そのバランスを取るためにチームで日々ディスカッションをくり返しています。
4Gamer:
8月に実装されたおさんぽおこうについても聞かせてください。ここで出現するいわゆる「ガラル三鳥」(フリーザー,サンダー,ファイヤーの“ガラルのすがた”の総称)の捕獲がかなり難しくなっています。今後,出現率や捕獲率の緩和,出現ポケモンの変化といった施策を行う可能性はありますか。
石塚氏:
まず,おさんぽおこうに特別な伝説のポケモンを引き付ける力がある,ということは皆さんから聞いております。どうすればより集められるか,その詳細はまだまだ調査を進めてみないと分かりません。
そもそも,ポケモンたちは気まぐれでいつ出現してくれるか分からないので,伝説のポケモンたちに野生で出会えるということだけでも特別な体験です。捕獲成功にまで至ったというのは,普段からポケモンGOでの冒険をたくさん楽しんでくださっている方の努力の証なのだと思っています。僕自身まだ捕まえられていないのですが(笑)。
先ほど,おさんぽおこうの使用例が挙げられましたが,私も会社から帰宅する際に使用して,寄り道をしながら家まで15分かけて帰ることが多いんです。まだチェックしていないポケストップまで歩いてみたら,その道中に良さそうなお店があることが分かるなど,新たな発見があるのが面白く感じました。その点についてはいかがでしょうか。
石塚氏:
「寄り道」というのが大切なキーワードで,その部分に気づいていただけて本当に嬉しいです。
ポケモンGOをプレイしていると,意外と知らなかったところに入っていったりするんですよね。私は今の家に住み始めて結構長いのですが,寄り道がないと入っていかない路地をたくさん見つけています。知らないお店など新たな発見もありましたね。
私自身,Nianticに入社してから気付かされたんですが,人って自然と最短距離しか歩かないんですよ。Nianticにはさまざまな位置情報ゲームがありますが,それを遊ぶ1番の魅力は自分たちの近所にあるんです。
わざわざ遠くに行かなくても,結構近くに楽しみってあるんですよね。こうした発見が生まれやすくなることを常に考えながら,おさんぽおこうに限らずいろいろなものを作っています。新型コロナウイルス感染症の流行以降に新たにポケモンGOを始められた方が多いのは,こうした取り組みのおかげだと思っています。
4Gamer:
ありがとうございます。次はエピックレイドについてです。過去の開催では,いずれも「フーパ(ときはなたれしすがた)」が登場しました。幻のポケモンや「アーマードミュウツー」のような特殊なポケモンの復刻を期待する方もいるようですが,エピックレイドの開催間隔や出現ポケモンの傾向について,可能であれば聞きたいです。
石塚氏:
これだけ興味を持って楽しみにしていただけるのは嬉しい気持ちでいっぱいです。残念ながら今後の開催についてはこの場ではお伝えできません。ただ,大人数でないと攻略できない大変なバトルですので,引き続き皆さんが一緒に力を合わせて戦いたい,ゲットしたいと思っていただける魅力的な展開ができればと思っています。
4Gamer:
エピックレイドにも絡む話だと思いますが,ポケモンGOのような位置情報を使ったゲームでは,都市部のユーザーと人口が少ない地域のユーザーとで体験に差が生じると考えます。ユーザーエクスペリエンスデザインにおいて,そうした地域差を埋めるために意識していることはありますか。
石塚氏:
地域によって差が出てしまっていることは認識しています。その中でできるだけ差が生まれないように,何をやるにしても,常にたくさんのディスカッションを重ねてデザインやアイデアを考えています。それでもやはり,人口密度やポケストップの密度により影響が出てきてしまうことは避けられません。
ポケストップが多い地域に住んでいるトレーナーが,ポケストップが少ない地域のフレンドに頻繁にギフトを贈ってあげれば,そのフレンドはよりプレイしやすくなりますよね。逆にポケストップが少ない地域のトレーナーは,その分,ほかの人が足を運びにくい場所のギフトを贈ることができます。
今後に関しても,訪れにくい場所の人たちにとってよりベネフィット(※利益,恩恵といった意味)があるような,ヒーローになれるような部分にフォーカスを当て,冒険を楽しめる仕組みを作っていければいいなと思っています。楽しみに待っていてください。
4Gamer:
ギフトといえば,2022年は8月8日の「世界猫の日」にちなんで,JR新宿駅東口のクロス新宿ビジョンにポケモンGOの3D屋外広告が登場し,合わせて特別なポケストップからギフトやポストカードを獲得できましたね。こうした現実のイベントに関連した仕掛けも日々考えられているのでしょうか。
「ポケモンGO」の3D広告が本日よりクロス新宿ビジョンで展開開始へ。世界猫の日にちなみ,ニャースやエネコらが登場
ポケモンは,スマホ向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」の世界観を体現した3D広告を,本日(2022年8月8日)から9月5日までJR新宿駅東口の大型街頭ビジョン「クロス新宿ビジョン」で展開すると発表した。今回の広告には,8月8日が「世界猫の日」であることにちなみ,名前に“ニャ”や“ネコ”がつくポケモンたちが登場する。
石塚氏:
そうですね。あのポケストップのポストカードはすごく人気で,皆さんたくさん集めて送ってくださっていたのが嬉しかったです。僕自身,ポストカードブックに大事に保存してあります。ああいうリアルとポケモンGOの連動はすごくいいですよね。
4Gamer:
このギフトを,北海道在住と思われるゲーム内のフレンドに後日贈ったところ,直接の親交がないため言葉のやり取りはなかったのですが,向こうからはGO Festのギフトを贈ってもらえました。
石塚氏:
それがまさにポケモンGOの良さだと思っています。ゲーム内で直接メッセージが送れるわけではないのですが,ポストカード自体にメッセージがあり,ワンポイントとしてステッカーを貼ることで,さらに特別な思いを込められます。言葉を必要としないことによって,これだけで世界中の人とコミュニケーションが取れるんですよね。
最近ですと,ポストカードを保存すると「●●さんが××のポストカードを保存しました」と通知が出るようになりました。メニューから「ぼうけんノート」を開いても確認できますよ。
これをチェックしていると意外な面白さもありますね。和風な建物だったり,お店の看板だったりと僕らにとってなんでもないポケストップのカードが,海外の人にとってはすごく珍しいらしく,結構保存してくれるんですよ。
私は最近,Twitter経由でインドネシアのトレーナーとフレンドになったんです。その方からは,バリ島にある寺院のポケストップから取得したギフトが贈られてきたので,日本ならではのものを返そうと神社のポケストップから取得したギフトを贈ってみたら,向こうも頻繁に贈ってくれるようになったんです。確かにこうしたやり取りは面白いですね。
石塚氏:
海外のフレンドから贈られてくるギフトを見ると,身近にあるものって世界中で違うんだなと気付かされますね。アメリカには読まなくなった本を自宅前の箱に入れておいて,地域の人に貸し出すミニ・ライブラリーやマイクロ・ライブラリーと呼ばれる文化があるんですが,そのポケストップがものすごく多いんですよ。身の回りにこんなにあるんだなと気付かされたりして面白いですね。
海外に限らず遠方のフレンドとの交流では,リモートレイドバトルも挙げられますね。先ほど挙げたインドネシアのフレンドから救援依頼が届いたので参加してみたら,バトル後,「トラベラー」の称号を得られたと同時に,5000kmを超える距離が表示されて驚きました。こうした部分でも楽しみがありますね。
石塚氏:
最初出ていたアイデアだと,トラベラーとしか書かれていなかったのですが,やはり数字が見えると楽しいですよね。その機能をリリースしたのが去年なので今回の発表には含めなかったのですが,レイドバトル後のスポットライトはいろいろな人に当たってほしいという思いがありました。強い人だけがハイライトされるのではなく,この人はこういう頑張りがあったんだよと思えるものを作りたかったんです。
トラベラー以外にも昨日たくさん歩いた人や,メガシンカポケモンを場に出して味方の戦力アップに貢献した人が分かるようになっています。いろいろなアプローチで個人個人にスポットライトが当たるといいなと思って作りました。
4Gamer:
「おしゃれ番長」などユニークなものもありますが,強さに関係なくフィーチャーしてくれるのはいいですね。
石塚氏:
おしゃれ番長は個人的に思い入れがあります。ほかの人がアバターにどんな服を着ているかに注目してほしくて,トレーナーの実績カードを考えるときに何度も話し合いをして,「絶対みんな興味を持つから!」と説得したんです(笑)。最近はアバターが回転するようになりましたが,これも最初からお願いしていました。
4Gamer:
そろそろお時間も迫ってきました。最後の質問となりますが,4月に行われたメガシンカのアップデートを興味深く感じていました。アップデート後にはレイドでもメガシンカしたポケモンをよく見るようになりましたね。この調整の経緯について教えてください。
石塚氏:
以前の状態では,メガシンカに必要なメガエナジーを集めにくかった上,メガシンカできる時間は8時間しかないので,もったいないと使うのをためらうことが多かったように思います。そこでメガシンカをもっと気楽に使えるようにするため,さまざまな変更を行いました。
現在は1度メガシンカさせた個体は,一定期間が経過するとメガエナジーなしでメガシンカできるようになっています。さらに同じポケモンを何度もメガシンカさせていれば,再度メガシンカ可能になるまでの間隔も短くなっていきます。何度もメガシンカして,ポケモンとトレーナーの絆で彼らの力を引き出してほしいですね。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
※2022年12月8日収録。
本インタビュー実施後の発表となったが,現在のポケモンGOには,フレンドから受け取ったポストカードと連動して進化先が決定する「ビビヨン」が実装されたほか,XXSやXXLなど新たなサイズのポケモンが登場するようになっている。
そして,すでに発表されているとおり,2023年には,Nintendo Switch用ソフト「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」とポケモンGOの連携も決定している。2023年はどんな展開が待っているのか,続報に期待しよう。
「ポケモンGO」,地域によって羽の模様が異なるビビヨンが新登場。ポストカードをピン留めすることで,進化前の“コフキムシ”に出会える
Nianticとポケモンは本日(2022年12月16日),スマホ向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」に,「コフキムシ」と進化後の姿である「コフーライ」「ビビヨン」が登場したことを発表した。コフキムシはアプリ内のポストカードをピン留めすると出会うことができるという。
「ポケモンGO」にXXSやXXLなど新たな大きさのポケモンが登場。サイズには最小や最重量などより細かい値も表示されるように
Nianticとポケモンは本日(2022年12月9日),スマホ向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」に,XXSやXXLといったサイズのポケモンたちが新たに出現するようになったことを発表した。これまでに新たなサイズが確認されているのは,「ポチエナ」「グラエナ」「クチート」になるという。
「Pokémon GO」公式サイト
「Pokémon GO」ダウンロードページ
「Pokémon GO」ダウンロードページ
- 関連タイトル:
Pokémon GO
- 関連タイトル:
Pokémon GO
- この記事のURL:
キーワード
(C)2017 Niantic, Inc. (C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
(C)2017 Niantic, Inc. (C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
- Pokémon GO Plus (ポケモン GO Plus)
- 価格:¥3,880円
- ビデオゲーム
- 発売日:2016/09/16
- ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険 グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ
- 価格:¥2,680円
- 本
- 発売日:1970/01/01
- ど田舎うまれ、ポケモンGOをつくる (ShoPro books)
- 価格:¥3,828円
- 本
- 発売日:1970/01/01