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龍が如く6 命の詩。公式サイトへ
  • セガ
  • 発売日:2016/12/08
  • 価格:8190円(税別)
    新価格版:3490円(税別)(2020年10月22日発売)
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[TGS 2016]「龍が如く6 命の詩。」横山昌義Pインタビュー。今作は桐生一馬の最終章でありながら「次へとつながる」チャレンジングな作品に
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印刷2016/09/18 14:08

インタビュー

[TGS 2016]「龍が如く6 命の詩。」横山昌義Pインタビュー。今作は桐生一馬の最終章でありながら「次へとつながる」チャレンジングな作品に

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 東京ゲームショウ2016(以下,TGS 2016)のセガゲームスブースには,龍が如くシリーズ最新作となるPlayStation 4用アクションアドベンチャーゲーム「龍が如く6 命の詩。」(以下,龍が如く6)がプレイアブル出展されている。

 シリーズ11年にわたって主人公を務めてきた桐生一馬の“最終章”として制作されている龍が如く6。本作は最新世代機であるPlayStation 4で,これまでのシリーズタイトルから大幅な進化を遂げて12月8日に登場する予定となっている。

 このTGS 2016では,20分以上におよぶ龍が如く6スペシャル映像がシアターにて上映(関連記事)されたほか,試遊台では,上記映像と同じ時間(つまり約20分)TGSバージョンをプレイできるというゴージャスな体験を来場者に提供している。 ファンにはもちろん,開発陣にとっても特別な作品となるであろう龍が如く6。今回はプロデューサーの横山昌義氏に,そんな本作にかける思いを聞いてみた。

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中央:龍が如く6プロデューサー・横山昌義氏

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 今回はシリーズとして久しぶりのプレイアブル出展ですし,非常にゴージャスな体験のできる,来場者には嬉しい内容での出展になりましたね。

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横山昌義氏(以下,横山氏):
 プレイアブルの出展は「龍が如く5 夢,叶えし者」以来ですので,約4年ぶりですね。やはり試遊台が出ているときは,ドキドキ感が違います。

4Gamer:
 やっぱりそういうものですか。

横山氏:
 ええ,開発としては意気込みが全然違いますね。

4Gamer:
 その手応えはいかがでしたか?

横山氏:
 いろんなところで聞こえてきたのは,「ゲーム性が変わった」という声でした。
 また今回シアターと試遊を約20分ずつ用意させていただきましたが,試遊の20分ではとても遊びきれない物量で,あっというまに時間が過ぎてしまう,と。今までと触り心地が変わっていますし。

4Gamer:
 ちょっと歩いただけでサブストーリーが次々と始まるようなボリュームで「あれこれやってみよう」と思っているうちに体験時間が過ぎていました。

横山氏:
 ただ触っていただいた手応えとして,「PS4になった新しい『龍が如く』はこういうことなんだ」という点は証明できたと思います。発売まで期待感を高めてもらう意味で「神室町だけでもこれだけの器がある」ということを提示できたかなと。もちろん,あれですべてを開放しているわけでもないですからね。

4Gamer:
 その前に上映された,シアターでの映像にも圧倒されました。

横山氏:
 本音をいうと,毎回もっと短くしようと思っているんです(笑)。シアターは長くても15分以内には収めたいのですが,毎年伸びてしまいますね。反省してます。龍が如く6のストーリーやゲームシステムを説明するには,どうしてもあの時間が必要だったんですよ。

4Gamer:
 ファンが長時間並ぶ価値のある,濃密な内容だったと思います。

横山氏:
 合計で45分ほど楽しんでいただけますからね。並んで損をしたという印象は残らないはずです。

4Gamer:
 出展されたTGSバージョンでは,広島の尾道仁涯町と東京の神室町を体験することができましたが,あの構成にした理由はどういったものでしょう。

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尾道仁涯町
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神室町

横山氏:
 尾道仁涯町は本編のストーリー部分を切り取っていまして,桐生がハルトを連れて最初に広島を訪れるところを体験していただけます。
 一方の神室町は,過去作品のクリア後に遊べる「プレミアムアドベンチャー」に近い,フリーで遊べる状態にして,それぞれの感覚を掴んでいただけるようにしたんです。

4Gamer:
 今お話に出たハルトという男の子の登場は,シアターの映像の中でもかなり衝撃的でした。

横山氏:
 今まで黙っていましたが,実は本作は,彼ありきのプロジェクトなんです。「桐生による,遥の子供とされるハルトの父親探しの旅」が,僕が企画書の冒頭に書いたことでしたからね。少し大仰ですが「桐生一馬という伝説の男の人生すべてを最終章となる本作の中で描ききれないか」と考えて,それを描くために必要だったのがハルトなんです。

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4Gamer:
 そんなハルトの父親探しの旅の舞台に尾道を選んだ理由はどこにあったんでしょう。

横山氏:
 尾道はどちらかといえば遥のストーリーありきの舞台なんです。前作でああいう形でアイドルをやめて桐生が服役している間に失踪した遙ですが,彼女が道を歩いていたとしても浮かないような閉塞感のある町,という条件に合った候補の中から選んだのが尾道だったんです。

4Gamer:
 現状のムービーなどを見た限りは,遥が尾道仁涯町にいる描写はないようですが……。

横山氏:
 ないでしょうね(笑)。そもそも手がかりは彼女のデジタル写真に残っていたGPSデータだけで,本当に尾道に行ったのかどうかも分からないという状況ですし。
 それでも桐生は,自分が服役していた空白の4年の間に,一体遥に何があったのかを調べるために,誘拐同然でハルトを連れて尾道に向かうんです。
 ある意味本作の桐生にとって,東城会も新たな組織である陽銘連合会も,神室町が今どうなっているのかも基本的にはどうでもよくて,最愛の家族である澤村 遥の一大事のためにひたすら動くんですね。

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4Gamer:
 主人公が桐生1人になったというのも大きなポイントですよね。

横山氏:
 それは本作を制作するにあたって最初に下した最大の決断でしたね。これまでのシリーズは複数の主人公でやってきたので,それを桐生1人に戻して本当に大丈夫だろうかという不安が僕の中にもありました。
 主人公の数はストーリーの内容だけでなく,ゲーム全体の商品性にも大きく関わりますからね。複数だった主人公が1人になってしまうと,遊び自体もその何分の一かになってしまう。そこで飽きさせない内容にするために,どんな遊びをどう増やして,さらにどう進化させる必要があるのかを,一つ一つ時間をかけて構築していきました。
 龍が如くというシリーズは,ストーリーを面白くするための仕掛けがゲームであり,その逆も然りで,ストーリーとゲームが互いに補完し合うことで成立するエンターテインメントなんです。なので主人公が桐生だけになることについては,我々にとっては非常に大きな決断でした。

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4Gamer:
 「龍が如く0 誓いの場所」PS4 / PS3)でも,主人公は2人いましたからね。

横山氏:
 そこをさらに1人に減らすわけですからね。でも「それで行ける」という手応えは,「龍が如く 極」PS4 / PS3)に同梱した体験版で掴めたんですよね。

4Gamer:
 それはどんな手応えでしたか。

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横山氏:
 当然ながら体験版の時点で主人公が桐生1人になることはすでに決定していたんですが,あそこで提示できたバトルのアクションを始めとする「新しい遊び」を構築したことによって,主人公が1人でも飽きないだろうということが掴めたんです。体験版を作るのに約1年,さらにそれ以前から龍が如く6の基礎となるゲームエンジン「ドラゴンエンジン」を作っていて,その研究の中で現在のバトルアクションの下地ができ上がってきたことが手応えにつながりました。

4Gamer:
 バトルも含めて,シームレスにすべてがつながっていく感覚は率直に言って“凄い”と思いました。

横山氏:
 僕らとしてはあのシームレスの仕様も,とくに凄いことをしているという意識はないんです。
 これまではバトルパートに切り替わると,四方閉塞された空間で戦うことになりましたが,本作ではたとえば「吹っ飛ばした敵が店に飛び込んでそのまま店の中でバトルをすると店員が怒って,しばらくその店で買い物ができなくなる」みたいな展開になるんです。
 町が動いている中で自分が何かをすると流れがちゃんとそちらへと動いていくという表現として目指したのがあのシームレスな仕組みなので,技術的にすごいことをアピールをしたいわけではないんですよね。

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4Gamer:
 町に人々の生活があって,そこに桐生が干渉することで,そこにうねりが発生するというわけですね。オープンワールドのゲームにも近い感触でした。

横山氏:
 ですから今回は,町の中を「歩く」ということを大事にしました。今まではアドベンチャーとして,目的地に向かってただ走っていくのが基本になっていましたが,目的なく歩くことで発見できるような仕掛けもたくさん仕込んであります。
 そのために,アナログスティックを倒すだけは走れないよう操作方法も変更しました。走りたいときは[×]ボタンを押すんですが,今回の場合は「急ぎたいときに走る」という感覚で捉えてもらうのがいいかもしれませんね。

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シンガーソングライター・山下達郎さん
4Gamer:
 今回のTGSでの大きな発表として,山下達郎さんの楽曲提供(関連記事)もありましたね。

横山氏:
 アーティストの選定や交渉に関しては毎回すべて名越(※編注:名越稔洋監督)がやっています。今回の達郎さん起用については当然僕にも相談があったわけですけど,実は僕は昔から山下達郎さんが大好きなんですよ。
 学生時代から本当に好きで,アルバムも全部持っていて,いつも車で聴いてるぐらいで,名越から達郎さん起用の相談を受けたときは恐れ多くて,自分のゲームで曲を使うという実感が湧かなかったぐらいで(笑)。
 それが本当に実現してしまって,ある意味すごく複雑な気分でもありました。嬉しいし,恐れ多いし,すごすぎるし,「本当に達郎さんの楽曲に合うものを僕らは作れているのか」とも思ったほどで。
 でもPVや本編で使われている曲ができていくのを見ていると,もう感動しかないですね。この件に関しては,冷静な自分でいられなくなってしまいます(笑)。

4Gamer:
 夢のような出来事じゃないですか!

横山氏:
 ほんと,「マジか!?」って思いましたね。これまでも自分の大好きな役者さんがシリーズに出てくれるたびに,いちファンではなく一緒に仕事をする関係になってしまって,そうなると当然その方にも演出やダメ出しをする必要も出てきて,とても複雑な気分を味わっていたんです。最近その感覚は薄れてきましたが,達郎さんの起用で久々にそれを感じましたね。

4Gamer:
 山下さんの楽曲は本作で5曲が使用されるそうですが,それは名越さんの選曲ですか?

横山氏:
 そうです。すでにある曲の中で,シーンに合うものを選定しています。曲数も始めから決まっていたわけではなく,「このシーンならこの曲」というのを決めていった結果がこの5曲なんです。

4Gamer:
 5曲が選ばれたとき,横山さんはどう思われました?

横山氏:
 「こういう選曲なんだ!」という驚きはありました。“真の達郎ファン”なら,「ほーっ!」と思うんじゃないかな。ちょっと人ごとみたいですけど(笑)。

4Gamer:
 PVでも非常に“いいところ”で使われていましたよね。

横山氏:
 発売前からこんな話をするのもなんなのですが,個人的な話,テストでエンディングを見るたびに泣いちゃいます。自分の名前が達郎さんの曲をバックに流れてくるわけですからね。これは素直に嬉しい。これまでも「この仕事をやっていてよかった」と思ったことがありますが,今回の達郎さんの起用もその一つになりましたね。

4Gamer:
 本作のキャストについてもお聞きしたかったのですが,横山さん個人としては,どの方が印象深かったですか?

横山氏:
 これは毎回思うことですが,今回も今考えられる最高のキャストだったと思います。どこにも隙がないですよね。その中で,僕が演出として携わったうえ印象深かったのは,宇佐美勇太役の藤原竜也さんと,染谷 巧役の小栗 旬さんでしょうか。
 藤原さんは以前出演していただいたことがあったので,脚本は当て書き(※)に近い形で書いたのですが,それを超えるイメージで演技をしてくれました。小栗さんに至っては僕らの想像とは別次元で,桐生というキャラクターと対等にわたり合うだけの演技力,そして迫力がありましたからね。
 彼自身が龍が如くを遊んでくれていたということもあって,各キャラクターがどんな男かを分かったうえで演技をしてくれているんですよね。

※役を演じる俳優をあらかじめ想定して脚本を書くこと

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宇佐美勇太
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染谷 巧

4Gamer:
 作品のファンだからこその演技なんですね。

横山氏:
 ファン目線というよりは,役者魂なんだと思います。桐生一馬という主役に負けない助演をどう演じるかを,すごく深く考えて臨んでくれましたね。

4Gamer:
 もう一つ面白い要素として,自分の組を作れる「クランクリエイター」関連記事)というモードが発表されましたが,あれはどういうものなんですが?

横山氏:
 本作では「仲間」というテーマにも重きを置いていて,尾道に単身で乗り込んだ桐生が,弱小組織の広瀬一家の連中と仲間になっていくんです。仲間と共に大きな力と戦うという図式がある中で,桐生1人の力ではなく,人をまとめることで強くなっていく「組織体の力」みたいなものをゲームで表現できないかと考えました。それを表現した遊びがクランクリエイターなんです。
 組を成長させていくと,組長,若頭,若頭補佐といった具合に役職が増えて,そこに人材を据えることで強くなっていくという仕組みです。

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4Gamer:
 新日本プロレスの選手がここに参戦するそうですね(関連記事)。

横山氏:
 はい。このモードで対抗することとなる「ジャスティス」という組織のメンバーとして,新日本プロレスの選手に出演いただいています。もちろん彼らも仲間にできて,最終的にはデータのやりとりにより,プレイヤー間でも戦えるようなシステムを用意しました。

4Gamer:
 クランクリエイターはRTS的な雰囲気がありますね。

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横山氏:
 手触りは近いと思います。ただRTSって,龍が如くの主なプレイヤーにはちょっと食い合わせが悪いのではないかという印象を僕は持っていて,そんな彼らでも夢中になれるような仕掛けをいろいろと考えて,徹底的に作り込みました。

4Gamer:
 楽しみが増えました。
 では最後に,発売まで約3か月を切った今,ファンにはどのような構えで待っていてほしいですか?

横山氏:
 龍が如くのチームはネタが多いので順次露出していくんですが,これまではずっと我慢をして,このTGSで大砲を撃つように一気に放出したんです。それでもまだ出し切れていない情報あって,すべてをお伝えするのにちょうど3か月ぐらいはかかると思います。それらをお伝えすれば,龍が如く6の遊びの全貌が分かっていただけると思います。
 それともう一つ,ストーリー的な部分では桐生一馬の最終章としてシリーズの集大成に見えるかもしれませんが,ゲームの中身は新たな挑戦の連続で,僕らにとってはチャレンジングタイトルと呼んでも過言ではないんです。ファンのみなさんに「あっ,こいつら頭おかしい(笑)」と言ってほしくて作っていて,それは叶えられた作品になっている思います。ぜひご期待ください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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