［プレイレポ］「アナザーエデン」の「FFIX」コラボ協奏を先行体験。アレクサンドリアの街並みやトランスの再現など，原作をリスペクトした作り込みはさすがの一言

　WFSは，サービス中のスマートフォン向けシングルプレイ専用RPG「アナザーエデン 時空を超える猫」（iOS / Android / PC 以下，アナザーエデン）にて，「ファイナルファンタジーIX」（以下，FFIX）とのコラボを2025年12月4日に開始する。


　11月29日の公式生配信で発表された本コラボでは，アナザーエデンの世界で，FFIXの物語が描かれる協奏「Memories of Another Sky」が楽しめるほか，ジタン，ガーネット，ビビ，スタイナーの4名が★5のプレイアブルキャラクターとして登場する。

　今回4Gamerは，コラボのスタートに先駆けて協奏の序盤に触れる機会を得たので，コラボの概要と試遊で確認できた内容を紹介していこう。

物語はFFIXの冒頭から。FFIXの世界にアルドたちが迷い込む

　まず改めて本コラボの概要をおさらいしておこう。FFIXとのコラボストーリー「Memories of Another Sky」は，12月4日のアップデート後から2026年7月6日までプレイ可能となる。
　参加条件は，メインストーリー13章のクリアとなっており，協奏一覧から「Memories of Another Sky」を選択するとコラボストーリーを楽しめる。


　プレイヤーならお馴染みではあるが，アナザーエデンでは，基本的にコラボストーリーを進めていくとコラボキャラクター全員を入手可能となっている。FFIXコラボもその例に漏れず，ジタン，ガーネット，ビビ，スタイナーの4人を無料で仲間にできる。


　今回のコラボでは時空の穴に吸い込まれたアルドたちが，FFIXの世界に迷い込むことになる。アルドたちが飛ばされるのは，FFIXの物語の冒頭，タンタラスのメンバーが王女ガーネットの誘拐を目論む「劇場艇プリマビスタ」だ。
　つまり本コラボでは，FFIXの最序盤からアルドたちとジタンたちが交わることになり，アナザーエデンのキャラクターたちが絡むことで，原作とはまた違ったFFIXの物語が展開されていくのが見どころの1つとなっている。

劇場艇プリマビスタの上空に飛ばされたアルド。ジタンたちに助けられ，旅に同行することになる

見下ろし視点のマップも存在する。FFIXではお馴染みの角度だが，アナザーエデンではあまり見られなかった角度だ

トランスやアビリティシステムなど，原作を再現したアナザーエデンらしい作り込み

　アナザーエデンのコラボといえば，原作の要素を再現した細かい作り込みに定評があるが，今回もそれは健在だ。

　まず驚いたのは，FFIXにおけるイントロダクションの再現がすさまじいという点だ。FFIXのイントロといえば，タンタラスの演劇チャンバラや演劇を見たいビビが城下町を探索する様子などが印象的だが，それらがアナザーエデンの中で再現されている。

協奏では，FFIXのBGMが各所で流れる。原作で流れた楽曲が音源そのままに使用されているものやアナザーエデンサウンドチームによる原作楽曲の新録も存在する

　個人的に印象に残ったのが，演劇でのバトルシーンだ。原作のFFIXではこのシーンで「ポーリー」「メデオ」「ファイダ」という演劇魔法が使えたのだが，本コラボでも，「ポーリー」と「メデオ」が登場し，しっかりと再現されていた。
　演劇魔法は，元ネタである「メテオ」「ホーリー」ともエフェクトが異なるなど，かなり凝った作り込みなのだが，本当にこのシーンでしか使えない。つまり，開発はこのコラボのワンシーンのためにエフェクトを作ったことになる。

演劇魔法のためダメージはゼロ。原作再現のためにエフェクトを作ったと考えると，気合の入り方がすごい

部屋の奥を調べるとギルとアイテムが配置されていた。FFIXではろうそくの灯りをつける前に調べると，ギルとポーションが入手できた場所で，元ネタを知っているとニヤリとできる要素も散りばめられている

　「トランス」や「サポートアビリティ」といった要素もコラボキャラクターの固有システムとして実装される。

　トランスは，攻撃を受けたり特定のスキルを使うと溜まるトランスゲージを最大にすると発動する強化状態で，原作のFFIXでも象徴的なシステムだ。
　試遊では，ジタンの「裏技」である「フリーエナジー」を確認できたが，ゲームを進めていくと，そのほかの技も見られるのだろうか。


　サポートアビリティは，FFIXでは装備品にセットされているスキルのことで，装備品を身に付けた状態で，メニュー画面からキャラクターにセットすると能力を発揮する。
　アナザーエデンでは，コラボキャラクターに「SA装備」という通常の装備枠と別の枠が用意されており，コラボクエストの中で手に入った装備を身に付けるとアビリティをセットできるようになる。

サポートアビリティの装備画面。FFIXを再現したUIとなっている。装備するアビリティをキャラクターが持つ魔石力のポイント内に収める必要がある点や，アビリティをセットして戦闘を続けているとマスターできる点など，FFIXを再現している

　戦闘以外にもFFIXの「ATE（ACTIVE TIME EVENT）」もシステムとして導入されている。ATEは，物語の要所で発生する「操作キャラクター以外の人物は何をしているのか」を見られるイベントだ。
　ATEはFFIXのキャラクターだけでなく，アナザーエデンのキャラクターたちにも発生し，試遊でも物語の冒頭でアルドとはぐれたエイミの様子を確認できた。こうした細かいシステムを再現している部分もアナザーエデンらしい作り込みである。


　そして，ミニゲーム「ここほれ！チョコボ」もアナザーエデンでしっかりと再現されている。これはチョコボに地面を掘らせてお宝を入手するというもので，さまざまなアイテムを入手できる。
　中でも貴重なアイテムが「チョコグラフ」と呼ばれる石板で，FFIXでは，チョコグラフに描かれている図を頼りに世界のどこかに埋まっているお宝を探せた。今回の協奏には，フィールドマップが存在するため，もちろんこの仕様も再現されている。FFIXと同じく，チョコボに乗ってお宝探しを楽しめるのだ。


　ちなみにFFIXでは，チョコグラフで特定のお宝を探し当てると「浅瀬チョコボ」「山チョコボ」「海チョコボ」「空チョコボ」の順に進化していき，移動できる範囲がどんどん増えていった。
　今回の試遊では，チョコボの進化は確認できなかったが，この進化システムも再現されているのだろうか。


　ひととおり試遊を終えて感じたのは，やはり原作をリスペクトした細かな作り込みがすごいということだ。FFIXで印象的だった要素は押さえつつ，細かいネタも拾っている気合の入り方は，まさにアナザーエデンらしいコラボであると感じた。

オープニングの一幕の再現度は特に気合が入っている。試遊を終え自宅に帰った筆者は，思わず私物のFFIXを起動してオープ二ングを確認したほど

　また，アナザーエデンとFFIXの相性の良さも目を見張る点だった。もともとFFIXのキャラクターは原作でも頭身が低く，デフォルメされたデザインで表現されていたため，アナザーエデンの3頭身デザインで表現されたときにも違和感がない。

3頭身のスタイナー。まったく違和感がないし，彼のガチャガチャした足音もしっかり再現されている

　また，人為的に作られた黒魔道士であるビビと，人の手で作られた存在として描かれる合成人間など，世界設定にも共通項があり，これらがコラボの中でどのようにクロスオーバーするのかも期待したいところだ。