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印刷2019/03/21 17:16

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[GDC 2019]「No Man’s Sky」を生み出したHello Gamesのショーン・マレー氏が明かす,大炎上を乗り切ったプログラマーらしい思考法

GDCの新企画「Developer’s Journey」に登壇したショーン・マレー氏。「No Man’s Sky」のローンチに失敗して大炎上ながらも,時間をかけて自分達の能力を証明して見せた
画像集 No.001のサムネイル画像 / [GDC 2019]「No Man’s Sky」を生み出したHello Gamesのショーン・マレー氏が明かす,大炎上を乗り切ったプログラマーらしい思考法
 Game Developers Conferenceでは初の試みとなる,開発者達の過去を振り返るセッション「Developer’s Journey」(開発者達の旅路)にて,「No Man’s Sky」PC/PS4/Xbox One)を手掛けたHello GamesのSean Murray(ショーン・マレー)氏が登壇した。

 PCおよびPlayStation 4向けに2016年8月にリリースされた「No Man’s Sky」は,広大な宇宙を探索しながら不思議な地形や植物で覆われた惑星を発見し,未知の生命体に遭遇したり,資源を獲得して基地を作ったりするオープンワールド型のアクションアドベンチャーだ。4人の開発者でプレプロダクションが始まり,最後の段階でも15人しかいなかったという小さな開発チームで壮大なゲームを作るために,惑星の地表や大気,水の分量,さらには動植物の部位をプロシージャルに生成することで,64ビット整数の限界である1844京を超える惑星のパターンを自動に作り出すという,これまでに誰もやったことのないゲームエンジンを作り上げた。

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 ただし,何度もリリースが遅延されたのちに公開された「No Man’s Sky」の製品版は,味気のない惑星ばかりが生成され,それまでトレイラーで宣伝されていたような巨大なクリーチャーが出る確率が非常に小さかったこと,そのような状況でいくら宇宙船で飛び回ってもできることは限られていたことなどが原因で,メディアやゲーマー達からの評価は伸びなかった。それどころか,「マレーはウソをついた」だとか「虚偽の広報でプレオーダーを増やし,後は何もしない怠け者」といった罵詈雑言がインターネットに溢れ,マレー氏がちょっとおどけて見せているような映像や画像からミームが量産されるなど,いわゆるトキシティ(毒気)がまき散らされた。

 GDCやE3など過去のイベントに登壇したマレー氏の話す様子を見た人なら分かるが,生粋のプログラマーのマレー氏はシャイな人物だ。インターネットでの炎上に耐えられるような性格ではないだろう。実際に発売直後から半年ほどは,ほとんどソーシャルネットワークやブログなどを更新することもなく,毒気に晒され続けていた。

「No Man’s Sky」のローンチ当初,自分のコラ画像を使ったミームがいくつも作られるなど,マレー氏は悪意あるゲーマーの毒気に晒され続けていた
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 マレー氏は,今回そのことを振り返りながら「とにかくデータとして考えるように努めていた」と語る。毒気のあるゲーマー達のうち80〜90%は,「No Man’s Sky」を購入してさえいなかったそうだ。そして,残りの10%あまりのゲーマー達の批判に耳を傾け,ローンチ時点で何が問題だったのか,そして実際にプレイしてくれているファンは何を求めているのかを統計化していくことで,ゲーム開発者としてのヤル気を奮い立たせていたという。
 そうして開発されたのが,発売から3か月ほどの沈黙の後,2016年11月末にリリースされた「Foundation Update」や,オンライン化するなどの大型アップデートとなった「Next」だ。さらに2018年11月にも「Visions」がリリースされるなど,絶え間なくアップデートが続けられ,その評価は2年以上を経て見違えるほど回復している。マレー氏自身も,現在においても多くのアクセス者がおり,1人あたりのプレイ時間が25時間を超えていることに胸を張っている様子だった。

2年半にわたって無料アップデートを繰り返し,「No Man’s Sky」は昔とまったく異なるゲームに進化した。今でも多くのプレイヤーに親しまれている
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 マレー氏は,「責任者である私が批判の矢面に立たされるならまだしも,一生懸命に開発に携わってきた仲間達が怠け者呼ばわりされるのは許せなかったし,彼らの名誉を回復してあげたかった」とし,これまでは心無い中傷に対しても落ち込まないよう心掛けてきたそうだ。何よりもマレー氏の心の支えになってきたのは,「なぜ自分はゲームを作るのか」という問いかけに対し,「自分のゲームで楽しんでいる人を見ることが楽しいから」という結論に至ったからだという。

 「私はプログラマーですから,私のことはデータやグラフで考えてしまう」というマレー氏は,ゲーム開発の幸福度を人の一生に例え,「ゲームを企画している頃は幼年期と同じで,夢ばかりを見て楽しいですが,プレプロダクションの段階で自分たちの可能性や技術的な限界が見えてきて,それでも開発が実際に始まれば奮闘し,発売と共に意気消沈となってしまう。これは,社会人になって荒波に揉まれても,父親になるころまでには自信を取り戻しますが,残りの人生は下り坂なのと似ていますね」と笑いを取る。しかし,ゲーム開発はこのアップダウンの繰り返しであり,今は新しいプロジェクトの構想に向けて,再び生まれ変わったような心持ちで楽しんでいると続けていた。

「すべての意見をデータとして捉えるべき。良いデータはポジティブなものだ」と語るマレー氏
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人生もゲーム開発も,アップダウンは付き物だ。次はどんな新作を生み出してくるのか,今後のマレー氏らの奮闘を楽しみにしておこう
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 マレー氏に限らず,風呂敷を広げ過ぎたために批判を受けたPete Molyneux(ピーター・モリニュー)氏,女性ゲーム開発者としてネットハラスメントにあったZoey Quinn(ゾーイ・クイン)氏,自らの言動が災難を招いたPhil Fish(フィル・フィッシュ)氏など,ゲーム業界では過去に炎上した例はいくつもある。しかし,マレー氏ほどゲーム開発に真摯に向き合い,自分でプレッシャーをはねのけた人はそうはいないだろう。新作の企画も始めているというのは,多くのファンにとって嬉しいニュースで,その続報にも期待しておきたいところだ。

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