連載
そうだ アニメ,見よう:第246回は学園ヒーローアクション「SANDA」。BEASTARSの板垣巴留氏が描く,サンタクロースに変身する少年の物語
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「第42回講談社漫画賞」をはじめ数々の賞を受賞し,2019年にはアニメ化もされた漫画「BEASTARS」。その生みの親である漫画家・板垣巴留氏が,「週刊少年チャンピオン」で連載していた学園アクション漫画「SANDA」(少年チャンピオン・コミックス/全16巻)がついにアニメ化された。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第246回のタイトルは,同作をアニメ化した「SANDA」(毎週金曜日25:53〜MBS・TBS・BS-TBSほか)だ。制作はサイエンスSARU,シリーズ構成・脚本は「クレヨンしんちゃん」や「ポケットモンスター」のうえのきみこ氏が担当。監督は「ユーレイデコ」や「映像研には手を出すな!」(関連記事)の霜山朋久氏が務めている。
「SANDA」
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大黒愛護学園に通う14歳の少年・三田一重(CV:村瀬 歩)は,雪の降るクリスマスに,クラスメイトの冬村四織(CV:庄司宇芽香)から命を狙われる。実は“サンタクロースの末裔”である三田は,特定の条件がそろうとサンタクロースに変身するという,特異体質の持ち主だった。
その秘密を知った冬村は,行方不明となった友人・小野一会(CV:永瀬アンナ)を探し出すため三田の持つ力に目をつけ,彼を変身させるために襲っていたのだ。
「サンタさん,友達を探してください」
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サンタクロース(CV:東地宏樹)の力に目覚めた三田は,子供である冬村を守るため,彼女に協力することを決意。小野の捜索に奔走するが,子供の思想をコントロールしようと目論む学園長・大渋一二三(CV:関 俊彦)や,サンタクロース捕獲組織「赤衣の特捜隊」の柳生田(CV:平田広明)が彼らの前に立ちふさがる。
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そんな中,体育館で小野の葬儀が行われることになる。葬儀の最中,柳生田と遭遇した三田は,戦いに夢中になるあまり,全校生徒の前に全裸で姿をさらしてしまうのだった。
歪んだ“超少子化時代”
クリスマス・イブの夜,子供たちにプレゼントを贈り届けてくれる,赤い服に身を包んだ老人サンタクロース。このイメージは,4世紀の司教セント・ニコラウスをルーツとし,後にコカ・コーラ社の1931年の広告で描かれた姿が世界的に定着したものなのだとか。
世界中の子供たちが信じるファンタジーな存在のサンタクロースだが,本作では実在する危険人物として描かれている。なぜ危険かというと「子供に夢や希望を与える」からだ。
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超少子化時代が到来し,「敬語は大人が子供に使うもの」が当たり前で,「未成年の殺人行為は相手が成人なら無罪」というおかしな法律まで制定されている世界では,“子供に悪影響を与えるもの”はすべて排除されてしまうのだ。
そんな狂った世界で子供たちは何を考え,何を生きる支えとしているか。少年少女が学び生活する大黒愛護学園を舞台に,ゆがんだ大人たちの悪意と戦うサンタクロースの姿を通して,“子供とは何か,大人とは何なのか”をテーマに描いているのが,本作「SANDA」なのだ。
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サンタクロースの特殊能力
サンタクロースの力に覚醒した三田は,赤い衣装を着ることで“2メートルを超える大柄で筋肉質の老人”に変身できる。学園の体操着は赤いジャージなので,衣装に困ることはない模様。変身の解除はグミを食べればいい。変身のトリガーが赤い衣装というのは分かるが,グミは子供っぽさの象徴だからだろうか。
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変身時は白髪白ヒゲの大男になり,拳銃で撃たれても致命傷にはならない。常人を超える力をふるい,足からは金属製のスキー板(ソリ)を発生させられる。
サンタクロースというより,アメコミのヒーローのような能力だが,どうやら不死身というわけではないらしい。
ある条件を満たすと,心臓の鼓動が止まってしまうようなのだ。子供の味方であるサンタクロースの弱点とは? 今後のストーリー展開のカギとなるだろう。
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サイエンスSARUが描く,こだわりの映像
制作を手がけているのは,「DEVILMAN crybaby」や「映像研には手を出すな!」といった人気作をはじめ,数多くの名作を世に送り出したサイエンスSARUだ。最近では「ダンダダン」(関連記事)を制作し,その完成度の高さで海外でも話題となっていた。
今回もこだわりの映像美は健在だ。アニメでは,動かすことを前提に簡略したアニメキャラクターを用いるのが一般的だが,本作のそれは「原作の絵が動いている」と言っても差支えがないほど,板垣氏のタッチを再現することに成功している。
それもそのはず,監督の霜山氏は,「原作の絵の強さをアニメでも表現する」をコンセプトに,本作を作り上げているのだとか。
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ちなみに霜山氏のお気に入りのキャラクターは,学園長の大渋一二三だそう。大渋は92歳の老人だが,若さに固執するあまり全身を人工物に置き換えた(手だけそのまま)という,少々風変わりな考え方を持つ人物だ。
三田の目線で見ると「なんて嫌なやつだ!」となる大渋だが,霜山氏の目線で見るとあの気持ち悪さがクセになるそう。たしかに,夢に見そうなキャラクターかも……。
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三田と冬村の関係は?
第6話「人造人間vsサンタクロース」が放送され,行方不明だった小野一会が三田たちの前に姿をあらわした。彼女のことをきっかけに,学園のゆがんだ教育方針が次々と明らかになっていく。そして,小野の本心も。
予想のつかない展開が魅力の本作だが,原作によるとまだまだ物語は序盤と言える。サンタクロースの力を手に入れた三田がどのように成長していくのか。三田と冬村の関係はどう変化するのか。今のところ放送話数は判明していないが,2クール,第2シーズンと続いてほしい,そうサンタクロースに祈りたくなる作品だ。
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| 放映データ |
|---|
| 2025年10月〜毎週金曜日25:53〜MBS・TBS・BS-TBSほか |
| キャスト | |
|---|---|
| 三田一重:村瀬 歩 | |
| サンタクロース:東地宏樹 | |
| 冬村四織:庄司宇芽香 | |
| 小野一会:永瀬アンナ | |
| 甘矢一詩:新 祐樹 | |
| 風尾二胡:松岡美里 | |
| 大渋一二三:関 俊彦 | |
| 柳生田三郎:平田広明 | |
| 鉄留十予:野沢雅子 | |
| スタッフ |
|---|
| 原作:板垣巴留『SANDA』(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊) |
| 監督: |
| シリーズ構成・脚本:うえのきみこ |
| 音楽:田中知之(FPM) |
| キャラクターデザイン・総作画監督:石山正修 |
| 美術監督:桧垣仁希 |
| 色彩設計:合田沙織 |
| 撮影監督:伊藤ひかり |
| 編集:廣瀬清志 |
| 音響監督:三好慶一郎 |
| アニメーション制作:サイエンスSARU |
| オープニング・テーマ:yama「アダルトチックチルドレン」 |
| エンディング・テーマ:崎山蒼志「ダイアリー」 |
| (C)板垣巴留(秋田書店)/SANDA製作委員会 |
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