連載
そうだ アニメ,見よう:第250回はチェンソーマン原作者の短編集をアニメ化した「藤本タツキ 17-26」。若い感性あふれるショートストーリー8編
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2025年に上映された劇場アニメ「チェンソーマン レゼ篇」(関連記事)をはじめ,数々のヒット作を世に送り出している漫画家・藤本タツキ氏。彼の短編集「藤本タツキ短編集 17-21」「藤本タツキ短編集 22-26」(集英社ジャンプコミックス刊)の8作品がアニメ化され,Amazon Prime Videoで配信中だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第250回のタイトルは,オムニバス作品「藤本タツキ 17-26」。制作統括はFLAGSHIP LINE,配給はエイベックス・ピクチャーズが担当。6つのアニメスタジオ(ZEXCS,ラパントラック,GRAPH77,100studio,スタジオカフカ,P.A.WORKS)が制作しており,GRAPH77は本作がデビュー作となる。
「藤本タツキ 17-26」
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【各作品紹介】
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「庭には二羽ニワトリがいた。」
宇宙人との戦争に敗れ,人類は滅びた――とされている地球。そこで暮らす宇宙人の学生・陽平(CV:浦 和希)は,学校で二羽のニワトリを世話していた。だが,そのニワトリには秘密があった。
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「佐々木くんが銃弾止めた」
春休みの補修,担任の川口先生(CV:安済知佳)に会いたい一心で参加した学生・佐々木(CV:熊谷俊輝)。そこに突然の銃声が響く。教室に現れたのは,かつて川口先生に振られた男だった。
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「恋は盲目」
高校卒業の前日,生徒会長の伊吹(CV:堀江 瞬)は,想いを寄せるユリ(CV:若山詩音)を下校に誘う。長年秘めてきた恋心を彼女に伝えようとするが,さまざまな障害が現れては,伊吹たちの下校を阻む!
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「シカク」
殺し屋としてその名を馳せている少女・シカク(CV:花澤香菜)。吸血鬼・ユゲル(CV:杉田智和)は,3500年にも及ぶ不死の生活に退屈し,シカクに自分を殺すよう依頼する。
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「人魚ラプソディ」
海辺の町に暮らす少年・トシヒデ(CV:菊田千瑛)の宝物は,海の底に捨てられている人魚のピアノ。ある日,いつものようにピアノを演奏していたトシヒデは,隠れて聴いていた人魚の少女・シジュ(CV:幸村恵理)と出会う。
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「目が覚めたら女の子になっていた病」
ある日,目が覚めたら女の子になっていた少年・トシヒデ(CV:榊原優希)。クラスの男子たちの嫌がらせの標的にされてしまったトシヒデを助けたのは,恋人・リエ(CV:河瀬茉希)の兄・アキラ(CV:山下誠一郎)で……。
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「予言のナユタ」
ケンジ(CV:松岡洋平)の妹・ナユタ(CV:咲々木 瞳)は「世界を滅ぼす」と予言された悪魔の子として,周囲の人々から忌み嫌われていた。そんなある日ついに,ナユタが大事件を起こしてしまう……。
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「妹の姉」
ある朝,光子(CV:中島瑠菜)が美術学校に登校すると,玄関に自分の裸の絵が飾られていた! それは光子の妹・杏子(CV:中井友望)が描いた作品で,1年間も学校に飾られることに。屈辱を晴らしたい光子は……。
藤本氏が17歳から26歳までに手がけた短編8作品
藤本タツキ氏は,異色のヒーロー漫画「ファイアパンチ」で鮮烈なデビューを飾った漫画家だ。独特なストーリー展開とリアルタッチの絵柄が話題を呼び,連載2作目となった「チェンソーマン」は大ヒットとなり,TVアニメ化もされている。
そんな藤本氏が17歳から26歳までに手がけた短編8作品を,6つのアニメスタジオと7人の監督(長屋誠志郎,木村延景,武内宣之,安藤尚也,寺澤和晃,本間 修,渡邉徹明)がそれぞれアニメ化したのが,本作「藤本タツキ 17-26」だ。2025年10月に2週間だけの期間限定上映を行っていたので,劇場に足を運んだ人もいるはず。
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8作品は,人類が滅亡した世界で生き残った2人の絆を描く「庭には二羽ニワトリがいた。」をはじめ,思春期の衝動がさく裂する「佐々木くんが銃弾止めた」,恋心が宇宙規模で暴走するSFラブコメ「恋は盲目」など,多彩なジャンルの物語がラインナップされている。
それぞれ藤本氏の感性がいかんなく発揮された作品で,各話15〜20分ほどとサクッと観られるのがうれしい。どれも個性あふれる作品だが,今回は筆者の印象深かった作品2編の雑感をお届けする。
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●「庭には二羽ニワトリがいた。」
人類を捕食する宇宙人との戦争が終結し,人類の文化を気に入った宇宙人たちが“人類の真似事”にいそしむ世界が舞台。ある学校にいる2羽のニワトリが主人公となる。ニワトリたちは実は人間で,造形でしか物を認識できない宇宙人の目を欺くために,ニワトリの被り物を着けて難を逃れていたのだ。
人間が豚や牛を食べるのと同様に,人類が捕食される側に回るという皮肉のきいた設定がポイントの作品となる。残された人類は自分たちだけかもしれないという極限状態のドキドキ感と,人間の行動を真似る宇宙人たちのお気楽さのギャップ,後半のハイスピードアクションが混ぜ合わさった,なんともカオスな世界観を楽しめる。
ネタバレになるので多くは語れないが,二転三転するストーリー展開もお気に入りの作品だ。制作はZEXCS,監督は「映像研には手を出すな!」や「シャドウバースF」などを手がけた長屋誠志郎氏が務めている。
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●「妹の姉」
美術学校に通う2人の姉妹が主人公。学校の優秀作品に選出された妹・杏子の絵が,姉である自分の裸をモチーフにしたもので,1年間自分の裸を全校生徒に見られ続けるという苦行に耐える姉・光子の姿をコメディタッチで描いている。
個人的に8作の中で一番印象に残った作品だ。幼い頃から何をするにも姉のうしろをついて回る妹が,姉と同じ美術の道に進み,姉を追い抜いてしまうというお話。兄妹,姉妹などでよくあるシチュエーションともいえるが,その状況になったとき“自分ならどうする”と視聴者に問いかける,ちょっと寓話めいた短編だと感じた。
姉妹の揺れる心情を丁寧に描写し,最後にちょっとホロッとさせながら,アイロニーめいたものを描き出している。美術学校に通っていた藤本氏の細部へのこだわりも相まって,心に残る作品だった。制作はP.A.WORKS,監督は「スキップとローファー」や「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」の本間 修氏だ。
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映画好きの藤本氏らしい作品群
藤本氏は今回のアニメ化にあたって,「学生時代に作られた作品がアニメ化するというのは,本当にしてしまってもいいのか,誰かのインスピレーションに頼り切った作品になってしまってないかと不安になりました」と胸の内を語っている。
映画好きと公言している藤本氏だけに,他作品からのオマージュかなと思う部分もあるが,それを自分独自のアレンジで調理しているのが藤本氏らしいと感じた。各話を担当している制作スタジオや監督も,そこに独自のカラーを添えて作品を盛り上げている。
筆者の選んだ2作品のほかにも,ビビッドな若い感性にあふれる作品がラインナップされているので,“藤本タツキワールド”を堪能したい人におすすめの作品群となる。
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そうだ アニメ,見よう:第243回は劇場版「チェンソーマン レゼ篇」。謎の少女レゼとデンジのボーイミーツガールを描いた,ひと夏の恋物語
「そうだ アニメ,見よう」第243回のタイトルは,TVアニメの最終回からつながるエピソードを描いた劇場版「チェンソーマン レゼ篇」。制作はMAPPA,脚本は瀬古浩司氏,監督は𠮷原達矢氏が担当。宇多田ヒカルさんと米津玄師さんによるコラボ曲「JANE DOE」がエンディングテーマとして採用されている。
そうだ アニメ,見よう:第170回はMAPPA渾身の注目作「チェンソーマン」。悪魔を身に宿した少年が暴れ回るダークヒーローアクション
「そうだ アニメ,見よう」第170回は,“チェンソーの悪魔”を身に宿した少年・デンジの活躍を描いた「チェンソーマン」。制作はMAPPA,脚本を「進撃の巨人」などの瀬古浩司氏が担当。監督は「呪術廻戦」では絵コンテ・演出、「劇場版 呪術廻戦0」では原画を手掛けた中山 竜氏が務めている。
| 放映データ |
|---|
| 2025年11月〜Amazon Prime Videoで配信中 |
| キャスト | |
|---|---|
| 「庭には二羽ニワトリがいた。」 | |
| ユウト:小野賢章 | |
| アミ:桜井しおん | |
| 陽平:浦 和希 | |
| 金田萌美:斉藤貴美子 | |
| 遠藤マサトシ:岩田光央 | |
| 「佐々木くんが銃弾止めた」 | |
| 佐々木くん:熊谷俊輝 | |
| 川口千恵子:安済知佳 | |
| 桑野:岡野陽一 | |
| 「恋は盲目」 | |
| 伊吹:堀江 瞬 | |
| 鴻巣ユリ:若山詩音 | |
| 早坂先生:森川智之 | |
| 強盗:山本高広 | |
| 宇宙人:諏訪部順一 | |
| 宇宙人嫁:能登麻美子 | |
| 「シカク」 | |
| シカク:花澤香菜 | |
| ユゲル:杉田智和 | |
| 「人魚ラプソディ」 | |
| トシヒデ:菊田千瑛 | |
| シジュ:幸村恵理 | |
| 「目が覚めたら女の子になっていた病」 | |
| トシヒデ:榊原優希 | |
| リエ:河瀬茉希 | |
| アキラ:山下誠一郎 | |
| 「予言のナユタ」 | |
| ナユタ:咲々木瞳 | |
| ケンジ:松岡洋平 | |
| 「妹の姉」 | |
| 江原光子:中島瑠菜 | |
| 江原杏子:中井友望 | |
| 先生:今井朋彦 | |
| スタッフ |
|---|
| 「庭には二羽ニワトリがいた。」 |
| 監督・脚本:長屋誠志郎 |
| キャラクターデザイン:もああん |
| 制作:ZEXCS |
| 「佐々木くんが銃弾止めた」 |
| 監督:木村延景 |
| 脚本:内海照子 |
| キャラクターデザイン:小園菜穂 |
| 制作:ラパントラック |
| 「恋は盲目」 |
| 監督:武内宣之 |
| 脚本:内海照子 |
| キャラクターデザイン:もりともこ |
| 制作:ラパントラック |
| 「シカク」 |
| 監督・脚本:安藤尚也 |
| キャラクターデザイン:MYOUN |
| 制作:GRAPH77 |
| 「人魚ラプソディ」 |
| 監督:渡邉徹明 |
| 脚本:小林達夫 |
| キャラクターデザイン:島崎 望 |
| 制作:100studio |
| 「目が覚めたら女の子になっていた病」 |
| 監督・脚本:寺澤和晃 |
| キャラクターデザイン:徳岡紘平 |
| 制作:スタジオカフカ |
| 「予言のナユタ」 |
| 監督・脚本:渡邉徹明 |
| キャラクターデザイン:東島久志 |
| 制作:100studio |
| 「妹の姉」 |
| 監督:本間 修 |
| 脚本:米内山陽子 |
| キャラクターデザイン:佐川 遥 |
| 制作:P.A.WORKS |
| 原作:藤本タツキ 『藤本タツキ短編集 17-21』『藤本タツキ短編集 22‐26』(集英社ジャンプコミックス刊) |
| 制作統括:FLAGSHIP LINE |
| 製作:「藤本タツキ 17-26」製作委員会 |
| 配給:エイベックス・ピクチャーズ |
| (C)藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会 |
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