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みんなとつくる「CARAVAN STORIES」はCBTを経てどのような変化を遂げるのか。高屋敷氏とQAチームにβテストの手応えを聞いた
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印刷2017/09/20 13:00

インタビュー

みんなとつくる「CARAVAN STORIES」はCBTを経てどのような変化を遂げるのか。高屋敷氏とQAチームにβテストの手応えを聞いた

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 Aimingの完全新作MMORPG「CARAVAN STORIES」iOS / Android / PC)が正式発表されてから,4か月が経とうとしている。本作の情報を追いかけている読者ならばご存じだろうが,2017年8月29日から31日にかけて,iOSとAndroidの両OSを対象としたCBTが実施された。

 クローズドな環境での試遊会から始まり,公式番組での実機プレイ披露,一般ユーザーを招いた先行プレイ会の実施と,その規模を徐々に広げながら複数回のテストプレイが行われてきた。今回のCBTは6000人規模での実施ということもあり,プレイヤーからより多くの声が集められたことだろう。遊び手の声を集め“みんなとつくる”をテーマに開発が進められる本作は,CBTを経てどのような変化を遂げていくのか――。

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 今回のインタビューでは,開発者達による制作エピソードから少し離れ,「CARAVAN STORIES」がCBTをとおして,プレイヤーにどのように遊ばれ,どういった手応えを感じているのかを,プロデューサーの高屋敷 哲氏と,QAチームの竹内正彦氏増山一成氏に聞いてみよう。

「CARAVAN STORIES」公式サイト内の
クローズドβテスト フィードバックレポート

「CARAVAN STORIES」公式サイト

「CARAVAN STORIES」
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プレイヤーとしてMMOの風呂につかり続けたQAチームの存在


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。今回のインタビューでは先日実施されたCBTの手応えや,今後の課題をお聞きしたいと思います。

高屋敷 哲氏(以下,高屋敷氏):
 よろしくお願いします。

4Gamer:
 ところで,竹内さんと増山さんにお会いするのは初めてですよね。QA(Quality Assurance)チームに所属されているとのことですが,お2人はどういった経緯で開発に加わったのでしょうか。

「CARAVAN STORIES」QAチームリーダー
竹内正彦氏
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竹内正彦氏(以下,竹内氏):
 新しいプロジェクトとして立ち上がった「CARAVAN STORIES」にとても興味があり,高屋敷に相談したところ,そのままチームへ配属となりました。
 ちょうどα版が終了し,βに向けて「どのプロジェクトよりもはやくゲームバランスをとって品質向上につなげたい」という高屋敷の意向があり,私と増山の2人でQAチームを立ち上げることになったんです。初めのうちは2人だけでしたけど,今は十数人規模までチームを拡大し,ゲームをよりよくするために日々分析と改善案の提案をしています。

4Gamer:
 すでにQAチームでその規模なんですね。

竹内氏:
 ええ,すごく幸せだと感じてます。

4Gamer:
 「CARAVAN STORIES」の開発に携わるスタッフには,高屋敷さんの古くからの顔馴染みの方が多い印象ですけど,竹内さんはこれまでどういったタイトルに関わってこられたんですか。

竹内氏:
 前職はマーベラスでマネージャーやディレクターをしておりまして,世界的キャラクターの牧場ゲームやお色気系キャラクターのモバイルゲームといったIPタイトルの開発に携わっていました。

4Gamer:
 なぜAimingへ?

竹内氏:
 もともと,ゆかりのあるONE-UPに所属していたこともあり,またAimingで仕事をしたくて出戻ってきたわけです(笑)。MMOを作れる環境への憧れと,オリジナルタイトルを作りたいという意志に背中を押されました。

4Gamer:
 MMORPGを作れる環境に憧れていたということは,プライベートでもコア目なプレイヤーだったんですか。

竹内氏:
 「黒い砂漠」でサーバー3位のギルド幹部をやっていました(笑)。スプレッドシートで誰がいつ何をやるかタスク管理をしたり,Twitter上でレイドが発生する時間をギルドメンバーに伝達したり……。今はゲームを作るほうが楽しいので,そこまでガッツリとはプレイできていないんですけどね。

4Gamer:
 幹部だったとは……! MMORPGをプレイヤー目線で遊びこんだ経験は,ゲームの品質保証がミッションとなるQAというポジションに活かされそうですよね。

竹内氏:
 今この場で初めて言うんですけど,QAチームの人員を選ぶ基準として“MMOを数年遊んだことがあるかどうか”を1つのラインにしています。業務経験としてではなく,プレイヤーとしてMMOの風呂につかり続けることで判断の感覚が養われていくと考えていて,これは現場で教えられない貴重なステータスなんです。

4Gamer:
 ということは,増山さんもMMORPGのプレイ経験が?

「CARAVAN STORIES」QAチーム
増山一成氏
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増山一成氏(以下,増山氏):
 もちろん遊んでいました。高校生のときに「テイルズウィーバー」をプレイしていて,24時間ダンジョンにこもっては繰り返しレア狩りに明け暮れていました。最近「ファイナルファンタジーXIV」を始めてレベル60になったところです。

4Gamer:
 24時間って,あの,寝る時間が……。

増山氏:
 平日は学校がありましたから,毎日ではないですよ(笑)。学校で寝て,夜は狩りをして,土日はダンジョンにこもる感じです。

4Gamer:
 ああ,学校で寝て……ん? 結構な廃プレイをされていた印象ですが,Aimingに入社されたのもそういったゲーム好きが転じてなのでしょうか。

増山氏:
 いえ,もともとはゲーム業界で働きたいとは考えていなくて,ゲームは遊ぶだけでいいと思っていた人間でした。

4Gamer:
 そうだったんですね。

増山氏:
 就職活動に失敗して,このまま自分はどうなるんだろうと考えながら「とりあえずゲームを極められる人になろう」と,「リーグ・オブ・レジェンド」を遊びこんでいたんです。そうしたら,たまたまゲームの配信を見ていたスタッフから声をかけられて,その縁でAimingに入社しました。

4Gamer:
 勝手なイメージなんですが,QAという役割を担う人はお役所的な雰囲気があるのかと思ったら,実際はゲームに真正面から向き合って隅々まで遊びこむ方が多いんですね。

竹内氏:
 そうかもしれませんね。Aimingの人材採用にも“ゲーオタ採用”があるくらいですから。

高屋敷氏:
 遊び手と作り手では性質が違うと思うんですけど,Aimingは変わってますよね。

一同:(笑)


CBTで“ただのシステム”か“らゲーム”へ

自由都市ネロへの到達度は……


「CARAVAN STORIES」プロデューサー
高屋敷 哲氏
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4Gamer:
 ではそろそろ本題へ。今回のCBTはどういった目的をメインに実施されたのでしょう。サーバー負荷やバグチェック,遊ばれ方の確認など,目的は多岐にわたるかと思いますが。

高屋敷氏:
 システムの安定化や設計の間違いがないかを確かめるのが今回の大きな目的でした。

竹内氏:
 加えて今の「CARAVAN STORIES」を遊んでいただいて,そのデータや動向の分析を行い,どこに問題が発生しているかを明らかにするためでもあります。どれだけのプレイヤーが不満に感じているかを明確化することで,よりニーズに合った改善の提案やブラッシュアップにつながるので。

4Gamer:
 多少操作性が悪くても,継続してプレイしているうちに不思議と慣れてしまうので,良い印象,悪い印象は,こういった初めて触れる人が多いタイミングでしか拾いにくいですもんね。

竹内氏:
 おっしゃるとおりです。
 要望に対しても闇雲に対応していくのではなく,テストを終えた段階で「どういったシチュエーションで,プレイヤーがどのように感じたか」をまずは分類し,数値化しながらまとめています。
 小規模な開発であれば文面や口頭で伝えれば済む話ですが,規模が大きくなるほど,きちんとプロジェクト内で問題提起をしたうえで各セクションに動いてもらう必要があります。

4Gamer:
 その司令塔となるのがQAチームですね。では,今回のCBTではどういった手応えを感じましたか。

高屋敷氏:
 手応えという意味では,思ったよりも入り口としての数字はいい値がとれて安心しています。目標としていたサーバーの安定化も大きな問題がなく,1日8時間×3日の合計24時間の運営期間中は,2日目のサービス開始時間を遅らせたくらいで,全体の運営を止めることはありませんでした。
 とはいえ,サービス中のトラブルはリアルタイムでちょこちょこ起きていて,10台用意したバトルサーバーがなぜか1台だけ落ちてしまうこともありました。今はもう解決できていますが。

4Gamer:
 振り返ってみると緊急メンテナンスでプレイできない,ということがなかったです。そういえば,CBT期間中は開発陣の席に“パトランプ”が設置されていたとか。

久保貴美氏のツイートより
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高屋敷氏:
 こういうものを作るのが好きなスタッフがいて,サーバーが落ちると女の子の叫び声とともにランプが光るんです。
 CBT期間中はかなりの数のサーバーが動いていたので,ある程度の条件を設けて発生頻度の高いものはフィルタリングし,より重要なものに反応するようにしてました。
 ちなみに,CBT中は1回だけ回っていましたね。僕の目の前にあったので,うっとうしくて仕方なかったですよ(笑)。

4Gamer:
 一大事を知らせるアイテムですから,きっとそれぐらいがちょうどいいのかもしれません。話を脱線させてしまいましたが……今回のCBTは体験できるコンテンツが豊富で,すべてプレイするには時間が足りないと感じました。

竹内氏:
 じつは,3日間遊んでいただいてもゲームボリュームが余るくらいに要素を詰め込んでサービスしていまして,そのおかげか張り付きでプレイしてくださった方も「やることがない」という状態になりませんでした。
 ただ,我々が「ここまで到達してほしい」と設定したポイントとプレイヤーの動向に開きがあり,エンドコンテンツであるコロシアム/デュエル/英雄の試練にたどり着く人が想定よりも少ない結果となりました。

4Gamer:
 エンドコンテンツはメインストーリーをある程度進めると開放される仕組みだったかと思いますが,ストーリーを進めずに寄り道をしているプレイヤーが多かったということですか。

竹内氏:
 そうなりますね。もっと駆け抜けてプレイするだろうと思ったら,たどり着いた方は想定を下回っていました。

増山氏:
 到達したプレイヤーは少ない結果となりましたが,3日間とおして遊んでくれた人が全体の3割近くもいたことを踏まえると,プレイヤーの熱量は決して低くありませんでした。ただ,これだけの熱量があってもエンドコンテンツが開放される自由都市ネロまで到達していないのには,何か理由があると考えていて,それを紐解いていかなければなりません。

4Gamer:
 道中の敵が急にレベル40になるタイミングがあって,途中からビーストを避けながら進んでました。個人的にはその壁が高かったなと(笑)。

高屋敷氏:
 あ〜,倒せなかったですよね。今思うと,調子に乗ってレベルを上げすぎてしまったなと反省しています。

4Gamer:
 あとは,道中で受けられるクエストが豊富だったのも関係していそうですね。

高屋敷氏:
 たしかに,CBTでは100〜150のクエストを用意していて,それをつぶしていくだけでも結構な時間が必要でした。データを見ていても,やりきった人はいませんでしたね。

4Gamer:
 熱量のあるプレイヤーだと,メインクエスト,サブクエスト,物語クエストの3項目があったら,メインを進める前にこなせるサブクエストをひとまずこなすことに意識が向くのではないかと。

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高屋敷氏:
 クエスト周りで考えられることだとUIの問題もあるんですが,クエストをスムーズに受けられない方が多かったです。ゴールドダンジョンや,経験値ダンジョンへ導くアプローチの仕方を工夫しましたが,「どこにあるか分からない」という声も多くて。

4Gamer:
 じつは私も,ゴールドダンジョンが開放されるクエストを放置してビースト狩りをしていたら,寄り道しすぎてたどり着けませんでした。

高屋敷氏:
 ああ,そうなんですね。先行プレイ会のときはゴールド/経験値ダンジョンをスルーしないように,そこに壁を設けて必ず立ち寄る仕様にしていました。プレイヤーから「どうしてここだけ足止めされるのか」と指摘を受け,今回は壁を取り払ってみましたけど,やはり迷ってしまうんですね。

竹内氏:
 すべからく立ち寄らないプレイヤーが増えてしまったわけですが,どこかを直せばどこかでひずみが生まれてしまうものなんです。

高屋敷氏:
 ここに関してはまた壁を作るかもしれません。結局のところトライ&エラーするしかないんですよ。こういった行程を踏むからこそ,良いゲームになっていく。早い段階からテスト会を行えたことで,序盤で発生する不満点への対応ができ,ある程度のクオリティを出せると感じています。

竹内氏:
 こうやって振り返るとマイナスな面に目が向きがちですけど,もちろんいいこともあって,プレイヤーから「3日間遊んだデータを消すのがもったいない,さみしい」という声を多くいただけました。これはつまり,ただのシステムからゲームになれたということで,素直に喜びを感じています。

4Gamer:
 たしかに,そう思えるゲームって良いゲームってことですもんね。

竹内氏:
 QAチームはゲームのバランシングをみるために1週間でゲームのバランスをとっては直し,同じ場所を遊んではリセットするの繰り返しをしていることもあって,データへの愛着が薄れるというか,感覚がおかしくなっています。
 なので,プレイヤーからそういった声をもらえたのはとても励みになりました。とはいえ,課題はまだまだありますので,より磨きをかけていきたいです。

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CARAVANチームが見据える今後の課題


4Gamer:
 具体的なところをお聞きしていきたいのですが,プレイヤーから寄せられた意見には,どういったものが多かったのでしょうか。

高屋敷氏:
 数値としてはいいものでしたが,寄せられた意見はなかなか手厳しいものが多かったですね。

増山氏:
 システムに関連しないところだと,ロード時間の長さやデータ容量の大きさに関する声が多く,ゲーム内の仕様に関しては,フィールドでの操作がしづらい点に意見が集中しています。スワイプでの操作性,カメラワークに関してはプライオリティが高いと感じています。

4Gamer:
 デフォルトの設定ではバーチャルパッドでの操作がOFFになっているため,移動したい地点をタップすることで任意の場所に移動できる仕様でした。メインクエストを進めるだけであれば既存のオートシステムに頼れば問題なさそうですが,結果を見ると意外と自分で操作したい人が多いということなんですね。

増山氏:
 ええ。熱量が高い分,自身で操作する意欲があって,「バトルに介入する余地がもっとほしい」という声も上がっていました。

高屋敷氏:
 前回の先行プレイ会では直接操作ができない仕様でしたが,体験した方から「直接操作をしたい」という意見をもらっていて,CBTで実装した結果,一定の評価は得られました。それに伴って非常によくないという意見が増えたのは,「操作できるならちゃんとして」という声なのだと,受け止めています。正直にお話しすると,僕の目から見ても操作性は悪いです。

4Gamer:
 高屋敷さん自身もそう感じていらっしゃるんですね(笑)。

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高屋敷氏:
 ものすごく悪いです。内情を話すと,僕らは普段PCでチェックしているのもあって,CBT開始前にスマートフォンでプレイして「あっ,これは……」と気付いたときには後の祭りでした。ここは,今後改善していきます。

4Gamer:
 リストの意見を見た感じ,リテラシーの高いプレイヤーが集っていた印象ですね。現状の形だと,フィールド移動もバトルも,オート操作で問題なく進むようになっているので,スマホ向けゲームだけを遊んでいるライトな層にとってはちょうどいい仕様だと思うんです。ですが,自分で操作したい,ゲームに介入したいと考えている人が多いということは,ちゃんとゲームを遊びたい人に注目されている表れなのかと。

高屋敷氏:
 フィールドがあるタイプのMMORPGとしては,かなり異質な作りになっているのもあって,触るまではスタンダードなMMORPGに見えていても,実際に始めてみると「これ,スマホゲームじゃん」というギャップが襲ってくるんです。「リネージュ」や「EverQuest」といったMMORPGの本流に身を置いていたプレイヤーからすると,何かが違うのを直感的に感じ取っているんだろうなと。

4Gamer:
 なるほど。

高屋敷氏:
 ずっとへばりついて遊ぶスタイルはPC向けタイトルであれば許されるんでしょうが,それをスマホでもやろうとするとやはりツライところがあります。ハイエンドなゲームが増えてきているとはいえ,スマホの市場を支えてくれている人達は,ゲームと軽めの付き合いをしていきたいと考えていると思うんです。そういった層も鑑みて,本作はあえてライトなほうへと振っています。

4Gamer:
 たしかに,MMORPGプレイヤーに向けたタイトルではありますが,それがスマホ向けになるとさじ加減が難しいですよね。最近のタイトルだと,「リネージュ2 レボリューション」がその例になるんですが,もともとリネージュを遊んでいたコアプレイヤーからすると物足りなさを感じるものの,スマホ向けのタイトルとして捉えると「これでいいんじゃないか」と思えるんです。敵を何百回,何万回とクリックするのが楽しいわけではないし,この形でよかったんじゃないかと。

高屋敷氏:
 じつは,オート寄りのシステムにするのに最初は抵抗を感じていました。何年か前に半オートのゲームが増えて,これはゲームじゃないって気持ちがあったんですよね。今は“ながらプレイ”が一般化していますし,そういったニーズに合わせた新しい雰囲気のMMORPGとして遊んでもらえたらいいのかなと。

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4Gamer:
 では,キャラクターの成長要素に関してはどうでしょう。おそらくキャラクターの強化,進化,装備の製作/購入/強化がここに含まれますよね。

高屋敷氏:
 ええ。この項目に関しては全体的に評価が下がっていますね。要素が多いとはいえ,極端な分かりにくさはないと思うんですけど,装備強化の仕方がわからないという声が多かったです。

竹内氏:
 先行プレイ会の時点でも装備強化のシステムは入っていたんですが,体験会で強化を行ったプレイヤーはいませんでした。CBTではチュートリアルを導入したうえで,施設を設置したらすぐに強化を行えるように改善しました。すると,9割のプレイヤーは装備強化を行ってくれるようになり,全体の評価が下がりました。
 あくまで仮説ですが,プレイ時間が長めになったことでゴールドが尽きる場面に直面しやすくなり,不満の声があがったのではないかと予測しています。

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4Gamer:
 キャラバンの要素に関して,先行プレイ会の時点から変更した箇所はありますか。

竹内氏:
 UIを変更し,キャラバンに付ける外装パーツの価値やバリエーションを増やしています。パーツの値段設定を高めにしていたこともあって,あまり多くのプレイヤーには触れてもらえなかったですね。

4Gamer:
 最終日に自由都市ネロで見かけたプレイヤーの中には,クマの顔といろいろなパーツを組み合わせてクマロボットのようなものをキャラバンに付属させている人もいましたね。そんなカスタマイズがあったか! と,感動しました。

竹内氏:
 ああ,いましたね。

高屋敷氏:
 最初は適当にパーツをつけて乱雑な外装になっている人が多かったです。それはスタッフも同様でキャラバンを見回りながら「ゴミ屋敷みたいだ……」ってつぶやいていたら,次の日には整えられていました(笑)。

4Gamer:
 ゴミ屋敷(笑)。

高屋敷氏:
 ここでも課題となるのは操作面で,改修はマストだと考えています。回転操作で回転したり,ピンチインアウトで好きな画角に切り替えられたりしたんですけど,この操作に気づいている人は少なかったです。

デュエルやコロシアムに関しては到達者が少なかったが,開放したプレイヤーは継続してプレイする傾向にあった。チュートリアルを導入したこともあって,ゲームの理解度は高まったという。残る課題はユーザービリティ向上,ゲームバランシングとなる
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レイドに関しては各日のアクティブユーザーの半分が参加していた。遊べるところまで到達したプレイヤーが少なかったが,エンドコンテンツの中では一番参加率の高いコンテンツだったという。武器を作成するために必要なコンテンツであったのだが,その点がプレイヤーに周知されていなかったことが参加率の低さにもつながったのではと高屋敷氏は分析している
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4Gamer:
 キャラの個性の項目で思い出したんですが,ゲーム開始時にヒューマンとオークの種族を選択できたかと思います。ゲーム内ではヒューマンがオススメとなっていましたが,あえてオークを選んだ人はどれだけいたんでしょうか。

増山氏:
 10%ほどですね。

4Gamer:
 それなりにいたんですね。ヒューマンをオススメにしたのには何か理由があったり?

高屋敷氏:
 オークで始めてしまうと,話のつじつまが合わなくなってしまうんです。CBTで開放していたのは,ヒューマンの拡張エリアだったので,本来であればヒューマンでなければ行けないエリアなんです。それに,どうせならいろんな種族が1つの場所に集まって,大きな敵に挑むまでの課程を見てほしくて,ヒューマンをオススメしていました。

4Gamer:
 1種族だけ選べる形にする道もあったのではないでしょうか。

高屋敷氏:
 仮に24時間みっちり遊んでくれる人がいたら,ヒューマンエリアだけでは物足りないだろうと,オークエリアも用意したんです。オークで遊ぶと,ストーリーとしての異質感とか,キャラの奇抜さがけっこうおもしろいんですけどね。

竹内氏:
 実際,オークで遊んでいる人は継続率がいいというデータもありましたよ。そもそもの母数が少ないですけど。

高屋敷氏:
 正式サービス時も,きっとヒューマンをオススメすると思います。だって,なんとなくマッチョがいいなってオークで始めたら,しばらく雨の降っている熱帯雨林の中,進めども進めどもマッチョだらけって嫌じゃないですか(笑)。

竹内氏:
 いや,いいところもありますよ。オークで始めたら,「このへんで食べられないのはゾンビくらいだ」って台詞があって,すごく好きなんです。すごいな,オークの世界,と思って。

4Gamer:
 かっこいい……。なんというか選ぶ種族によって,ゲームの印象がかなり変わりそうですね。CBTでは自由都市ネロに到達すれば違う種族に転生できる仕様でしたけど,正式サービスでもこのシステムはそのまま残るのでしょうか。

高屋敷氏:
 もちろん,そのときにはちゃんとした形で実装する予定です。CBTのために実装したものではなくて,すべての種族のストーリーを見られるようにしたうえで,いかにしてネロに集まったか,そこから大きな組織として最終的な目標に向かうさまをこのシステムで見せたかったんです。
 これによって,それまで育てたキャラクターを転生後も持って行けるおおらかな作りにしています。

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4Gamer:
 “みんなとつくる”をテーマにフィードバックをゲームに反映していくと,当初描いていたものとのブレが生まれないか気になっています。

高屋敷氏:
 こう言ってしまうと語弊があるかもしれませんが,今回のプロジェクトは僕の独断で進めているところが多く,根本的にはブレは出ていないです。ただ,以前のインタビューでもお話ししたように,最初からきれいな設計図ができているタイトルではないので,ある程度のブレ幅があるのはたしかです。多くの意見を聞いて折衷案をとるようなことはせず,吟味したうえで判断を下しています。
 僕は基本的に人の話を聞かないタイプなんですけど,CBT以降は寄せられた要望が自分の考えに反していても,対応していく必要はあると考えています。

竹内氏:
 CBTで3日間遊んでいただいて,序盤の問題点が洗い出せました。ここで上がってきたものは,「がんばれば直る」と思っているのであとは進むのみです。
 ギルドやコミュニティといったオンライン要素への導線が弱かったことも際立っていたので,今後の課題としてそれらにも注力していきたです。

高屋敷氏:
 今後の課題か……ちゃんとスケジュールどおりローンチさせることですかね。

4Gamer:
 なるほど(笑)。ちなみに,今後CBTやOBTを開催される予定はありますか。

高屋敷氏:
 オープンかどうかは分かりませんが,正式サービスにつなげる,つまりデータ引き継ぎも視野にいれたテストを実施する予定です。
 テストプレイ後に消されてしまうデータのために,「どれだけの人ががんばってプレイできるのか」というのが引っかかるんです。プレイモチベーションが変わってきてしまうので,次のテストは正式サービスにつなげられる形で実施したいですね。

4Gamer:
 正式サービスにつながるのであれば,もっとやりこむ人が増えそうですね。

高屋敷氏:
 近々でも「CARAVAN STORIES」に触れていただく機会がありまして,東京ゲームショウ2017でCBTのフィードバックを反映したバージョンを試遊できるようにする予定です。すぐに対応できるものに関してはゲーム内に反映しているので,ぜひ会場で触れていただければと。

4Gamer:
 プレイヤーの意見がどのようにゲーム内に反映されているか,楽しみにしております。本日はありがとうございました。

――2017年9月8日収録。

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