プレイレポート
「スプラトゥーン2」プレイレポート。前作の良さを受け継ぎつつ,「サーモンラン」で新たな楽しさも。またアツい日々が始まった
「スプラトゥーン2」公式サイト
スプラトゥーン2は,インクで街中を塗りまくるTPS。シューティングといえば銃器の撃ち合いを扱ったものが多いが,本作ではイカとヒトの姿に変身できる「インクリング」達が,「ステージを塗った面積をスポーツライクに競い合う」というルールを,前作「Splatoon(スプラトゥーン)」から受け継いでいる。
前作で好評を博した,「ご飯 vs. パン」「愛 vs. おカネ」といったお題ごとのチームに分かれて対戦するオンラインイベント,「フェス」の最終回からちょうど1年。ファンが心待ちにしていた続編が,ついに発売されたわけだ。
なお本作はパッケージ版のほかにダウンロード版も用意されており,ダウンロード版は発売日を迎えるや否や,即座に遊ぶことができた。ダウンロード版の配信がスタートした深夜帯から遊ぼうというプレイヤー達は,さすがの猛者ぞろいで,筆者などはコテンパンに叩きのめされる結果に……。しかしお昼過ぎからは練度もバラけてきて,本名と思しきひらがなネームのイカ達もかなり多く見かけるようになり,夏休みシーズンに突入したことを実感できた。
「ナワバリバトル」のマッチングも前作同様に迅速で,対戦相手に困るということはなかった。
街を塗る楽しさはそのままに
新たなブキで変化が生まれる
前作から引き継がれたオーソドックスな試合形式が,ナワバリバトルだ。4人編成のチームが自動でマッチングされ,相手を倒した数ではなく,ステージを塗った面積で勝負する。前作を遊んだプレイヤーであれば,すぐにでもバリバリと競い合うことができるだろう。
「マニューバー」は,両手に持つタイプの新しいブキ。連射性に優れるが火力は低い。射撃しながら[B]ボタンを押せば地面を素早く転がる「スライド」が可能で,使用後は集弾性が一定時間アップ(通常時は二つ並ぶ照準が一つになり,一点に向けてインクが飛ぶようになる)し,相手を倒しやすくなる。
周囲を塗りたいときは普通に連射し,相手と撃ち合うときなど状況に合わせてスライドしてモードを切り替えるというイメージで,操作はシンプルながら奥深いブキという印象を受けた。
スペシャルウェポンは前作から一新。インクのヨロイをまとって強引な攻めが可能になる「インクアーマー」,追尾ミサイルを放つ「マルチミサイル」,上空からインクの雨を降らせる「アメフラシ」,一定時間空を飛ぶ「ジェットパック」,各種のボムを投げまくれる「ボムピッチャー」など,面白い効果がそろっている。
どれも一発逆転というよりは,立ち回りの幅を広げ,状況を動かしてくれるというイメージだ。地形を越えて効果を及ぼすものも多く,ナワバリバトルに良い意味での変化と緊張感をもたらしてくれる。
ナワバリバトルを遊んで「ランク」を上げると,新たなブキやフク(服)が解禁され,ランクが10以上になると「ガチマッチ」に参戦できるのも前作同様だ。
「ガチホコ」を奪って相手陣地に運ぶ「ガチホコバトル」や,エリアを奪い合う「ガチエリア」など,戦術性の高いルールが楽しめる。筆者もなんとかガチマッチにたどり着いたが,発売直後にも関わらず皆レベルが高く,あらためてスプラトゥーンの奥深さを思い知らされた。
時期が時期だけにゲームバランスについては論評する段階ではないものの,現状では新たなブキやスペシャルウェポンはいずれも好感触。ユニークなルールと,シンプルで快適な操作感といったゲームの土台はそのままに,いろいろと開拓する楽しみが増えているという印象だ。ステージの入れ換えも前作の半分となる2時間に短縮されており,テンポがアップしている。
本作の舞台は,前作の「ハイカラシティ」から2駅向こうにある「ハイカラスクエア」。東京の渋谷と原宿を足して2で割ったようなイメージ |
街にはブキやフク(服)を扱う店もあり,バトルで稼いだ「おカネ」で購入する。どう組み合わせてもオシャレになれるのが嬉しい |
いきなりナワバリバトルに挑むのは気が引ける……という人は「ヒーローモード」で修行するといいだろう。タコ軍団「オクタリアン」と戦う1人用モードで,奇想天外な巨大ボスが登場するなど,華のある展開が楽しめる。
「ヒーローモード」では,専用の装備が使える。ギアは自動回復能力を持ち,ブキはナワバリバトルのものより性能が高い |
無数のオクタリアンをマルチミサイルでロック。一人用ならではの華のある展開だ。さまざまなブキを使って,バリエーション豊かなプレイが楽しめる |
ステージの最後には巨大なボスが登場 |
普通にクリアするだけでなく,ステージの意外な場所に隠された「ミステリーファイル」を探し出せば,インクリング世界の諸々が明らかになっていくのも面白い。また,行方不明になったアオリがどうなったのかというストーリーも気になるところで,初心者だけでなく,ゲーマーや本作の世界観が好きなファンにとっても見逃せない内容といえるだろう。
4人で協力する「サーモンラン」は
状況の揺らぎが楽しさを生み出す
スプラトゥーン2の世界に大きな変化をもたらしているのが,バイトという設定の4人協力プレイ,「サーモンラン」だ。前作では互いに競い合うだけだったイカ達だが,サーモンランでは押し寄せる「シャケ」どもを撃退しつつ,「金イクラ」を集めるために力を合わせることになる。
「Gears of War」シリーズの「Horde」など,協力系(COOP)PvEの系譜に連なるコンテンツだが,ゲームデザインに工夫が凝らされており,ひと味違った仕上がりだ。
1回のプレイは10分かからない程度で,パッと始めてパッと終われる。1戦3分のナワバリバトルとは違ったプレイサイクルとなっている。
サーモンランでは,専用のブキ4種の中からランダムで一つが割り振られ,フクもバイト用のツナギとなる。ブキやフクを買っていない人でも安心して参加できるし,苦手なブキがあってもここで練習でき,その成果がナワバリバトルに活かせる。
中ボス的な存在の「オオモノシャケ」は少なくとも8種類が存在しており,それぞれに異なった立ち回りが求められる。例えば「ヘビ」は後ろに回り込んで尾っぽの位置にいる操縦士を倒し,「カタパッド」の場合だと肩にあるミサイルポッドに上手くボムを投げ入れ,「モグラ」は足元の地面から食いついてくるところにうまくボムを食べさせる……といった具合。
複数のオオモノシャケが出たときなどはしっちゃかめっちゃかな死闘となるが,それだけにうまく切り抜けられたときはバイト仲間同士の連帯感が深まるのだ。
オオモノシャケを倒すと金イクラを落とすが,これを戦線後方の「イクラコンテナ」に運び込むのがサーモンランの目的である。ウェーブ(ステージ)ごとにノルマが決められており,これを満たせないとバイトはその場で終了してしまう。
スムーズに移動するためにはイクラコンテナまでの帰還コースを塗って確保しなければならない。シャケどもが移動した跡は,ナワバリバトルで相手チームのインクが塗られたのと同じ状態になるため,状況によってはこれを塗り直す必要が出てくるが,こうした塗りにまつわるプレイングがスプラトゥーンらしくて面白い。
金イクラを運ぶには前線を離れないといけないため,その分戦力が低下してしまうのもポイント。金イクラ運びにかまけているとオオモノシャケが暴れて全滅の危険があるし,だからといってシャケとの戦いだけに注力したのではノルマが達成できない。また,イクラコンテナ自体を持ち去ろうとする相手も出現するなど,まったくもって気が抜けない。
加えて,霧が立ちこめて周囲が見づらくなったり,夜になってシャケが凶暴化したりといったランダムイベントが発生することもある。オオモノシャケの種類ごとに立ち回りを変えなければならないことと相まって,状況に揺らぎと変化が生まれている。これまでにあった協力系PvEの良さを研究しつつ,プレイヤーの習熟度が高くなっても攻略がパターン化してしまわないようなゲームデザインのコンテンツと言えるだろう。
サーモンランで「クマサンポイント」を溜めるとと装備が手に入るため,これを試すためにナワバリバトルを遊びたくなってくるのもポイント。この装備は最初からさまざまな「ギアパワー」(特殊能力)が付与されているものの,店で売っている装備と違って伸びしろがないため,これ一択にならない辺りも心憎い配慮だ。
「サーモンラン」で新たなゲームサイクルが生まれ
「ナワバリバトル」がさらに引き立つ形に
スプラトゥーン2は,TPSとしての楽しさやインクを塗りまくる面白さはそのままに,新ブキやスペシャルウェポンで新たな立ち回りを,サーモンランで新たなゲームサイクルを取り入れ,ゲームに変化をもたらしている。
筆者自身も発売以来,1試合3分のナワバリバトルを連戦し,疲れたら1回10分のサーモンランで休憩。バイトが一段落付いたら手に入れた装備を試すためにナワバリバトルへ舞い戻る。街のゲーセンに置かれたリズムゲームで気分転換しているとナワバリバトルのマップが切りかわり,再び新たな戦いへ向かいたくなる……という具合にハマり込んでしまった。
基幹となる操作性の良さや,グラフィックスの美しさはもちろんのこと,ゲーム内の導線作りも巧み。さまざまな面で非常にていねいに作られた作品という印象だ。
個人的に注目しているのは,今回からはNintendo Switchを持ち寄ってのローカル通信プレイに対応しているという点だ。日本人がこうした遊びを好んでいるのは「モンスターハンターポータブル」シリーズで実証されたとおり。この夏,日本中でどれだけのスプラトゥーン2コミュニティが生まれるかが楽しみだ。
「スプラトゥーン2」公式サイト
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