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[E3 2018]「OCTOPATH TRAVELER」開発陣へのインタビュー。スーパーファミコン世代の開発陣が“あの頃のゲーム”を目指した作品
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印刷2018/06/16 12:00

インタビュー

[E3 2018]「OCTOPATH TRAVELER」開発陣へのインタビュー。スーパーファミコン世代の開発陣が“あの頃のゲーム”を目指した作品

 2018年7月13日の発売まであと1か月を切ったNintendo Switch用RPG「OCTOPATH TRAVELER」。その開発者への合同インタビューが,E3 2018の会場で行われた。E3に合わせて新たな体験版も配信された本作の見どころを,スクウェア・エニックス プロデューサーの髙橋真志氏と,アクワイア ディレクターの宮内継介氏に聞いたので,じっくり読み進めてほしい。

スクウェア・エニックス プロデューサー 髙橋真志氏(右)と,アクワイア ディレクター 宮内継介氏(左)
画像集 No.001のサムネイル画像 / [E3 2018]「OCTOPATH TRAVELER」開発陣へのインタビュー。スーパーファミコン世代の開発陣が“あの頃のゲーム”を目指した作品

――本日はよろしくお願いします。OCTOPATH TRAVELERには8人の主人公がいますが,その人数を用意した理由を教えてください。

髙橋氏:
 本作は続編ではなく完全新作なので,プレイヤーの皆さんに覚えてもらうには,特徴あるゲーム性を用意しなければならないと考えました。その中で,たくさんの主人公から選べるゲームは限られてきますし,自分が好きなキャラクターのロールプレイをするうえで良いアイデアだと思い,8人の主人公を用意しました。

――主人公が多いだけでなく,一度のプレイで全員を仲間にできるそうですね。

髙橋氏:
 はい。主人公として選べるのは1人ですが,ほかのキャラクターもそれぞれの町にいるので,いつでも仲間にしに行けますし,もちろん無視してしまうこともできます。
 また,仲間にすればそのキャラクターのメインストーリーも進められるので,周回プレイせずに全員のストーリーを楽しめるのも,本作の特徴です。

――ということは,いわゆる“強くてニューゲーム”はないのでしょうか。

髙橋氏:
 はい,一周で完結するようになっています。ただ,行く順番によって難度が変わる部分もあるので,人によって「簡単」「難しい」と思う部分が異なってくることはあるかもしれません。

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――主人公に選ばなかったからこのクエストは見られない,みたいなことはないのでしょうか。

髙橋氏:
 基本的にはありません。
 サブストーリーについては,使うフィールドコマンドによって違う結果を迎えるものがあります。

――主人公に選んだキャラクターに,何か特別な能力が得られるといったことはありますか?

髙橋氏:
 それもありません。ただ,主人公だけはパーティから外せないようになっているので,ずっと一緒に冒険したいお気に入りのキャラクターを選ぶのがおすすめです。

――メインストーリーのボリュームはどのぐらいでしょう。

髙橋氏:
 8人全員のメインストーリーを追うと,50〜60時間ぐらいになります。サブストーリーを進めたり,ストーリーと関わりのないダンジョンを攻略したり,あとはフィールドコマンドをいろんな人に使って本作の世界を堪能したりすると,テストプレイではだいたい80〜100時間ですね。

画像集 No.003のサムネイル画像 / [E3 2018]「OCTOPATH TRAVELER」開発陣へのインタビュー。スーパーファミコン世代の開発陣が“あの頃のゲーム”を目指した作品

――6月15日から新しい体験版「Prologue Demo」が配信されましたが,こちらの内容を教えてください。

宮内氏:
 8人の主人公から好きなキャラクターを選んで,そのキャラクターの1章の最後まで遊べるという形になっています。ただ,プレイ時間は3時間までと制限があるので,2,3人仲間にして,そのうち1人の1章が終えられるぐらいのボリュームだと思います。

髙橋氏:
 主人公達がいる8つのエリアにはすべて行けるので,やろうと思えば3時間で全員仲間にすることも可能です。ただその場合,イベントスキップなどを使うことになりますので,体験版のセーブデータを製品版に引き継ぐのであれば,おすすめはしませんが。

宮内氏:
 以前配信していた体験版は,オルベリクとプリムロゼしか選べなかったので,8人全員選べる新しい体験版を,ぜひ遊んでみてください。

――お二人が思い入れのある主人公や,おすすめの主人公があれば教えてください。

宮内氏:
 私は薬師のアーフェンが好きですね。裏表がないキャラクターで,人を助けるためなら迷わず進んでいく姿が,作っていて気持ち良かったです。

髙橋氏:
 剣士のオルベリクに思い入れがあります。長く開発してきた中で,最初に生まれて,ストーリーも最初に完成したキャラクターなんです。
 バトルでは,学者のサイラスが使う全体攻撃魔法が強力なので,個人的にはオススメです。宮内さんは,だいたいパーティに入れるバトルでおすすめのキャラってありますか?

宮内氏:
 個人的にはあまりないです。それぞれに使いたいシチュエーションが異なるので。

髙橋氏:
 本作には死にジョブみたいなものがないんです。このキャラクターがいないと攻略できない,みたいなことにもなりません。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [E3 2018]「OCTOPATH TRAVELER」開発陣へのインタビュー。スーパーファミコン世代の開発陣が“あの頃のゲーム”を目指した作品

――回復役がいなくても大丈夫なんですか。

髙橋氏:
 序盤はまったく問題ないです。回復役には,神官のオフィーリアと,調合で全体回復ができる薬師のアーフェンがいますが,パーティにどちらかがいれば安定はします。ただ,アイテムで回復もできますし,中盤以降はバトルジョブで神官や薬師をつけることもできるので,必須キャラクターというわけではありません。

――本作はNintendo Switchローンチ時から情報が出ていたタイトルですが,どのぐらいの期間開発しているのでしょう。

髙橋氏:
 3年以上になりますかね。最初からNintendo Switch用を想定していました。「ブレイブリー」シリーズのときは,日本のRPGファンの方に楽しんでもらうことを優先して考えていたため,日本で先に発売したのですが,僕達の予想以上に海外の方が待っていてくれたんです。ですから,OCTOPATH TRAVELERでは世界同時発売にしたいと考え,「ブレイブリー」シリーズで良い関係を築かせていただいた任天堂さんをパートナーに,Nintendo Switchで展開した形になります。

――「ブレイブリー」シリーズは,懐かしいプレイ感ながらグラフィックスは3Dでした。本作でドットグラフィックスを採用したのはなぜでしょうか。

髙橋氏:
 僕は1985年生まれで,宮内さんは1984年生まれ,開発チームもだいたいそれぐらいの年代が中心になっています。思い入れのあるゲームが,スーパーファミコンのもの,という世代ですね。ですから,あの頃のようなゲームを僕達の手で作りたいという情熱があります。だからこそ,ドットグラフィックスにチャレンジしてみようと,本作の開発を始めました。

――とはいえ,完全なドットグラフィックスではないですよね。

髙橋氏:
 ええ。僕達は「HD-2D」と呼んでいますが,ドットと3DCG,エフェクトを合わせた,本作ならではの表現です。

――やろうと思えば,本当に当時のような表現もできたと思うのですが,なぜHD-2Dにしたのでしょう。

宮内氏:
 リッチに見せたかったからです。完全なドットグラフィックスで作っていた時期もあるのですが,どうしてもアニメーション頼りの方向に進んでしまって,やりたいこととズレてしまったんです。また,3Dモデルにドットを貼ることも試したのですが,ローポリ感が強く,これも違うなと。

髙橋氏:
 それと,単純にドットグラフィックスを採用するだけでは,僕達の思い出補正に勝てないんです。

宮内氏:
 そういったことから,HD-2Dの形で開発することを決めたのですが,2Dとも3Dとも違う表現なので,チーム全体の美意識で良いと思った形に調整しています。例えば,水の表現は完全に3Dなのですが,もしこれを最初のコンセプトに縛られてドットでやっていたら,この雰囲気にはならなかったと思います。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [E3 2018]「OCTOPATH TRAVELER」開発陣へのインタビュー。スーパーファミコン世代の開発陣が“あの頃のゲーム”を目指した作品

――先行体験版の配信から得られたさまざまなフィードバックがあると思いますが,どのような意見がありましたか。

宮内氏:
 やはりグラフィックスの反響はとくに良かったです。意見として多かったのは,もうちょっと速く移動できるといいというもので,こちらはもう改善しています。

髙橋氏:
 ダンジョンが暗い,イベントをスキップしたいといった意見もあり,それらも手を入れました。

――先ほど,海外展開を最初から考えていたというお話がありましたが,海外での先行体験版のダウンロード数はどのくらいでしたか。

髙橋氏:
 ダウンロード数自体は,世界で合わせて150万以上なのですが,欧米の方が日本よりかなり多くなっています。

――日本と海外で,意見は違ったのでしょうか。

髙橋氏:
 それが,まったくと言っていいほど同じだったんです。

宮内氏:
 あの世代の人達は,みんな同じものを求めているってことですよね。

髙橋氏:
 海外の方も,僕らと同じように,こうしたテイストのJRPGが好きだったんだと思えて,安心しました。

――本作のシステム的な特徴に,主人公ごとに異なるフィールドコマンドがありますが,これはどういったアイデアから生まれたものなのでしょうか。

宮内氏:
 8人で好きな地方からゲームを始めることができて,そのコンセプトが「旅」ということは開発序盤から決まっていました。それなら,土地ごとの人々と関われたほうが,旅の感覚が強くなると思ったんです。

髙橋氏:
 剣士なら剣士らしく,踊子なら踊子らしく旅をしてほしかったんです。立場が違えば,街ですることも違うと思いますし,そのロールプレイを楽しめるような要素を入れようと考えた結果,フィールドコマンドが生まれました。

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――DLCは予定されているのでしょうか。

髙橋氏:
 まったくありません。皆さんがこのゲームに求めているのは,昔のように100%詰め込まれたパッケージだと思いますから。

――最後に,発売まで約1か月ということで,楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

宮内氏:
 Prologue Demoが配信され,いろいろな地方を見られるようになりました。我々としても自信のあるマップクオリティになっていますので,まずはそちらを楽しんでいただければと思います。そして,製品版にぜひご期待ください。

髙橋氏:
 サウンドも,バトルも,グラフィックスも,シナリオも全力を尽くして作り,ようやくリリースにこぎつけたので,やり残したことはありません。遊んでいただいて,どのような反応をいただけるか,ハラハラしながらもワクワクしています。

――ありがとうございました。

「OCTOPATH TRAVELER」公式サイト

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