インタビュー
「ファークライ5」開発者インタビュー。今回はカルト教団を相手に,シリーズ史上最も自由な冒険を楽しめる内容に
今回,「ファークライ5」のリードコミュニティデベロッパーを務めるユービーアイソフト モントリオールスタジオのMathias Ahrens氏に話を聞く機会を得たので,さっそくその模様をお伝えしよう。
「ファークライ5」公式サイト
主人公はプレイヤー自身。オープンワールドで自分だけの物語を作っていく
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,Ahrensさんがどういった形で「ファークライ5」の開発に関わっているのか,教えてもらえますか。
Mathias Ahrens氏(以下,Ahrens氏):
はい。私は「ファークライ5」のコミュニティデベロッパーのまとめ役をやっています。コミュニティデベロッパーというのは,SNSやフォーラムに「ファークライ5」の情報を掲載したり,プレイヤーの皆さんから寄せられた意見を開発者に伝えたりする仕事です。
4Gamer:
「ファークライ5」の開発体制は,どのくらいの規模になっているのでしょうか。
Ahrens氏:
開発のフェーズによって関わる人数が変動するので,正確な数は把握していません。モントリオールだけでなく,上海やキエフ,トロント,そしてReflections(イギリス)といった各国のスタジオが開発に関わっていますので,かなりの数になるとは思います。
4Gamer:
なるほど。
Ahrens氏:
ですから,チームの全員が同じ情報を共有し,同じステップで進むことがきわめて重要になるんです。
4Gamer:
それでは,あらためて「ファークライ5」に用意された新要素などを教えてください。
Ahrens氏:
まずお伝えしたいのは,ゲームの冒頭からプレイヤーがオープンワールドに放り込まれ,それ以降,どのようにゲーム進めても構わないという状況に置かれることです。
シリーズ従来作と最も異なる点は,これまでのように主人公が固定されておらず,プレイヤーキャラクターをカスタマイズできることですね。職業は保安官補ですが,性別や人種,顔の造型などを自由に選べます。これは「ファークライ5」の物語を,プレイヤー自身のものとして感じてほしかったからです。
4Gamer:
プレイヤー自身の物語とはいっても,ベースとなるストーリーはあるんですよね。
Ahrens氏:
確かにメインストーリーはありますが,プレイヤーはホープカウンティ内を自由に移動し,ゲームを進められます。それ以外にも,例えば釣りやハンティングができるなど,プレイヤーが自由に行動できる余地がたくさんあり,それらを通じて,プレイヤーが自分だけの物語を作っていくことができるんです。
4Gamer:
RPGのように,各地に赴いてさまざまなミッションを請け負い,クリアしていくという感じでしょうか。
大枠ではそのとおりですが,本作では経験値の概念がなく,その代わり「レジスタンスメーター」を採用しています。加えてミニマップを廃止し,画面に表示されるアイコンを参考に移動すると,新しい地域にたどり着けるといった感じです。
また,ゲームの進行に関するヒントは,さまざまな手段で入手できます。例えば誰かの机に置いてある紙を読むと,「どこそこでエデンズ・ゲートが悪事を働いているから助けてほしい」といったメッセージが書いてあったりしますし,道の横で「何々に気を付けろ」というような警告を発見したりもするでしょう。
もちろん,NPCからも情報を得られます。例えばフォールズ・エンドという地域をエデンズ・ゲートから解放すると,NPCのメアリー・メイと話せるようになり,「ライ&サンズ航空が困っている」という情報を聞き出せます。しかし,情報を得たからといって必ずそれに従わなければならないということはありません。興味のないものは,無視してもいいんです。
4Gamer:
そのレジスタンスメーターについて,もう少し教えてください。
Ahrens氏:
プレイヤーの目的はエデンズ・ゲートを率いるジョセフ・シードの逮捕ですが,彼らに制圧されてしまったホープカウンティでは保安官補という肩書きは意味を持ちません。そこで,ホープカウンティの住人が作ったレジスタンスと協力して,エデンズ・ゲートと戦うことになります。
レジスタンスメーターは,プレイヤーがミッションをクリアしたりすることで蓄積され,一定の値に達するとレベルが上がります。レベルが上がれば恩恵が増えるのですが,高レベルになるほど,エデンズ・ゲートから大きな脅威と見なされ,強力な刺客を送り込まれたりします。
4Gamer:
自由に行動できるとのことですが,プレイヤーがジョセフ・シードの仲間になることはできるのでしょうか。
Ahrens氏:
さすがに,それはできません。プレイヤーは,一貫してエデンズ・ゲートからホープカウンティの人々を解放することを目的にしています。
とはいえ,「ファークライ5」の物語で興味深いのは,ジョセフ・シードもまた「人々を助けたい」という考えのもと行動している点でしょう。彼は「文明の終わりが近づいている」という“声”を聞き,そんな世界から可能なかぎり多くの人を救おうとしているんです。
またエデンズ・ゲートは,実をいうと数年前からすでにホープカウンティ内で活動を始めていたんです。彼らがなぜ急に住民を人質に取ったり,物資を強奪したりと過激化したかというと,プレイヤーが派遣されてきたからなんですね。「文明の終わりが近づいたからこそ,警察が我々の活動を邪魔しに来た」と危機感を覚えたんです。
4Gamer:
「ファークライ」シリーズは,そういった異なる正義や価値観の対立をずっと描いていますよね。暴力に対抗するために,結局こちらも暴力を振るうことになるので,何が本当に正しいのかだんだん分からなくなるといいますか。
そのとおりです。「ファークライ」シリーズはいずれも美しく興味深い土地を舞台にしていますが,その中で繰り広げられる物語は,現実に起きてもおかしくないようなものを目指しています。
また今回,モンタナを舞台に選んだのは,美しい景観に恵まれていたからということだけではありません。モンタナの住民には,“Do It Yourself”の精神が根付いており,他人の助けを借りずに生きていこうという人が多いんです。アメリカの中にありつつも,アメリカとは違う場所だと感じさせる土地だったので,「ファークライ」シリーズの舞台にふさわしいと思ったんです。
4Gamer:
なるほど,これまで舞台になった南の孤島やヒマラヤと比較すると,「今度はアメリカの国内か」と少々物足りなく思ったのですが,そんなことはないんですね。
Ahrens氏:
モンタナで現地の人達と一緒に釣りやハンティングをしたとき,急に携帯電話の電波がつながらなくなりました。こうした,「ここは本当にアメリカなのか?」と思わせられることがたくさんあったんです。夜になれば,狼などの野生動物に襲われる可能性も否定できません。
4Gamer:
実際,そういった土地がカルト教団に狙われることはあり得るのでしょうか。
Ahrens氏:
専門家に確認したのですが,カルト教団のリーダーは人々を洗脳することに長けているため,どこにいてもおかしくないそうです。もちろん,モンタナにいてもまったくおかしくないとのことでした。
4Gamer:
ちなみに,エデンズ・ゲートのモデルになったカルト教団はありますか。
Ahrens氏:
特定のモデルはありません。さまざまなカルト教団の特徴をミックスして生まれたのが,エデンズ・ゲートです。
スキルの異なるNPCや動物をパートナーにしてゲームを進められる
4Gamer:
それでは,新要素の中でも大きな特徴となるパートナーシステムについても教えてください。
Ahrens氏:
まずゲーム内では,全編を通じてフレンドとCo-opが楽しめます。さらにフレンドだけでなく,ゲームに登場する一部のNPCをパートナーとして雇えますし,ゲーム内の動物をパートナーにすることもできるんです。
NPCや動物はそれぞれ異なるスキルを持っており,例えばグレース・アームストロングはスナイパーですから,遠距離狙撃を得意としています。ニック・ライは飛行機のパイロットなので,空爆で敵の攻撃が可能になります。そして犬のブーマーは索敵が得意で,敵意のない動物を察知することもできるため,戦いだけでなくハンティングでも活躍するでしょう。ご存じのように,ブーマーは,敵から武器を奪って持ってくることもできますし。
もちろんパートナーを使わず,プレイヤーだけでゲームを進めることも可能です。
4Gamer:
現在,パートナーにできるNPCはグレースとニック,そしてブーマーが公開されていますけれども,ゲーム内にはほかにもいるのでしょうか。
Ahrens氏:
ええ,人間も動物もたくさん用意しています。これから順次公開していく予定です。
4Gamer:
パートナーにできるNPCは,メインストーリーを進めることでアンロックされるのですか。
まだすべてのNPCがそろっていない段階なので詳しい話はできないのですが,レジスタンスメーターが上がるごとに,プレイヤーに対するレジスタンスの信用も高まっていきます。それが一定の値に達すると,パートナーにできるNPCがアンロックされるという感じですね。
さらに,特定のミッションをクリアすることでパートナーにできるNPCもいます。
4Gamer:
ミッションは,ステルスで攻略することもできますか。UBIDAY 2017のデモプレイは,撃ち合いでクリアしていく感じでしたが。
Ahrens氏:
ミッションの内容にもよりますが,基本的にはプレイヤーの好みの手段で攻略できます。サイレンサー付きの銃を使ったり,音の出にくい近接武器を使えば,ステルス行動も可能です。
例えば,タワーの上からブーマーに指示を出して敵を攻撃させ,プレイヤー本人は何もしないということも不可能ではありません。難しいと思いますけどね。
4Gamer:
それは攻略のしがいがありそうです。では,釣りやハンティングをすることにメリットはありますか。シリーズ従来作では,ハンティングでクラフティングの素材が集められましたよね。
Ahrens氏:
そうした情報は後日あらためて公開する予定なのですが,まあ,釣りをすれば魚が手に入ります(笑)。そうやって釣った魚のサイズを記録して,フレンド間で誰が一番大きい魚を釣ったか競うような楽しみ方もできるでしょう。
4Gamer:
では,乗り物についても教えてください。UBIDAY 2017のデモプレイでは,最後に飛行機のドッグファイトが披露されましたけれども,ほかにはどんなものがあるのでしょうか。
Ahrens氏:
たくさんあります。こちらも今後,順次公開するので期待してください。今お答えできるのは,パラシュートとウイングスーツですかね……。あとジップラインもあります。建物から建物へとステルス移動するのに便利です。
4Gamer:
騎乗動物はどうでしょう。「ファークライ4」では象に乗れるところが楽しかったです。
Ahrens氏:
残念ながら今回はないです。乗れるのは主にビークルですね。
4Gamer:
開発の進捗はいかがでしょう。
Ahrens氏:
ほぼ開発は終わっており,現在はブラッシュアップに努めています。
4Gamer:
分かりました。発売日を心待ちにしています。
最後に,「ファークライ5」に注目している人に向けてメッセージをお願いします。
Ahrens氏:
こうして日本の皆さんに向けて「ファークライ5」の情報を公開できて,とても嬉しく思っています。本作は,これまでのシリーズとはまったく異なる設定とストーリーになっていますが,それに対する皆さんの反応を見るのも私達の楽しみの一つです。開発が非常に楽しく進んだので,皆さんも楽しくプレイしてくださると幸いです。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
「ファークライ5」公式サイト
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(C)2017 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Uplay, the Uplay logo, Ubi.com, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
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