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[GDC 2025]ユーザー生成コンテンツで育む「思いやり」――「Sky 星を紡ぐ子どもたち」における感情的なUGCシステム設計の秘訣
同講演では,一般的なUGCの課題とされる「荒らし」や「低品質コンテンツの氾濫」といった問題を克服し,プレイヤー同士の感情的なつながりを深めるシステムをいかに設計したのか,具体的な実装方法や生み出された価値が詳細に語られた。
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thatgamecompanyといえば,「Journey」(邦題:風ノ旅ビト)や「Flowery」「flOw」などの芸術性の高い感動的な作品で知られるインディースタジオだ。講演の冒頭,会場からは「Journey」や「Flowery」の名前が挙げられるとともに拍手が湧き起こるほど,同社の作品には熱心なファンが多い。
Holdwick氏は「我々は常に感情について考え,プレイヤーやコミュニティ,そして世界にどのような影響を与えられるかを考えながらゲームを作っている」と同社の理念を語った。
「Sky: Children of the Light」(邦題:Sky 星を紡ぐ子どもたち / 以下,Sky)は,リリースから5年を経た現在も成長を続け,2億7000万ダウンロードという驚異的な数字を達成。ユーザーの平均プレイ時間は1日90分に及ぶという。この持続的な成功の背景には,ユーザー生成コンテンツ(UGC)を通じた独自の「思いやり」を育むシステムがあると,Holdwick氏は説明する。
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」公式サイト
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」ダウンロードページ
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美しい物語世界にUGCを導入する意義
ストーリー主導型で緻密に作り込まれた美しい世界観のゲームにおいて,ユーザー生成コンテンツを導入することは,世界観の統一性を損なうリスクをはらんでいる。しかしHoldwick氏は,UGC導入の明確な理由と目標を次のように語った。
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「まず第一に,開発者として常に直面する『コンテンツの持続的供給』という課題があります。これは恐らく我々が解決すべき最も困難な問題でしょう。UGCはその解決策となります。また,我々はプレイヤーを単なる消費者ではなく,パートナーとして捉えているんです。彼らがコンテンツクリエイターとして活躍できる場を提供することで,コミュニティ間のつながりも自然と強化されると考えました」
さらにHoldwick氏は,Skyの世界を「テーマパーク」に例え,UGCを「新たなアトラクション」として位置づける視点も示した。「プレイヤーはUGCという『乗り物』に乗って,ゲーム本編とは異なる体験を楽しめる」という考え方だ。加えて,開発チームにとっても設計/技術面での挑戦が純粋に面白いプロジェクトだったという点も率直に語られた。
これらの多角的な理由を背景に,thatgamecompanyが掲げたUGC導入の最終目標は「ゲーム内のあらゆる場所にプレイヤーの心と魂を感じられるようにすること」だった。この理念が,後述するすべてのシステム設計の基盤となっている。
Skyに実装された3種類のUGC――その詳細と役割
Skyでは,世界観と調和するように慎重に設計された3つの基本UGCが実装されている。Holdwick氏はそれぞれのコンセプトと実例を詳細に解説した。
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「シェアードメッセージ」は,水面に浮かべられる折り紙のような小舟の形をした,メッセージを残せるシステムだ。「単なるテキストボックスではなく,ゲームの芸術性と調和する形態を選んだ」とHoldwick氏は強調する。プレイヤーたちは主にポジティブなメッセージを残し,ほかのプレイヤーがそれを発見して開くという体験が生まれる。
「シェアードスペース」では,指定した場所にボックス状のエリアを設定し,そこにさまざまな装飾アイテムを配置できる。「くつろぎ空間」を作る使い方もあれば,装飾品を組み合わせて創造的なアート作品を作り上げる使い方も見られる。thatgamecompanyのアートチームが世界観に合わせて作成した装飾品は,プレイヤーの創造性を刺激する重要な素材となっている。
「シェアードメモリー」は,プレイヤー自身のプレイを録画したリプレイを残せるシステムだ。Holdwick氏によれば,最も人気の使い方は楽器演奏の記録で,Skyに実装された楽器システムを使った演奏を残し,ほかのプレイヤーに聴かせるという使われ方が主流となっている。また,ゲームの攻略法やチュートリアルを作成する用途も増えているという。
これらのUGCは,オープンワールド内の任意の場所に設置する「インワールドUGC」として配置できる。そのマーカーが世界中に点在し,プレイヤーがそれを見つけて開くことでコンテンツを閲覧できる仕組みだ。しかしより特徴的なのは,「UGCシュライン」と呼ばれる専用ゾーンの存在だ。Holdwick氏はこれを「2つの重要な目的を持つ」と説明する。
「シュラインはUGCシステムの使い方を学ぶチュートリアルの役割を果たし,特定のテーマや感情を示す『プロンプト』を表示できます。例えば『あなたが感謝していることは?』といった前向きなプロンプトを示すことで,ポジティブなコンテンツ創作を自然と促せるのです」
興味深いことに,当初は自由度の高いインワールドUGCが主流になると予測されていたが,実際には特定テーマのあるシュラインが最も活発に利用されているという。これはプレイヤーが完全な自由よりも,ある程度の方向性が示されたほうが創作意欲が高まることを示唆している。
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さらに発展型のUGCとして,「ネスト」と呼ばれる自分専用のアパートメント空間も実装された。これは従来のシェアードスペースをさらに拡張し,完全なプライベート空間として設計されている。プレイヤーは友人を招待してそこで交流でき,多くのプレイヤーがこの空間で一緒に時間を過ごすことを楽しんでいるという。
さらに,現在ベータテスト中で年内にリリース予定の「スターポスト」も紹介された。これは友人に直接送れるシェアードメモリーで,例えば誕生日メッセージなど特定の相手へのパーソナルなコンテンツ共有を可能にするという。
UGCの安全性とソーシャル性を両立する精緻な設計思想
UGCを導入する際の最大の課題は,コンテンツの質と安全性の確保だ。特に大規模なモデレーションチームを持たない中小スタジオにとって,これは深刻な問題となる。Holdwick氏はthatgamecompanyがこの課題に対してどのように取り組んだかを,設計段階での考慮点から詳細に語った。
「我々は開発初期段階で,いくつかの重要な問いを自らに投げかけました。テキストをフィルタリングして安全を確保できるか? 友人と非友人の両方がコンテンツを適切に発見できるようにすべきか? コンテンツに寿命を設けるべきか? プレイヤーがコンテンツを評価/調整できるようにすべきか? 視聴者自身がコンテンツを自主規制できる仕組みは必要か?」
これらの問いに対する回答はすべて「Yes」だったという。特に「コンテンツの寿命」については,ゲームの世界観との整合性という観点から興味深い説明があった。
「Skyの世界は常に風が吹き,葉が舞い,変化し続ける生きた世界です。ですから,UGCも永続的ではなく,時間とともに変化するものであるべきだと考えました。これはデータベース管理の観点からも合理的ですが,それ以上に『常に新鮮な体験』というゲーム哲学に合致する決断だったと言えるでしょう」
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Holdwick氏が講演で最も時間を割いて説明したのが「サーフェシングアルゴリズム」,つまりどのコンテンツをどのプレイヤーに表示するかの仕組みだ。これこそがSkyのUGCシステムの核心部分であり,ほかのゲームの開発者にも応用可能な知見だと強調された。
Skyでは,友人関係を中心に据えた以下のルールを採用している。
- 友人が作成したコンテンツを常に最優先表示する
- 非友人のコンテンツは,X人以上の友人に「いいね」されていれば表示する
- Y回以上報告されたコンテンツは非友人には表示しない
- 表示順は「いいね」の数によってランク付けされる
「このアルゴリズムの最大の特徴は『友人のコンテンツを最優先する』という単純だが効果的なルールです。もし皆さんのゲームにフレンドシステムがあるなら,UGCにもこのアプローチを検討してほしいです。エンゲージメントが劇的に向上するでしょう」とHoldwick氏は力説した。
講演では実際のコードスニペットも共有され,これらのルールがどのように実装されているかが示された。Holdwick氏は「今回は抽象化したバージョンをお見せしますが,実際のゲームからの抜粋です」と説明し,友人からのいいね数が閾値Xを超えた場合や,報告回数が閾値Yを超えた場合の振る舞いを決定するコード例を提示した。
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技術的には,X値を0に設定すればすべてのコンテンツがすぐに公開され,Y値を1にすれば1回の報告でコンテンツは非表示になる。しかしHoldwick氏は,数百万のユーザーがいる環境では,少数の悪意あるユーザー(トロール)が報告機能を悪用する可能性も考慮すべきだと注意を促した。Skyでは,これらの値をUGCタイプごとに微調整し,最適なバランスを見つけ出したという。
美しい世界観を守るための「UGC散乱問題」への多角的対応
UGCの導入によって生じた予期せぬ問題の一つが「散乱問題」だった。Holdwick氏はスライドで,重要なストーリーシーンのある場所にUGCマーカーが無秩序に散らばる様子を示し,「率直に言って,これは美しくありませんでした。美しく緻密に作り込んだ世界観が損なわれる事態が発生した」と語った。
この問題に対し,thatgamecompanyは複数の対策を組み合わせて対応した。まず前述のとおり,コンテンツには有限の寿命が設定された。これにより,古いコンテンツは自然に消え,常に新鮮な状態が保たれる。
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次に,一つの場所に表示されるマーカーの数を3つまでに制限した。「全コンテンツを一度に表示するのではなく,品質の高いものを少数だけ表示し,興味があるプレイヤーがさらに閲覧を進めると追加コンテンツをロードする仕組みにしました」と説明された。
さらに技術的・美術的な対応として,マーカー自体のサイズを縮小し,風景の中に自然に溶け込むようデザインに調整。「美しい景観を損なわないよう,マーカーのサイズを大幅に縮小しました」と解説した。重要なストーリー展開のある場所には「ブロッカーゾーン」を設置し,そもそもUGCを配置できないエリアを指定したという。
「これはデザイナーが手作業で微調整する繊細な作業だった」とHoldwick氏は振り返る。「ストーリー体験を損なわずに,同時にプレイヤーの創造性も尊重するバランスを見つけることが求められました」
また,プレイヤーの移動に合わせてマーカーを再シャッフルする仕組みも導入された。これにより同じ場所を再訪しても異なるUGCに出会える可能性が高まり,世界の生き生きとした変化を演出することに成功したという。
プレイヤーとクリエイターをつなぐ革新的な機能群
Skyでは,コンテンツを作るプレイヤーと楽しむプレイヤーをより深くつなぐための機能拡張も実施された。Holdwick氏は,この領域での取り組みこそ「SKyのUGCの真髄」だと語った。
最初に導入されたのが「フォローシステム」だ。「すばらしい作品を作るプレイヤーが必ずしも自分の友人とは限らない。友人関係を結ばなくても,特定のクリエイターの作品だけを追いかけられる仕組みが必要だった」と解説された。
フォローシステムによって,前述のサーフェシングアルゴリズムも拡張された。「友人のコンテンツ」「フォローしている人のコンテンツ」「そのほかのコンテンツ」という3層構造で優先順位が決まり,各層の中でさらに「いいね」数によるランキングが適用される仕組みだ。
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次に導入された「ハートギフトシステム」は,Skyのゲーム内通貨である「ハート」を優れたコンテンツの作成者に直接贈る機能だ。Holdwick氏はこれを「視聴者とクリエイターの間に感情的なつながりを生み出す自然な方法」と表現した。
「ハートは単なるゲーム内通貨ではなく,Skyの世界観において『感謝』や『共感』を表す重要な象徴です。UGCに対するハートギフトは,金銭的報酬というよりも情緒的なつながりを意味します。それでいて,クリエイターにとっては実際のゲーム内価値をもたらすという絶妙なバランスなんです」
講演では,多数のハートギフトを受け取った一人のプレイヤーが例として紹介された。そのプレイヤーが作成したUGCのタイトルと,受け取ったハートの数がスクリーンに映し出され,Holdwick氏は「これがプレイヤー同士をつなぐ素晴らしいシステムとなっています」と説明した。
最後に導入されたのが「コメントシステム」だ。これは視聴者同士をつなぐための機能で,Holdwick氏によれば「設計チームの中で最も議論が白熱した機能」だという。
コメント機能は,その性質上トラブルを招きやすい。しかし「視聴者と作者」というタテのつながりだけでなく,「視聴者と視聴者」というヨコのつながりも重要だと考えて実装したという。
安全性を確保するため,thatgamecompanyはコンテンツ表示と同様のアルゴリズムをコメントにも適用。友人のコメントを優先表示し,「いいね」されたコメントが上位に表示され,十分な「いいね」を得たコメントのみが非友人にも表示される重層的な仕組みとなっている。
さらに多言語コミュニケーションを支援するため,自動翻訳機能も実装。「すべてのメッセージを翻訳できるので,世界中のプレイヤーがつながれます」とHoldwick氏は述べた。
数字で見るUGCの驚異的な成果
講演の後半では,これらのUGC機能が生み出した具体的な成果が詳細なデータとともに報告された。Holdwick氏が最も誇らしげに語ったのは,「週間アクティブユーザーの63%UGCを閲覧している」という驚異的な数字だ。
「これはデイリークエストへの参加率をも上回っています。プレイヤーはこのコンテンツを本当に楽しんでいるのです。私たちは当初,必須コンテンツであるデイリークエストの半分程度の閲覧率を期待していましたが,結果は予想を大きく上回りました」
UGCを作成しているユーザーは週間アクティブユーザーの2.5%で,Holdwick氏によれば「一見少なく見えるかもしれないが,ほかのゲームのUGC作成率と比較すると極めて高い水準」だという。同氏は「一般的なUGCシステムでは,1%未満の作成率が普通」と補足した。
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また,視聴者の30%がコメントや「いいね」,ギフトなどのリアクションを残している点も強調された。「単に閲覧するだけでなく,何らかの形でインタラクションを行うユーザーが3割もいることは,システムが深く浸透している証拠です」とHoldwick氏は分析する。「これらの数字は非常に良好で,我々は満足しています。もちろん,さらに向上させる余地はありますが,非常に成功したシステムだと言えます」
特筆すべきは,プレイヤーに対して「なぜUGCを作成するのか」というアンケートを行った結果だ。「ポジティブなメッセージを届けたい」「愛を伝えたい」「他人を笑顔にしたい」といった回答が圧倒的多数を占めたという。
さらに,UGCシステムに対する満足度調査では,75%のプレイヤーがUGCシステムによってSkyの世界がより良くなったと回答。「これは単にゲームプレイに新たな要素を加えただけでなく,ゲーム世界の本質的な価値を高めることに成功した証でしょう」とHoldwick氏は評価した。
ユーザーによる自主規制の成功と実例
UGC導入の最大の懸念点である安全性についても,具体的なデータとともに成果が報告された。Holdwick氏は「我々はインディースタジオで,大規模なモデレーションチームを持つ余裕はない」と前置きしたうえで,システム設計によってこの課題を解決した手法を解説した。
まず技術面では,GGWPと呼ばれるAI技術を活用した厳格なテキストフィルタリングを導入。「我々のケースでは非常に厳格な設定を行っていますが,これはゲームごとに調整可能なシステムです」と説明された。このフィルターは非常に厳格な設定にされているが,Holdwick氏は「我々のゲームの性質を考えると,表現の自由よりも安全性を優先すべきだと判断した」と述べた。
より重要なのは,前述した友人のコンテンツの優先表示とレポート機能を組み合わせた「コミュニティによる自主規制」の仕組みだという。「プレイヤー自身が良質なコンテンツを評価し,問題のあるコンテンツを報告します。そうすることで,友人関係を基盤とした表示アルゴリズムが,自然と良質なコンテンツを広める土壌となります」
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この結果,「ヘイトスピーチなどの重大な問題は事実上発生していない」とHoldwick氏は報告。「これは我々にとって非常に重要なことで,コミュニティの安全を保つことに全力を注いでいます。構築したこれらのシステムは,常にそれを念頭に置いたものです。そして実際に安全であることが証明されています」
講演では,実際のUGCコンテンツの例も多数紹介された。1000以上の「いいね」を獲得した,過去1年間のトップコンテンツ例が示され,それらがすべて非常にポジティブなメッセージであることが強調された。
また,装飾品を組み合わせて作られたクリエイティブなアート作品の例も紹介され,「我々のコミュニティはアーティストです。彼らは素晴らしい。数多くの素晴らしいアート作品が作られ,プレイヤーはそれを愛しています。中には我々でさえ,どうやって作ったのか分からないものもあるんです」と感嘆した。
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講演ではさらに,実際のゲームプレイ映像も上映された。Skyのデイリークエストの一つとして,特定のエリアで「時間を過ごす」という簡単なタスクがあるという。「なぜそんなクエストがあるのか? それは,少しの『退屈』が社交性を促すきっかけになることがあるからです」とHoldwick氏は説明。映像では,そうしたエリアでプレイヤーたちが自発的にUGCパフォーマンスを行い,それを周囲のプレイヤーが鑑賞する様子が示された。
「この例は,我々のシステムが連携して機能している様子を示しています。これは私が非常に誇りに思うものです。我々はこれらのシステムを,常に物語性を念頭に置いて構築しました。そして世界をどうやってつなげるか考えてきました。この事例は,そのことをよく示していると思います」と語った。
「思いやり」を中心としたUGC設計――ほかのゲームへの示唆
講演のまとめとして,Holdwick氏は「思いやり(Compassion)がUGCを成功させる鍵だ」と力強く主張した。単にコンテンツ作成ツールを提供するだけでなく,そのコンテンツが生み出す感情的体験まで設計することの重要性を強調する。
「友人システムやプレイヤー同士のつながりを活用し,友人のコンテンツを優先表示する。このシンプルな原則が,ポジティブな体験を生み出す基盤となります。どんなゲームであっても,UGCを実装する際は『誰がそのコンテンツを最初に見るか』を慎重に設計してほしい」とHoldwick氏は同業者へのアドバイスを述べた。
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また,UGC機能の開発コストについても言及。「UGC機能の開発は通常の機能の2〜3倍の労力を要する。設計・実装・テスト・バランス調整など,あらゆる面でより複雑です」と率直に語りつつも,「コンテンツ量の指数関数的な増加と,プレイヤー間の感情的つながりの強化というリターンを考えれば,十分に価値がある投資です。プレイヤーはこれを愛しています」と強調した。
特に印象的だったのは,「プレイヤーの創造性を信じること」の重要性だ。「自分たちが想像もしなかった方法でUGCツールが使われるのを目の当たりにします。例えば装飾アイテムを組み合わせて作られる精巧なアート作品は,我々の予想をはるかに超えていました。プレイヤーの創造性は常に開発者の想像を超えます」とHoldwick氏は笑顔で語った。
「我々はコミュニティ自身がUGCを安全に保てると考えています。ただし,少しの助けが必要かもしれません。前述した肯定的なプロンプトなど,思いやりを促すちょっとしたシステムが役立つのです」と述べ,適切な設計によってコミュニティ自身がUGCの安全性を維持できる環境を作れると,Holdwick氏は改めて言及した。
講演の締めくくりに,Holdwick氏は特別な感謝の言葉を述べた。「私の妻に感謝します。彼女は常に良いときも悪いときも支えてくれました。両親にも感謝します」と家族への思いを語り,「そしてもちろん,thatgamecompanyの全スタッフにも感謝します。我々は小さな会社,小さなチームですが,多くの素晴らしいことを成し遂げています。私は夢のような仕事ができて幸運です」と続けた。
最後に「ポジティブなことをもう一つ。我々は採用中です」と,thatgamecompanyが現在スタッフを募集していることも紹介され,「ここでお話したことに共感いただけるなら,ぜひ応募してください」と呼びかけて講演は終了した。
UGCがもたらす感情的つながりの可能性
Skyの事例は,ゲーム内UGCをただのコンテンツ生成ツールとしてではなく,プレイヤー間の感情的なつながりを深める手段として活用する可能性を示すものだ。
特に注目すべきは,UGCの安全性と質を確保するために,大規模なモデレーションチームではなく,システム設計とコミュニティの力に依拠するアプローチだろう。友人関係を中心に据えたサーフェシングアルゴリズム,「いいね」と報告の組み合わせによる自然な選別,プレイヤー間のギフトと感謝の循環など,一連の仕組みが有機的に連携することで,持続可能で前向きなUGC環境が実現している。
実際,Skyにおいて週間アクティブユーザーの63%がUGCを閲覧し,30%が何らかのリアクションを残すという高いエンゲージメント率は,この取り組みが成功していることを示している。プレイヤーが自発的に「思いやり」や「感謝」を表現する場として,UGCが自然に機能している事例は,今後のゲーム開発において大きな示唆となるだろう。
Holdwick氏が繰り返し強調したように,「思いやりがUGCを導く」という理念は,Skyというゲームの枠を越え,あらゆるUGCプラットフォームに適用可能な普遍的な価値を持つかもしれない。人と人とのつながりを重視する設計思想は,より健全で持続可能なデジタル空間の実現に向けた重要な指針となるはずだ。
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