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[インタビュー]「現実は正反対。プレイヤーが望むのは互いに助け合うことだった」――「Fallout 76」開発陣が語るコミュニティとの歩み
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印刷2026/02/04 07:00

インタビュー

[インタビュー]「現実は正反対。プレイヤーが望むのは互いに助け合うことだった」――「Fallout 76」開発陣が語るコミュニティとの歩み

 Bethesda Softworksがサービスを提供しているオンラインRPG「Fallout 76」PC / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)は,2025年11月に7周年を迎えた。
 同年12月には,マップを西方のオハイオ州側に拡張する大型無料アップデート「Burning Springs」も配信されている。これは,同時期にシーズン2が開幕したドラマ版「フォールアウト」とのクロスオーバーになっていて,賞金稼ぎのザ・グール(クーパー・ハワード)がアパラチアに姿を現した。

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 今回,「Fallout 76」の運営・開発を取り仕切っているクリエイティブディレクターのジョナサン・ラッシュ氏,プロダクションディレクターのビル・ラコステ氏に話を伺う機会を得た。「Fallout 76」を中心にシリーズの状況や展望を尋ねてみたので,ぜひご一読を。

※2026年1月28日,オンラインインタビューを実施しました



4Gamer:
 まずは7周年,おめでとうございます。自分は「Fallout 76」のサービスインからプレイしています。ヘビーユーザーというわけではありませんが,時々,アパラチアに戻ってきては「Fallout 76」の世界を散策しています。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 ありがとうございます。コミュニティの皆さんは,これまでに膨大なコンテンツやフィードバックを提供してくれて,それを通じて私たちはゲームを改善してきました。皆さんの貢献,とくに毎日のように寄せられるフィードバックには,本当に感謝しています。

4Gamer:
 「Fallout 76」には開発・運営,それぞれに相当な人数が張り付いていると思います。実際にはどのくらいの人数になるのでしょうか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 正確な数字は公表できないのですが(笑),オースティンにはかなりの規模の開発チームがありますし,外部スタジオの数社とも連携しています。ロックビルのスタジオにも,ゲーム開発に携わるスタッフがいます。
 そうですね,全体としては中規模程度のチームが開発に取り組んでいると言えるでしょう。

4Gamer:
 サービス開始から7年が経過しましたが,ユーザーの動向は事前に予想していたものから乖離はありましたか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 Bethesda Game Studiosは,「Fallout 76」以前にライブサービス型のゲームを作ったことがなく,常にシングルプレイヤーゲームでした。現在の状況は当時の予想とは大きく異なっていますが,それは前例のないことに挑戦していたからです。
 月日が経つにつれて,我々も開発者として成長しました。コミュニティとの素晴らしい相互コミュニケーションを通じて,プレイヤーへの理解を深めると共に,私たち自身もその一員としてコミュニティに参加してきました。
 私たちはゲームをプレイするのが好きだし,ほかのプレイヤーと一緒に飛び込んでゲームを体験するのも好きです。

 予想について話をしますと,当初はプレイヤー同士が殺し合うことになるだろうと考えていました。
 ですが,現実は正反対でした。プレイヤーが望むのは,互いに助け合うことだったんです。建築物や収集品を自慢しあうだけでも,楽しんでくれました。
 この7年間は,本当に目を見開かされる経験でした。

ビル・ラコステ氏:
 現在参加しているプレイヤーの総数は明かせませんが,コミュニティからのフィードバックの量は常に驚くべきものです。日々,たくさんお送りいただいています。

4Gamer:
 世界中にコミュニティが存在しますが,日本のプレイヤーの動向に特徴や傾向のようなものはありますか。

ビル・ラコステ氏:
 素晴らしい質問ですね。実際のところ,大きな違いはないと思います。皆さん,やりたいことについて,大筋で一致しているようです。
 ただ,キャンプの建設に関しては,日本のファンがとくに秀でているようですね。日本の皆さんがゲームの世界で作り出してきたものを,私たちが再現しようと試みても,たいてい惨めに失敗します。本当に上手なんですよ。

4Gamer:
 大変興味深い話です。

ビル・ラコステ氏:
 キャンプ建設であれ,ソロでの冒険やストーリー進行であれ,あるいは効率的なプレイやすべてのイベント,レイド,エンドゲームコンテンツの攻略を目指すのであれ,日本の皆さんの姿勢は一貫しています。
 多くの場合,皆さんは「もっと多く」を求めているんです。友人との交流を深めたい,あるいは戦いを求めたい,キャンプを建てられるエリアを増やしたい。すべてが一貫しているからこそ,コミュニティがこれほどうまく機能していると思います。

 「このゲームをどう遊びたいか,どこへ向かいたいか」が一致している。そして,その美しさや違いが顕著に現れるのは,キャラクターの装いや,ゲーム世界における行動様式,キャンプの建築様式といったコンテンツの表現方法ですね。
 炎を噴くチェーンソーや巨大な魚といったものを創作する人もいれば,想像を絶する巨大な塔を建てる人もいました。それらを目にすることは,本当に素晴らしい体験です。

 Bethesda Game Studiosから推薦があったキャンプの数々。いずれも目を見張るものがある力作揃いだ。



4Gamer:
 先ほど,フィードバックに言及されていました。今後,実装されるかどうかはともかく,最近はどういった要望が多いのか,お聞きしたいです。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 膨大なフィードバックが寄せられているので,そのすべてに対応するのは非常に困難です。年間のロードマップを策定する際,私たちが心がけているのは,より大まかな方向性を見極めることです。「プレイヤーが求めているものは何か」と。

 たとえば,2024年末に実装された高難度コンテンツ「Gleaming Depths」の話をしますと,誰かが「Gleaming Depthsという名前のレイドと,巨大な蛇(編注:ラスボスのこと)を出してほしい」と望んだわけではないんです。
 プレイヤーが求めていたのは,「スコーチビースト・クイーンが弱すぎるので難度を上げてほしい」「プレイヤーの戦力を強化してほしい」「より多くの挑戦が欲しい」というものでした。

 こうしたフィードバックを我々は分析して,レイドのような要素を形作り,巨大な蛇との戦いを用意し,プレイヤーの戦力を強化する手段を提供しました。
 スターレジェンダリー装備もその一例です。プレイヤーが頻繁に求めるパターンの核心は,概して「より高い難度」です。キャンプ構築の効率化や,既存システムの調整といった要望も頻繁に見られます。

4Gamer:
 そうした地道な作業によって,アパラチアに新しいエンターテインメントが供給されているわけですね。


ドラマからザ・グールがやってきた!


4Gamer:
 過去に何度も質問されていると思いますが,せっかくの機会ですので。「Fallout 76」の舞台としてアパラチア山脈周辺地域が選ばれた理由を教えてください。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 アパラチアを選んだのは,「Fallout」フランチャイズの世界観において,まだ十分に掘り下げられておらず,「Fallout」の物語を語るうえで非常にユニークな設定を提供してくれたからです。
 Vault 76自体は,過去の作品でも言及されていましたが,それ以上の情報はほとんどなく,単なる名前に留まっていました。
 つまり,すでに設定の一部であり,私たちがこれまで扱ったことのない刺激的な舞台であり,その設定を拡張する機会を提供してくれたのです。

4Gamer:
 アメリカ国内ではレジェンダリーな怪物の巣窟と認識されている地域ですよね。モスマンやシープスカッチ,グラフトンモンスターにスナリーギャスターといった怪物たちは,この地域の都市伝説的なモンスターとして知られていますが……。
 Bethesda Game Studiosとしては,2077年以前から……つまり,核戦争以前からこの地域に怪物が存在していたということなのでしょうか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 うーん,難しい質問ですね(笑)。一部は存在したかもしれませんし,いなかったかもしれません。

4Gamer:
 なるほど(笑)。舞台の話が出たところで,シーズン2を配信中のドラマ版についても質問させてください。
 ドラマ版の舞台は,2296年のカリフォルニアですね。シリーズ作品の中でも,最も未来に設定されています。このアイデアは,ドラマ側とメーカー側のどちらから出たのでしょうか。


ジョナサン・ラッシュ氏:
 おそらく両者の話し合いによって決まったものだと思いますが,断言はできません。当時,私の関心のほとんどは「Fallout 76」に注がれていましたから。

「Fallout」シリーズの年代・舞台

2077年…核戦争
2102年…「Fallout 76」:アパラチア山脈周辺地域
2161年…「Fallout」:カリフォルニア州南部
2241年…「Fallout 2」:カリフォルニア州南部
2258年…「Fallout 3」:ワシントンDC周辺
2281年…「Fallout: New Vegas」:ネバダ州
2287年…「Fallout 4」:マサチューセッツ州東部
2296年…ドラマ版「フォールアウト」:カリフォルニア州北部〜ネバダ州

4Gamer:
 ドラマの製作総指揮を務め,「Fallout」シリーズのディープなファンであるというジョナサン・ノーラン氏のインタビューによると,番組の企画は2018年頃に始まったそうです。これは「Fallout 76」のリリース時期と重なりますが,クロスオーバーの計画は当初からあったのでしょうか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 当時はまだ,そうした計画はありませんでしたね。ドラマ版の物語がどの時代,どの地域を舞台にするのか,どのような物語を作りたいのか,模索していた段階だったと思います。

4Gamer:
 「Fallout 76」の大型無料アップデート「Burning Springs」では,ドラマ版とクロスオーバーを実現しました。

ビル・ラコステ氏:
 ええ,ザ・グールがオハイオ州バーニング・スプリングスにやってきました。現地住民たちに協力してもらい,世界中に散らばった厄介者たちを賞金稼ぎとして始末していくというクロスオーバーです。

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4Gamer:
 ドラマ版が始まったことによって,新規のプレイヤーが増えたと思います。新しいプレイヤーと,古くから「Fallout」シリーズを楽しんでいるプレイヤーでは,何かしらスタイルに違いはありますか。

ビル・ラコステ氏:
 それほど違いはなく,だいたい同じ反応になるようですね。
 「Fallout 76」のプレイヤーは,おおむね3タイプに分類されます。キャンプの建設に熱中するタイプ,冒険やシングルプレイを進めるタイプ。そして,メインストーリーやサイドクエストを進めて,キャラクターや装備の増強に力を入れるタイプです。
 ドラマ版から入ったプレイヤーの皆さんも,スタイルを模索しているうちに同じような道筋を辿るんですよ。

4Gamer:
 ああ,その分類はよく分かります。自分は2番目に該当していますね。ドラマ版はシーズン3の制作が決まりましたが,今後もクロスオーバーは続くのでしょうか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 可能性はあります。今後のプロジェクトについてはコメントできませんが,「Fallout 76」に関して言えば,最も遠い過去に設定されているので,直接的なクロスオーバーの機会は限られてくるでしょう。両者には大きな時間の隔たりがありますから。
 ザ・グールの登場には,「グール化」という神秘的なプロセスがあるので理にかなっていました。

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 もちろん,登場人物を冷凍保存状態から解凍するという手法で登場させることも可能です。そうしたつながりを構築するのは,少し厄介ですけれども。
 ただ,いつだって存在する確かなつながりがあります。ファンの皆さんが,番組を常に素晴らしく,本物の「Fallout」の物語を語ってくれると信頼できること。そして,ゲームも素晴らしく,本物の「Fallout」の物語を語ってくれると信頼できること。これが最も重要なんですよ。

4Gamer:
 グール化といえば,昨年3月にプレイヤーキャラクターのグール化が実装されました。大変感銘を受けましたが,ドラマ版との連動性があったのでしょうか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 ドラマ版のずっと前から議論していましたが,当時はゲームプレイにおいて正当な理由がなかったため,実装を見送りました。プレイヤーが人間のキャラクターとしてプレイする際,不足していると感じる要素の中に,グールとして得られるものはないと思ったんです。
 ただ,アップデートを重ねるうちにプレイヤーのスタイルが分かってきて,「グールになれば放射能の耐性が100%になり,野性化して狂気に駆られるというメリットがある」と気づきました。

4Gamer:
 こうなると,スーパーミュータント化の実装にも期待してしまいます。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 まさにそれこそが,プレイヤーから頻繁にリクエストされる要望の1つですよ。実現の可能性がないわけではありません。ただ,プレイヤーにそれを許す,適切なメリットを見つけられるかどうかが前提になりますね。
 プレイヤーの体験をどのように向上させるのか? 我々が納得する回答を見つけなければなりません。
 ところで,お聞きしたいのですが,あなたは「Fallout 76」の世界でスーパーミュータントになりたいと思いますか。

4Gamer:
 もちろん,喜んでそうしますよ!
 「Fallout 3」のキャピタル・ウェイストランドで,人を襲わないアンクル・レオやフォークスに出会ったときから,スーパーミュータントは僕の好きなキャラクターです。メリットを聞かれると難しいですが,荒廃した世界でスーパーミュータントになり,歩き回りたい願望は常にあります。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 なるほど,ありがとうございます(笑)。


「Fallout」シリーズのこれから


4Gamer:
 残り時間が迫ってきましたので,4Gamer読者が知りたくてたまらないことを質問します。「Fallout 5」の現状と,以前から噂が流れている「Fallout 3」「Fallout:New Vegas」のリメイクについて,何か進展や情報はないのでしょうか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 嬉しい質問ではありますが,コメントは差し控えさせていただきます。今は「Fallout 76」に全集中していますので。

4Gamer:
 それでは,代わりにちょっと個人的な質問を……自分はH・P・ラヴクラフトの翻訳やクトゥルー神話の紹介に携わっています。「Fallout 3」以来,シリーズ作品のそこかしこに明らかなオマージュ要素が散見されて,それを見つけるたびに大変興奮しています。
 「Fallout 76」でも全体の雰囲気やカルト教団がらみのデザインに,ラヴクラフト的な雰囲気を感じるのですが,開発側は意識しているのでしょうか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 ええ,もちろん。それはインスピレーションの源の1つですよ。
 アップデートに散りばめられているそうした要素について,大部分はプレイヤーに気づかれているようですが,そうではないものもあります。今後も増えるかもしれません。
 あなたがラヴクラフトに関わっているとは……素晴らしいことですね。

4Gamer:
 その言葉を聞けて,大変嬉しいです。
 最後になりますが,日本のファンにメッセージをお願いできますか。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 まずは僕から。Bethesda Game Studiosは,ゲーム業界では最高のコミュニティです。そして日本のコミュニティは,非常に大きな部分を占めています。あって当然のものとは思わない,かけがえのない存在です。
 日本のコミュニティを愛しています。長年にわたり,皆様からいただいた支援と励ましに,心から感謝します。これからもずっと,「Fallout 76」の体験を皆さんと共有できることを楽しみにしています。本当にありがとう。

ビル・ラコステ氏:
 あらためて,日本のコミュニティの皆様に感謝の言葉を申し上げます。皆様からのフィードバック,ゲーム内で作成されたコンテンツを通じた貢献,とくにこの世界で適切なキャンプを構築する方法を示してくれたことは本当に素晴らしいです。
 どうかこれからも続けてください。私たちはコミュニティのすべて,そして皆様がゲームにもたらしてくれたすべてを愛しています。
 これからもフィードバックをお願いします。新機能をリクエストしてください。私たちは本当にそれを楽しみ,心から感謝しています。今後の展開もお楽しみに。

4Gamer:
 今日はありがとうございました。これからも「Fallout 76」を楽しませていただきます。

ジョナサン・ラッシュ氏:
 ありがとう! お会いできて光栄でした。

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