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本日発売の「AI:ソムニウム ファイル」先行インプレッション。打越鋼太郎氏が手掛ける,バディものSF推理アドベンチャーが登場
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印刷2019/09/19 12:00

プレイレポート

本日発売の「AI:ソムニウム ファイル」先行インプレッション。打越鋼太郎氏が手掛ける,バディものSF推理アドベンチャーが登場

 スパイク・チュンソフトから本日(2019年9月19日)発売となった「AI:ソムニウム ファイル」PS4 / Switch / PC)のインプレッションをお届けする。

画像集 No.001のサムネイル画像 / 本日発売の「AI:ソムニウム ファイル」先行インプレッション。打越鋼太郎氏が手掛ける,バディものSF推理アドベンチャーが登場

 本作は「極限脱出」シリーズ「Ever17」といった名作タイトルを手掛けてきた打越鋼太郎氏による,新作SF推理アドベンチャーゲーム。プレイヤーは警視庁の特殊捜査員・伊達 鍵(だて かなめ)となり,東京を舞台に起こる連続殺人事件を追うことになる。
 現実世界で情報を集める「捜査パート」と,重要参考人の夢の世界で独自の手がかりを追う「ソムニウムパート」を行き来しながらの進行が特徴で,さらに「ファイアーエムブレム 覚醒」や「Pokémon GO」で知られるイラストレーター・コザキユースケ氏による,ポップかつ表情豊かなキャラクターデザインにも注目が集まる。
 謎が謎を呼ぶ作品であるため,本稿ではできる限りシナリオのネタバレを避けながら,その魅力をお伝えしていこう。

CEROレーティングは「Z」(18歳以上のみ対象)だ。なお早期購入特典として,「スペシャルサウンドトラック〜REVERIES IN THE RaiN〜」が付属する
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「AI:ソムニウム ファイル」公式サイト



極秘の脳科学技術を駆使し,怪事件に挑む特殊捜査班の物語


 AIや脳科学が現代以上に発展しても,動画配信やSNS,スマートフォンなどが消えてなくなるほどには情報化されていない近未来。本作の物語は,そうした架空の歴史における東京が舞台となる。
 主人公は,警視庁の特殊捜査班「ABIS」に所属する30歳の警察官・伊達 鍵(CV:新垣樽助)だ。こう書くとまるで普通の刑事もののようだが,大きく異なるのは,伊達が極秘の脳科学技術である「PSYNC(シンク)」装置を用いて人間の夢に潜り込む「Psyncer(シンカー)」の一人だというところだろう。
 実際のところ,本作の捜査はこの「PSYNC」に大きく依存する形で進行し,それがまたこのゲームの肝といえる。前述したように,ゲームの進行は一般的なアドベンチャーゲームに準じた「捜査パート」と,能力を駆使して手がかりを見つけだす「ソムニウムパート」を行き来することで展開し,プレイヤーはそれぞれのパートで判明した事実を突き合わせることで,過酷な連続殺人事件の謎に挑むのである。

物語は,臨海地区の廃遊園地で起きた殺人事件から始まる。その被害者――メリーゴーランドの木馬にくくりつけられた女性の遺体は,なぜか左目がくり抜かれていた。伊達は事件の目撃者とされる友人の娘・沖浦みずきの夢にPsyncすることで,捜査を開始する
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主人公である伊達の失われた左目と記憶もまた,本作の大きな謎の一つ。外見に似合わずひょうきんな伊達ではあるが,過去の因縁に再び立ち向かわなくてはならない
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物語を彩るキャラクター達も本作の魅力の一つ。伊達の左目に埋め込まれたAI搭載の義眼であるアイボゥ(CV:鬼頭明里)――正式名称「AI-Ball」は,ハッキングから透視まで,伊達の捜査を助ける頼れる相棒だ。現実世界では小動物風の姿だが,夢の世界では少女の姿をとる。ボケ担当が多い登場人物の中で貴重なツッコミ役でもある
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とある事情で父の友人である伊達と共に暮らしている12歳の小学生,沖浦みずき(CV:黒澤ともよ)。反抗期まっただ中のようで,伊達に対してはかなりとげとげしい反応をとることも。廃遊園地での事件現場にて,声を失うほど心に傷を負った。なおふくれっ面が異様にかわいく,筆者のイチオシである
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捜査中に出会う女子高生ネットアイドル左岸イリス(CV:白城なお)。愛称は「あせとん」で,「A-set(えーせっと)」という名前でYouTuberもやっているらしい。都市伝説やオカルトに詳しく,積極的なタイプなので伊達の捜査によくくっついてくる
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イリスの熱狂的なファンという真津下応太(CV:藤原夏海)
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服装から天才性がにじみ出るアイボゥの製作者ピュータ(CV:後藤ヒロキ)


他者の夢にダイブする時間管理型の「ソムニウムパート」



 ではまず,本作最大の特徴ともいえる「ソムニウムパート」を見ていこう。
 他人の夢に潜り込んで手がかりを探すソムニウムパートは,いわばある種の脱出ゲームのような形で進行していく。

伊達の左目にあるAI搭載の義眼,アイボゥ。伊達は彼女のアバターを通して夢の世界に干渉する
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 ソムニウムパートのフィールドには,各所にインタラクト可能なオブジェクトが点在しており,まずはこれを調べる必要がある。オブジェクトを調べると,それに対してどのようなアクションを起こすかという選択肢が現れるので,これを試していく。正しい選択肢を選べば「Mental Lock」と呼ばれるチェックポイントを通過でき,クリアに一歩近づける。これを繰り返しながら深層意識に近づき,手がかりを見つけ出すのが,ソムニウムパートの基本となる。

事件現場付近で発見された沖浦みずきの夢の中に現れた2つの鳥かご。ここでの選択がシナリオの最初の分岐点となる
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オブジェクトを操作すると選択肢が現れる。なお,ソムニウムパートで得られる手がかりは一つとは限らない。むしろ本作のシナリオは,ここでの結果によって分岐する仕組みだ
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 ただし,ここで問題になるのが制限時間だ。ソムニウムパートには6分の制限時間があり,これはキャラクターの移動中にリアルタイムでカウントダウンされていくのに加え,オブジェクトを操作=選択肢を選ぶ度に一定の秒数(選択肢ごとに異なる)が減少する。このため総当たりでクリアするのは難しいだろう。なお選択肢によっては,消費時間を増減させるアイテム「Timie」が得られることがあり,これを手に入れるため,あえて回り道が必要になることもある。「Timie」自体に所持数制限もあるので,この使い所の判断が良いジレンマになっていると感じられた。

 ソムニウムパートの世界は対象者独自のルールによって構成されているため,夢の中に現れるオブジェクトやギミックから,キャラクターについて深読みできるのも魅力的だ。
 難度はあまり本格的な脱出ゲームを遊ばない筆者でもどうにかクリアできる程度。より歯ごたえのあるプレイを求めるのであれば,各ステージにある隠しアイテムを探すやり込み要素も用意されている。

操作可能なオブジェクトの位置はマップ表示で確認できる。ソムニウム内は迷いやすいので,欲を言えばアイボゥの進行方向表示かオブジェクトへのフォーカス機能がほしかった
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キャラクターの掛け合いが楽しい「捜査パート」



 一方,現実世界での手がかりは,捜査パートで得ることになる。
 ここは一般的な通常のアドベンチャーゲームと変わらない。シーンに登場する人物や物品を選択することで,さまざまな情報を入手していくわけだ。また主人公である伊達の義眼となっているアイボゥの機能で,X線透視やサーモグラフィーといった科学捜査も可能なのが面白いところだろう。

操作パートでは,調べることができる対象を選ぶと選択肢が表示される。新情報が出なくなると文字色が緑からグレーに変わるので,取りこぼす危険が減るのはありがたい
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X線での透視により,遮蔽物の向こうにあるものを見ることも可能。画像はメリーゴーランドの中心部に隠れた沖浦みずきだ
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 なお捜査パートではこのほか,集めた手がかりを用いた重要参考人への取り調べや,アクションシーンにおけるQTEも用意されている。
 取り調べは,状況に合わせた手がかりを重要参考人に提示することで,新たな情報が得られるシーンだ。手がかりの詳細を確認することで,入手済みの重要情報を見返せるので,活用したいところだ。また長いシーンの終わりには,これまでの捜査のまとめを行う会話が入るので,情報の整理がしやすいのもありがたい。

取り調べパートはやり直し可能だが,ノーミスでクリアするとトロフィーが獲得できることも。やりこみ派のプレイヤーはじっくり推理するのがオススメだ
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 敵対勢力と接触したときに発生するQTEは,中盤までは難度がそれほどでもなく,筆者的には若干退屈な部分もあったが,終盤ではぼやっとしていると失敗する程度にはシビアになり,プレイに適度な緊張感を与えてくれる。
 ちなみにQTEは,ソムニウムパートでも稀にだが発生することがある。とある特定のソムニウムパートで発生したQTEは,シーンに非常にマッチしていて個人的には非常によい演出だと感じられた。

QTEの開始前には画面エフェクトがかかるので,心の準備をする時間は十分にある。画像は対象にカーソルを合わせて,ゲージが溜まったところで銃を打つQTEシーン
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 とまあ,ここまで捜査パートの説明をしてきたが,個人的に本作の一番の見どころだと感じたのは,このパートでのキャラクターの掛け合いだ。
 例えば事件とは関係のないものを調べると,コメディタッチなボケとツッコミの応酬が行われたりする。後々考えるととんでもない伏線だったのでは,なんてこともありえるが,たいがいはとんでもないシリアスブレイクである。なんというか漫画の「シティーハンター」みたいなノリというか? 深刻な展開に突然コミカルな要素が混ざるので,好みが分かれるところかもしれないが,個人的には大いに楽しませてもらった。

ドライブ中に一人しりとりを始めてしまう主人公こと伊達 鍵。シビアな事件に疲れてしまっているのだろうか
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捜査中に植木鉢からオケラを見つけて喜んでしまうアイボゥ。普段はクールな彼女の隠された一面だ
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SNSでの自作自演がばれたイリスの熱狂的なファン,真津下応太(24歳・自称ライトノベル作家)。いたたまれなさに思わず心が締め付けられる
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マルチシナリオで明らかになる事件の真相


 前出したとおり,本作のシナリオには分岐があり,結末もマルチエンディングとなっている。ソムニウムパートでのプレイヤーの選択によって,事件の推移は大きく変化する。キャラクターの背景や動機は各ルートに散りばめられており,キャラクターの一見不可解な行動の意図が,別ルートで浮かび上がってくる。これには「なるほど!」と膝を打った。

マインドマップをモチーフとしたフローチャート画面。未到達ルートも見つけやすい親切なシステムとなっている
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 ルート制覇を目指すとなると,面倒なフラグの立て直しが必須かと思っていたのだが,実際はチャプター移動やあらすじ表示によって非常に快適だ。いつでもチャプターをやり直せるので,セーブスロットの数に悩まされることもない。本編の6年前に起きた類似の事件,伊達が記憶を失ったきっかけなどなど,謎が謎を呼ぶ展開が待っているので,その謎をぜひ自らの手で解き明かしてほしい。

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チャプター移動時のシーン選択画面。すでに見たシーンにはチェックが付くので取りこぼしが見つけやすい
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ほかのチャプターをクリアするまでロックされているルートもある。チャプター間を移動できることにも何か裏設定がありそうだが……
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ゲーム序盤に伊達の意識にフラッシュバックする,幼い頃の左岸イリス。記憶喪失前の伊達に関する数少ない手がかりだ
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セーブデータのロード時には,これまでの印象的なシーンのスライドが数枚挿入される。どこまで物語を進めたか思い出しやすいのがありがたい


YouTube「Japan Lemniscate」チャンネル

「AI:ソムニウム ファイル」公式サイト

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