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「Stardew Valley」の“バルダーズ・ゲート3 MOD”で,削除に非難に謝罪のひと騒動。ファンメイドMODのあり方にBG3開発者もひと言
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印刷2025/04/01 17:50

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「Stardew Valley」の“バルダーズ・ゲート3 MOD”で,削除に非難に謝罪のひと騒動。ファンメイドMODのあり方にBG3開発者もひと言

 ConcernedApeの牧場経営シム「Stardew Valley」のファンメイドの完全無料MOD「Baldur’s Village」に対し,Wizards of the Coast(以下,WotC)がDMCA(デジタルミレニアム著作権法)削除申請を行い,その結果,謝罪を表明するに至った。

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画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / 「Stardew Valley」の“バルダーズ・ゲート3 MOD”で,削除に非難に謝罪のひと騒動。ファンメイドMODのあり方にBG3開発者もひと言

 Baldur’s Villageは,2025年3月8日に公開されたファン制作の無料MODだ。導入すると,世界的に評価される名作「バルダーズ・ゲート3」(以下,BG3)のシャドウハートやアスタリオンなど,人気キャラクターを20人以上,Stardew Valley内に登場させられる。

 公開後,BG3の開発を指揮したLarian StudiosのCEO Swen Vincke氏は,「愛がこもったすばらしいものだ!」とコメントした。

 しかし,BG3(引いては原案相当のダンジョンズ&ドラゴンズ)のIPホルダーであるWotCは同MODに対し,DMCA(デジタルミレニアム著作権法)による削除を申請した。これにより同MODは公開停止となった。


 ここまでだとゲーム業界でよくある権利侵害の一例で終わるが,直後,関連作品のファンからの非難に続き,Swen氏もひと言を投じた。

 一連のコメントを要約すると,「あなた(=WotC)の作品がフィーチャーされた,無料で高品質なファンメイドMODは,あなたの作品が共感を呼んでいる証拠であり,ユニークな口コミの一種です。こうした事例は,あなたの知的財産を侵害するものとして扱うべきではありません」とし,(同問題の解決後に)続けて「IPを保護するのは難しいかもしれませんが,こうした問題が解決されることを願っています」と述べた。

 こうした流れを受け,WotCは「DMCAの申請は誤りであった」と表明し,今回の騒動について謝罪した。

 なお,海外ゲームメディアのPC Gamerが,同MODの公開先のNexus Modsにインタビューしたところ,担当者は「WotCは違法コンテンツ削除のために外部機関を利用することが多いので,本件はただの見落としであって,決定が覆ることを願っています」と語ったという。
 本件は会社の意思ではなく,いわば“機械的な流れ作業に引っかかっただけ”の可能性も考慮すべき,といったところだろうか。


 同MODは現在,公開停止となっている。
 しかし,WotCは「ファンとコミュニティがこのすばらしいMODを引き続き楽しめるようにします」と宣言しており,騒動としてはどうにか軟着地を目指せそう,といったところである。

 なお,上記PC Gamerは,同社が2023年に起こしたOGL(オープンゲームライセンス)問題で悪評がたまっている現状では,「(WotCが)暴力的で無思慮で性急な行動を取ったという説は,もはや好意もほとんどなくなったファンに信じられてしまう説だろう」と辛口で述べている。

 最後に,削除申請から謝罪と撤回に至った経緯についてSwen氏が,「よい結末でした。MOD制作チームにとって幸せな結末です。彼らがもっと発展していくことを願っています。また,WotCの迅速な対応もすばらしかったです」と好感触をあらわにしたのが,現在までの状況となる。


 本件のあり方は,なかなかに難しい。PCゲーマーにはMODの概念も当たり前だが,それ以外の人たちは違和感を覚えるかもしれない。日本の例で置き換えると「無料の同人誌」などが分かりやすいだろうか。

 知的財産の権利で言えば,WotCの削除申請自体は法的に間違いではないのだろう。違反に該当する規則や,各関連物での許諾の有無に関わらず,権利者としては意思を表明できる対象物ではある。
 しかし(ファンからの印象も含めて,強権的に見えすぎてしまった,現状の同社における)やり方としては,会社として,関係各位の信頼を損ねるだけの結果になってしまったとも言える。

 他方で,Swen氏の言い分も,良識の範囲だけでコンテンツを愛し愛されることが約束されている界隈なら,最も健全な思想と思える。しかし,実情としてはグレーゾーンも広がってしまっているのが,デジタルコンテンツの時代というもの。規定は踏み越えておらずとも,疑わしき灰色の存在には,我々ユーザー側よりも悩みが多いことだろう。
 これはなにも絵や音楽のみならず,昨今は「お金を稼げすぎるMOD」などが,本来のゲーム体験を侵害しているという判断軸もあるのだ。

 本件はそれこそ,「対象のMODが遵法か違法かを断じられていることが前提」にあるが,メーカーもクリエイターもユーザーも見るべきは,それぞれが保つべきラインをどこに置き,どう歩み寄るべきなのか。そうしたすり合わせを図る一例として参考にするのがいいのかもしれない。

 といった話の続きで,以下の記事もいかがだろうという宣伝も。

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