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[インタビュー]スマホを持ちながら観る映画!? 監督&プロデューサーが語る,映画「ヒプマイ」が生み出す革新的な体験
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印刷2025/03/26 18:00

インタビュー

[インタビュー]スマホを持ちながら観る映画!? 監督&プロデューサーが語る,映画「ヒプマイ」が生み出す革新的な体験

 キングレコードが手がける音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」を原作とした映画「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」が,全国の映画館にて2025年2月21日より上映中だ。

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 スクリーン上で繰り広げられるラップバトルの勝敗が,劇場内の観客の投票によって決まるシステムを採用した観客参加型インタラクティブ映画となっており,観るたびに異なるストーリー展開が楽しめるのが特徴だ。

 投票は,専用スマホアプリ「CtrlMovie」を使用してリアルタイムで行われ,投票数が多かった選択肢に沿ってストーリーが分岐。観客一人ひとりの選択が上映回ごとに異なる結末を生み出すという,これまでにない映画体験を提供している。

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 そんな画期的な作品を手がけたのが,辻本貴則監督中岡 亮プロデューサーだ。今回,4Gamerではお二人に映画化の経緯や制作の舞台裏,そして観客へのメッセージをうかがった。

※辻は一点しんにょう

監督&プロデューサーが明かす,
「ヒプマイ」初の映画化の舞台裏


4Gamer:
 まずは,「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」映画化の経緯をお聞かせください。

中岡 亮プロデューサー(以下,中岡P):
 もともとフィジカルな場で開催されていたディビジョン・ラップバトルですが,「そのコンテンツのフォーマットごと劇場に持っていきたい。」と,キングレコードさんから相談いただいたことが映画化のきっかけです。

4Gamer:
 相談自体は,何年前ごろにいただいていたのでしょうか。

中岡P:
 たぶん4年前くらいになりますね。当時「面白そうだな」と思いつつも,あまり聞いたことがない試みだったので「そんなことができるのかな」と疑問に感じていました。

 キングレコードさんも同じ思いを抱いていたので,「まずはできるかどうか一緒に探ってみましょう」というところからスタートしました。

4Gamer:
 映画はポリゴン・ピクチュアズさんがアニメーション制作を手がけられていらっしゃいますが,先に放送されたTVアニメシリーズは違いますよね。

中岡P:
 そうですね。「ヒプノシスマイク」は木村 昴さんをはじめとする声優陣やアーティストが提供した楽曲による音楽を原作としてスタートしたプロジェクトです。そこにキャラクターのイラストや世界観が加わって,さまざまなメディアへと展開されていきました。

 そのメディアの一つとしてTVアニメシリーズもあるわけですが,今回の映画は「TVアニメシリーズの映画化」ではなく,あくまで「ヒプノシスマイクの映画化」として作られたものです。

 必ずしもTVアニメシリーズと同じ座組の延長線上で映画を作ることが前提ではなく,「ヒプノシスマイク」というコンテンツとして新たな映画を生み出そう! という意図があったからこそ,新たな座組で取り組むことをキングレコードさんとしても決められたのではないかと思います。

4Gamer:
 興味深いお話ですね。それにしても本作は,「まず映画を作ろう」という方針を先に決めて,そこから内容を固めていったんですね。

中岡P:
 そうですね。あとは,マルチエンディング的なことをやりたいという気持ちが最初からありましたので,結果的に今,「観客参加型インタラクティブ映画」として打ち出されています。

 最初の段階でこそ明確にインタラクティブということばで言語化はしていませんでしたが,マルチエンディング的なものに挑戦したいというその想いが制作スタートの一端を担っていたかと思います。

4Gamer:
 映画化と同時に,インタラクティブ要素も取り入れようという方針は,最初から決まっていたのでしょうか。

中岡P:
 技術的な問題さえクリアできればキングレコードさんを含め,インタラクティブ要素を取り入れた映画を作りたいという気持ちは僕たちも変わらずでした。

 ただ,その時点ではシステムをどう実装するかの目途は立っていなかったので,もし適切な方法が見つからなければ「普通の“一本道”の映画にしましょう」といった話は僕からしつつも,天下の東宝さんに相談してみたところ……奇跡的にシステムのお話があがり,今に至ります。

4Gamer:
 やはり,技術的なハードルはかなり高かったんでしょうか。

中岡P:
 そうですね。前例が無いなかでしたので,システム的な課題をクリアできたとしても「日本の劇場で実際に運用できるのか」など,色々なハードルがあり……。そういった課題を一つずつ多角的にクリアしながら進めていきました。

 これはプロダクションである僕らだけではなく,キングレコードさんや東宝さんも含めて一歩一歩,向き合いながらようやくたどり着いたという感じですね。「ここまでやれば確実に大丈夫」というゴールがあるわけではないため,正直,今もまだドキドキしています。

辻本監督:
 公開してから,ようやく見えてくることも多いと思います。何せ,「スマホをずっと手に持って観ていい映画」ですから(笑)。そういう意味でも,実際に始まってみないと分からない部分は多かったです。

 皆さんの善意で,「投票のときだけ操作してくださいね」というマナーが守られる前提で成り立っている部分もありますし,ふたを開けてみないと分からないことがたくさんあります。だからこそ,公開前も公開後も,ドキドキです。

4Gamer:
 面白いですね。

中岡P:
 これだけ大きなIPなので,ファンの皆さんの熱量が高いことは理解しています。そう考えると,本作に対してどのようなリアクションが起こるのか,SNSやリアルの場でどのような反応が生まれるのか,そこも含めて「どうなるのであろう」と楽しみにしていました。

4Gamer:
 ちなみに,辻本さんにお話が進んだのは,どのようなタイミングだったのでしょうか。

辻本監督:
 外枠が決まり,ポリゴン・ピクチュアズさんでキャラクターの3DCGモデルを作り始めたころですね。最初にできたモデルは,確か山田一郎だったかな。それが見えてきたあたりの1年後ぐらいに,正式にお話をいただきました。

 僕は3年ほどこの作品に携わっていますが,そのうちの1年間は,外枠の設定やキャラクターモデルの制作に費やされていましたね。

4Gamer:
 辻本さんには,中岡さんから直接お声掛けされたのでしょうか。

中岡P:
 本作の監督をお願いできる方を探していて,新宿の居酒屋で辻本さんにファーストコンタクトを取りました。「『ヒプマイ』って知ってますか?」といった感じで。

辻本監督:
 当時はほとんど知らなかったけれど,慌てて知ってるフリをしました(笑)。

 僕は実写畑で仕事をしていましたが,過去に「バイオハザード」という作品で3DCGアニメを手がけたことがあったんです。ただ,実写畑だからこそ,そこから先はなかなかアニメの仕事がなくて。

 「またアニメの仕事がしたいな」という気持ちがあるなかで,今回のような大きな企画,しかも普通のアニメとはちょっと違う仕事のお話をいただいて。「これは逃してはならない!」と(笑)。その新宿の居酒屋で,だいぶ必死に自分を売り込んだ記憶があります。

4Gamer:
 中岡さんも,その熱意に押された感じでしょうか。

中岡P:
 監督選びって本当に難しいんです。作品を預けさせていただく以上,自分にも大きな責任があるんですよね。

 「ヒプノシスマイク」はすでに確立された世界観がある作品で,そこに関しての担保はキングレコードさんがしっかりとしてくれるであろうという安心感はあるなかで,「同じようなノリで一緒に作品を作れる人とタッグを組みたい」という思いがありました。それが辻本監督でした。

 辻本監督「ウルトラマン」という大きなIPをご経験されているので,作家性を前面に出すだけでなく,バランスを取りながら進められる方だと感じ,「プロダクションのなかでも一緒に走っていけるのではないか」という現場目線な思いもありました。そのあたりの波長も含めて「辻本監督とやってみたいな」と心に抱きながらも,その日は即答せずに帰りましたね(笑)。

辻本監督:
 そうなんです。それで,正月を迎えたんですが……何とも生ぬるい正月を過ごしましたね(笑)。

中岡P:
 でも年が明けてから,キングレコードの宮本さん(プロデューサー)に「監督はこの方でお願いしたいです」と,辻本さんをご紹介させていただきました。

辻本監督:
 「中岡さんやポリゴンさんが一緒にやりたい監督だったら,ウチは大丈夫ですよ」と言ってくださったと聞いています。

4Gamer:
 制作に入ってから,お二人で取り組むなかで苦労されたことはございますか。

辻本監督:
 お互い大人なので,最初は探り探りで進めていましたね。僕らもキングレコードさんに対しても探り探りでしたし。最初は脚本作りからでしたが,「ヒプノシスマイク」ってこういうふうに本を作るんだ,という独特のルールがあったので,そこが少し特殊でした。

 脚本の段階でも,「ここは意見を言ったほうがいいのか,それとも言わずにおいたほうがいいのか」といったバランスを考えながら進めていきました。そうやって慎重に進めていくうちに,だんだんと作品の世界観や内容,キャラクターが見えてきた感じです。

中岡P:
 辻本さんとご一緒すると決まったタイミングで,幕張メッセで開催された「ヒプノシスマイク」の3DCGライブに招待していただき,辻本さんと一緒に観に行ったんです。そこでライブの空気感とファンの熱量を体感して,「おぉ!」ってなりました。

 その日の帰り際に辻本さんと,「このライブ感を知っているファンに音楽映画を届けるなら,ちゃんと考えなきゃいけないですね」と話しました。そのときは,まだお互い探り探りの状態だったのですが,何となく同じようなことを話していた気がしたんです。そこで,「辻本さんとなら一緒にいい作品を作っていける」と感じました。

 そうした過程が,最終的に映画にも反映されているのかなと思います。音楽映画だから「真摯に向き合わなきゃいけないよね」とか,「CGにできることはここまでだから」と区切るんじゃなくて,「やってみましょう」という姿勢が実を結んでいるところがあると感じています。初めのころに感じた,僕らなりの初期衝動のようなものが,何とかちゃんと形になったことは幸せだなと思いますね。

4Gamer:
 ありがとうございます。次に,本作のどんなところに注目してほしいかをお聞かせください。

辻本監督:
 やっぱり,「ヒプノシスマイク」を初期から追いかけてきて,映画のチケットを買って観に来てくれる人は,コアなファンが多いと思うんです。そんな,ずっと応援してくれた人に喜んでもらえるような作りを目指しました。「ヒプマイ」のムービーの理想形は,きっとこんな感じじゃないでしょうか? というものをお届けしているつもりです。

 また,途中で作品を追えなくなった人や,一度離れた人もいると思いますが,「あのころ,あなたが応援していたヒプマイが,こんなに美しい映像になってスクリーンで観られるよ!」という感動を味わってもらいたいですね。そしてぜひ,インタラクティブ映画というものを劇場で体感してもらえたらうれしいです。

中岡P:
 やはり,かなりの楽曲数があるので,そのなかで僕らなりに手を変え,品を変え,いろいろなアプローチをしながら映像を作っています。そういう意味では,純粋に映像作品としても楽しんでいただけるのではないかと思います。

 辻本監督とは少し違う視点になりますが,「ファンじゃない人でも,ふらっと映画館に立ち寄って観られる作品」になっていると思います。何なら,インタラクティブというギミックを一度,頭から取り除いたとしても十分楽しんでもらえるはずです。

 また,「ヒプノシスマイク」は,CDのドラマトラックや舞台など,さまざまなメディアで展開されていますが,僕らも「純度の高いヒプノシスマイク」を作れたのではないかなと思っています。

 そして,映画館で観ることで「投票の体験をみんなで共有する」ことも,これまでにない新しいものですよね。僕自身,映画館によく行きますが,ふつう映画は「映画対自分」という一対一の関係になりがちです。ですが,本作は観客も含めて「映画館全体で楽しむ新しい体験」になるので,すごく新鮮で面白いと思います。

 今回,キングレコードさんが既存の楽曲も含めて,全楽曲を5.1chに組み直し,映画仕様の音作りにして頂いています。これは本当に映画館でしか体験できないサウンドになっています。音楽作品として,この音を味わうだけでもすごく価値があると思うので,ぜひ良い席で観てほしいです。おすすめは真ん中の席ですかね!

辻本監督:
 僕が言い忘れていたことの3倍くらい話してくれて……中岡さん,すごいですね。ヒプマイ 愛を感じます。つまり「ヒプマイが大好きなコアなファンはもちろん,ちょっと気になっているライトなファンでも楽しめる作品になっていますよ!」っていうことですね。

4Gamer:
 そうですね。作品を知った当初,キャラクター同士の関係性を見ていたとき,知らない人でも「この2人には何かあるのかな?」と感じられるようになっているなと思いました。1回だけじゃなく,ぜひ何度も観に行ってほしい映画ですね。いろいろな席で観ることで,また違った楽しみ方ができると思います。

辻本監督:
 前の席で観てみたり……あ,そうそう! 「前の席もめちゃくちゃいい!」って書いといてください(笑)。今回はライブ感を大事にした映画なので,前の席に行くと,没入感がすごいですよ!

4Gamer:
 書いておきます(笑)。ありがとうございました!

――2025年2月5日収録

映画「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」公式サイト

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