インタビュー
「あんスタ!!」舞台化シリーズの新作「劇団『ドラマティカ』ACT3/カラ降るワンダフル!」W主演インタビュー。題材は“不思議の国のアリス”
Happy Elementsがおくる「あんさんぶるスターズ!!」舞台化シリーズの新作公演「劇団『ドラマティカ』ACT3/カラ降るワンダフル!」が,2023年10月に幕を開ける。「劇団『ドラマティカ』」は,「あんスタ!!」に登場する日々樹 渉が主催する演劇サークルで,「アイドルたちが自ら制作や出演を務める舞台」という“劇中劇”スタイルで行われる。今回のACT3は,「不思議の国のアリス」をモチーフとしたストーリーになっているようだ。
今回4Gamerでは,ACT3でW主演を務める松田 岳さん(帽子屋/乱 凪砂 役)と宮崎 湧さん(アリス/真白友也 役)にインタビューする機会を得た。公演への意気込みのほか,2人の間の意外な共通点なども聞くことができたので,お届けしていこう。
「ドラマティカ」初参加の宮崎さん,
松田さんとの意外な共通点とは……?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。それでは自己紹介を兼ねて,初めて今作の衣装を身に着けたときの感想からお聞かせください。
宮崎 湧さん(以下,宮崎さん):
アリス/真白友也 役の宮崎 湧です。とにかくもう,衣装チームの力が全部注がれている可愛らしいドレスでしたね! 「不思議の国のアリス」という素晴らしい作品にふさわしい,最高の衣装を作っていただきました。すごく動きやすくて機能性も高そうだったので,ドレスだから動きが制限されるというのもなさそうでした。とにかく(舞台では)動き周りたいなと思っています(笑)。
松田 岳さん(以下,松田さん):
帽子屋/乱 凪砂 役の松田 岳です。今回演じるのが帽子屋ということで,名前のとおり帽子がアイコンになっていて,すごくすてきな衣装だなと思いました。これまでに出演したACT1やACT2とはまたガラッと世界観や雰囲気が変わっているのが伝わるはずなので,それも「劇団『ドラマティカ』」の魅力だなと感じましたね。
4Gamer:
ありがとうございます。お二人は前回の「あんステライブ」(2023年3月開催「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Party Live-」)でご一緒されていましたが,ライブではない「あんスタ!!」の舞台作品という意味では初共演ですね。今作のお話をお受けになっていかがでしたか。
宮崎さん:
僕はACT1もACT2も客席で拝見させていただいていて,早くこの「劇団『ドラマティカ』」の舞台に出たい! と思っていたんです。スケジュールの関係でずっと叶わなかったんですが,今回ようやくその願いが通じたなと。あとはW主演というかたちでがっくん(松田さん)と肩を並べさせていただけることが本当に光栄で……。
松田さん:
いやいや。
宮崎さん:
なので顔に泥を塗らないように(笑)。自分のできる……いやキャパオーバーしてでも,どんどんトライアンドエラーを繰り返していろいろ挑戦していけたらなと思っています。
松田さん:
僕はACT1,ACT2に続いて出演させていただけるということ自体,本当にありがたい気持ちでいっぱいになりましたね。だからといって“守りに入る”のではなく,ACT3はACT3だけの新たな気持ちでやれたらいいなと思います。凪砂くんが帽子屋をどう演じるかが僕自身も楽しみですし,僕もいろいろな挑戦を重ねて今作を届けられたらと。
あとは「不思議の国のアリス」が主軸ですが,アリスと帽子屋の2人がメインの作品というのはなかなかないですよね。僕は帽子屋としてアリスを誘いつつ,サポートもしていきたいです。
4Gamer:
期待しています。ちなみにお2人の間には,なにか共通点などはあるのでしょうか。これまでの繋がりなどは……?
宮崎さん:
前回のライブでは,実は楽屋が「Eden」と「Ra*bits」で一緒だったんですよ。でもすごくバタバタしていて,なかなか親密にお話をする時間が取れなかったんですよね。でも,SNSでがっくんのイラストは一方的に拝見していました。僕も絵を描くのが大好きなので,そこが共通点になるかもしれません。
松田さん:
湧くんはサンリオキャラクターの「ハンギョドン」が好きじゃないですか。僕も配信を見させてもらったことがあるんですけど,湧くんが応援してるテンションを見ただけで「仲良くなれるかも!」と思いました(笑)。僕も好きなものを語ると熱くなって止まらなくなるタイプなので,これからもそういうものを見つけて,仲良くなれたらうれしいですね。
4Gamer:
良いですね。では松田さんから,「劇団『ドラマティカ』」の稽古場の様子などを聞いてみたいのですが。
松田さん:
演出の伊勢(直弘)さんを中心に進んでいくんですが,伊勢さんはこちら(役者側)が挑戦することに対してすごく快く受け入れてくださる演出家さんなんですよ。なので今回の稽古も,いろいろと提案しながらやっていけるんじゃないかなと考えています。
あとはやっぱり一慶くん(チェシャ猫/氷鷹北斗 役:山本一慶さん)がなんというかすごく一慶くんなんですよね(笑)。あらゆることに突っ込んでいく方なので,客観的に見ていても楽しい稽古場です。ふふ……。
4Gamer:
それは思い出し笑いですか……?(笑)
松田さん:
あるときの稽古で伊勢さんが演出卓にいなくて,「なんでそこにいんねん! 真ん中で見ていてくださいよ!」ってツッコミを入れていたのを思い出しました(笑)。稽古場はみんな,いつもすごく賑やかでしたね。
でも,そういう稽古場の雰囲気は作品にかなり影響を与えると思います。今回は「カラ降るワンダフル!」というサブタイトルがついていますが,すごく色合いが豊かな現場になるんじゃないかなと。
役者たちの個性が色となってぶつかって混ざり合っていくっていう,僕自身も予想ができない部分があるので楽しみです。なので,もう先輩とか後輩とかなしで,みんなで一緒に頑張っていきたいですね。
宮崎さん:
心強いです……! ありがとうございます。
4Gamer:
では逆に,宮崎さんから松田さんに聞いてみたいことはありますか? 演技のことでも,そのほかでも。
宮崎さん:
じゃあ……お休みの日とかって何をしたらリフレッシュになりますかね?
松田さん:
これはね……ああ,でも今回はちょっと厳しいかもしれないな。
宮崎さん:
えっ,厳しいことですか!?
松田さん:
筋トレなんだよね……。
宮崎さん:
なるほど! 確かに,肩幅がものすごいアリスになっちゃう(笑)。
松田さん:
でも昨今はものごとを広く捉えたり受け入れたりする考え方もあるから,いっそマッチョなアリスもありかもしれない。
宮崎さん:
今の時代,多様性ですもんね!
4Gamer:
とはいえ衣装の問題が……。
松田さん:
衣装を破くことによって「殻を破ろう!」みたいなメッセージ性とか。羽化ですね,生まれ変わる,羽化する瞬間(笑)。でも本当に筋トレはいいよ。
宮崎さん:
じゃあぜひ,内側から鍛える系を教えてください! 実は僕も筋トレは大好きなんです。父がジムに通うくらいそういうのが好きで,僕も演じる役に影響がないときは週4くらいで通っていました。プロテインとか飲んで,エミネムとか聞きながらトレーニングしたりして(笑)。考え方がすごく前向きになるんですよね。アクティブで攻めた考え方ができるようになるし,体内環境も変わるから好きなんです。
4Gamer:
筋肉はすべてを解決すると言いますよね。
宮崎さん:
はい。これを機に,一緒に体を動かす時間を共有できたらうれしいです。
4Gamer:
意外な共通点がまた見つかりましたね。ちなみに筋トレができなかったとき,宮崎さんはどんなリフレッシュをされていましたか。
宮崎さん:
やっぱりゲームですね。ゲーミングPCで夜通しゲームをする感じです。
松田さん:
じゃあ椅子とかも?
宮崎さん:
はい,ゲーミングチェアです。コロナ禍であまりやることがなくなってしまったときにひととおり揃えました。実況っていうレベルでもなく個人の趣味の範囲ですが配信をしたり。あとはバイクと車も好きです。
4Gamer:
最近も乗られているんですか?
宮崎さん:
公演の準備や上演期間中は怪我ができないので,あまり乗れてないんです。ガッツリ長期休みが取れた時に……。温泉とかB級スポットとかに行くのが好きなんですよ。プチ廃墟じゃないですけど,ホラー映画とかオカルト系が好きなので,それがリフレッシュになります。
松田さん:
へえー! そういえば一慶くんもそういう話が大好きだよね。(山本さんの真似で)「トウモロコシやばいよ,やばい」とか言って。
宮崎さん:
それって,トウモロコシが宇宙から来た話ですか?
松田さん:
そう。トウモロコシって先祖が分からなくて,宇宙から来た説があるらしいんですよね。人類はどういう進化を辿ってきたか分かるじゃないですか。でもトウモロコシは謎が多くて,早く大量に育つし,有能すぎて怖いくらいなんですよ。だから人類がトウモロコシを育ててるんじゃなくて,人類がトウモロコシに支配されていると。
宮崎さん:
(山本さんの真似で)「気づいちゃってる,って話だよね」と(笑)。
著名すぎる作品「不思議の国のアリス」,
「ドラマティカ」ではどう料理される?
4Gamer:
今作のモチーフとなる「不思議の国のアリス」は知らない人がいないくらい有名な作品ですが,それ自体に対する印象や感想などがあればお聞きしてみたいです。
松田さん:
絵本やアニメ,実写映画などを見ると「ゴールが決まったゲーム」みたいな印象がありました。不思議な世界に飛び込んだらいろいろな人に出会って問題を乗り越えて,最後に脱出できたらクリアみたいな,見ている側もその道筋を楽しんでいくという。
だからその旅のなかで出会う登場人物たちのエネルギッシュさとか,カラフルな色をどう出していけるかで作品の深みが決まっていくような気がしています。いかにアリスを取り巻く周りの人たちがバランスを取るか,そこは稽古場で作り上げていくものが大きいのかなっていう想像をしています。
まだ詳しくはお話できませんが,僕の演じる帽子屋は「導く人」という設定があるんですよね。そこはきちんとまっとうできたらいいなと思います。
宮崎さん:
僕も書籍や映画など「アリス」のお話はたくさん触れてみたんですが……アレンジの幅も凄まじいし,元となった「不思議の国のアリス」という作品が一番伝えたいメッセージっていうのが未だに見つかっていないんですよ。
でも確か,元々は作者(ルイス・キャロル氏)が知人の女の子を喜ばせるために書いたお話なんですよね。だから,万人に向けたメッセージっていうのはないような気もしていて。
今がっくんが言ってくれたように入り口と出口,アリスが自分を見つけて帰ってくるっていう事実は共通して存在するので,そこはきちんと汲み取りつつ,みんなが抱いている奇想天外さやシニカルなところを,「アリス」だからこそ表現できる演劇作品としてお届けできたらいいなと思っています。
4Gamer:
なるほど。「劇団『ドラマティカ』」は俳優がアイドルを演じ,そのアイドルが役を演じる“劇中劇”という少し特殊な構造になっていますよね。そうした難しさがある舞台だと思いますが,松田さんはACT1,ACT2と演じてこられていかがでしたか。
松田さん:
凪砂くんが役を演じるとき,「どういうことを考えるのかな?」というのは考えてきましたね。役作り……エッセンスを拾っていって肉付けをしてっていうのは,きっと凪砂くんならではのものがあると思うんですよ。それをすごく考えました。
とはいえ,例えば松田 岳と乱 凪砂を同じように並べた場合……いや並べていいか分からないですけど,一人の人間が作品のことを考え,役についても考えてお客さんに届けるという部分では,気持ちとしては同じだと思うんですよ。
凪砂くんはアイドルですが,舞台に立って役作りするという点では,役者を生業にしている僕と熱量は同じなんじゃないかなと。それに大きな視点で見れば,“役を演じる”ということは,この社会で誰もがやっていることでもある気がして。
4Gamer:
確かにそうですね。
松田さん:
「あんスタ!!」や「あんステ」のことを大好きな人はかなりたくさんいらっしゃいますが,難しいことは考えず,僕たちの作る世界に飛び込んでくれたらうれしいなって思います。
4Gamer:
そうですね。では宮崎さんはこれから「劇団『ドラマティカ』」の舞台に上がるうえで,なにか考えたりプランのようなものを練ったりはしているのでしょうか。
宮崎さん:
友也くんは演劇部なので,お芝居に対する理解はすごくある子だと思っています。なのでそういう意味でできるところは思い切って,枠からはみ出すくらいにはやってみたいですね。友也くんならではのバックグラウンドを利用するというか。
あと考えているのは,アリスは女の子ってところなんですよ。女装云々ではなく役として女の子なので,そこがある意味で強みになりそうだなと。だから友也くんが女性役を演じるときの立ち姿だったり,ドレスの捌き方だったりの塩梅を探っていくのを楽しみにしています。
僕は女の子っぽい服装をする男の子とか,女装までいかなくともそういった役はわりと演じたことがありますが,今回はそこが大きな違いだと思っています。
4Gamer:
今のお話で,友也がどうアリスを演じるのか,そしてそれを宮崎さんがどう作り上げるのかが俄然楽しみになりました。それでは,「劇団『ドラマティカ』」の出演経験がある松田さんから,宮崎さんにしてあげたいアドバイスなどはありますか。
松田さん:
ほとんどないんですが,そういうものがなくても湧くんのことをいろいろ知れていったら良いなと思ってます。でも,そうしたら湧くんのことを好きになりすぎちゃって,たぶんモノマネとかもいっぱいしちゃうと思うんです(笑)。それでお気を悪くしてしまうことがあるかも……。
宮崎さん:
光栄の限りです(笑)。
4Gamer:
そういう話題も盛り上がりそうですね。ところで「あんステ」はもちろん,「劇団『ドラマティカ』」の舞台もアドリブが印象的でしたが,「劇団『ドラマティカ』」では松田さん演じる凪砂のアドリブ的なお芝居も話題になりましたね。
松田さん:
いやいや,台本通りです!(笑)
4Gamer:
またアドリブや日替わりネタで,宮崎さん演じるアリスがどんな感じになるか楽しみです。
宮崎さん:
どんな役を演じるときのアドリブかにもよるし,本番にしか生まれないアドリブもあると思うんですが……勝手ながら,友也くんは自分と近い部分があるのかなって感じているんです。そのリスペクトを失わないように,かつどこまではみ出してもいいのかを探っていけたらと。アリスはツッコミに回ることが多そうな気はしているので,そこも楽しんでいけたらいいなと思います。
4Gamer:
本編はもちろん,そうした要素も楽しみです。今,友也とご自身が近いということでしたが,具体的にどの部分かをお聞きしてみたいのですが。
宮崎さん:
自分で言うのはおこがましいですが,自分の実力に対しておごらないところと,ずっと「足りない」って思っているところでしょうか。向上心と言えばいいのかな……。友也くんってすごくできる子だと思うからこそ,刺激をもらったんです。常にもっと上を目指したいっていう心は,僭越ながらすごく親近感がありますね。
4Gamer:
なるほど。松田さんは凪砂との共通点についていかがですか?
松田さん:
うーん,素直なところですかね? 凪砂くんはすごくピュアなので,そういうところが舞台で伝わっていたらうれしいです。
4Gamer:
期待しています。それでは最後に,楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
松田さん:
いつも応援してくださって本当にありがとうございます。「劇団『ドラマティカ』」もついにACT3をお届けできることになりました。ACT1,ACT2と,本当に一公演一公演をお客さんと一緒に旅をしてきたようなイメージがあります。
ACT3がどんな旅になるかまったく予想がつかないのですが,今回はより夢のなかに近い世界,あの狭いようで広いような得体のしれなさみたいな雰囲気があるんじゃないかと思います。そこで味わえる非日常が現実とリンクする不思議な体験になりそうだなと。
毎公演とも味わう感情も違ってきますし,お客さんと一緒に「劇団『ドラマティカ』」でしか体験できない感覚があると思いますので,ぜひ劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。すてきな夢の世界をつくってお待ちしています。
宮崎さん:
今がっくんが言ってくれたように,演劇にはすごい非日常が詰まっているんですよね。「アリス」の世界観は非日常の塊なので,人知を超えた現象とかがたくさん起こるんじゃないかなという気がしています。それを僕たち人間が表現する演劇というものが,きっと「劇団『ドラマティカ』」の大きな大きなテーマだと思います。僕自身も期待で胸がいっぱいなので,ぜひ一緒に楽しみにしていただけたらなと。
とにかくもう,「夢を見てたのかな?」って思っていただけるくらいにふわふわした,輪郭がないみたいな時間を作っていけたら,「アリス」の世界観としてはベストなのかなと思っています。この作品を見て,明日も頑張ろうって思っていただけたらうれしいし,そのために役者一同いっぱい命を燃やして「カラ降るワンダフル!」というおいしいお菓子を作って待ってます!
4Gamer:
本日はありがとうございました!
――2023年9月5日収録
「劇団『ドラマティカ』」公式サイト
(C)ENSEMBLE SQUARE/劇団『ドラマティカ』製作委員会