
インタビュー
プレイヤーの期待にコスパが悪い開発で立ち向かう――PC版も登場した「Wizardry Variants Daphne」の開発者に聞く,これまでの道のりと目指す先
Wizardryらしい,ヒリつくような遊びを
4Gamer:
メインストーリー以外の部分はいかがでしょうか。先ほどバレンタインイベントの話もありましたが。
金山氏:
毎月,何かしらのイベントは続けていこうと思っています。プレイヤーも遊ぶものがなくなると苦痛でしょうし,メインストーリーの間を埋めるためにも必要なものですから。まだアイデアレベルですが,パーティに制限を設けたチャレンジや,プレイヤー全員で同じボスに挑む,いわゆるレイドのようなものもやりたいですね。
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4Gamer:
ちなみに2024年10月末の「怨嗟の灯火」や,1月に開催した「フォードレイグの秘宝」の反応はいかがでしたか。
金山氏:
「怨嗟の灯火」は問題点が多く,プレイヤーの皆さんにはご迷惑をおかけしてしまいました。「フォードレイグの秘宝」では改善し,好評をいただけたので,ハクスラができるイベントはまたやっていこうと考えています。
4Gamer:
イベント以外ではいかがでしょうか。システム面での追加・改修などは考えていますか。
金山氏:
ひと段落した先の話になりますが,往年のWizardryファンに向けに,もっと“リスク”をお届けするシステムを追加したいと思っています。
4Gamer:
冒頭で話に出た,「ちょっとずつ難しく」という件でしょうか。
金山氏:
ええ。往年のプレイヤーにとって,ダフネは簡単すぎると思うので。もちろん,新しいプレイヤーが困惑しないように,切り分けはしっかりできるようにするつもりです。ただ,難度を選択するようなものではなく,もう少し手の込んだものにはしたいですね。
4Gamer:
リスクが上がるということは,その分リターンもある?
金山氏:
お察しのとおりです。リスクだけでリターンがないんじゃ,マゾすぎますからね(笑)。ヒリつくような冒険を経て,成功すれば大きなリターンが得られる。失敗すれば自業自得。そんな塩梅がいいと思っています。
4Gamer:
なるほど……おっしゃることは分かりますが,調整が難しそうですね。リターンが大きすぎても不満が出そうですし。
金山氏:
そうかもしれません。でもこれはWizardryですから,間口を広くしようとしても限界があります。むしろ思いのほか幅広い層に遊んでいただけたのが,本当に意外なくらいで。もちろん,それ自体は非常に喜ばしいことですが,あまりそこに惑わされないようにしたいです。
4Gamer:
シングルプレイに注力するとのことですが,PvPやギルドといった要素についてはどうお考えですか。
金山氏:
実は,PvPができる闘技場のようなものを計画していたのですが,今はストップしています。やはり,プレイヤーは望んでいないような気がするので。ギルドのような仕組みも準備はありますが,あまりしがらみができるのも嫌なんじゃないかなと。
4Gamer:
煩わしさを感じてしまう部分は,確かにありますね。
金山氏:
そうですね。プレイヤーの皆さんの気持ちは重々承知しているつもりです。一人遊び万歳ですよ。
4Gamer:
分かりました。そのほか「ブレイド&バスタード」とのコラボが発表されていますが,この内容はお話しいただけますか。
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「Wizardry Variants Daphne」,ブレイド&バスタードとのコラボを3月後半に開催。最新刊購入で「血と灰に塗れたガラクタ」がもらえる

ドリコムは本日(2025年2月25日),ダンジョンRPG「Wizardry Variants Daphne」と「ブレイド&バスタード」のコラボイベントを3月後半に開催すると発表した。限定ダンジョンやブレイド&バスタードのキャラクターが登場するほか,書籍の購入でゲーム内アイテムが手に入るフェアも開催予定だ。
金山氏:
コラボキャラクターと専用ダンジョンが登場するのは確かです。初のコラボですので,比較的オーソドックスなものを考えていたのですが,開発スタッフが思った以上にやる気を出してくれて。今まさに調整中ですけど,良くも悪くもけっこう危ういですね。
4Gamer:
コラボキャラクターは,いわゆるガチャで入手する形でしょうか。
金山氏:
はい。ガチャで入手できます。やっぱり一緒に冒険したいでしょうから。ただ,ガチャを引かずともコラボミッションを進めることはできるので,そこは安心してもらって大丈夫です。双方のキャラクター同士の絡みもしっかりあるので,ぜひ楽しみにしていてほしいです。
4Gamer:
「ブレイド&バスタード」はWizardryの世界観を元にした作品なので,本作との親和性が高いですよね。一方で,今後のコラボについてはどう考えていますか。
金山氏:
やはりWizardryとの親和性が高く,世界観が馴染むものを優先したいと考えています。候補もいろいろと挙がってきていますが,とはいえ,やっぱりプレイヤーの皆さんが驚くものにしたいですね。
4Gamer:
外部IPとのコラボにも積極的という理解でいいでしょうか。
金山氏:
はい。ただ,プレイヤーが拒否反応を起こすような,世界観が大きく壊れるようなものは避けるつもりです。その中で,プレイヤーに最大限の驚きを与えたい。例えば事前に何も発表せず,突然コラボキャラが登場するとかも面白いかもしれない。
4Gamer:
プロモーション的には,イマイチな気もしますけど(苦笑)。
金山氏:
でも我々としては,外の人よりも,今ゲームを遊んでくれている人に楽しさを届けたい。コラボに賛否両論は付きものですが,あえて新しいやり方を試してみるのも,大切なんじゃないかと思っています。
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プレイヤーの応援が,開発チームの力に
4Gamer:
各論になってしまいますが,少し細かい部分を確認させてください。自動戦闘のアルゴリズムに不満があるのですが,改修の予定はあるでしょうか。
金山氏:
今ちょうど手を加えていているところで,しばらくしたら実装になる予定です。いきなり賢くなるわけではないですが,「後衛も攻撃で殴りに行く」というようなことはなくなるはずです。
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4Gamer:
目当ての「転職指南書」を入手するのに苦労するのですが,これは今後も変わらないのでしょうか。
金山氏:
基本として,すべての報酬は頑張ってプレイするか,もしくは貴石を使って時短してもらう,という方針です。が,それが実現できていない部分が,まだまだ散見されるのも事実でして。転職指南書も確かに十分な供給がない状態でしたので,そのため2月のイベントで一時的に供給を増やしました。
今後は自由度を広げるためにも,もう少し入手の機会を増やそうと思っていますが,貴重なアイテムであることは変わりません。全体のバランスを見つつ,とはいえ価値が落ちないように調整していきたいと考えています。
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4Gamer:
そのほか,プレイヤーからの要望としてはどんなものが多いのでしょうか。
金山氏:
装備や冒険者の最大数増加や,売却や抽出の円滑化といった,リソース管理に関連した要望が多いですね。このあたりも着手していますので,今後のアップデートをご期待ください。あとは転職先の充実や,継承でレベルを上げられるスキルの偏りなども手を入れていきたいです。
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4Gamer:
要望には,かなり目を通されているんでしょうか。
金山氏:
そうですね。ただ,ご意見やご要望はもちろん参考にしますが,基本的には開発チームの主観とデータを信じるようにしていますので,反映されるかはケースバイケースです。例えば,アイテムが溢れそうになっている人がどの程度いるかはデータで確認できますし,そうでなくとも「こうしたほうがいい」と感じたものには手を加えていきます。
4Gamer:
では,運営に意見を届けたいときは,どうするのが一番いいですか。
金山氏:
SNSの投稿はチェックしているので,公式アカウントにリプライなどをしてもらってもいいですし,今後実施されるアンケートにご協力いただくのもいいですね。ただ,何もしなくともデータは溜まっていきますので,気にせずじっくり遊んでもらうだけでも大丈夫です。
4Gamer:
確かにそうですね。
金山氏:
ご意見ご要望だけじゃなく,ファンアートや感想,応援のメッセージをいただくのも非常にありがたいです。キャラクターの表情とか「汚れ」のシステムとか,細かいこだわりに気付いてもらえると,ほんとうにやる気が湧いてきますので。例えばルルナーデが,くるっと回りながら登場するところとか。
4Gamer:
ああ,確かにルルナーデの登場シーンは印象的ですね。あのシーンのおかげで,ルルナーデのイメージが固まったように思います。
金山氏:
あそこはチーム全員がギリギリな状態のときに作っていたので,「これ本当に必要なんですか?」みたいな雰囲気になってました。でも,そこでこだわりを捨てるようでは50点ですから。常に期待を超えていかないと。
4Gamer:
なるほど。例えコスパが悪くとも,というお話ですね。
金山氏:
ええ。そのこだわりが会社の利益に結びつくのかと問われれば,説明は難しいですし,なくてもゲームが成り立たないわけじゃない。それでも会社やスタッフに「これが正解だ」と言い続けるには,皆さんが反応してくれるのが一番なんです。
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4Gamer:
分かりました。ゲーム本編からは少し外れますが,横の展開というのは何か考えていますか。メディアミックスやグッズ展開など。
金山氏:
Wizardryという冠に頼らない,ダフネとしてのIP化は積極的に考えているので,メディアミックスはいつかやってみたいですね。グッズ化の話はもう出ているので,どちらも皆さんが求めてくださるなら,可能性はあると思いますよ。
4Gamer:
では,それもSNSなどで声を上げれば後押しになる?
金山氏:
そうですね,今はかなりチャンスだと思うので。想定よりも反響がよかったので,社内でも注目されているタイミングです。売上的にもある程度目処が立っている今なら,中長期的な施策も通りやすいかと。
4Gamer:
それはプレイヤーとしても頼もしい限りですね。なら,トレンド入りするくらい盛り上がれば……。
金山氏:
そうなれば,私が社長に直談判して予算をもらってきますよ。「社長! SNSがこんなにすごいことになってます!」という感じで(笑)。
4Gamer:
期待しています(笑)。では最後に,今後の抱負とダフネを遊んでいるプレイヤーにメッセージをお願いできますか。
金山氏:
開発は茨の道でしたし,なんとか市場で生き延びようと頑張ってきました。今も皆さんが楽しんでくださっていることがチームの栄養になり,その期待を超えようというモチベーションにつながっています。おかげさまで,「お疲れさま!」という雰囲気には,まだ一度もなっていません(笑)。
苦労は絶えませんが,魅力的なダフネの世界を広げていくために,コスパの悪いことをどんどんやっていくつもりです。これからも,ぜひ応援をよろしくおねがいします。
4Gamer:
ありがとうございました。
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「Wizardry Variants Daphne」公式サイト
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- ライター:つきひ
- カメラマン:大須 晶

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