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舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折- ゲネプロレポート。高専時代の五条 悟と夏油 傑の運命の分岐点を描く前日譚
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舞台シリーズは,2022年に本編の主人公,虎杖悠仁が「両面宿儺」の器となり,仲間と共に呪霊との戦いに挑む舞台「呪術廻戦」が上演された。
2023年の舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-では,東京校と京都校の対決が思わぬ事態へと発展し,仲間との絆や成長を描く物語が展開された(関連記事)。
そして2024年の舞台「呪術廻戦 0」WITH LIVE BANDでは乙骨憂太を主人公に据え,幼なじみの里香の呪いと向き合いながら,夏油 傑との激闘が描かれた(関連記事)。
そして,4作目となる舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折-は,原作でも人気の高い高専時代の五条 悟と夏油 傑を描く前日譚だ。時系列的には「呪術廻戦 0」へ,物語としては「渋谷事変」へとつながる,原点ともいえる重要なエピソードである。
本稿では,関係者・メディア向けに実施されたゲネプロ公演の模様をお伝えするとともに,到着したコメントもあわせて紹介する。なお,記事内には舞台写真や物語・演出に関する記述を含むため,これから観劇予定の人はご注意いただきたい。
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「まぁ大丈夫でしょ 俺達最強だし」──
若き五条 悟と夏油 傑は,何を得て,何を失い,そして何を選ぶのか。
ときは遡り2006年──「呪術廻戦」本編の主人公,虎杖悠仁が呪術高専に入学する12年前。
術師の冥冥と歌姫は,行方不明者が多発する洋館の調査に派遣される。内部を調べるうち,呪霊の結界術により廊下から抜け出せなくなってしまう。結界を破ろうと二手に分かれたそのとき,五条 悟が無下限呪術で洋館を破壊する。
さらに,2日間も連絡が取れず,心配していた家入硝子と夏油 傑も駆けつける。調査は終わったかに思われたが,全員が「帳」が降りていないことに気付くのだった。
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「帳」を降ろしていなかったことで夜蛾正道から怒られたあと,五条と夏油は,不死の術式を持つ呪術界の要,天元との適合者「星漿体」天内理子の護衛と抹消を命じられる。
結界の強度を底上げしている天元は,500年に一度術式の初期化を行うため,適合する人間「星漿体」と同化し肉体の情報を書き換える必要があった。
しかし,天内の情報が漏れたことで,呪詛師集団「Q」と盤星教「時の器の会」から命を狙われることになる。
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五条と夏油は護衛のため天内を迎えに向かうが,そこでQの戦闘員コークンの襲撃を受ける。さらに五条の前には,Qの最高戦力であるバイエルが現れ,戦いを挑む。
しかし,コークンもバイエルもあっさりと撃破され,そのまま捕縛。Qは組織として瓦解し,天内は無事に保護される。
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一方,孔 時雨を介して盤星教から星漿体暗殺を請け負った伏黒甚爾は,五条の神経を削るために,天内に懸賞金をかけ,金目当ての呪詛師たちを次々とけしかけていた。
五条と夏油は,保護した天内の「同化するまで普通に過ごしたい」という願いを尊重し,彼女を通常どおり学校に通わせる。だが,天内の懸賞金を狙った呪詛師が現れ,学校を襲撃する。襲撃者はすべて捕縛されるが,別の敵によって黒井美里が襲われ,拉致されてしまう。
五条と夏油は,拉致犯が指定した沖縄へ向かい,黒井を難なく救出する。その後は観光を楽しむが,五条は黒井が拉致されて以来,一睡もせず,無下限呪術も解いていなかった。
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同化当日,五条は天内を連れて結界のある高専へ無事に戻り,無下限呪術を解く。
しかし,その隙を突き,高専内に潜んでいた甚爾が接近し,五条を刺す。致命傷には至らなかったため,五条は夏油に天内を託して薨星宮へ向かわせ,自らは無下限呪術を発動し,甚爾へ反撃するが,呪力を一切持たない天与呪縛の甚爾に翻弄され,死角を突かれて特級呪具「天逆鉾」で首を貫かれてしまう。
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一方,夏油は天内と共に天元の膝元である薨星宮本殿へと辿り着くが,甚爾に追いつかれてしまう。夏油は呪霊操術で反撃するが,致命傷を避けつつ斬られ,打ち負かされる。
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甚爾の前に,死の間際に呪力の核心を掴み,反転術式を会得して生還した五条が現れる。甚爾は,覚醒し現代最強の術師となった五条と激闘を繰り広げるも,敗北する。
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2007年──天内理子をめぐる死闘から1年後。
呪術高専3年生となった五条と夏油は特級呪術師になっていた。五条は「最強」として任務をすべて一人でこなす一方,夏油は天内の死をきっかけに信念が揺らぎ,次第に精神をすり減らしていく。
そんなある日,後輩の灰原 雄と話していた夏油の前に,特級術師である九十九由基が現れる。会話の中で,夏油は「非術師を皆殺しにすれば呪霊の生まれない世界が作れる」という思想を吐露してしまい,この考えは彼の中で次第に大きくなっていく。
やがて夏油は,ついに自分の本音を選択し,ある事件を起こし呪詛師へと堕ちる。
事件後,呪詛師として処刑対象となった夏油は「非術師を抹殺し,呪術師の世界を創る」と宣言し,呪術高専から離反する。
一方の五条は甚爾の息子である伏黒 恵のもとを訪れていた──。
「生き方は決めた。あとは自分にできることを精一杯やるさ」――
舞台ならではの演出で「光」と「影」の対極的なコントラストを描き出す
舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折-は,五条 悟という「光」と夏油 傑という「影」,2人の若き日々を軸にした物語が描かれる。原作やアニメさながらのスピード感と迫力を損なうことなく,若さゆえに揺れ動く心や成長,葛藤や悩み,進むべき方向性の違いや関係性の変化までを丁寧に表現し,作品世界をよりリアルに感じさせてくれる。
五条は,呪術界の御三家の一つ,五条家に,400年ぶりの「六眼」と「無下限呪術」を併せ持って生まれた,自由奔放で軽やかに振る舞う天才的な存在である。
対する夏油は,一般家庭に育ち,社会性を持ち,理想や信念を強く抱き,常に冷静であろうと努める努力家だ。ときに喧嘩をしつつも,強い友情と信頼で結ばれている2人だが,舞台照明や演出で対極を象徴的に描き出すことで,やがて訪れる2人の運命を予感させる。
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五条の「無下限呪術」や「覚醒」する瞬間の演出は圧巻で,ステージ・映像・照明・音響の一体感と身体表現の融合は,舞台ならではの臨場感あふれる魅力を生み出し,まるで劇場そのものが五条 悟の世界に巻き込まれているかのような没入感を味わえる。
夏油は,天内理子の護衛任務では優しさを,伏黒甚爾との戦いでは怒りを鮮やかに表現し,さらに迷いや葛藤に揺れる場面では,その心情を見事に表現していた。また,2人と甚爾との殺陣はスピード感と迫力に満ち,舞台ならではの生身のアクションの醍醐味を存分に楽しめる。
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今作は,歌唱パートがないことで,演技や表情,そして「間」による空気感がストレートに伝わり,まるで同じ高専にいるような一体感を覚える瞬間や,緊張感の高まる場面では臨場感が際立ち,「もしも,あのとき……」と思わせるシーンを共に体験できる。
小道具やセット,演出も見どころの一つだ。夏油の操る呪霊は迫力があったり,可愛らしかったりと多彩で,甚爾が使う「天逆鉾」はまさに特級呪具である。紗幕スクリーンやプロジェクションマッピングを駆使した演出は場面ごとに異なる空気を生み出し,光と影を巧みに際立たせていた。
また,BGMに加えて拍手を効果音やシーンに取り込むことによって,より印象的なシーンに仕上げ,物語に厚みを与えていた。
そして終盤,五条と夏油がそれぞれの道を選ぶ決定的な瞬間。表情や「間」の取り方から,かつて仲間であり親友だった2人が別離を選ぶシーンにはやるせなさがにじみ出て,激しいアクションとはまた違うかたちで心に響く。
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総じて,舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折-は,軽やかな日常と壮絶なバトルシーンの対比,そして五条と夏油の心情や関係性の変化を丁寧に描いた点が印象的である。友情や信念,葛藤や選択が,戦いの行方だけでなく2人の心の行方にも強く観客を引き込んでいく。
圧倒的な迫力と繊細な心情表現を兼ね備えた本作は,原作やアニメを知る人はもちろん,原作を知らない人や舞台を初めて観る人でも楽しめる作品となっている。ぜひこの機会に,舞台だからこそ表現できる「呪術廻戦」の世界へ足を踏み入れてほしい。
舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折-の東京公演は8月31日まで上演される。その後は,9月5日より大阪のSkyシアターMBSで上演予定だ。
また,9月7日の大阪公演(12:30/17:00の2回)は,「U-NEXT」で独占でライブ配信される。さらに,Blu-rayは2026年2月18日に発売予定で,購入・予約特典も用意されている。詳細は公式サイトをぜひチェックしてほしい。
舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折-公式サイト
公式コメント
■五条 悟役:三浦涼介
「呪術廻戦」-懐玉・玉折-いよいよ8月22日より開幕です。
この数年間、「呪術廻戦」の世界に触れてきました。数々の名場面、台詞、生徒たち…仲間。数え切れない程の思い出と共に過ごし、ようやく…やっと、辿り着いた僕たちの青い春。今、この日を前に僕自身ワクワクしています。
役として生き吐いた台詞。役としての自分自身に言葉が刺さり押し潰されそうな思いです。しかし、彼がここからの未来に懸けた思いは確かなものであり、そんな歴史的な瞬間をたくさんのお客様に目撃していただきたく思います。
精一杯に演じて参ります。どうぞご期待ください。
■夏油 傑役:藤田 玲
ついに舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折- が開幕いたします。
悟役のりょんくん(三浦涼介)と、二人の関係性をじっくりとつくって参りました。演出の顕作さんも含めたカンパニー全員で稽古期間中、試行錯誤をしながら丁寧に芝居を紡ぎました。
原作の素敵なお話、メッセージを大切にしつつ、舞台へと落とし込めたかと思っています。
最強な二人の物語を皆様にお届け出来るのがとても楽しみです。
■伏黒甚爾役:久保田悠来
あの2人の青春がいよいよ皆様の眼前に。タバコを燻らせる男、ギャンブルに興じる彼、、、あ、間違えました。その2人じゃないです。
五条と夏油の青の時代をこの夏存分に浴びてください。
舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折- 公演概要
■期間・劇場
【東京】 2025年8月22日(金)〜8月31日(日)天王洲 銀河劇場
【大阪】 2025年9月5日(金)〜9月7日(日)SkyシアターMBS
■出演
五条 悟:三浦涼介 夏油 傑:藤田 玲
家入硝子:石井美絵子
夜蛾正道:南 誉士広
灰原 雄:前川優希
七海建人:立花裕大
九十九由基/庵 歌姫:木内海美
天内理子:小野晴子
黒井美里/冥冥:立道梨緒奈
コークン:芹沢尚哉
バイエル:北村 海
孔 時雨 :チャンヘ
伏黒甚爾:久保田悠来
アンサンブル:橋本征弥 中川和貴 川上そら 成尾征吾
■スタッフ
原作:「呪術廻戦」芥見下々(集英社ジャンプコミックス刊)
脚本:喜安浩平
演出:小林顕作
主催:舞台「呪術廻戦」製作委員会
ライブ配信
■配信日時
(1)2025年9月7日(日)12:30公演 マルチアングル配信
(2)2025年9月7日(日)17:00大千秋楽公演 マルチアングル配信
※マルチアングル配信はスイッチング映像と全景映像をご自身で切り替えながら視聴いただける配信形態となります。
■販売期間
2025年8月18日(月)AM10:00〜2025年9月14日(日)20:59まで
■配信サイト
U-NEXT
■販売価格
各3,800円(税込)※ライブ配信+1週間の見逃し配信つき
https://t.unext.jp/r/2025jujutsukaisen_stage
Blu-ray
■発売日
2026年2月18日(水)
■Blu-ray
¥10,780 (税込)
■仕様
スリーブケース+デジパック/Disc2枚組
■収録内容
DISC1:本編,カーテンコール映像
DISC2:全景映像,バックステージ映像
発売・販売元
東宝株式会社
https://jujutsukaisen-stage.com/blu-ray
- 関連タイトル:
呪術廻戦 ファントムパレード
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