DMM GAMESとKMSのタッグによる新作「天啓パラドクス」がいよいよサービス開始。重厚な物語と歯ごたえあるタクティカルバトルが特徴の意欲作

　KMSが開発を担当するEXNOAの新作3DタクティクスRPG「天啓パラドクス」（BROWSER / iOS / Android）のブラウザ版サービスが，EXNOAのゲームプラットフォームであるDMM GAMESにて本日（2022年4月13日）スタートした。


　「フラワーナイトガール」「オトギフロンティア」「ミストトレインガールズ〜霧の世界の車窓から〜」といった数々のヒット作で知られるDMM GAMESとKMSのタッグによる作品とあって，早くから注目していたブラウザゲームのファンも少なくないだろう。そんな期待の新作をリリース前に試遊することができたので，ゲームの魅力とともに気になるシステムを紹介しよう。

「天啓パラドクス」公式サイト

裏設定や伏線が張り巡らされた，重厚感のある世界観と物語

　物語の舞台となるのは，光の神に創られし世界「エダフォス」。この地の人々は「天啓の儀式」と「大罪の戒律」という2つの導きに従って生きていた。しかし，時が経つにつれ，人間の鬱屈した本性が世界に影響を及ぼし，次第に災いをもたらすようになっていく。
　そんな状況のなかで行われた天啓の儀式で，神は世界を滅ぼす“災禍の導き手”として，とある少年（主人公）の名を挙げる。この理不尽な天啓によって，少年は“全世界の敵”となってしまう。
　数奇な運命を背負いながらたくましく育った少年は，記憶喪失の少女マカロンとの邂逅をきっかけに，自らを翻弄する天啓と向き合うことになる。

主人公の前に突然現れる謎の黒い鏡。この鏡の出現によって物語が大きく動き出す

　プレイヤーの分身となる主人公は“全世界の敵”という，衝撃の幕開けとなる天啓パラドクスの物語は，単純な勧善懲悪ではない，なかなかヘビィな展開を見せる。災禍の導き手として捕えようとする者や凶悪な魔物アニマといった不条理な困難が迫るなか，世界を覆う災禍を終わらせる旅に出る主人公。そう，主人公は災禍の導き手と天の啓示を受けた身ながらその災禍を止めるという，まさに“パラドクス”と言える矛盾をはらんだ運命のもとにあるのだ。

メインシナリオはフルボイスで，イベントシーンのイラストはLive2D風に滑らかに動く

　裏設定や伏線が張り巡らされた重厚感のある世界観にはなっているが，程よいバランスでコメディ要素があるため，重苦しさを感じないのは“さすがDMM GAMESとKMSのタッグ作品”といったところ。
一見健気なところがあるが，小柄な体に似合わず食への執着が異常なマカロン。災禍の導き手として主人公を追い詰める立場ながら，ちょっと恥ずかしい決めポーズとセリフで登場する天啓のエンフォーサーたち。こうした一癖も二癖もあるキャラクターたちのイベントシーンはコミカルかつパワフルだ。その勢いにぐいぐいと引き込まれることだろう。

街では旅芸人扱いを受けている天啓のエンフォーサーの3人。なかなかインパクトのあるキャラクターで人気が出そうな雰囲気

　シリアスな部分では“謎の散りばめ方”が絶妙だ。冒頭から2つの異なる世界を暗示するような場面があるが，それは詳しくは語られず，ストーリーが進むと少しずつ世界の在り方が見えてくる。力なき主人公に隠された特殊な能力も同様で，作中での説明は最小限に，読み手の想像力によって謎が解けていくストーリー進行は，深い物語を楽しみたい人や考察が好きな人も十分に楽しめるだろう。

見た目は同じだが，話す内容がまったく違う。置かれている状況も異なるようだが……

　世界を彩るビジュアルやグラフィックスも見事な出来だ。KMSらしいかわいい女の子たちはもちろん，背景イラストや演出も丁寧に制作されている。
　とくにバトル演出のこだわりはすさまじい。デフォルメされた3Dキャラクターも，それぞれの個性がとても生かされている。3DモデルのキャラクターはKMS制作のタイトルとしては初となるが，うまくゲームの雰囲気にあった仕上がりだ。


　S，A，Bの3段階のレアリティに分けられたキャラクターは，主にガチャで仲間にする。見た目のかわいさは言わずもがな，キャラの設定を深堀りするような「キャラシナリオ」も用意されているので，推しキャラを見つけて楽しんでほしい。

キャラクターのレベルを一定まで上げることで，キャラシナリオが開放される

　なお，キャラクターはリーニャやテーセツといった8つのグループで分けられており，レベルが上がるとそのキャラクターが所属するグループのレベル（マスターランク）が上がって能力値が底上げされる。
　つまり，キャラクターをコレクションしていくことが，所持キャラクター全体の能力向上につながっているということ。たくさん集めてパーティの能力を底上げし，ゲームを有利に進めよう。

主にガチャで仲間になるキャラクターたち。レア度にかかわらず，どのキャラクターもかわいくてイラストも綺麗。ゲーム始めてすぐに“推しキャラ”が見つかるはず

敵を分析して最適な一手を思考する”本格的戦略タクティカルバトル”

　ゲームの基本的な進め方は，時間経過で回復するスタミナを消費してクエストに挑み，そこで得たアイテムでキャラクターを育成して次のクエストに挑むという定番のもの。キャラクター育成向けの「経験値クエスト」や，ゲーム内マネーを効率良く集められる「ゴールドクエスト」なども用意されている。


　戦闘は“本格的戦略タクティカルバトル”と銘打たれており，最大5体まで出撃できる味方ユニットをマップに配置し，それぞれに指示を出していく。敵の動きを見ながら移動と攻撃を積み重ね，マップごとに設定されたクリア条件の達成を目指そう。

　バトル攻略のポイントになるのは，キャラ固有の「スキル」を使いこなすこと。攻撃，妨害，補助といったさまざまなタイプがあるので，味方ユニットをうまく連携させながら戦略的に戦っていこう。敵もスキルを使用するため，範囲攻撃スキルを持つ敵に対しては，なるべく仲間を一か所に集めないといったような位置取りも重要となる。

スキルは「TP」を消費して発動する。連発することはできないので，使いどころは慎重に

大技では迫力あるカットイン演出が入る

　本作ならではの要素が，バトルを補佐するモンスターの召喚だ。出撃キャラにはそれぞれBuddy（バディ）として1体のモンスターを設定することが可能で，バトル中に少しずつ溜まっていく「召喚ゲージ」を消費することでマップに呼び出せる。
　オートで戦ってくれる召喚モンスターは，戦闘不能になってもミッションの評価には影響しないため，攻撃で活躍してもらうことはもちろん，壁役としてキャラクターを守る役割を任せるのも一つの手だ。


　バトルはオートで行うこともできる。スキル使用の有無などを設定する「行動方針」があるので，これをうまく用いれば，効率よくゲームを進めることができるはず。オートバトルに適したパーティを組むのも面白いだろう。
　ただし，かすり傷程度で回復魔法を唱えるといった，オート任せならでは（？）の非効率な行動を完全になくすことは難しい。要所のバトルは手動で，アイテム集めなどで周回するときはオートバトルといったように使い分けるのが理想だ。


　バトルの感想は，“全体的に難度が高く，とくに章の山場に登場するボスクラスの敵はかなり手強い”。オートバトルだけでは進められないのはもちろん，キャラクターを1体育て上げたくらいでは早々に大きな壁にぶつかるはず。しっかりプランをもってパーティ全体を強化し，敵の情報をしっかり確認して弱点を突くように戦って難関を突破しよう。

バトルに挑む前に敵の情報をしっかり確認しておこう

お気に入りの女の子をトコトン育てられる豊富なやり込み要素

　キャラクターは，バトルへの参加や対応する育成アイテムの使用で強化できる。特殊なクエストを周回して素材を集めて「ランクアップ」を行い，さらなる能力の底上げとレベル上限の開放を目指そう。「覚醒」や「スキル強化」といった育成要素も用意されていて，やり込み次第でお気に入りのキャラクターはどんどん強くなっていく。

ランクアップしてどんどんレベルを上げていくのがキャラ育成の第一歩

武具類の調達と強化も育成要素の1つ。「スキル教典」を装備すれば，キャラクターに新たなスキルを取得させることが可能だ

　召喚モンスターは，特定のマップをクリアすることで仲間にでき，Buddyに登録するとマップクリア時に経験値が手に入る。レベルはもちろん「覚醒」「スキル強化」「特性継承」といった育成要素があり，さらに，専用の素材を「配合」して新しいモンスターを獲得することも可能だ。


　ストーリー序盤に登場するマカロンの友だちで，“城のような何か”ことミルフィーユに関わるコンテンツ「ミルの移動城」では，いわゆる放置でアイテムが集まる「アイテムサルベージ」や，バトルに参加していないキャラクターとモンスターを育成できる「トレーニングルーム」が用意されている。
　ミルの移動城は，「ミルパーツ」という特殊なアイテムを集めることで各種機能をアップグレードできる。パーティメンバーが増えたときのことを考えて，アップグレードを進めておくのもいいだろう。


　重厚な世界観と謎多きストーリー，細部まで描き込まれたかわいいキャラクター，そして，しっかりと育成したキャラクターで挑む，歯応えのあるタクティカルなバトルが特徴の「天啓パラドクス」。自分が育て上げた推しキャラが激戦のなかで活躍するのはなかなか爽快で，手軽さもありながら思考する楽しさを再認識させてくれる戦闘システムはさすがKMSといった仕上がりだ。
　DMM GAMES×KMSと聞いてピンときたというブラウザゲームファンはもちろん，初めてこのタッグを知ったという人も，まもなくサービス開始を迎える本作の世界に飛び込んでみてほしい。

「天啓パラドクス」公式サイト