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Robloxがイベント「Roblox Creator Series in Tokyo 2025」を日本で初開催。メディア向けファイアサイドチャットをレポート
「Roblox Creator Series in Tokyo 2025」は,日本での開催は初となる「Roblox」のクリエイターやゲーム開発者,インフルエンサーなどに向けたイベントだ。
イベントはRoblox Japan Developer Relations 本部長,辻潤一郎氏による基調講演に始まり,日本人クリエイター,IPホルダーによるパネルディスカッション,YouTuberのHIKAKINさんを招いてのインフルエンサーセッション,RobloxトップクリエイターへのライブQ&A,日本のRobloxクリエイターを対象にした表彰式などが行われた。
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本稿ではRoblox Creator Series in Tokyo 2025とは別会場で行われた,メディア向けファイアサイドチャットの模様をお届けする。
メディア向けファイアサイドチャットには,Roblox チーフマーケティングオフィサーのジェレット・ウェスト氏,Roblox チーフデザインオフィサーの加藤匡嗣氏,Roblox Japan代表のアリ・スタイマン氏が登壇。(1)Robloxの独自性や強みについて,(2)日本市場や日本のクリエイター,IPに対する印象,期待,(3)Robloxが重視する「教育」について,(4)現地での質問,について議論が交わされた。
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●Robloxの独自性や強みについて
Robloxの独自性については,まずRobloxのマーケティング責任者であるウェスト氏が回答。「Robloxはローカルなコミュニケーションから始まりながら,グローバルな世界につながり広がっていく感覚」が強みになっていて,それが「ユーザー数1億5000万人,700万点以上のコンテンツ」がRoblox内に存在していると分析した。
加えて近年は一度でもRobloxにアクセスしたユーザーの「エンゲージメント(継続性)の高さ」が高いことも明かし,「サービス開始時よりも年齢層が上がってきていて,いまのRobloxのユーザーは13歳以上が70%を占めている」と述べ,「Robloxには能動的に学び続けられる環境が整っている」ことが,Robloxの独自性と強みになっていると語った。
日本出身の加藤氏からは,Robloxは「ゲームを作る側と遊ぶ人が出会える場で,我々が直接ゲームを作っているわけではないのが面白いところ。Robloxを遊んでいた子供が成長してRobloxスタジオを利用して入って作り手に回っていく循環が見られ,さらにゲームを作ることがビジネス,収益にしっかりつなげられる」と語る。
「Robloxでゲームを制作している上位1000のクリエイターの平均的な収益は,約110万ドル(約1億7000万円)。少人数で作れるのでひとり当たりに還元される利益も大きく,しかもここ数年はUGCでマネタイズできるクリエイターも増えてきた」と,近年のRoblox内で起こっている,好循環についてアピールした。
●日本市場や日本のクリエイター,IPに対する印象,期待
この話題は,2022年からRoblox Japoanの代表を務めるスタイマン氏の回答からスタート。Roblox社は立ち上げ当初から日本市場を「特別な場所」と認識していたようで,「私がRoblox社に入った10年前の時点で,とにかく日本市場を開拓したいとは常々言われ続けていた」と明かした。
「Roblox社自体は必ずしも直接ゲームを作る会社ではないが,日本はゲームメーカーにとっては特別な市場。参入当初は日本のクリエイター,IPにRobloxを使ってもらうことでグローバルに展開していってほしいという思いが強かった。今はそこにインフルエンサーや,UGCの方面からでファッション関係のクリエイターも入ってきて市場が大きく成長した」と満足感をうかがわせている。
「企業として成功するために,日本の市場でビジネスを行うなら,しっかり日本語でサービスを提供したい。ローカライズに力を入れた」のが,日本のRoblox市場の成長率の高さ(前年比120%アップ)につながっていると分析していた。
続いて加藤氏からは,「日本のクリエイターはすごい才能がある。ジャンルの幅広さ,革新性,クオリティの高さなどは世界から評価されている」と語り,「これまで(Roblox以前)は言語の違いが障壁だったが,Robloxにはリアルタイム翻訳機能があり,日本語で開発したものがそのまま世界に出せる。その結果,Roblox内の日本のゲームが挙げている収益の5割以上は海外」と述べた。
また,「たとえば日本のクリエイターが制作した『ペタペタ様』はアクセスしたユーザーの8割が海外で,海外からの評価が高い」と具体的な例を出し,「Robloxにはゲーム制作の経験が少なくてもすぐにアクセスできる情報があり,言語の壁を乗り越えられるツールに加えて,人,チームの中にクリエイターをサポートするメンターもいる」とRobloxの制作環境を説明した。
さらに「やりたいことが本当のキャリアになる。創作する楽しさが直接稼ぎにつながるというのは,そうそう他の会社にはないのでは」とRobloxの優位性をアピールしている。
収益にまつわるエピソードは,ウェスト氏の口からも飛び出した。「Robloxほど収益につなげやすく,クリエイター同士がコラボレーションできるプラットフォームはないと思う」と私見を述べたのち,「2025年はクリエイター全体で10億ドル(約1550億円)の収益をあげてもらいたいと発表したのだが,9か月目で実現できた。また,7月には5つのゲームで同時接続100万人も達成された。とりあえずゲームを作ってみて,プラットフォームで育てていきながら収益化まで持っていけるのはRobloxならでは」と,データを交えたコメントで自説を補強していた。
また,スタイマン氏は,日本のIPホルダーが得られるメリットも強調する。「日本のIPには老若男女,すべてのジェンダーに訴求できる潜在能力があり,Roblox内でもワンピースを筆頭にしたアニメのIP,ハローキティ,セガのIPは10年前から人気。日本の企業は新しいものに手をこまねくこともあるが,我々を通じて,自社のIPを世界に向けてアピールしてほしい」と呼びかけた。
●Robloxが重視する「教育」について
Roblox内ではゲームの制作(プログラミングなど)が教育として成立しているという点にも話題に上った。スタイマン氏は「Robloxは教育に焦点を当てているというより,Roblox自体が教育そのものであるという認識。ゲーム内のほとんどのツールがプログラミングやコーディングなどの教育につながっている」と指摘する。
また,「若いユーザーがクリエイションという行為に触れられることが重要」とし,作ったコンテンツを収益化できることがウリとなっているRobloxだが,「純粋に物を作る喜びでRobloxに触れているユーザーも多い。親と子がゲームを通じて絆を深めているというフィードバックも多く受けている」と明かした。
加藤氏も「私は子どもが2人いますが,コロナ禍の時は,特にいろいろなゲームを一緒に遊んでいて,数年たったいま,次男はUGCにハマってコードを学んで作っている」と自身の家族を例に出した。
また,「ゲームとともに育った親世代には,もっと子どもたちと一緒に遊んぶことで,何をやっているかを分かってほしい」と述べ,ウェスト氏も「親が子どもと関わることが一番のセーフガードになる」と続けた。
ただしウェスト氏いわく,「Roblox」は,セーフガードやチャットのブロック機能,モデレーションには多くのリソースを割いており,未成年のユーザーが安全に遊べる環境作りに注力しているという。今後も,未成年の本人確認や年齢確認,本人にあったコンテンツの提示,AIによるモデレーションを取り入れ安全性の向上を図っていくとのこと。
●現地での質問
ファイアサイドチャットの終盤には,現地参加したメディアからの質問に答える時間も用意された,ここでは「Roblox日本市場の成長の秘訣」や「Robloxと一般のゲームと比べて,流行るゲームに違いはあるのか」「日本と世界でRobloxのユーザー層に違い」「今後,日本でRobloxのユーザーを増やすためにどういった施策を行うのか」といった質問に,登壇者が回答した。
Roblox日本市場の成長の秘訣については,加藤氏から「シンプルだがコンテンツが充実してきたからだと思う。特に日本のプレイヤーにとって親しみのあるIPを使ったゲームが増えてきた影響は大きい」と述べ,「風雲! たけし城」「じゃがりこ かくれんぼ! キリンたちを探せ!」「BEYBLADE X-BATTLES [Beta]」などで利用者が増加したと,具体的なタイトルもいくつか挙げられた。
日本と世界のRobloxユーザー,Robloxと他のゲームプラットフォームの違いに関しては,今のところ加藤氏ら登壇者たちとしては「特別な違いはない」という認識だという。ただし将来的には「日本はゲームに親しんでいる層が幅広く,モバイルからだけでなく,コンシューマ機からRobloxにアクセスしている人が多い。世界市場よりも多くのユーザー層を獲得できるのでは」と期待をにじませていた。
最後のユーザー数を増やす施策についてはスタイマン氏が回答。「Roblox」の日本市場での伸びはマーケティング戦略がハマったというよりはゲーム制作などクリエイティビティを刺激するものを遊べる/学べるという「子供と親の目的が合致している」点が大きいと指摘する。そのため「ユーザー獲得のためだけのマーケティングは行う予定はない」と締めくくった。
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- ライター:丸谷健太
(C)2022 Roblox Corporation.
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