［プレイレポ］名作ストラテジー「AoE」のスマホ版「エイジ・オブ・エンパイア モバイル」はシリーズのエッセンスを押さえて，挑戦や遊び心もしっかり

　Level Infiniteは2024年10月17日，基本プレイ無料のスマートフォン用アプリ「エイジ・オブ・エンパイア モバイル」（iOS / Android）（以下，AoEモバイル）をリリースした。
　その名のとおり，AoEモバイルは名作RTS「エイジ・オブ・エンパイア」シリーズに連なる作品だ。同シリーズの楽しさは何といっても，史実の多種多様な文明の中から自分の好きなものを選び，リアルタイムで内政・軍事のバランスを考えながら自国を発展させ，大軍を編成して対戦相手を撃破することだろう。


　最新作となるAoEモバイルでも，歴史ストラテジーゲームのファンに長年愛されてきたシリーズの魅力は健在だ。
　その一方，スマートフォンに特化して開発されているため，既存のシリーズを大胆に「翻案」した完全オリジナル版になっている。そんなAoEモバイルについて，筆者がプレイしたテスト版をもとに紹介していこう。

「エイジ・オブ・エンパイア モバイル」公式サイト

「エイジ・オブ・エンパイア モバイル」ダウンロードページ

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「エイジ・オブ・エンパイアらしさ」がたっぷり詰まった都市開発システム

　「町の中心」の周囲にさまざまな内政・軍事施設を建てて，原始的な集落を大都市へと発展させていく。こうした「いかにもエイジ・オブ・エンパイア」という要素は，AoEモバイルにもしっかりと継承されている。
　とくに伐採所などの資源収集施設や，剣士育成所などの部隊訓練施設は，シリーズではおなじみのものばかり。古参プレイヤーならば，思わずニヤリとさせられるだろう。ちなみに，施設を建てる場所はAIが自動的に提案してくれるが，プレイヤー自身が場所を選ぶこともできる。こうした自由度の高さも嬉しい点だ。


　その反面，建物の建造や資源の採集，兵士の徴兵などのアクションに要する時間は，従来のオンライン戦略ゲームと同様に数十分から数時間を要することもある。本家の「エイジ・オブ・エンパイア」シリーズにはなかった点なので，頭に入れておいてほしい。
　とくに資源集めは要注意だ。かく言う筆者も「木材は大量に余っているのに，ほかの資源が足りないために施設が建てられず，結果として都市開発全体が大きく停滞する」という（このシリーズにはありがちな）シチュエーションにしばしば陥ってしまった。
　とはいえ，こうした資源不足は採集施設に「町の人」を配置したり，施設のレベルをアップしたりすることで解決できる。施設のレベルアップはAoEモバイルならではの要素だが，資源に余裕があればどんどん強化していこう。

史実の文明や英雄を強化して，自国の戦力を高めよう

　自分の都市を歴史上に存在した文明にちなんだ勢力へと成長させていけることも，AoEモバイルならでは楽しさだ。
　本作では時代を進化させることで，都市のスタイルを選べるようになる。スタイルが違えば，都市のビジュアルだけでなく，固有ボーナスも大きく変わってくる。つまり，どのスタイルを選ぶかは，プレイヤーが自分の都市をどう発展させ，どのような個性を持つ勢力へと成長させていくかという戦略にも影響を与えることになるのだ。
　なお，テスト版では中国，ビザンティン，フランク，ローマという4種類の文明に基づく都市スタイルを選択できた。これはリリース後に段階的に追加されていくとのことだ。


　都市のスタイルと並ぶ重要な歴史的要素が，英雄の存在だ。英雄はプレイヤーが戦闘に投入する部隊の指揮官となり，ジャンヌ・ダルクや織田信長など，さまざまな文明の有名人物を仲間にできる。
　これらの英雄はレベルアップやスキルアップを通じて強化が可能だ。1人の英雄を完全に育てきるだけでもかなりの時間を要するため，やり込みたいプレイヤーには嬉しいポイントだろう。


　都市を発展させ，英雄を強化したら，いよいよ戦闘だ。AoEモバイルでは，さまざまなスタイルの戦闘モードが用意されており，RTSの得意・不得意や，対人戦の好き・嫌いに関係なく，幅広いプレイヤーが楽しめる点に好感が持てる。
　例えば，「海島の戦略」は本編のストーリーを進めていく過程で攻略していく戦闘モードだ。戦場は比較的狭いので，RTSがそこまで得意ではない人でも気軽に楽しめるだろう。もちろん，「槍兵は騎兵に強く，騎兵は弓兵に強い」といった各兵科の特性は重要だ。


　また，対人戦の「至高の闘技場」や各層を攻略していく「帝国軍演習」は，各部隊の運用においてRTS要素がより強くなってくる。
　そして，「探索」は戦術より戦略に重きを置いた戦闘モードである。これは各プレイヤーの拠点が配置された広大なマップを舞台に，資源稼ぎ，NPC部隊との戦闘，そしてほかのプレイヤーの拠点に対する攻城戦が可能だ。


　また，今回のテスト版では十分に体験できなかったが，本作を遊びつくすうえでは「同盟」も非常に重要な要素だと思う。
　同盟に入っておけば，ほかのメンバーに建造や徴兵の時間短縮を手伝ってもらえたり，同盟固有の技術を研究できたりするなど，多くのメリットがある。戦闘においても共同作戦が可能になるので，プレイヤー同士の交流をぜひ楽しんでほしい。

シリーズのエッセンスを押さえつつ，挑戦心や遊び心を入れた意欲作

　ここまで紹介してきたとおり，AoEモバイルは，RTSとしての「エイジ・オブ・エンパイア」を単にスマートフォン移植しただけとは言えないタイトルになっている。シリーズの醍醐味である都市開発やリアルタイム戦闘の面白さだけでなく，英雄を育てていくというキャラゲーの要素や，周辺マップの探索といった冒険要素も盛り込み，ストラテジーゲームとしてはかなり野心的かつ遊び心にあふれている。

　その好例が，テスト期間にプレイできた戦闘イベント「戦地生存者」だ。これは，ローグライトゲーム「Vampire Survivors」のフォロワーと呼ぶべきミニゲームだった。RTSとは一見関係のない，こうした別ジャンルのゲームも取り込んでしまうところにも，AoEモバイル開発チームの意気込みを感じられる。
　ストラテジーゲームのファンはもちろん言わずもがな，歴史ゲームには興味はあるけれど何から遊んでいいか分からない……という人もぜひダウンロードしてみてほしい。

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