［GDC 2025］牧畜や釣り，それに絡む食料生産もさらに豊かに。中世ヨーロッパ風サバイバルシム「Bellwright」の最新版をチェックしてきた

　現在アーリーアクセス中のPC向けサバイバルシム「Bellwright」を開発するDonkey Crewに，近日中のリリースがアナウンスされている「スプリング・アップデート」のデモを，GDC 2025会場のSnail Gamesブースで先んじて見させてもらった。


　「Bellwright」は，中世ヨーロッパ風の王国“カアルヴェニア”で，王子殺しの濡れ衣を着せられて追放された主人公が，のちの新王朝の圧政と戦乱により荒廃した故郷に帰ってくるところから物語が始まる。

　プレイヤーである主人公は，己の素性を明かさぬまま村の近くに居住地を作り，徐々に加わる仲間にさまざまなタスクを与えたり，ときおり押し寄せる盗賊たちを撃退したりしながら村を大きくしていき，やがて自分の王国を取り戻す戦いに乗り出すことになる。

　ものとしては「Medieval Dynasty」や「Manor Lords」，「Mount ＆ Blade」などの系列にあたる，込み入ったシミュレーション要素や軍隊のアクションバトルに傾倒した作品だ。


　2024年4月にアーリーアクセス版が公開された際は，ライバルの多いジャンルなうえに，配信初期の粗削りな状態だったこともあり，レビューは月並みにとどまった。しかし今では，Steamで1万を超えるレビューを受けるなかで，「非常に好評」を獲得するまでに至っている。

　本作は他作品よりも，町作りなどのシム要素がスローペースと言われているが，高いシミュレーション性の維持を妥協することなく，コミュニティとの会話も密にしながら開発が進められてきた。

　会場ではコミュニティマネージャーのウィル・モリソン（Will Morrison）氏が，最新アップデートのライブデモを見せてくれた。

■畜業

　スプリング・アップデートで新たにフィーチャーされるのが「畜業」だ。ゲームスタート地点のHaendeanやPadstowといった近隣の村から，ウシやニワトリを買い付けることで，自分の居住地で育てられる。

　ウシとニワトリ以外がいるのかどうかは不明だが，村内に牛舎や鶏舎を作ると家畜を放し飼いにできる。ひよこが路上で平和そうに歩いている姿も目にしたので，複数飼いで増やすこともできるようだ。

■屠殺

　屠殺はプレイヤーが任意で行うか，村人に役割を任命して行える。肉を解体するための場所も，初期状態では小さなテーブル台にフックが付けられている程度だが，ここではニワトリだけでなく，外で狩ってきたシカやウサギなども解体できる。

　この作業を村人に任せると，実際に狩猟に向かって，仕留めたシカを両肩に背負って持ち帰ってきてくれる。モリソン氏は「すべてのパーツが役に立つ」と語っていたので，やがては内臓を肥料にしたり，骨を加工したりと，さまざまな活用法が生まれるのかもしれない。

■釣り

　近場に湖や川，海があれば，定期的に釣りを行うことで，安定したタンパク源を確保できるようになった。現状では魚は用意されていないのか，デモでも釣り竿を持って湖で糸を垂らす姿しか見られなかったが，本アップデートでは淡水魚だけでなく，海水魚も獲物として用意されるそうで，それぞれの個体の大きさや，採取できる肉量も調整しているという。

　モリソン氏によると，釣りはコミュニティからの要望で最も高かったゲームシステムであるとのこと。そのぶん，かなり入念に作り込まれることを期待してもよさそうだ。

■料理

　ウシからは牛乳を，ニワトリからは肉に加えて卵を得られるようになることで，食事のバラエティも一気に増える。

　穀物に牛乳と卵を加えた「ミルク粥」は，ヘルス値＋45，スタミナ値＋8の回復力がある。牛乳からチーズを加工し，チーズ，たまねぎ，ガーリックに卵を使って「チーズオムレツ」を調理すれば，ヘルス値＋65，スタミナ値＋93という絶大な効果だ。
　魚肉にガーリックと水を加えるだけの「魚スープ」でさえ，ヘルス値＋35，スタミナ値＋35が得られる。やはり温かい料理は体にもいい。

■図書館

　本アップデートでは新たに「図書館」も登場する。図書館では集めた書物を展示することで，コンパニオンたちの知識力を高められる。また，これに合わせてNPCたちの“座るアニメーション”も改良し，ベンチでよりリアルに休憩を取ったり，本を手に取って読みふけったりする仕草が見られるようになるという。

　最新デモではいくつかの建築物に「ティア3」（3段階目の施設アップグレード）が導入されており，居住地がより豪華に成長していく未来を期待させられた。ほかにも改良点・修正点は多く，「パッチノートは5ページ分」にもなるとモリソン氏は話していた。

　今後のアップデートについては，居住地を警備するために欠かせない「壁」の制作にも着手すると言っていたが，残念ながらそれが次のアップデートになるのか，それ以降になるのかははぐらかされてしまった。


　すでにアーリーアクセスから1年が経過している「Bellwright」だが，GDC合わせで，年内にXbox Series X|S版をリリースすると発表されている。完成までのロードマップもかなり具体化している様子だ。

　なお，自動翻訳すぎて読みづらさを感じる日本語ローカライズについての話題を振ると，モリソン氏は「まだストーリーが未完全で，変更点や追加も多いので，今はタッチしたくないというのが実情です，一部の言語については現状“仮”のものだとしておいてください」と述べていた。

Donkey Crewのコミュニティマネージャーのウィル・モリソン氏（左）と，Snail Gamesでコミュニティマネージャーを務めるショーン・イー（Sean Yi）氏

「Bellwright」公式サイト

「GDC 2025」公式サイト

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