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知られざる歴史を忘れないために。リトアニアの禁書政策を描いた「Book Smugglers」は日本語版もリリースへ[gamescom]
16世紀に台頭したポーランド・リトアニア連邦共和国が,18世紀末に近隣諸国に分割され(いわゆるポーランド分割),リトアニアがロシア帝国に占領されていた時代。「Book Smugglers」は,その当時の模様を舞台とする史実テーマのタイトルだ。
やがて19世紀中期になると,同国ではリトアニア語の使用が禁止され,リトアニア語で書かれた書物も禁書になった。
民族的な意識やつながりが薄れていく中,リトアニアが再びの独立を勝ち取る1920年まで,50年以上にわたってその灯を絶やすまいと活動を続けたのが,危険を冒して残された書物を不法に運んだ地下組織「クニグニシース」であり,英語に翻訳すると「Book Smugglers(ブック・スマグラー)」と言われる人々なのである。
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ゲーム内では禁書密輸のミッションを受け,手持ちの資金で道中のサバイバルに必要なアイテムや食料を購入し,「Slay the Spire」のように途中で分岐する経路をプレイヤーが自由に選んでいく。
そしてチェックポイントで起こるイベントを経験し,次の休憩ポイントとなる目的地にまでたどり着けるかを思案する,という流れだ。
道中で発生するイベントはランダムではないものの,旅に出る前は,具体的になにが起こるのかはよく分からない。
基本的に,イベントが発生すると「3つの選択肢」が与えられるが,ロープ,防寒具,農耕具,偽造文書などの持ち合わせのアイテムがないときは,1つの選択肢しか選べないようになっている。そして選択に応じて,食料や本の数,さらにはヘルス値が減っていく。
例えば,ロシア憲兵を言いくるめるにはウォッカで買収するのが得策であるが,事前にボトルを用意していなければ,走って逃げるか,あるいは別の手段を選ぶ必要が出てくる。
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数回程度のプレイでは,途中でどんなイベントが待ち受けているかは把握しづらい。その反面,暗中模索の試行錯誤を続ける,ハラハラと緊張感のあるプレイを楽しめた。
また主人公の「クリスティヨナス」は吟遊詩人,官僚のアシスタント,そして農夫の3つから職業を選べる。職業次第で体力の減少や選択肢の成功確率が少し変化するのも大事な要素の1つだ。1回のランを成功させるのに4〜5時間程度がかかるが,何度もプレイしていればさらに長く,以前は見られなかった展開なども体験できるようになりそうだ。
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クリスティヨナスは架空の人物であるが,ゲーム序盤で出会う司祭や,首都に銅像も立っているという“クニグニシースの伝説”などは,実在の歴史人物として登場する。つまり,本作は史実ではないものの,史実的な出来事をとおして,多くの人が知らない歴史を体験してもらおう,といった教育ゲーム的な側面も持っていると言える。
リトアニアのように,ゲーム開発で新興国にあたる諸国家では,例えばアメリカや日本のような地域の歴史に触れるゲームは広がっていても,自国の歴史や文化について触れる機会は少ない。
そのことをジャゼヴィシウス氏に聞いてみたところ,「国内のゲーマーに,自分の国のゲームであることを意識してプレイしてほしいというのが1つ。それから海外の人にも,リトアニアという国のことについて知ってほしいという思いもあります」と答えてくれた。
そういうこともあってか,gamescom 2025に合わせて本作のSteamストアページが改訂され,ページ内容が日本語化されるとともに,ゲームのインタフェイスとテキストも日本語化されることが決まった。発売予定は「2025年第4四半期まで」とされ,現在は体験デモ(こちらは日本語へは未翻訳)も公開されている。
多くの人があまり知らないであろう歴史。ゲームとしても近年流行のローグライクな遊びを取り入れ,楽しさを備えている。この機会にリトアニアの近代史に触れてみるのもいいのではないだろうか。
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「Book Smugglers」公式サイト
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