
ニュース
「第30回AMDアワード」授賞式をレポート。功労賞を受賞した桜井政博氏ら著名人が登壇
![]() |
「AMDアワード」は日本のコンテンツ産業発展のため,その中核であるデジタルコンテンツの制作者側の立場から,作品の質的向上,ならびに人材育成の促進を目的として設立され,今回の授賞式で第30回の節目を迎えた。
2024年1月から12月までを選考した功労賞にはソラの代表 桜井政博氏が,また優秀賞にはHD-2D版「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch)「Pokémon Trading Card Game Pocket」(iOS / Android)の2作品に加えて,任天堂によるゲーム博物館の「ニンテンドーミュージアム」が選ばれた。本稿では,これらのゲームに関連した表彰の模様をお届けする。
デジタルメディア協会 公式サイト
今年度は「ニンテンドーミュージアム」という異色の選出も
授賞式の冒頭,主催者を代表する挨拶でAMD理事長の襟川恵子氏は,大きな節目となった第30回の開催にあたって「AMDアワードの初回は,メディアがCD-ROMでネットもアナログ回線の時代でした」と初年度の環境を振り返った。
![]() |
当時からはデジタルメディアを取り巻く環境が劇的に変化した現代においても,制作者の熱意は変わらず受け継がれていることも語られた。今回,各賞に選出されたデジタルコンテンツは以下のとおり。
●デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'24/第30回AMDアワード 受賞タイトル一覧(敬称略)
<大賞/総務大臣賞>
・映画「ゴジラ-1.0」
<AMD理事長賞>
・Netflixシリーズ「地面師たち」
<優秀賞>
・HD-2D版「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」(スクウェア・エニックス)
・「駅ピアノ 空港ピアノ 街角ピアノ」(NHK NHKグローバルメディアサービス デジタルSKIPステーション)
・「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」(「ハイキュー!!」製作委員会)
・「スマートフォンAQUOS」CM「ああ,松田優作に,使って欲しい。」(シャープ株式会社)
・「ニンテンドーミュージアム」(任天堂)
・「Bling-Bang-Bang-Born」(Creepy Nuts)
・「Pokémon Trading Card Game Pocket」(ポケモン / クリーチャーズ / ディー・エヌ・エー)
・ラストマイル(映画「ラストマイル」製作委員会)
<功労賞>
・桜井 政博(ソラ 代表)
<江並直美賞(新人賞)>
・押山 清高(アニメーション監督 アニメーター / ドリアン)
<リージョナル賞>
・「みんなの防災アプリ」(愛媛県西予市 国立大学法人愛媛大学 / イツモスマイル)
<30周年記念特別賞>
・村井 純(慶應義塾大学 教授)
![]() |
功労賞の表彰では,桜井氏が登壇し,自身の制作したゲームを短く紹介しつつ,ゲーム作りのノウハウに関する動画を公開していたYouTubeチャンネルでの取り組みについて語った。
![]() |
桜井氏は「今までのゲームディレクターのノウハウを,無料で世界中にバラまくという非常に非合理的なことをしたのですが,それをやったのはなぜか」と前置きしたうえで「いろいろな仕事に,とても負けていると思います。たとえばお医者さんには絶対に敵わないですね。そのほかにもインフラとか生産とか,いろいろなお仕事がありますけれども,結局のところ平和や健康が成り立たないとデジタルメディアも楽しめない」と内心を明かした。
つぎに「我々がやっているデジタルメディアというものは,いろいろな人にバフをかけることができる。まとめてバフをかけることができるという非常にやりがいのあるものなので,ぜひ皆さんに頑張ってほしい」と語り,直近の取り組みにまつわる意図を明かした。
優秀賞のHD-2D版「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」(以下,「ドラクエIII」)の表彰では,シリーズの生みの親である堀井雄二氏とHD-2D版「ドラクエIII」でプロデューサーを務める早坂将昭氏が登壇した。
![]() |
![]() |
まず,堀井氏がオリジナル版について「37年前の作品なんですね。それを現代に合うようにリメイクしてくれた早坂君を始めとした開発スタッフの皆さん,この存在を世に知らしめてくれた広報の皆さん,そして何よりもドラゴンクエストをずっと好きでいてくれたファンの皆さんのおかげで,37年たった今でも,このように栄誉ある賞をもらえました」と熱く語り,関係者とファンのプレイヤーたちに感謝の意を示した。
続いて早坂氏は,幼少期からシリーズに触れてきたと言及しつつ,その中でもとくに多くの人々から愛されてきた「ドラクエIII」という作品のリメイク制作に参加できたことで「ひとりのゲーム開発者として,そしてひとりのドラゴンクエストファンとして,本当に光栄だと思っております」と心境を語った。
「Pokémon Trading Card Game Pocket」(以下,「ポケポケ」)の表彰では,プロデューサーの廣部圭太氏が登壇した。廣部氏は,ポケモン,クリーチャーズ,ディー・エヌ・エーの3社を代表して,表彰後のスピーチを受け持ち,「ポケポケ」開発のコンセプトを明かした。
![]() |
廣部氏によれば「デジタルの特性を活かして,幅広い層に届けられるようカジュアルでシンプルな作りにしようと制作」したそうだ。一方で,シンプルにすることが難しく,制作には非常に長い時間を要したとのこと。
また廣部氏は,既存の「ポケモンカードゲーム」における関係者やファンの存在があったからこそ,今回の受賞につながっていると話し,奇しくも「AMDアワード」と1年違いの2026年に「ポケモンカードゲーム」が30周年を迎えることにも言及した。
「ニンテンドーミュージアム」の表彰では,任天堂の代表取締役 フェローを務める宮本 茂氏が登壇した。「ニンテンドーミュージアム」は,その名のとおり,1889年の創業から発売してきた任天堂の製品が,数多く展示された同社の歴史をたどる博物館だ。
![]() |
宮本氏は,今回の受賞で「デジタルコンテンツ(の表彰)なのにミュージアムでいただいていいのかと不安になったんですけども……」とはにかみながら,同ミュージアムに用いられたデジタル技術に関して言及した。
そこから「過去の製品を展示しているエリアと,みんなが体験できるエリアを作って,体験できるエリアは最新のデジタル技術を使っています。ですので,ここにふさわしいと思います」と説明し,朗らかな笑顔を見せた。
ほかにミュージアムの企画段階にまつわる話もあり,宮本氏は「任天堂は商品を通じてお客さんとコミュニケーションを取る。だから自分たちのPRを語ったりはしないということでずっと続けてきたのです」と同社の方針を明かした。
一方で,同社の工場をひとつ閉じることになった話や,積み重なった歴史を整理する必要性が論じられたことで,「ニンテンドーミュージアム」を作り上げる流れが生まれたそうだ。
最後に総評として審査委員長の夏野 剛氏が登壇し,昨今はあらゆるコンテンツにデジタル技術が関係することについて言及した。夏野氏は「デジタルの賞をもらっていいのでしょうか,とおっしゃる方もいらっしゃいましたが,もうすべてのところにデジタル技術が使われていて,だからこそ見る人の数も増え,表現できることの幅も広がった」と語る。
![]() |
そのうえで夏野氏は「デジタル技術によってインフラが整ったことによって,日本のいい作品がどんどんグローバルで取り上げられる」と国際的なデジタルインフラの発展によるコンテンツ産業の変遷に話をつなげた。
そして夏野氏は「日本のリソースが,グローバルに取材されたり,グローバルなところで題材となって作品が作られたりということが普通に行われるようになった。これからはコンテンツ産業が日本の未来を導いていくひとつになっていくのだろうと実感させられる30周年だと思います」と近年の流れをまとめ,総評を締めくくった。
![]() |
デジタルメディア協会 公式サイト
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- 関連タイトル:
Pokémon Trading Card Game Pocket
- 関連タイトル:
Pokémon Trading Card Game Pocket
- この記事のURL:
キーワード
- ニュース
- OTHERS
- ライター:F5/菊地将平
- PC:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- PC
- PS5:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- PS5
- Xbox Series X|S:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- Xbox Series X|S
- Nintendo Switch:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)
- Nintendo Switch
- iPhone/iPad:Pokémon Trading Card Game Pocket
- iPad
- iPhone
- Android:Pokémon Trading Card Game Pocket
- Android
- イベント

(C)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
(C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO
(C)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
(C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO
(C)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
(C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO
(C)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
(C) SUGIYAMA KOBO (P) SUGIYAMA KOBO
© 2024 Pokémon. © 1995-2024 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.
© 2024 DeNA Co., Ltd.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
© 2024 Pokémon. © 1995-2024 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.
© 2024 DeNA Co., Ltd.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。