［インタビュー］水田で米作りも可能に。シリーズ最新作「Farming Simulator 25」のテーマや魅力を開発スタッフに聞いた

　セガが2024年11月12日に発売した「Farming Simulator 25（ファーミングシミュレーター 25）」（PC / Mac / PS5 / Xbox Series X|S）は，GIANTS Softwareが開発する農業シミュレーションのシリーズ最新作だ。


　プレイヤーは，農機を購入して畑を耕し，その収穫で得た資金でより性能のいい農機を購入，さらなる収穫と収入を増やし，やがては本格的な農場経営と林業や畜産業といった事業拡大へと繋げていく。
　農業シミュレーターとしての完成度はもちろん，実在するメーカーとのコラボによって登場するリアルな農業機器や，自身の農場を含む広大なマップが大きな魅力だ。2008年から展開されている本シリーズは，世界累計3000万本というヒットを続けていて，国内にも相当数のファンが存在している。


　本稿では，「Farming Simulator 25」の魅力を簡単に紹介するとともに，GIANTS Softwareのマーケティング責任者と開発スタッフへのメールインタビューをお届けする。

「Farming Simulator 25」公式サイト

　世界のさまざまな地を舞台としている「Farming Simulator」シリーズだが，本作は，その舞台を北米と中央ヨーロッパ，そして新たに東アジアへと広げている。またゲーム中で栽培できる作物に，我々の食生活にも馴染み深い「米」と「ホウレンソウ」が加わり，その種類は25種類に至る。


　作物に米が加わったことにより，シリーズ初となる「水田」が登場した。米は「単粒米」と「長粒米」の2種類で，それぞれ栽培方法が異なる。また，対応する農機も違う機種が必要だ。ちなみに，苗は買うことも自分で育てることもできる。


　先ほども述べたが，「Farming Simulator」シリーズには，実在する農機が多数登場する。これらの一部は，日本人にも昔から身近な存在でありながら，農業に携わっていなければほとんど触れる機会のないあこがれのメカであり，それらを実際に購入して使うことができるのも，本作の大きな魅力となっている。
　国内メーカーでは，井関農機やクボタが開発に協力。海外メーカーも含めるとその数は150社，400種類以上にも及び，それらを購入して，乗って使うことができるのである。


　GIANTS Softwareの最新エンジン“GIANTS Engine 10”で構築された世界は，その見た目の向上はもちろん，気候の変化や災害による地盤変動などリアルタイムな出来事に対応し，ゲームに影響を与えている。のどかで雄大な世界を感じるとともに，自然の脅威を思い知らされることにもなるだろう。

「Farming Simulator 25」開発者インタビュー

　ここからはGIANTS Softwareへのインタビューをお届けする。シリーズのファンだけでなく，本作からシリーズ作品に興味を持ったプレイヤー向けの質問も投げてみたので，ぜひ読んでいただきたい。

4Gamer：
　「Farming Simulator」シリーズのテーマや魅力を教えてください。

開発スタッフ：
　シリーズの目的は，農業の情熱をリアルに体験できる没入感を提供することです。最新作の「Farming Simulator 25」では，さらに農業における技術の進歩と，世界各地の農業実践の多様性を際立たせたいと考えています。
　2008年に始まった「Farming Simulator」シリーズは，今後も勢いを落とすことなく続けていきます。プレイヤー数の増加とともに，現実の農業に関するさまざまなテーマを今後のアップデートでより深く探求できると期待しています。


4Gamer：
　シリーズ最新作の「Farming Simulator 25」ですが，本作ならではの特徴を教えてください。

開発スタッフ：
　まず，アジアの稲作を追加した完璧な農業体験ができることです。広大でのびのびとした北米，池と川に挟まれた中央ヨーロッパに加え，今作では田んぼが広がる緑豊かな東アジアエリアも登場しています。
　農作物は，2種類の米とホウレンソウが加わり，栽培できる作物が25種類あることもポイントのひとつでしょうか。また，牛，羊，豚，鶏，馬といった家畜に加え，バッファローなども追加され，新しく導入された生産チェーンや建設ミッションによりビジネスチャンスがさらに広がります。

　農機は，日本企業である井関やクボタをはじめ，Case IH，CLASS，Fendt，John Deere，Massey Ferguson，New Holland，Valtraなど，世界を代表する農機メーカー150社以上から400以上の機械やアイテムが登場します。
　さらにリアルになった美しい風景を楽しみながら，さまざま農機を乗りこなしていただきたいです。


4Gamer：
　新収穫物として「米」と「ほうれん草」を選んだ理由を聞かせてください。

開発スタッフ：
　本作では，ゲームの多様性を向上させるため，側面的な部分も強化したいと考えました。まず，動物や作物の数を増やすことでオープンワールドゲームに新たな可能性を提供し，米とほうれん草の追加によって，今までとは異なる地域の農業実践を広範囲に取り入れたいという思いから導入に至ったのです。

　米の栽培は，水田，水の管理というユニークな機能を取り入れています。ほうれん草は，収穫シーズン内に2回の収穫が可能な仕様を導入しました。これらの追加要素は，全体的にゲームプレイに多様性をもたらし，プレイヤーに現実の農業実践を反映した新たな挑戦を提供します。


4Gamer：
　この2つの作物を育てるポイントをそれぞれ教えてください。

開発スタッフ：
　ゲーム体験で追求できるリアルさはプレイヤー次第です。多くの機能はオプションであり，作物カレンダーを有効にすると，すべての作物を正確なタイミングで植えることが可能になります。
　米の栽培には，水の管理と特別な囲いがある水田が必要で，適切に成長させるには大量の水を必要とします。一方，ほうれん草は急速に成長しますが，高い収穫量を確保するためには定期的な手入れが必要です。


4Gamer：
　本作は，どのような人に遊んでほしいですか。

開発スタッフ：
　「Farming Simulator 25」は，農業，機械，シミュレーションゲームに興味を持つすべての人に向けた作品です。
　農業に関わる方々に特に人気ですが，新規プレイヤーにもアクセスしやすく設計してあります。分かりやすいチュートリアルと手厚くサポートしてくれるコミュニティが特徴ですので，シリーズをプレイしたことのない方でも，簡単に楽しむことができるでしょう。
　農業で癒しのゲーム体験を求めるカジュアルプレイヤーから，農業生活の詳細なシミュレーションを楽しむ熱心なファンまで，広いオーディエンスにアプローチできればと思っています。

4Gamer：
　本作とのコラボレーションを実現したいと思う企業やゲームタイトルはありますか。

開発スタッフ：
　私たちは，現在150以上の実在する農業ブランドからご支援いただきながら，機械や農業手法の信頼性を確保しています。
　今後のパートナーシップについて具体的な情報はまだお伝えできませんが，将来のアップデートに向けたビッグプランと，Year 1 Season Passも用意しています。アジア地域でのマーケティングおよび流通に関してはSEGAと提携していますが，ゲーム内でのコラボレーションは予定していません。
　もし，彼らのマスコットキャラを「Farming Simulator」シリーズに登場させてほしいというご要望がありましたら，ぜひお知らせください！


4Gamer：
　開発陣の皆さんにとって，農業とは一体どんなものでしょうか。

開発スタッフ：
　私たちにとって，農業は社会の基盤を象徴しています。作物の栽培や家畜の飼育という単純なものではなく，農業とは世界に食糧を供給する，なくてはならない基盤なのです。ですので，世界中の農家の情熱と専門性を強調し，プレイヤーに農業経営の複雑さと満足感を伝えたいと考えています。
　このゲームを通じて，農業が私たちの生活において果たす重要な役割への認識を高めることが，私たちが目指す使命のひとつなのです。

4Gamer：
　最後に，シリーズのファンや本作に興味を持っている人に向けてメッセージをお願いします。

開発スタッフ：
　いつもプレイしてくれているファンの皆さん，継続的なサポートとフィードバックをくださり，ありがとうございます。皆様のご支援は，新たな農業体験を創造する原動力となっています。
　また，本作で初めてシリーズをプレイしてくれた方や興味も持ってくれた方も，ありがとうございます。「Farming Simulator 25」は，リラクゼーションと戦略が融合したユニークな体験を提供し，はじめての方でもアクセスしやすいオープンワールドで農業の世界を探求できます。ぜひ新しい挑戦に飛び込み，農業生活の喜びと課題を発見してください。

　皆様の情熱は私たちのゲーム作りの励みとなります。これから共に，最高の農業シミュレーションを目指す旅を続けられることを願っています！

「Farming Simulator 25」公式サイト